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【事例付き】アサーションとは?効果やメリット、トレーニング方法を紹介

アサーションとは

アサーションとは、自己主張や意見表明のスキルを高めるコミュニケーション手段の一つです。相手を尊重しつつ、自分の意見を的確に伝えることで、対人関係やビジネスにポジティブな影響をもたらします。

この記事では、アサーションの意味、効果をはじめ、それぞれのトレーニング方法や効果について具体的なシュチュエーションを交えながら解説します。

アサーションの重要性やトレーニング方法について理解を深め、ビジネスシーンや日常生活で役立てましょう。

アサーションの意味

自分の意見や感情を適切に伝えるコミュニケーション、自己主張の一形態です。

自信を持って述べることによって自分の主張を尊重しつつ、相手に対して攻撃的ではなくベストな方法で伝えることができます。

アサーションに注力することで、相手の理解度も高まり、対話がより建設的に進むことが期待されます。アサーションは、相手といい関係性を保ちながら、自分の立場や考えをしっかりと主張する力を育むための重要なスキルと言えるでしょう。

アサーションの起源

アサーションは、ラテン語の「assertio」に由来し、自己表現や権利の主張を表します。

この概念は、人権運動の中で重要な役割を果たしてきた歴史があり、個人や集団の権利を主張し、平等や尊重の原則を強調してきました。アサーションの考え方は、自己の権利を尊重し、他者との公平なコミュニケーションを通じて共感や理解を促進する一環として、人権運動と連動しています。自己の権利や尊厳を守るためのアサーションのスキルは、社会的な変革や平等の推進に貢献する一翼を担っていると言えるでしょう。

アサーションは、古代からの概念あり、日本においても、武士道や平和主義の背景で個人の主張が重要視されてきました。近年、コミュニケーションスキルとして注目され、自己主張や権利の尊重が重要視される社会で、アサーションの意義が再評価されています。

アサーションの効果

アサーションの効果は大きく、自己尊重と他者尊重を両立させるコミュニケーションスタイルを促進します。適切な表現により、自分の意見や感情を的確に伝えつつ、相手の主張も尊重することができます。

しかし、過度なアサーションはコミュニケーションリスクもあります。状況や相手に合わせたバランスが重要で、過剰な自己主張や無理な要求は誤解や対立につながりかねません。アサーションの実践には配慮と柔軟性が重要だと言えるでしょう。

近年アサーションが注目されている理由

近年、アサーションへ対する注目度が高まっています。

どのような背景があるのか、見ていきましょう。

ハラスメントに対する意識の高まり

アサーションは、自己主張や意見表明を尊重される形で行う方法を提供し、ハラスメントや侵害から自己を守る手段として重要視されています。個人が自信を持ってコミュニケーションできることで、健全な対人関係の構築や職場環境の改善に寄与する要素となっています。

コロナ渦におけるテレワークの普及

コロナ渦におけるテレワークの普及は、働き方やコミュニケーションに大きな変革をもたらしました。直接対面の機会が減少し、遠隔コミュニケーションが増加したため、適切な意見や要望の表明が難しくなったことも変化の一つです。

こうした状況を踏まえアサーションが注目されており、アサーションのトレーニングを通じて自己表現能力を高め、テレワーク環境でも自信を持って意見を伝えるスキルを身に付けることが重要です。

コミュニケーションの質を向上させ、円滑な業務遂行やチーム協力を促進する一助となるでしょう。

アサーションを身に付けるメリット

アサーションのスキルを身につけることで、様々なメリットが得られます。

対等な立場で話せるようになる

アサーションを身に付けるメリットの一つは、対等な立場で話せるようになることです。アサーションは自己主張や意見表明を行う際に、相手とのバランスを保ちながら適切にコミュニケーションを取るスキルを提供します。自信を持って自分の意見を述べることで、他者とのコミュニケーションが円滑になり、対等な関係を築くことができるでしょう。

また、アサーションを通じて自己価値を認識し、自分を尊重する態度を養うことで、自己肯定感の向上やストレスの軽減にも寄与します。

相手を不快にさせずに断れるようになる

相手を不快にさせずに断れる能力が向上することも、メリットの一つです。

アサーションは、自分の意見や要望を適切に伝えるスキルを強化し、断りや意見の相違を柔軟に表現する手助けをします。これにより、他人の感情を尊重しつつも自分の意志を確立できるため、断ることが難しい状況でも、相手を不快にさせずに自分の立場を表明することが可能となります。

