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リスキリングとは?自社に導入するための方法やメリット・デメリット【2023年最新版】

リスキリングとは

時代の流れや人々の考え方の変化によって、一昔前と比較すると必要なスキルや能力についても大きく変わりました。

企業だけではなく、そこで働いている人々は新しいビジネスモデルや職種・業務に対応するには、リスキリングで新しい知識やスキルを身に付けることが求められています。

従来の教育方法では十分な知識やスキルを身に付けられなくて、なかなか業績向上につながらないケースも少なくありません。

本記事ではメリットや求められている理由に加えて、企業がどのようにして導入するべきかについて解説するので、気になる方は参考にしてみてください。

リスキリングとは

リスキリングは英語で「Riskiliing」と表現され、経済産業省では業務に必要になるスキルや能力について身に付けるのが目的とされています。

時代の流れと共に従来の方法では対応できない部分も多くなっているため、若手従業員からベテラン従業員まで幅広く学ばなければいけません。

さまざまな分野でリスキリングは必要になるといわれていますが、その中でもデジタル技術は著しい発展を遂げています。

デジタル技術は専門分野として取り扱っている企業だけではなく、他業種でも効率的に業務を進めていくためには積極的な導入が必要になる場面も少なくありません。

一般的には難しいスキルや能力を身に付けるのが目的と考えられていますが、実際にはリモートワークをするためなど基本的な部分も挙げられます。

企業によって求められている人材は異なっているのは当たり前といえ、それぞれの企業で従業員に適切なリスキングができる環境を整えるようにしましょう。

今、この言葉が注目されている理由とは

今、この言葉が注目されている理由はデジタル技術の発展が大きな割合を占めていますが、詳しい内容について確認していくと以下の4点が挙げられます。

  • DXの推進とDX人材の不足
  • AIの台頭による技術的失業
  • ダボス会議での言及
  • 政府が提供している助成金制度の充実

リスキリングを導入している企業数は近年一気に増えているのが現状であり、Googleでの検索数は2020年5月には1,500件以下でしたが、2021年2月には78万件と一年間で大きく増えました。

少子高齢化社会もリスキリングが注目されている背景として考えられ、従来のように特定の業務に専門的に対応できる人材ではなく、時代の流れに合わせられるような柔軟性が高い人材が求められています。

まだまだ重要性が高まっていくと予想されているため、企業単位での理解に加えて従業員一人ひとりもリスキリングについて把握するのが重要です。

DXの推進とDX人材の不足

日本企業だけでなく世界中でDX推進が進んでいることから、多くの企業でDX人材の不足が深刻化している傾向にあります。

少子高齢化社会によって単純に労働者数が減少しているだけでなく、DXのために必要になる専門的な知識やスキルを持っている人材が足りていません。

DX推進の内容によってはある程度の勉強をすれば対応できるようになるものもありますが、中にはかなり高いレベルで専門的な知識やスキルが求められるものまでさまざまです。

DX人材を企業内で確保するためには十分なスキルを持っている人材を新しく採用する方法、自社内でDX人材を育成する方法が挙げられます。

近年では新しく採用する方法よりも自社内で人材育成する方法が重要視されているため、リスキリングによって一人ひとりがDX人材として活躍できるようにしなければいけません。

