生産性を向上させる方法7選!業務を効率化する生産性について解説
日本の労働人口の減少を背景に、政府が推進している働き方改革に代表される、従業員にとって働きやすい職場環境づくりが求められています。少ない人数でより短時間で成果を生み出すためには、従業員一人ひとりの生産性向上は欠かせません。
業務を効率化させ、生産性の向上を図るための手法とはどのようなものがあるのでしょうか。企業にとって必要不可欠な生産性向上について解説します。
生産性とは?
生産性とは、投じた資源に対してどれだけの利益を得られたのかを示す指標です。企業にとって投じる資源とは、資金、人材、時間などを指します。生産性は「利益÷投じた資源」で割り出されるため、得られる利益が大きく、かつ投じる資源が少ないほど生産性が高いといえるのです。生産性を向上させるということはつまり、より効率的に利益を得るということです。
生産性が向上すると企業は以下のようなメリットを得られます。
- 競争力を身につける
生産性が向上すると、効率的に利益を獲得できるためより短いスパンでの事業展開が可能になります。成長が早まるために他社の追随を許さないスピードで事業が拡大することも期待できるでしょう。
- ワークライフバランス改善
生産性向上により業務が効率化することで、従業員は残業時間が減り仕事とプライベートの時間をしっかり確保できます。公私ともに充実した生活を送られる環境が整うことで、従業員一人ひとりのモチベーションアップも見込めるのです。
- 経費削減
生産性には人材や資金、備品などさまざまな要素が関わっています。一つの業務にかける時間や費用を減らすことはすなわちコストの削減につながるのです。残業代や材料費などが減り企業が事業拡大のために使える資源が増えるといえます。
- 労働人口減少への対応
超少子高齢化社会である日本において、今後ますます労働人口は減少すると予想されます。そうした将来に訪れる人手不足を見据えて、より少ない人数で効率的に業務を進められるようにしておきましょう。そのために生産性向上に取り組む必要があるのです。
効率よく生産性を向上させる方法
生産性向上のための7つの方法を紹介します。
現状分析と課題の整理
生産性を向上させるためにはまず現状を知ることです。会社の中にあるすべての業務を可視化し、どの工程でどのくらいのリソースが割かれているかを明確にする必要があります。業務フローを明らかにする際は、重要ではないと思われるような細かい作業まで洗い出すと良いでしょう。その上で、現状の生産性はどの程度なのかを把握してください。
この時、会社経営陣や上長のみで業務の洗い出しを行うのではなく、現場に携わる従業員一人ひとりから現状や意見をヒアリングできると、より正確に現状把握と課題点の発見が可能になります。
生産性向上を妨げている課題やボトルネックとなっている問題は、表面化していなかったという場合もあります。細かく確認していくことで思いもよらぬ発見があるケースもあるのです。業務のムダや人的コストをかけすぎている点はないか確認しましょう。
業務のマニュアル化
業務のマニュアル化も生産性向上に役立ちます。企業にとってボトルネックになりやすいのは業務の属人化です。誰か一人しかその仕事を進められない、誰かがいなければそこで進捗が止まってしまうという状況は、生産性を低下させる一因です。誰もが対応できるように業務の標準化を図りましょう。
そのためには業務フローや注意点なども含めたマニュアルを作成すると効果的です。完全にマニュアル化が難しい業務もありますが、ルーティンワークや単純作業、業務の重要度が高くないものについてはマニュアル化することで効果的に業務が効率化するでしょう。
ITツールの導入
昨今はオンライン商談ツールや、自動計算式の会計ソフトなど、さまざまなITツールが展開されています。そうしたITツールを上手く活用し、企業の業務フローの中に組み込んでいけば業務の効率化が図れ、生産性向上につながります。
特に、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入は事務作業を格段に効率化するでしょう。事務的な単純作業の繰り返しにおいては、手動での作業だと人的ミスも発生しやすいもの。しかし、RPAの導入によってミスは限りなくゼロにできます。さらに、作業時間も早くなりますし、自動で作業を進めるためその分の労働力は別の業務に回すことができるのです。
多くのITツールがリリースされていますが、その種類や用途は多種多様。ツールの導入には時間的、金銭的、人的コストがかかるため、各企業は現状と課題に合わせたツールを慎重に検討する必要があるでしょう。
適切な人材配置