これによって、良好な人間関係を維持しながらも自己主張ができるスキルが身に付くでしょう。

人間関係が円滑になる

アサーションによって、自分の意見や感情を適切に表現し、効果的なコミュニケーションを行えるようになります。自分の立場を尊重しつつも他人の意見や感情を理解することができるため、誤解や不満を防ぎ、対話が深まります。

これにより、信頼や共感を築きやすくなり、ストレスや誤解からくる対立を最小限に抑えることが期待できます。

アサーションは、良好な人間関係の構築に貢献し、職場やプライベートなどの人間関係を円滑にする効果があります。

【事例付き】アサーションが活用されるビジネスシーン

ビジネスにおいて、具体的にどのような場面でアサーションが活用されているのか、ご紹介していきます。

会議などの意見交換の場

会議では異なる意見や視点が出てくることが多く、その際にアサーションのスキルを用いることで、自分の意見を明確かつ適切に表現できます。自信を持って発言することで、他の参加者と対等な立場でコミュニケーションが取れ、意見の衝突や混乱を防ぐことができます。

また、相手の意見を尊重しながらも、自分の意見をしっかりと主張することで、有益なディスカッションが促進され、より良い意思決定が行われる環境が整うでしょう。

上司や顧客の無理な要求を断りたいとき

上司や顧客の無理な要求を断る際にも役立ちます。

例えば、プロジェクトの期限が厳しい中で上司からの追加タスクがあった場合、アサーションのスキルを用いて、現実的な状況や自分の負荷を伝えつつ、適切な提案を行うことができます。同様に、顧客の要望がプロジェクトのスコープ外である場合でも、アサーションを使って、誠意を持って理由を説明し、双方にとって理想的な解決策を模索することができます。

アサーションは、断りながらも関係性を損なわずにコミュニケーションを構築するための効果的なツールと言えるでしょう。

後輩や部下の指導

ビジネスシーンでは、指導やコーチングの場面でも活用されています。後輩、部下へ指導する際に、適切なスキルを用いることで、建設的なフィードバックや指導を行うことができます。

例えば、部下が課題に取り組む際にアプローチが誤っている場合、アサーションを通じて具体的な改善案や提案を提示することで、効果的な学習を支援できます。同様に、成果を上げるためのスキルを伝授する際にも、アサーションを通じて自信を持って指導することが可能です。

指導者としてのコミュニケーションを取る上でのスキルを向上させ、後輩や部下との信頼関係を強化するための有効な手段と言えます。

アサーションは人事評価や採用面接でも重要なスキル

自己の価値や適性を的確にアピールする能力は重要であり、アサーションは人事評価や採用面接においても極めて重要なスキルです。

人事評価では、自身の成果や能力を客観的に認識し、適切なフィードバックを提供することが求められます。また、採用面接では、自己PRや過去の経験を明確に伝えることで、採用担当者に自己の適性や志向性をアピールする重要なツールとなるでしょう。

アサーションを上手く行うことで、職務遂行能力やコミュニケーションスキルの評価を高め、求める人物像に合致する候補者の選定に貢献します。

まずは自分のアサーションレベルをチェック

アサーションレベルは、簡単に把握することができます。

チェックテストを実施してみましょう。

チェックテストは、「自分から働きかける言動」「相手の言動に対する言動」の2種類に分かれます。

合計20の設問に「はい・いいえ」で回答し、「はい」の数が10個以上だった場合は、質の高いアサーションのスキルを持っているとされ、「いいえ」の設問は苦手な項目となります。

【自分から働きかける言動】

  1. あなたは、誰かにいい感じを持ったとき、その気持ちを表現できますか
  2. あなたは、自分の長所や成し遂げたことを人に言うことができますか
  3. あなたは、自分が神経質になっていたり、緊張しているとき、それを受け入れることができますか
  4. あなたは、見知らぬ人たちの会話の中に、気楽に入っていくことができますか
  5. あなたは、会話の場から立ち去ったり、別れを言ったりすることができますか
  6. あなたは、自分が知らないことやわからないことがあったとき、そのことについて説明を求めることができますか。
  7. あなたは、人に援助を求めることができますか
  8. あなたは、人と異なった意見や感じを持っているとき、それを表現することができますか
  9. あなたは、自分が間違っているとき、それを認めることができますか
  10. あなたは、適切な批判を述べることができますか

