資格管理とは?目的とメリット、管理方法、システムの選び方を解説

資格管理とは、従業員が保有している資格を可視化できる状態で管理することを指します。
新規業務やプロジェクトを始める際、企業が従業員の資格を管理しておくことで、最適な人材をアサインすることが可能となります。
本記事では、資格管理の概要から目的、導入するメリットなどを解説します。
資格管理とは
資格管理とは、従業員が保有している資格を集約し、可視化できる状態で管理することを指します。
一人の従業員が保有している資格だけではなく、今後の資格取得の見込みなども管理することが一般的です。
全社で統一されたシステムやフォーマットを活用することで、資格情報を効率的に管理することが可能となるので、新規業務やプロジェクトへの人材配置を行ったり、人材育成に繋げることができます。
資格管理の対象
資格管理の管理対象は、社会保険労務士などの国家資格、簿記検定などの公的資格、実用英語技能検定などの民間資格が該当します。
・国家資格
ファイナンシャルプランナー、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士、税理士など
・公的資格
秘書検定、簿記検定、ビジネスマネジャー検定、メンタルヘルス・マネジメント検定試験など
・民間資格
TOEIC、ケアストレスカウンセラー、マーケティング・ビジネス実務検定など
資格の種類は大きく分けられます。
従業員が保有している資格の名称や、資格取得日、資格の更新期限などの管理を実施しましょう。
資格管理の目的
資格管理は、なぜ企業が実施すべき施策なのでしょうか。
本項目では、資格管理を実施する重要性について説明します。
管理の簡素化
一つ目は、管理の簡素化です。
多くの企業では、従業員の資格情報や保有しているスキルデータは紙やエクセルなどのアナログで管理されることが一般的です。
資格情報は従業員によって異なりますし、管理項目が多くなってしまい煩雑であるため、アナログでの管理を行う際は確認や更新作業に多くの時間が必要になります。
経営層や人事担当者など、部署をまたぐ活用をする際の管理・活用が難しくなってしまいます。
資格情報の可視化
二つ目は、資格情報の可視化です。
例えば、部署やチームごとで資格管理の手法が異なっていると、全社的にデータが必要となった際、統合したり、管理を行うのに不便となってしまいます。
そこで、一括のデータベースで従業員の資格管理を実施することで、必要となった際に即座に活用ができます。
そのため、企業には従業員が保有する資格情報の可視化が求められます。
マネジメントの効率化
三つ目は、マネジメントの効率化の観点です。
企業が従業員の資格管理ができていないと、既存の従業員が活躍するチャンスが減ってしまったり、新規業務やプロジェクトのアサイン時、すでに欲しい資格を持った従業員が所属しているのに、それに気づかず新しい人材を採用してしまう可能性が考えられます。
そのため、資格情報を可視化することで、人材マネジメントに活用することができるので、結果的に人材活用の効率化につながります。
従業員の資格管理を行うメリット
実施すれば、企業にとってメリットをもたらす資格管理。
続いて、従業員の資格管理を実施するメリットを本項で解説します。
人材配置が円滑になる
メリットの一つ目は、人材配置が円滑になることです。
特定資格を要する業務は、その資格を持つ従業員に担当してもらう必要があります。
企業が従業員の資格情報を把握し、管理できていれば、業務アサインなどの工数が削減できるので、スムーズに人材配置することが可能となります。
人材育成に活用できる
二つ目は、人材育成に資格管理情報を活用できるということです。
従業員が保有している資格や、資格の取得状況、取得日などの情報を企業が適切に管理することにより、組織全体の資格取得状況を見える化することができます。
そのため、資格取得と紐付けた人材育成計画を作成しやすくなることもメリットの一つです。
資格手当の計算が簡単になる
三つ目は、資格手当の計算が簡単になるということです。
資格手当とは、企業が指定する資格を保有、または取得している従業員に対して支給をする手当のことをいいます。
企業が従業員の資格管理を実施することで、該当の資格を保有している従業員の可視化が容易となるため、資格管理によってその計算が簡単になります。