「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、人にはそれぞれ得意・不得意分野があり、得意分野における成長は不得意分野よりも速いものです。この点を踏まえた人材配置を行うこともまた、生産性向上に効果があります。
たとえば、単純作業は苦手だが人とのコミュニケーションは好きな従業員に、データ入力業務を任せた場合はどうでしょうか。黙々と進める業務はストレスになりモチベーションが低下し、業務効率は落ちることでしょう。逆に言えば、その従業員の強みを活かして営業を任せれば、期待以上の成果が上がるかもしれないのです。
従業員一人ひとりの強みと弱みを把握して適切な人材配置を実施しましょう。より強みを伸ばせる仕事を任せたり、弱みを克服できる部署に配属することで個々の能力が向上し、結果的に企業の生産性が向上します。それぞれの特性を理解するためには、上長や人事担当者との面談の機会を設けたりアンケートを実施したりする必要があります。
アウトソーシングを活用する
アウトソーシングとは、業務の一部を外部へ発注することです。英語で表記すると「Outsourcing」で、「外部」から人的資源を「調達」するという意味です。オンラインツールの発展も相まって、社内だけではなく社外の人材を活用した業務の進行が注目され始めました。コア業務ではなく、ノンコア業務を外注化することで従業員の負担の軽減や残業時間の削減につながるのです。さらに、外注化しても問題ない業務は外部へ任せることで従業員はより企業の利益に貢献するような業務に着手できるため、生産性はますます向上するでしょう。
業務を外部に委託することで余計なコストが発生すると思われる場合もありますが、従業員が浮いた時間をより重要な業務のために使えるほか、業務の引き継ぎの手間もなくなるため結果的にコスト削減が見込まれます。特に、経理業務など専門性の高い業務は専門の外部業者に任せることで業務の質の向上やスピードアップも図れます。
外部へ発注可能な業務なのか、外部へ発注した場合の費用対効果はどれほどかを意識しながら業務の効率化を検討すると良いでしょう。
社員のモチベーションを高め、スキルアップを図る
従業員が仕事に全力で取り組むためには、モチベーションのアップと維持は欠かせません。働きがいという点に着目して、従業員が意欲的に働ける環境づくりに努めることもまた生産性向上のために重要なのです。
たとえば、個々の生活リズムに合わせられるようにフレックス勤務を導入したり、通勤時間を減らしプライベートの時間を増やすためにテレワークを推進したりと、柔軟な働き方を選択できるようにすると良いでしょう。その他にも適切な人事評価制度を取り入れることで、仕事への意欲を刺激するのも効果的です。
仕事に意欲的になると、より知識や経験を身につけることに対しても積極的になります。そのため、従業員がスキルアップを目指せる環境を整えることも重要です。資格取得支援や研修制度を整備して、従業員がスキルアップできるようになると、より質の高い成果を効率的に生み出すことができるでしょう。
情報共有の仕組みづくり
企業の中で意外と時間を取られているのは情報共有です。生産性向上のためには情報共有のためのコストを削減する事が重要です。業務の変更点について、誰がどこまで把握しているのかを明らかにして、共有が不足している人に対しては改めて情報共有の時間を設けるなど、複数の人材が情報の共有のみに時間を費やしている現状は改善していく必要があるでしょう。
情報共有不足は、「従業員が現状を把握できていないために仕事が進められない」、「誰が何をしているか分からないために的確な指示出しができない」などの問題を生み出します。問題解決のためには情報共有が簡単にできるような仕組みづくりをすると良いでしょう。
たとえば、「ここを見ればすべて分かる」というナレッジベースを作成することです。部署内、チーム内の認識のズレを生まないようひと目で現状把握ができる場所を作りましょう。さらに、情報を一つにまとめておくことで、従業員同士で確認する時間がなくなり情報共有にかける時間の削減が期待できます。
この時、ホワイトボードに個々がまとめて記入するなどの抜け漏れが発生しやすい手法ではなく、ITツールを活用したオンラインサービスを活用するとより効果的だといえます。
まとめ
生産性向上のためには業務の効率化が必要不可欠です。これから競争が激化し、労働人口も減少する中で企業が生き残っていくためには、時間的、人的、金銭的コストをいかに削減して利益を生み出すかが重要です。
生産性を向上させる方法を検討して企業の現状に合わせて適切な施策を打ち、効率的に利益を得られるようになると良いでしょう。