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人材育成のロードマップを作成する目的とは?作り方やポイントも解説

人材育成のロードマップを作成する目的とは?

人材の育成に力を入れて、自社の生産性を高めたいと感じている企業は少なくありません。とはいえ、具体的にはどのようなことから始めれば良いのでしょうか。本記事では、人材育成において必要なことをロードマップとして作成する方法から、その作り方のポイントについてもご紹介します。最後にロードマップの使用事例についてもご紹介しますので、是非とも自社での人材育成にお役立てください。

人材育成のロードマップを作成する目的

そもそもなぜ人材育成において、ロードマップをわざわざ作成する必要があるのでしょうか。一見、ロードマップを作成するステップが手間に感じてしまうかもしれません。ですがロードマップを作っておくことで、人材育成の計画やその中で起こる問題を関係者の中で共有することが可能になり、プロジェクト成功までの道のりもイメージしやすくなります。ですので、最初に少しの手間はかかってしまいますが、人材の育成を成功させるためには欠かせない要素であることが分かるかと思います。

人材育成方法

従来の育成方法にはどのようなものがあったのか、ここで一度振り返っておきましょう。


OJT

OJTとは「On the Job Training」の略称で、実際に業務に取り組みながらスキルを身につけるトレーニングのことです。その際にはしっかりと上司が各個人についており、気づいた点があればその都度指導すると良いでしょう。多くの企業で取り入れらている手法ですが、デメリットとして先輩社員の指導範囲でしか能力が身に付きづらいということが挙げられます。


OFF-JT

OFF-JTとは「OFF the Job Training」の略称で、実際の業務の中ではなく、研修等を主に受けながらスキルを習得するトレーニングのことです。一度に多くの人数を指導できるという点で優れていますが、研修で得た知識を活かす場面がないとなかなか定着しないという点がデメリットと言えるでしょう。


人材育成のロードマップの作り方

従来の人材育成の手法における欠点を補うためには、ロードマップを作成すると良いでしょう。そのためには具体的にどのようなステップで取り組めば良いのか、全部で4つのステップに分けて解説します。


求める人材像の明確

まずは人材育成のゴールを定める必要があります。具体的にどのような人材に育って欲しいのか、どのようなスキルを有していることが理想なのかを考えておく必要があります。ただ闇雲に研修において知識を詰め込むだけでは明確な効果が出ないことがほとんどですので、最初に必ず理想の人材像を立てておくことが求められます。


企業理念の作成

自社の企業理念がない場合には作成し、すでにある場合には求める人材像に合わせて考え直す必要があります。基本的には企業の活動は理念に従って行われることが多く、その理念が定まっていないとアクションを起こすことが難しくなります。ですので、まだ定まっていないという場合にはこの機会に作成しておきましょう。


人材育成計画の作成

ここまで進めたら、次に行うこととして「人材育成計画の作成」が挙げられます。理想の人材像に育成するためには具体的にどのようなアクションを取れば良いのか考えましょう。例えば自主的に動くことができる人材を育てるためには、社員との対話を通じて次にどのようなことをすれば良いのか考えさせたり、それに対する上司からのフィードバックを行うというようなことが考えられます。従来の手法ではカバーしきれなかったことにも対応できるように、このステップで熟考することが求められます。


現場定着のための施策実施

ここまででロードマップの作成はほとんど終わっています。ですので最後に、各部署にこの人材育成のためのロードマップが導入されるように対策する必要があります。いきなり新しい施策を持って来られてもすぐに対応することが難しいケースもあるので、計画段階から各部署に伝えておくことが賢明かもしれません。


ロードマップ作成のポイント

作成するための方法について理解した上で、その過程におけるポイントについて2点解説します。


スキル項目の抽出

求める人材像の明確化としても解説しましたが、さらに「具体的に有して欲しいスキル」を明確にしておくことも重要です。企画提案力や資料作成力、データ分析力など各場面において必要な能力は様々です。その中でも特に身につけて欲しいスキルは何なのか定めておくことで、具体的な施策を決める際に有効ですので押さえておきましょう。


スキルレベルの設定

同じスキルでもレベルが異なるものもあります。例えばデータ分析力に関しても、「自社のデータだけを的確に扱える能力」なのか「他社からも評価されるようなエキスパート」なのかで習熟度が異なります。いきなり後者のスキルを身に付けさせることは困難ですので、このレベル感をきちんと定めておくことで一貫性のあるロードマップを作成することができるでしょう。

⇒人材育成の計画について詳しく知りたい方はこちら


ロードマップの使用事例

最後に、ロードマップがどのように扱われているのかその具体例を見ていきましょう。

事例①ソリューション型営業の育成施策づくり

A社では、ユーザーに直接営業をかける新規事業に対応するために、新たにロードマップを作成しました。新規事業では、提案力やソリューション企画力がさらに求められるようになるため、それらのスキルを習得できるようになるために施策を考えました。年1回のペースで営業担当者が自身のスキルを評価し、来年の目標を定めます。マネージャーはその結果と目標から、営業担当者と今後の展望などを相談し、スキル開発に努めています。


事例②デジタル時代の新しい営業モデル作りと育成施策の再構成

B社の属する業界では、営業活動をデジタル化する波が押し寄せており、営業人員を縮小させながらデジタルツールを活用することで能率的な活動をする傾向にあります。このことから、従来の営業スキルでは対応しきれなくなったため、デジタル化に伴ったスキルを習得するためのロードマップを作成しました。作成したロードマップに即した研修コンテンツを動画やテキストとしてまとめ、少ない手間と労力で繰り返し利用できるようにしているのです。


事例③既存カリキュラムの最適化と育成プログラムの効果検証

C社では新たなスキルを習得させるためのロードマップを作成するようなことはせず、既存の研修プログラムの変更や、習得したスキルの見える化を図るためのロードマップを組み直しました。というのもC社では、お金と時間を十分に使った研修プログラムを以前から行っているのですが、その効果が明確に表れていませんでした。

その対策として年次ごとに必要なスキルレベルを定め、習得したスキルが見える化できるような仕組みを作りました。その結果、これまでの研修ではその年次では特に必要なかったものも含まれていたことが分かり、非効率的な人材育成を行なっていたことが判明したのでした。


まとめ

人材を育てることにおいて『ロードマップ』を作成することは手間に感じるかもしれません。ですが最後の事例のように、これまで非効率的な研修を行なっていたことに、ロードマップを作成するまでは気づかないケースもあるのです。理想の人材像の育成のためにも、新たに施策やスキルレベルを設定したロードマップを作成することをおすすめします。