【世界一わかりやすい】勤怠管理システムとは?目的別の選び方やメリットを徹底解説
昨今、「残業時間の深刻化による過労死の問題」や「残業手当の未払い」などといった業務での問題が増えています。これらはいずれも勤怠管理が疎かになった結果によるもので、より一層正確なマネジメントが求められるようになりました。本記事では、どうやって勤怠管理を行うのか、目的別の選び方、比較ポイントについて解説します。
勤怠管理システムとは
勤怠管理とは、「企業が適正に社員の労働時間を管理すること」を意味します。例えば出社・退社時間、遅刻や欠勤、有給取得状況などの情報を管理することです。これは労働基準法で定められている企業の義務の一つです。これをシステム上で管理できるのが勤怠管理システムです。勤怠管理はすべての企業に共通して対応できる手段はなく、業種や企業規模ごとに最も適した勤怠管理システムを導入する必要があります。よって自社にあった勤怠管理システムの見つけ方、コツを知る必要があります。
勤怠管理システムを導入する目的
ここでは『勤怠管理システム』を取り入れるその目的について解説します。
労務管理の強化
「労務管理」とは、勤怠・賃金・福利厚生など、従業員の労働に関する業務を法律や就業規則に基づきマネジメントすることです。経営要素である「ヒト」「モノ」「カネ」の中でも、最も重要な「ヒト」を活かすためのものと言えるでしょう。
従来のアナログな仕組みでは、遅刻や早退を誤魔化したり、別の人に打刻をしてもらったりと不正が蔓延していました。ですが『勤怠管理システム』を導入すれば、生体認証によってその人しか操作できなくする不正対策が行えるので、結果としてマネジメント強化につながるというわけです。
人事の業務効率化
勤務時間や残業時間の集計に始まり、代休・有休の申請や取得状況、残数の管理など人事・労務担当者の業務は煩雑です。中でも給与計算が最も人的コストも工数も必要となる高負荷の業務と言えるでしょう。
勤怠管理システムを別の給与計算システムと連携、あるいは両システム同梱の製品を取り入れれば、出退勤時刻の記録だけでなく、社員一人ひとりのための労働時間での給料が自動的に計算されるので、正確かつ効率的に事務作業ができコスト削減にもつながります。
勤怠管理システムって導入するべきなの?
働き方改革や頻繁に行われる法改正によって働くスタイルが多様化している傾向にあります。そのような状況下でも36協定尊守のためにリアルタイムで勤怠状況を確認する必要があり、従来のタイムカードや出勤簿といった手法では正確性に限界を感じてる企業も多いのではないでしょうか。
特に新型コロナウイルス感染流行とも重なり、企業によってはフレックスタイム制やテレワークを進めているところも増加傾向にあります。特に出社しないテレワークだと特に出社しないテレワークだと、勤怠管理が難しそうだと感じるかもしれませんが、クラウド型の『勤怠管理システム』を導入することで、スムーズに管理ができるようになります。スマホやPCで出社・退勤を登録したり、リモートでの承認などにも対応しています。
⇒テレワークの勤怠管理について詳しく知りたい方はこちら
導入に際しては費用もかかりますが、自社に適したシステムを導入することができればその費用以上の効果を実感できるでしょう。会社規模が大きければ大きくなるほど、システムによる勤怠管理の効果が大きくなると言えます。以下では勤怠管理システム導入の具体的なメリットについても解説しています。
勤怠管理システム導入によるメリット
勤怠管理システムを導入するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
不正な打刻を防止
従来の打刻方法として、タイムカードやエクセルでの手入力などがありました。しかしこれらの方法では、他の人が代わりに打刻できてしまうという問題点があります。また、遅刻を隠すために意図的に打刻をしない、時間をずらすといった事も起こりえます。
勤怠管理システムの中には、指紋認証や静脈認証など生体認証を搭載しているものもあり、本人以外による打刻を防止できます。また、GPS機能や打刻もれ通知機能も活用すれば、「いつ」「どこで」「誰が」打刻したのかを正確に記録する事ができます。
働きやすさの向上
多くの勤怠管理システムは、スマートフォンからのアクセスも可能になっており、外出先からの打刻や休暇申請も可能になっています。特に外回りの多い営業社員は打刻のためにわざわざ出社・帰社する必要もありません。業務により多くの時間を割く事ができ、よって働きやすさの向上、生産性の向上に繋がります。
法改正への対応