資格の有効期限を通知できる
四つ目は、資格の有効期限を通知できるということです。
資格によっては、有効期限が定めているものもあります。
それらの資格は、更新しないと失効する可能性があります。
そこで、資格管理を実施し、従業員ごとの資格の更新期限や更新対応をまとめておけば、失効前に従業員へ通知できます。
従業員のモチベーションが高まる
最後は、資格管理を実施すれば、従業員のモチベーションが高まるといったメリットを企業が享受できるからです。
資格管理は、従業員の資格取得状況を可視化できるので、従業員の成長度合いの可視化や、評価タイミングでデータの活用ができます。
従業員が保有する資格取得を増やすことができれば、評価時のタイミングで評価向上にもつなげることができます。よって、従業員のモチベーション向上にも役立ちます。

資格管理の主な方法
企業が従業員の保有している資格を管理すれば、様々なメリットを享受できることがわかりましたが、具体的に資格管理はどのように実施すれば良いのでしょうか。
本項では、資格管理の主な方法を解説します。
エクセルなどの表計算ソフト
まずは、エクセルなどの表ソフトを使うことです。
表ソフトツールは、普段の業務から使い慣れている従業員も多く、導入しやすい管理方法の一つですが、資格を管理する専用ツールではありません。
資格管理するための式を組んだり、体裁を整えるのに工数がかかり、結果的に管理が非効率的になるリスクもあるでしょう。
資格管理アプリ
続いては、資格管理アプリです。
スマートフォンアプリには、資格管理機能を搭載したものも存在します。
そのアプリを使用して、従業員に対する資格の更新期限の通知や、記録の管理などを自動化することが可能です。
資格管理ソフト
資格管理機能は「タレントマネジメントシステム」の一部に入っている場合があります。
タレントマネジメントシステムとは、従業員の能力・スキルを可視化し、パフォーマンスを最大活用するマネジメントをスムーズに行うためのツールです。
このツールには、従業員が保有する資格を管理・可視化する機能が含まれている場合もあります。
そのため、資格管理を行いたい場合は、このようなシステムを活用するのも一つの方法です。
資格管理ソフトの選び方
資格管理は、ソフトを導入することでより業務圧縮や効率化を図ることが可能です。
ソフトを選定する場合、どのようなポイントに着目する必要があるのでしょうか?下記で説明します。
クラウド型かオンプレミス型か
資格管理ソフトには、クラウド型とオンプレミス型が存在します。
クラウド型はオンライン上のサーバーで提供されているサービスをインターネットを介して利用できるものです。
ユーザーがサーバーなどと契約をしなくても、インターネットが使用できれば、必要な分だけ利用できます。
また、オンプレミス型は社内にサーバーや通信回線、システムを構築し、自社で運用を行う形態をいいます。
高度なセキュリティを構築できることがメリットですが、直近はクラウド型のサービスが柔軟性が高く、資格管理ソフトでも多く導入されています。
集計・分析機能がついているか
資格保有者の検索、集計、分析機能がついているかも判断軸の一手でしょう。
これらができると、従業員の資格取得に向けた計画立案がしやすくなります。
集計、分析機能が搭載されているかを確認するときは、下記のポイントができるかどうかも併せて確認しましょう。
・有資格者の一覧化
・資格別の人数
・年齢別の有資格者の分布
・有資格者の部署ごとの分布
費用が企業規模に合っているか
社員資格管理ソフトを導入する場合、その導入の費用が企業規模に合っているのか、という点も重要です。
特に冒頭で述べたクラウド型の場合、使用人数によって月額が変更になる場合が一般的です。
費用を抑える方法としては、初期は基本的な機能のみ導入し、本格運用の段階になってから、オプションを追加するという方法もあるため、自社に合う機能があるかを踏まえて検討しましょう。
システムが使いやすいか
システムを導入しても、操作する人が使いやすくなければ形骸化してしまう一つの要因となってしまいます。
そのため、従業員に使ってもらえるよう、直感的に操作できるシステムを導入するようにしましょう。
資格管理ソフトを導入するメリット
続いて、本項では、資格管理ソフトを社内に導入するメリットをお伝えします。
