契約社員の雇用契約書作成ポイントとは?項目や注意点までを解説
雇用形態が多様化している今、契約社員を雇用する企業が増加傾向にあります。
しかし企業と契約社員の間で勤務に関係する問題も増えています。
そのためには「雇用契約書」を十分に活用する必要があるでしょう。
契約社員と正社員の違いについて
特別な理由がない限り正社員には雇用期間が存在しません。
それに対して契約社員には期間が定められており、必ずしも定年まで雇用が継続するわけではありません。
このような期間の違いがあることを理解しておきましょう。
⇒契約社員について詳しく知りたい方はこちら
雇用契約書作成時の注意点
契約書作成にはどのような注意すべきポイントがあるのかを説明します。
所定労働時間(1日8時間以内かつ週40時間以内が原則)
これは労働基準法に規定されているものです。
・1日8時間以内
・週40時間以内
企業によって始業時間や終業時間は異なりますが、この勤務時間に収めるようにしましょう。
勤務時間内におさまる範囲で調整をした所定労働時間に設定する必要があります。
従業員が10名未満の小規模事業所に限り、以下の条件です。
・1日8時間以内
・週44時間以内
自社の規模も考えながら時間調整をしましょう。
就業規則の労働条件を下回ってはならない
契約書に記載されている労働条件が、就業規則の条件と比較して変動ができません。
「就業規則に各種手当や休日の規定があるのに契約書にその内容が含まれていない」といったことがあげられます。
しかし就業規則の記載の仕方でこの注意点が適用されないケースがあります。
無期契約に変換できる5年ルール
「契約社員が5年を超える雇用を継続したら、雇用は無期限となる」という規定があり、企業はその希望に対して拒否はできません。
大前提として、契約社員は3年以内の雇用期間の設定が必要です。
期間終了後、再び同じ契約をすると合計6年となるので、この決まりが適用されます。
さらに注意したいのが、雇用期間中は基本的に解雇ができないことです。
これらを踏まえて企業は、契約社員が5年ルールの適用にならないような対策をとる必要があります。
同一労働同一賃金
「契約社員と正社員における賃金の待遇を同一にする」という規定ですが、各種手当や賞与など待遇の差が生じるケースもあります。
勤務内容の範囲や人事異動の有無に差がある場合、正社員だけに適応される給与が生じることもあります。
労働条件の明示義務のルール
契約では必ず明示しなければいけない項目があり、それは以下のとおりです。
・勤務期間
・仕事を行う場所
・勤務内容
・休日など
また契約社員と正社員の労働条件が区別されている場合、以下の項目が新たに追加されます。
・臨時の賃金の発生
・安全・衛生について
・休職についてなど
あらかじめ自社の契約書の内容をよく確認する必要があります。
雇用契約書とは
雇用時の契約を交わす書類を雇用契約書といいます。
契約書を使用せずに口頭にて契約を成立することも可能です。
しかし口頭での契約は後にトラブルの原因となりやすいため、通常は契約書を使用することがほとんどです。
雇用契約書に書くもの
基本的に雇用契約書はどのようなことを書くべきなのかについて説明します。
絶対的明示事項・相対的明示事項
・勤務期間
・仕事を行う場所
・辞職関連
これらは契約社員としても必ず把握しなければいけない重要な項目です。
・増給
・臨時の賃金
・休職関連
これらは相対的明示事項に当てはまり、伝える際は口頭でもかまいません。
雇用契約書として必要な事項
他にも以下の2つの重要な項目があります。
・署名欄
・捺印欄
これらの項目があってはじめて契約の成立が可能です。
また就業規則でおさえるべき事項についても契約書に記載しておくことをおすすめします。
労働条件による企業と従業員とのトラブルをゼロにするためにも、重要項目は事前に伝えておきましょう。
雇用契約書作成にあたっての注意点
どのようなポイントに注意して作成するのかを説明します。
正社員の雇用契約書
正社員のトラブルとして多いのが、求人情報の労働条件と実際の条件が異なっていることです。
「入職したら求人情報の記載と違っていた」という問題を引き起こしやすいので、あらためて契約書の見直しを行う必要があります。
パート・アルバイトの雇用契約書
増給や退職手当は伝えなければならないため、契約書の使用時には必ず記載しておきましょう。
・増給について
・賞与について
以上の記載がされていないと、違反となる場合があります。
その他にも伝えるべき項目は書面に記載をしましょう。
基本的に明示すべき項目は各雇用形態と同じです。
契約社員の雇用契約書
終了の期日や更新についての項目は詳細である方が望ましいです。
また「自動更新」をしていないかの確認も重要です。
雇用期間が5年を超えた場合は本人の希望によって無期間の雇用契約に転換できる5年ルールについては考慮する必要があります。
この希望に対して企業側は承諾する義務があるため、契約期間は慎重に決めましょう。
正社員登用した場合
場合によっては正社員への登用の可能性もあるため、あらためて契約書の記載を行いましょう。
雇用形態の変更時のためにも契約書を用意することでトラブルを未然に防げます。
また各雇用形態に応じた契約書は必ず事前に作成しておきましょう。
まとめ
雇用契約書は労働条件の確認をするだけではなく、従業員とのすれ違いを防ぐ役割も兼ねています。
その他にも企業の信頼性を高めるきっかけにもなります。
双方がより良い関係となるように、契約書についてあらためて見直していきましょう。