また、これからも世界中でDX推進が加速度的に進むと予測されていることから、少しでも早く教育環境を整えるのが大切です。

AIの台頭による技術的失業

一昔前にはインターネット環境やAI技術が十分に整っていなかったので、多くの業務を人の手で直接おこなう必要がありました。

しかし、技術革新によってAI技術が著しく進歩したため、これまでは人の手でおこなっていた業務をAIに任せて自動化できます。

自動化を実現できるとそれまでにかかっていた人件費がかからなくなるだけでなく、業務上におけるヒューマンエラーの数も抑えられるでしょう。

人間にしかできない業務がAIの台頭によってどんどん減少していくため、これからは人間にしか対応できない業務の付加価値を高めることが求められています。

企業側は現在導入しているAIで自動化できる業務や将来的にAIに任せられる業務を見極めて、従業員一人ひとりが活躍できるようにリスキリングをしなければいけません。

また、どれくらいの期間で付加価値を提供できるだけのスキルや能力が身に付くかは、任せようとしている業務内容・一人ひとりの適性によって変動します。

ダボス会議での言及

日本は世界的に見てみるとまだまだリスキングへの対応が遅れているといえ、一方で欧米諸国は従業員が活躍できるように積極的に取り組んでいるといえるでしょう。

2020年に開催されたダボス会議(世界経済フォーラム年次大会)で詳しい内容について言及され、2030年までに世界中で10億人をリスキリングするとしました。

このように世界中で注目されているダボス会議での言及であったため、日本政府は各企業に対して経済産業省や厚生労働省などを中心に支援をしています。

しかし、それでも多くの企業では事業で重要な役割を担えるだけの人材育成に難航していることも多く、人材不足に危機感や不安を抱えているケースは少なくありません。

事業は国内だけで完結しているわけではなく、世界中の企業と協力しながら進めるので、時代の流れに合わせたスキルを持っている人材の育成は急務です。

政府が提供している助成金制度の充実

リスキリングは企業や従業員個人だけの問題ではなく、国全体で積極的に支援して進める必要があります。

単純にリスキリングをしようと企業で考えたとしても、どのようなスキルや能力をどのような方法で育成するかについて理解するのが大切です。

そのため、政府ではそれぞれの企業が積極的にリスキリングに取り組めるように助成金制度を充実させ、企業や従業員が安心してスキルアップを目指せるよう支援しています。

経済産業省・厚生労働省・文部科学省がリスキリング支援をおこなっていますが、内容次第では従業員個人で受けられるものもあるのが特徴です。

実際にどれくらいの助成金が支給されるか、助成金を受給するための条件はなにか?などはそれぞれで違い、活用を視野に入れて考えているなら助成金額や助成条件については確認しておきましょう。

似た言葉・考え方との違い

リスキリングは企業や従業員にとって大事になる考え方の1つですが、他にも似た言葉・考え方は数多く存在しています。

どの方法にもメリット・デメリットがあるのは当たり前といえる一方、企業や従業員の取り組み方次第ではリスキリングよりも大きな効果が期待できるかもしれません。

また、場合によってはそれぞれを組み合わせて取り組む方法もあるため、違いについては理解しておくのが大切です。

似た言葉・考え方として、以下の3つを紹介します。

  • リカレント教育
  • アンラーニング
  • OJT

それぞれの似た言葉・考え方とリスキリングの違いについても解説するので、どういった方法があるかについて参考にしてみてください。

リカレント教育

リカレントとは日本語で「反復」「循環」などの意味を持っており、リカレント教育は別名「循環教育」とも呼ばれています。

社会人として働いている中で必要になる新しい知識やスキルを身に付けるのが目的であるため、基本的に目指している部分はリスキリングと大きく変わりません。

ただし、リカレント教育では教育と労働を交互におこなうのが特徴として挙げられ、働きながら身に付けるのではなく、休職や長期休暇などを活用して労働から離れておこないます。

ある意味ではリカレント教育の方が専門的な知識やノウハウが学べる学校などにも通いやすく、それぞれが必要なタイミングでおこなわれる方法です。

学ぶ内容は仕事に通じる能力を身に付けるので「外国言語」「資格習得」「スキル獲得」など、一人ひとりが目的に合わせて選びます。

リスキリングとリカレント教育の大きな違いとしては、働きながらスキルなどを身に付けるのか・労働から離れてスキルなどを身に付けるのかです。

アンラーニング

アンラーニングでは習得してきたスキルや知識などを一度確認して、時代の流れや現在の業務に合わないもの・必要ないものを捨ててスキルや知識などを学び直します。

学習棄却とも呼ばれている学習方法であり、今まで学んだことを意識的に捨てるのが特徴です。

どうしても時代が進んでいく中で求められているスキルや、自分自身が対応している業務が変わっていくのは避けられません。

古い考え方などを持ったまま仕事を続けていると業務効率が向上しなかったり、上司や部下・同僚とのコミュニケーションが取れなかったりも考えられます。

毎日業務に取り組んでいる間に固まった考え方になっている可能性もあるため、一度アンラーニングをすると柔軟な発想を身に付けられるかもしれません。

近年では特定の業務について対応できるスキルや知識以外にも、幅広い業務に対応できる能力が求められています。

時代の変化への適応をする方法としても有効といえ、新しい環境に対応できるような人材が育つことに期待できるでしょう。

OJT

OJTは「手本を見せる」「解説・説明する」「実践させる」「フィードバック」の4つのサイクルを繰り返して、新人教育などで使われる方法の1つです。

教えるためには最初に担当トレーナーを決定する必要がありますが、担当トレーナーは指導する業務内容について理解している人物を選ばなければいけません。

実際の職場で実務を通して教育するのが基本的な考え方であり、最初は簡単な業務から取り組んで段階的に難しい業務に取り組むのが流れです。

実際の仕事を通して必要になる知識やスキルについて身に付けていくため、実践的な能力を身に付けられるのが大きなメリットといえます。

また、新人社員は職場において誰に相談すればいいかについて迷ってしまうケースも多いですが、わからない点は担当トレーナーに相談すればいい環境づくりも可能です。

一方で担当トレーナーと新人との相性や指導能力が効果に影響しているため、指導能力に優れている人材に担当してもらえるかどうかで最終的な効果には大きな違いが生まれます。

