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研修管理業務における脱Excel~第1回「Excelによる研修管理の課題」

多くの企業では、いまだにExcelを使った研修管理が行われていますが、管理が煩雑でミスも多く、多大な工数が使われる結果を招いています。このコラムでは、このようなExcelに依存した研修管理から脱却する方法について説明します。

第1回の今回は、Excelによる研修管理の課題を、人事担当者、マネージャ、一般社員それぞれの立場から解説します。

図:Excelファイルを使った研修管理を行っている場合

人事担当者(管理者)の課題

管理者としての人事担当者が最初に直面する課題はファイル管理です。

すべてのデータを1つのExcelファイルに入れることはできませんから、研修コース単位や部門単位に分割してファイルを管理しなければなりませんし、データのやり取りも、ファイルをメールに添付したり、ファイルサーバー上に置いたりするのは、とても煩雑です。

2つ目の課題は進捗管理です。

Excelによる研修管理では、研修受講のプロセスが進んでいる間、受講申請から受講後レポートにいたる進捗状況を把握する仕組みがありません。研修受講報告のない担当者に確認メールを個別に送るといった作業をするのはとても非効率です。

3つ目の課題は履歴管理です。

Excelによる研修管理では、研修コース単位で受講履歴を管理するのが一般的ですが、その場合、特定の社員に関する受講データは複数のファイルに分散されてしまいます。結果として、時系列で社員がどのような研修コースを受講してきたのかを知りたい場合には、複数のExcelファイルからデータを集めて時系列に並べる作業が発生してしまいます。

4つ目の課題は集計です。

複数のExcelファイルにまたがったデータをまとめて集計するためには、わざわざ別の集計用ファイルにまとめて計算する必要があり、部門別や月別といった異なる集計単位が必要になる都度、面倒な作業が発生してしまいます。

マネージャ(評価者)の課題

承認者としてのマネージャが直面する課題は、人事担当者とよく似ています。

マネージャは複数の部下からの研修受講願を承認しなければなりませんから、部下ごと・研修コースごとに受講が適正かどうかを判断するためのデータを必要とします。

しかし、受講管理がExcelで行われている場合は、部下が過去どのような研修を受講したのか、あるいは、同じ研修コースを受講した部下が他にいないのか等を確認することさえ難しくなります。

進捗管理についても、未決済の受講願の有無や、承認した研修を部下が本当に受講したのかを自分自身で管理しなければならず、その非効率さは人事担当者と同様です。

一般社員(被評価者)の課題

人事担当者やマネージャほどではないにせよ、受講する立場の一般社員についても、課題は発生します。受講申請や受講報告の過程において発生するメールやファイルのやり取りは、大変面倒で、申請ミスや報告忘れといった問題が起こります。

履歴管理についても同様です。自分自身が都度データを入力、保存し時系列にまとめておかない限り、過去の受講履歴がわからず、同じような研修コースを受講してしまったりします。

このように、Excelによる研修管理には多くの課題があり、人事担当者(管理者)、マネージャ(承認者)、一般社員(受講者)のそれぞれに多大な工数がかかり、遅延やミスが出やすく、データを活かした研修企画も実現できないということになります。

次回は、このような課題を解決するために必要となる「研修管理システムに求められる機能」について解説します。

連載記事

第2回「研修管理システムに求められる機能

第3回「タレントマネジメントシステム導入による研修管理の効率化と高度化

第4回「eラーニングシステム(LMS)との連携による研修管理の効率化と高度化