【相手の言動に対する言動】

  1. 人からほめられたとき、素直に対応できますか
  2. あなたの好意を批判されたとき、受け答えができますか
  3. あなたに対する不当な要求を拒むことができますか
  4. 長電話や長話のとき、あなたは自分から切る提案をすることができますか
  5. あなたの話を中断して話し出した人に、そのことを言えますか
  6. あなたはパーティーや催し物の招待を、受けたり断ったりできますか
  7. セールスマンや店員からの強い勧めを断れますか
  8. あなたが注文したとおりのもの(料理や洋服など)が来なかったとき、そのことを言って交渉できますか
  9. あなたに対する人の好意がわずらわしいとき、断ることができますか
  10. あなたが援助や助言を求められたとき、必要であれば断ることができますか

引用 :平木典子『改訂版 アサーション・トレーニング』(日本・精神技術研究所、1993年)

コミュニケーションタイプの3分類

コミュニケーションのタイプは、3種類に分けることができます。

それぞれのタイプの特徴を踏まえ、アサーションを意識することでどのような効果があるのかもご紹介していきます。

やや攻撃的:アグレッシブタイプ

自分の権利を主張する一方で、他人の感情を無視してしまうことがあります。

アサーションは自己尊重と他者尊重を両立させるためのバランスを取ります。適したアサーションを通じて、アグレッシブな印象を避けつつ、自分の意見をしっかり伝えることができるでしょう。

コミュニケーションスキルの向上を通じて、良好な人間関係や効果的なコミュニケーションを築くことができます。

自己主張が苦手:ノン・アサーティブタイプ

自己主張が少なく、他人の意見に過度に合わせてしまうことがこのタイプの特徴です。

アサーションは、ノン・アサーティブとアグレッシブの中間であり、自分の権利を尊重しながら他人の感情や意見も考慮します。適したバランスのアサーションスキルを持つことで、質の高いコミュニケーションが可能となり、自分と他人のニーズを調和させる能力が向上します。

理想のバランス:アサーティブタイプ

自分の考えや感情を適切に伝えることを意識し、自分の意見をしっかり主張する能力を持ちます。他人を尊重し協調性のあるスキルを育むことが鍵であり、バランスの取れたアサーションスキルを身につけることで、自信を持ちつつも対話を通じて円滑な関係を築く力を磨くことができるでしょう。自己主張と協調性の調和が、より効果的なコミュニケーションを実現します。

アサーショントレーニングでアサーティブタイプを目指そう

トレーニングを行うことで、アサーションの能力を高めることが可能です。

アサーティブタイプになるための、アプローチ方法も見ていきましょう。

DESC法

DESCとは「Describe(具体的に述べる)」「Express(感情を表現する)」「Specify(要望を具体的に示す)」「Consequences(結果を伝える)」を意味し、自己主張や意見を的確に伝えるスキルを養うものです。

このトレーニングはコミュニケーションの質を向上させ、対話の透明性を高める効果があるとされています。

例えば、会議で異論を述べる際、DESC法を用いて感情を抑えつつ自分の意見を伝えることで、建設的な議論を促進することができるでしょう。

アイ・メッセージ

アイ・メッセージは、自己の感情や意見を相手に伝える際に、「私は…」といった形で述べる方法です。これにより、相手を攻撃することなく自己表現が可能となり、対話が建設的に進む効果があります。