自社にリスキリングの制度を導入するメリット

リスキリングの重要性については理解できるけれど、実際に自社に導入しても効果があるかわからないと一歩目が踏み出せないケースは珍しくありません。

他にも従業員が昇進や転職を考えた際にもリスキリングは大きな役割を持っているため、場合によっては自分自身から積極的に取り組む可能性も考えられます。

自社にリスキリングの制度を導入するメリットとして、以下の4点が代表的です。

  • 変化する時代に対応できる
  • 人材不足の解消
  • DX化の推進と業務効率化
  • 社員のエンゲージメント向上につながる

制度を導入すると短期的にも効果がはっきりとわかるものもあれば、中長期的に視線で見て効果がわかるものもあります。

それぞれのメリットについて解説するので、これから制度を導入するか考えている方は参考にしてみてください。

変化する時代に対応できる

変化する時代に対応するためにもリスキリングは非常に有効な手段といえ、企業全体で幅広い業務に対応するためにも適切なタイミングで機会を作らなければいけません。

既に企業や個人で所有しているスキルや知識に固執してしまうと柔軟性が失われますが、リスキリングで新しいスキルや知識について身に付けながらビジネス機会を開拓します。

そもそも時代によって求められているスキルなどについて把握しなければ、取引から依頼された業務内容に対応できなくなる可能性も高いです。

また、業務内容によっては市場縮小するケースも十分に考えられるため、新たな分野や市場への進出も視野に入れて進めるようにしましょう。

事業の多角化や新規顧客の獲得はスムーズな事業経営にはリスキリングは大きな役割を持っており、企業や従業員個人の未来を見据えてどのような能力を身に付けるか判断します。

人材不足の解消

企業で雇用している人数が多くても一人ひとりが対応できる業務範囲が狭い場合、適材適所で人材配置ができなくて結果として人材不足につながってしまうケースも少なくありません。

他にも特定の業務を特定の人材しか対応できない属人化している状態は望ましくなく、対応している人材が退職した後には業務がスムーズに進まなくなります。

リスキリングでは中長期的な目線で会社が抱えている問題を解決する側面も持っているため、一人ひとりが対応できる業務範囲を広くするのは人材不足の解消にも効果的です。

考え方としては専門性が高い業務に対応できる人材を新しく雇用するとコストもかかりますが、既存の従業員にリスキリングで適応できる能力を身に付けると採用コストも抑えられます。

