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良い組織とは?言葉の定義から良い組織を作る具体的方法を解説

「組織」という言葉は日常的に耳にする機会も多い言葉ですが、そもそも組織とは何でしょうか。言葉の意味を知ると、良い組織づくりに取り組めるようになります。

会社も一つの組織だといえますが、良い組織づくりが良い会社へと成長を促すのです。今回は言葉の定義から、より良い組織づくりに役立つ方法を紹介します。

組織の定義とは

広辞苑によると「組織」とは、「ある目的を達成するために、分化した役割を持つ個人や下位集団から構成される集団」と定義づけられています。つまり同じ目的達成に向けて集まった人たちを意味しており、それぞれが役割も持っているということです。

会社に当てはめてみれば、企業理念やビジョンの実現、あるいは会社の存続を目的として、経営者や営業、経理、人事、総務などといった役割を持った人が集まって、協力して仕事を進めることを指します。

また、「バーナードの定義」による組織の定義づけもよく知られています。チェスター・アーヴィング・バーナード(Chester Irving Barnard)は、アメリカ合衆国にある電話会社の社長を務めた人物で、著名な経営学者でもあります。バーナードは「組織」とは「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステム」であると提唱しました。これは、意図して集まった2人以上の人たちが集団とみなされるという意味です。

組織が成り立つ3要素

組織が成り立つためには3つの要素が必要です。

①共通目的

「共通目的」は「組織目的」とも呼ばれます。組織全体で共通して持つ認識やゴールのことを指しており、会社でいえば経営理念やビジョンなどが当てはまるでしょう。組織のメンバー全員が同じ方向を向いて仕事をすすめていくためには、ゴール地点を明確にする必要があります。どこに向かえば良いか分からない状態では、メンバー個人の考えが先行して、意図しない方向へ進んでしまう可能性があるのです。

共通目的の例として、「ITを活用して業務の効率化と情報共有を徹底して、一人に業務負担が偏らない環境を作りたい。そして、将来的には従業員一人ひとりが個人の裁量で仕事を調節して進められるような体制にすることで、プライベートも大切に長期休暇が取りやすい柔軟な組織を目指す」という思いを掲げたとします。

会社の将来像を共有することで、従業員は「大きな裁量を持ち自由な働き方をする」という方向へ向かって行動を選択し、従業員同士で協力して能動的な働きを見せるようになるでしょう。

共通目的を設定する際は、社会的、倫理的に常識的な範囲内の目的にします。なおかつ、会社として重要な利益追求のために、マーケットで有効に働くかどうかも意識しましょう。組織内外から支持される共通目的を掲げることが、会社の存続を後押しするのです。

②協働意思 

「協働意思」は「貢献意欲」とも称されます。組織が成り立つためには組織に属するメンバーの一人ひとりが、「この組織の役に立ちたい」という思いを持つことが大切です。役に立とうという貢献意欲を全員が持って協力して仕事を進めれば、さらに目的達成が近づくでしょう。

会社は多くの人が所属しており、一人ひとりに役割が与えられています。各個人のモチベーションや会社への貢献意欲に差があるほど、業務の進行にばらつきが出て組織としての結束力は弱くなってしまいます。そのため、協働意思を持つためには一人ひとりがモチベーションを維持できる環境づくりが重要なのです。

しかし、ただ共通目的を掲げただけではモチベーションの維持は難しい点は注意が必要です。モチベーションの維持と向上を図るには、従業員に対するリターンを用意すると良いでしょう。会社に貢献するほど大きなリターンが得られれば、従業員はリターン獲得のためにモチベーション高く業務に取り組めます。

リターンは「達成・承認・責任・昇進・仕事そのもの」などに分けられます。たとえば、「利益率が○%超えた分は賞与に反映する」として報酬で還元する場合があります。他にも、従業員一人ひとりが小さな達成目標を掲げ、目標達成という成功体験をさせることでモチベーションを維持することもできます。

③意思疎通

共通目的を持ち、協働意思のあるメンバーが揃っても、「意思疎通」ができていなければ組織としての存続は難しいでしょう。会社という組織の中には多くの人が在籍しており、チームや部署単位でリーダーの役割を担う人がいます。経営陣の考えとリーダーの認識がずれたり、リーダーとチームメンバーの認識がずれたりすれば、方向性の違いやミスが発生しやすくなり組織内はバラバラになってしまいます。正確な意思疎通は組織の存続において必要不可欠なのです。

組織の定義は「2人以上の同じ目的を持った集団」です。1人では組織として成り立たないため、人との意思疎通は必ず必要になります。コミュニケーションを取る中で、明確に意思が伝わるような仕組みや伝え方を工夫する必要があります。

会社全体での取り組みも重要ですが、日常的なコミュニケーションも重要です。たとえば、取引先との電話を終えた部下が浮かない顔をしていたら、「どうかしたか」と声をかけるだけでも、部下が相談しやすい雰囲気が生まれます。問題の早期発見、早期解決が期待できるため、日頃の会話も大切なのです。