簡単に情報を更新できる
まずは、資格管理システムは、資格管理がしやすい画面設計や操作性があるものが多いため、情報更新を行う際の工数を削減できます。
人事評価や人員配置、育成計画策定を行う際、管理している従業員の資格情報を用いると便利ですが、最新の状態でなければ活用ができません。
資格管理システムは情報更新に特化しているものも多いため、社内の継続的な資格管理の土台を作るためにも有益です。
情報共有がスムーズになる
資格管理システムは組織内の誰でもアクセスができるよう、設定することが可能です。
そのため、これまで紙やエクセルなどで各従業員ごとが別々に管理していたデータの統合が可能なので、情報共有を迅速に実施できるというメリットがあります。
資格管理業務が効率化する
システムを導入することで、紙やエクセルで管理する場合と比較をすると、資格管理担当者の管理負担が軽減されます。
各部署に配置される資格管理の担当者は、一般的には普段の業務を行いながら、併せて資格管理業務を行うことが多いでしょう。
普段行う業務が忙しい場合、どうしても資格更新作業の優先順位が下がってしまうことが懸念されます。
その場合は更新タイミングのズレが発生してしまいますが資格管理システムによって管理業務に工数がかからなければ、担当者の負荷を減らすことができます。
よって、資格管理業務の効率化につながります。
他システムと連携しやすい
資格管理でまとめた情報は、人員配置や新規プロジェクトへのアサインや給与計算など、様々な用途で必要となります。
そのため、API連携に対応しているか、や、すでに社内で導入している他システムと連携がしやすいかどうかも確認する必要があるでしょう。
他システムと連携がしやすければ、システム間の連携作業や、データの統合などの必要がなくなるため、そのようなシステムを選定することも一つの手です。
資格管理ソフトの導入手順
資格管理ソフトを導入する際の手順は、以下を押さえておくことが望ましいでしょう。
1.作成者を決定する
まずは、資格管理の作成者を決定することが重要です。
資格管理ソフトを運用する際は、資格の内容や通ずる業務を理解している人を担当者にすることが適切です。
2.ルールと権限を明確化する
続いて、資格管理ソフトの管理者を決める必要があります。
管理者はシステムの全体にアクセスでき、アクセス権限の付与や問い合わせ・トラブル対応を行うため、従業員の個人情報にアクセスすることが可能となります。
また、資格管理システムの使用者は、適切な情報更新ができるような権限設定も可能であるため、運用時のルールや権限管理が不適切であると、個人情報の流出に繋がってしまいます。
3.小さな単位から使い始める
次に、小さな単位から資格管理ソフトを使用し始める必要があるということです。
導入後、いきなり組織全体の管理のためにソフトを使い始めると、急に管理者に管理や更新の負担がかかってしまい、業務の優先度が下がり、運用が形骸化しかねません。
そのため、初めは小規模で資格管理を運用することで、工数が少ない段階で、変更点や課題の整理が可能となり、大規模スタートをする際の土台作りができます。
小さな単位で発見した課題をベースにPDCAを回していき、徐々に規模を拡大していきましょう。
4.記載項目を決定する
資格管理を行う際は、氏名などの基本情報はもちろんのこと、各従業員が保有している資格、資格証明、取得日、更新期限などの項目を作成しましょう。
これらの項目をデータ管理することによって、必要なタイミングで比較し、従業員に通知をすることも可能です。
5.更新頻度を決定する
また、更新頻度を定めておきましょう。
更新頻度を定めておかないと、データを使用したいと思ったタイミングでデータを確認しても、データが最新になっていない可能性が挙げられます。
例えば、半年に一回など、システムの更新頻度を決定し、運用を進めていきましょう。
資格管理ソフトで管理業務を効率化しましょう
資格管理は、適切な人材配置やプロジェクトアサインに可能な従業員情報となるため、結果的に企業の生産性を向上させる重要な施策です。
当社が提供するスキルナビシステムは、従業員が保有する資格の取得状況はもちろんのこと、取得日や、従業員が目指すキャリアビジョンと併せた職種に必要な資格の可視化なども可能です。
資格管理に取り組まれたい方は、ぜひ当社までお問い合わせください。