既存の従業員も重要な業務を任せられることでモチベーションアップにもつながり、企業全体の効率化も期待できるでしょう。

DX化の推進と業務効率化

日本だけではなく世界中でDX化が推進されていますが、企業内でDX化を進めるためにはDXに強い人材を育成するのも大切です。

どれだけシステム導入したとしても、使いこなせる人材が企業内必要になるでしょう。

多くの企業では同時に人材育成も視野に入れて考えますが、場合によっては先に導入だけして後から人材育成をしようとするケースも挙げられます。

システム導入にもかなりの費用がかかる点も考慮すれば、導入前に使いこなせる人材を抱えているかについて把握しておきましょう。

人の手でおこなっていた業務を自動化できると工数削減や社内生産性向上にも効果的であり、業務効率化は従業員負担を軽減しながら売り上げの向上にも期待できます。

業務効率化によって企業の競争力向上によって、属している市場において強い存在感を放つことが可能です。

社員のエンゲージメント向上につながる

社員のエンゲージメントとは従業員が会社に貢献しようと考える姿勢であるため、従業員一人ひとりが高いモチベーションを保つためにも重要です。

高めるためには企業が従業員に対してさまざまな施策を提供する必要が挙げられ、リスキリングも向上につながります。

企業と従業員がお互いに理解して業績向上のために工夫をおこなって、働きやすい環境を提供しながら社員は情熱を持って働けるように仕事へのやりがいも必要です。

従業員はリスキリングを企業が積極的に取り組んでいれば、スキルアップできる環境で仕事に対しての自信を深めながら自己成長を実感できます。

エンゲージメントが高くなれば高くなるほど生産性の向上、定着率向上にもつながるでしょう。

注意点としては従業員がどのような内容で意気を感じるかは違いますが、大切なのはリスキリングなどで従業員を大切にしているとつたえることです。

リスキリングを自社に導入する方法

リスキリングを自社に導入すると最終的には従業員一人ひとりが高い能力を身に付けられますが、導入するためには段階的に進めなければいけません。

注意点としてはすべての企業において同じように進めるのではなく、それぞれの企業がおこなっている事業の課題や成長戦略などに基づいて方向性を考える点です。

具体的な自社に導入するための流れとしては、以下のようになります。

  • 今必要とされているスキルの洗い出し・選定
  • 社内への浸透・動機づけ
  • 教育の実施
  • 業務への活用に向けた議論

リスキリングは常時に活用できると企業全体の生産性向上などにも貢献しますが、活用方法について間違えてしまうと大きな成果を上げるのが難しいです。

また、状況に合わせながら方向性を転換するなどの柔軟性も求められるため、一度決めたと頑固にならずに対応する能力も必要になります。

これから導入したいと考えている方がいれば、まずは参考にしてみてください。

1.今必要とされているスキルの洗い出し・選定

企業によって必要になる知識やスキルについては異なっているため、最初に今必要とされているスキルの洗い出し・選定をしなければいけません。

このスキルの洗い出し・選定については慎重におこなう必要があり、優先順位を決定して会社の業務内容や方針に合わせて考えます。

また、すべての従業員に同じスキルを身に付けさせるのではなく、一人ひとりの適性や考え方なども考慮して習得してもらえるスキルを選定するのが重要です。

例えばDX化を推進したいと考えている場合でも、所属している部署によって不足している人材の量や質は違います。

企業全体で抱えている問題に加えそれぞれの部署で抱えている問題についても洗い出して、どのようなスキルを身に付けて欲しいかについて明確にしましょう。

他にもリスキリングで身に付けたスキルは業務で使用できるように、併せて適切な人材配置についても計画します。

2.社内への浸透・動機づけ

従業員によってはリスキリングに消極的になるケースも考えられ、自分が専門的に取り扱っていない業務には携わりたくないと感じる方も多いです。

実際には上司や同僚から見てDX化の推進に適性があると思っていても、本人からすると適性がそこまでないと思っているケースもあります。

このようなネガティブになっている従業員に対して誠意を持って説明して、どうしてリスキリングで新しい知識やスキルを身に付けて欲しいか動機づけするのは大切です。

また、リスキリングは特定の社員に対しておこなうのではなく、全社員に対しておこなう可能性がある点から社内への浸透も継続的に進めます。

積極的に取り組んで自分の適性に合って能力を身に付けるメリットについても周知して、習得した後にはどのような業務を任せる予定かについても伝えておきましょう。

任される業務内容やメリットについて先に伝えておけば、リスキリングをおこなう従業員もモチベーションを保ちやすくなります。

3.教育の実施

教育の実施で従業員に新しい知識やスキルを身につけてもらいますが、注意点としては現在担当している業務も問題なく対応できるように配慮する点です。

実際に教育をするためには社内だけで取り組もうと考えるのではなく、社外リソースも適宜活用して進められるようにします。

企業内で専門的な知識やノウハウを持っている内容なら社内研修でも対応できる一方、DX化の推進などは社内にノウハウを持っていないケースが多く、外部サービスやコンサルティングの導入も必要です。

リスキリングには絶対にこの方法が正解!というものは存在していないため、従業員からの意見も聞き入れながら教育方法についても試行錯誤でおこないます。

座学によって基本的な知識を身に付けるのも重要ですが、それに伴って実際の業務課題にも取り組んで、少しずつ進めていくのが大切です。

4.業務への活用に向けた議論

業務への活用に向けた議論も企業内でおこなって、リスキリングによって身に付けた知識やスキルを発揮できる場所を従業員に提供します。

せっかく本来担当するべき業務に取り組みながらリスキリングをしても、発揮する場所を提供できないと従業員のモチベーションが下がる原因です。

リスキリングの効果を発揮できる環境づくりは企業の責任であり、新規事業のメンバーとして抜擢する・身に付けたスキルを発揮できるポジションを用意するなどが挙げられます。

業務への活用に向けた環境づくりが問題なく進められた場合、次からの従業員教育にも活かすことが可能です。

最終的な振り返りで課題があったと判断できたなら、教育プログラムの変更や研修を追加するなどの対策もしなければいけません。

自社に合ったプログラムの選定を行いましょう

リスキリングは業務に必要になる知識やスキルについて身に付けるのが目的であり、しっかりと導入できるとさまざまなメリットが企業にも従業員個人にも期待できます。

どうしても時代の流れとともに必要になる知識やスキルが変動しているため、古くから身に付けている能力だけを頼りにするのはおすすめできません。

時代の流れに対応しながら長く事業をおこなうためにも、リスキリングの具体的な内容や導入方法について理解するのが大切です。

世界中でDX化が推進されている点も視野に入れて、業務効率化を実現できるように人材育成に力を入れましょう。