良い組織とは

良い組織とは、どのような状態を指すのでしょうか。良い組織になるためには、いくつかの問題点をクリアする必要があります。

まず問題点として挙げられるのは、組織運営は想定通りに進められない場合がほとんどであるということです。組織構造として一般的なのは「機能別組織形態」という、意思決定を行う社長など経営陣の下に、開発部門・製造部門・販売部門など機能別かつ階層別にチームを分ける構造です。この構造はトップダウン方式になりやすく、重要な意思決定を行う場合には段階的にトップまでの承認を得る必要があります。機能別組織形態は、組織運営において意思の伝達が遅くスピード感に欠けるという問題を抱えているのです。

また、機能別組織に代わって取り入れられるようになった「マトリクス組織」もスピード感の面で課題が残ります。マトリクス組織とは、マトリクス図のように職能別、事業部別、プロジェクト別、地域別、製品別など複数の軸で構成され、1人の社員が複数のミッションに取り組む形態を指しています。どのような業務にも対応できるようになるため成果を上げる面では効果が期待される組織形態ですが、組織としてのスピード感においては意思決定の伝達がより複雑になってしまいます。

組織の問題点を乗り越えた時、「良い組織」だといえるでしょう。良い組織は以下の3パターンに分けられます。

  • 長く存続し続ける組織

会社は利益を出さなければ存続は難しい組織です。資金不足が続けば倒産という事態になりかねません。仮に倒産した場合、従業員を雇用し続けることも社会貢献も難しくなるため、組織は実質解散に追い込まれるでしょう。

長期間にわたって利益を生み出し、社会へ貢献できる企業は良い組織づくりができているといえます。

  • 社会的価値が高い組織

組織の役割は社会に貢献することです。社会へ価値提供を行って利益を得ているため、企業価値を高めることが良い組織づくりには欠かせません。

社内外から必要とされる存在であるほど、組織としての価値は高く存続しやすくなるのです。

  • 組織内の環境が良い組織

組織に属する一人ひとりが、高い貢献意欲を持ち、正確な意思疎通が取れている状態は、組織内の人にとってとても居心地よく感じられるはずです。少ないストレスで同じ目的に向かって努力できる環境ができれば、組織の活性化につながるでしょう。

組織内の雰囲気が悪ければ社外へ与える印象も悪化する可能性があります。円滑なコミュニケーションが取れていなければ、小さな認識のズレから大きなミスが誘引されることもあるので注意しましょう。

良い組織を作る方法

3つの方法を紹介します。

ビジョンや理念の共有

組織内の人数が増えるほどに、共通目的を認識してもらうことは難しくなります。会社に置いても例外ではなく、会社規模が大きくなればそれだけ多くの従業員に意思を伝える手間と時間が増えます。

良い組織を作るためには、会社が明確にビジョンや理念を社内に共有する必要があります。従業員一人ひとりが同じゴールを見据えて尽力するために、ビジョンや理念の周知を徹底しましょう。そうすれば、全社的な目的に向かって部署単位や個人単位での目標を定めやすくなり、方向性がブレずに済むのです。

つまり、会社の方針を定める時は、誰もがはっきりとイメージしやすく共感できる内容にすることが大切です。従業員がビジョンや理念を知って「力になりたい」と思えるかどうかを意識しましょう。

適切な人事評価制度

会社は従業員一人ひとりの働きによって成り立つため、従業員のモチベーション維持は重要な課題です。優秀な人材を外部へ流出させないためにも、適切な人事評価制度の導入を検討しましょう。

もし従業員が「正当な評価をされていない」と感じたら、モチベーションは下がり会社への協働意思はなくなってしまうでしょう。組織としての結束力に影響するため、公平で納得感の得られる人事評価制度かどうか見直すことが重要です。

教育制度の確立

良い組織の要素の一つは、社会的価値が高いことです。社会に貢献しながら長く存続する会社であるためには、従業員一人ひとりのスキルアップ、技術や知識の習得が必要になります。なぜなら、会社が存続するためには停滞せずに成長を続けることが重要だからです。従業員の成長なくして会社の成長は見込めないため、社内の教育制度の確立が良い組織づくりに役立つでしょう。

教育制度は単純にスキルアップのために行うだけでなく、企業風土を固める上でも重要な役目を担います。教育制度で、共通目的や協働意思、意思疎通を養う内容を含めると、より効果的です。

良い組織を作るには3つの要素が重要

組織は一人では形成されない集団であり、組織として成り立つためには「共通目的・協働意思・意思疎通」の3つの要素が重要であるとされています。会社を運営する場合、これらの要素は会社という組織が長く存続して成長を続けていくために必要不可欠であることを認識する必要があります。

良い組織であるためには、社外への貢献度や社内環境の快適さが関わってくるので、会社は社内体制の見直しや社会貢献度の高いビジョンや企業理念の策定が求められます。良い組織を作るために具体的な方法を実践しながら、社内外にとって価値の高い組織を目指しましょう。