例えば、上司からの厳しい指摘に対して「私は努力しているつもりですが、改善点を教えていただけると助かります」と伝えることで、自己主張と相手への配慮が両立します。

アサーショントレーニングによってアイ・メッセージが磨かれれば、コミュニケーションの質が向上し、対人関係の円滑化につながるでしょう。

ABCDE理論

ABCDE理論は、アサーションを行う際の基本的な手順を示したもので、以下のステップから成り立ちます。

A(Action):具体的な状況や行動を説明する。

 B(Belief):自分の気持ちや信念を述べる。

C(Consequence):その状況や行動に対して生じる結果を示す。

 D(Desire):望む結果や改善を示す。

 E(Effective):具体的な要望や提案を行う。

この理論を用いることで、自己主張が明確になり、相手との対話がスムーズに進む効果があります。

例えば、同僚との意見の対立に対した場合を想定してみましょう。

この理論を活用することで、「(A)昨日の会議での提案について、(B)私はその方針が効果的ではないと感じました。しかし、(C)他のメンバーが支持していることも理解しています。だからこそ、(D)より詳細な検討と議論を行いたいと考えています。もし(E)皆さんの意見を伺える時間をいただけるなら幸いです。」という、具体的なコミュニケーションが実現します。

言語的アサーション・非言語的アサーション

言語的アサーションは言葉を用いて自己主張する技術であり、自分の意見や要望を明確に伝えることができます。一方、非言語的アサーションは表情や身体の動きを通じて感情や意思を示す方法です。

言語的アサーションは、相手に対して適切な言葉で自己主張することで、誤解やすれ違いを減少させ、対話を建設的に導く効果があります。例えば、「私の意見をお聞きください」という言葉を使って意見を述べることで、自分の発言に自信を持ちながらも相手に尊重を示せます。

非言語的アサーションは、姿勢や表情を通じて自信や意志を伝えることで、相手とのコミュニケーションをより効果的にする効果があります。例えば、会議中にしっかりとした姿勢で座ることや、相手の目を見つめることで、自分の立場をしっかりと示すことができます。

言語的アサーションと非言語的アサーションの組み合わせによって、自己主張のスキルが向上し、コミュニケーションが円滑になるとともに、信頼性のあるコミュニケーションが実現するでしょう。

アサーショントレーニングの導入が企業にもたらすメリット

企業にとっても、社員がアサーションの能力を身につけることはメリットがあります。

トレーニングの導入によって、どのような効果が期待できるか、ご紹介していきます。

適正な人事評価の実現

適正な人事評価の実現がメリットの一つです。従業員が自己主張し、適切な意見を述べるスキルを磨くことで、公平な人事評価が可能となります。従業員同士や上司との対話が円滑に行われることで、業績評価や昇進の判断が客観的かつ適切に行われるでしょう。

アサーショントレーニングの導入は、組織内のコミュニケーション改善に貢献し、適正な人事評価を実現する一環として注目されています。

社員のメンタルヘルス対策になる

アサーショントレーニングを企業に導入することで、社員のメンタルヘルス対策にも役立ちます。トレーニングを通じて、自己主張や意見表明のスキルが向上することで、社内のコミュニケーションが円滑になり、ストレスや不安を軽減する効果が期待できます。社員が適切にコミュニケーションを取ることで、問題解決や意見交換が円滑に行われ、ストレスやプレッシャーを軽減できる環境が整うでしょう。

アサーショントレーニングは、社員のメンタルヘルスを支援する重要な手段として、企業に導入される一因となっています。

離職率の改善につながる

離職率の改善という、企業にとって重要な課題解決にもつながることが期待できます。

トレーニングを受けた社員は、自己主張や意見表明のスキルを向上させることで、コミュニケーションが円滑になり、職場の課題やストレスを適切に共有できるようになります。これにより、社員同士の摩擦や不満が軽減され、職場の雰囲気が改善されるでしょう。結果として、社員の満足度が向上し、モチベーションがアップするため、離職率の低下につながります。

アサーショントレーニングは、社員のコミュニケーションスキルを高め職場環境の改善をもたらし、離職問題を解決する一助となる有益な手段です。

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アサーションスキルを活かして前向きなコミュニケーションを

具体的な事例もあげながら、アサーションの効果やメリットについてもご紹介していきました。

アサーションは自己表現とコミュニケーションの強化に役立つ重要なスキルであり、DESC法やアイ・メッセージの活用などのトレーニングを通して、能力は高めることができます。ぜひ、スキルを伸ばすためのアプローチを行うことをおすすめします。

自己尊重と他者尊重を融合させるアプローチは、ビジネスや日常の対話において有益です。アサーショントレーニングの実践により、自信を持って意見を伝え、円滑なコミュニケーションを築くスキルを磨きましょう。