労働基準に関しての法改正は今まで幾度となく行われてきました。その度に新しい制度に対応した管理方法や基準に変更する必要があります。これは担当者にとってかなりの時間と労力が必要な作業です。
勤怠管理システムは法改正のたびに自動アップデートされるものがほとんどなので、企業側の更新作業の手間を省く事ができます。ただし、システムによってはアップデートが有料になる場合もあるので注意が必要です。
勤怠管理を怠ることによる主なトラブル
適切な勤怠管理ができていないと、様々なトラブルが発生してしまいます。
時間外労働に関する給与の不正受給や法令違反
冒頭でも解説したように、勤怠管理とは「企業が適正に社員の労働時間を管理すること」を目的としています。勤怠管理の中で得た勤怠情報を元に給与計算を行うため、残業時間の集計ミス、残業代の計算ミスが起こり、残業代の未払いが生じます。さらには出退勤時刻のごまかしや賃金の不正受給も起こってしまいます。また、時間外労働には時間上限が設定されており、超過すると罰則を受ける事になってしまうので注意しましょう。
⇒勤怠管理と給与計算について詳しく知りたい方はこちら
従業員の危険サインの見逃し
従業員の健康状態と従業員の勤怠状況は深い関係があります。会社側は従業員の休日出勤や時間が労働の状況を把握し、過重労働が行われてないか確認する必要があります。極端な過重労働は心身ともに大きなダメージを与えます。うつ病や過労死などの重大な労働災害を引き起こす可能性があるので、社員の心身の負担を察しておく必要があります。
⇒役員の勤怠管理について詳しく知りたい方はこちら
勤怠管理システム比較ポイント
自社にも『勤怠管理システム』を導入したいけど、どうやって選んだらいいのか分からないという方向けに、選び方のポイントをご紹介します。
勤怠管理システムの利用範囲
打刻する範囲は、特に確認したいポイントです。自社ではどのような勤務形態が多いのか、どの打刻範囲が適しているかを検討し、必要に応じて打刻範囲を選択してください。例えば、テレワークや運輸業・営業職など、社外での打刻が想定される場合は、モバイルデバイスなどを利用したGPS打刻による位置確認がおすすめです。
就業規則への対応
社内でテレワーク勤務やオフィス勤務など複数の働き方がある場合、『勤怠管理システム』が働き方ごとに合わせた管理・対応できるかが確かめる必要があります。月~金曜日の週5日勤務」や「シフト制(早朝・深夜対応)」、「時短制」といったようなさまざまな勤務形態が混在していても、部署毎、あるいは従業員毎に対応できる機能が搭載されているか確認しましょう。
業務効率化の対象範囲
業務の効率化を目指す上で、「勤怠管理だけにフォーカスするか」あるいは「他の部分まで広げるか」で、導入すべきシステムは異なります。自社ではそれぞれ独立化させるべきなのかよく検討し、より適切だと感じた方を選ぶと良いでしょう。例として、『勤怠管理』だけでなく、給与の計算や労務管理などの「人事系業務」も1つのシステムで担うことが可能なものもあります。
特定業界への対応状況
『勤怠管理システム』の中にはある特定の業種にフォーカスして開発された製品もあります。一般的なシステムだと扱いにくいといった不満がある場合には、そういったシステムを選びましょう。
失敗の少ない『勤怠管理システム』の選び方は、同業他社の導入実績の多い製品を選ぶことです。同業他社は、自社と同じような勤務形態・職種であることが多く、導入のモデルケースとなるためです。
勤怠管理の方法
『勤怠管理』は、使用者自らが主体となって確認することと、機器を用いて確認すること、社員の自己申告制による方法が、厚生労働省によって認められています。例を挙げると、機器を用いた方法には「タイムカード」を利用したものがあります。
タイムカード
紙の「タイムカード」と「打刻機」による方法で、出勤管理を行います。出勤簿などへの記入において手間が少なく、別々に打刻が可能なので、日々の管理における手間を取り除けるでしょう。機種によっては、月間の勤務時間を自動で算出するものもあります。注意点は、給与計算時には人の手で集計しなければならないという点と、場所が打刻機のある事業所に限定されることです。「タイムカード」は社員が毎日通う職場向きの方法といえるでしょう。
Excel表
Microsoftのエクセルによる『勤怠管理』では、社員の出退社時に、時間をエクセルシートに記入します。 エクセルの表計算機能で労働時間の集計もできるため、月末にまとまったデータの計算を急いで計算するようなことありません。Excel以外のものを準備する必要がなく、取り入れやすい上に、実質無料で利用できるのも利点と言えるでしょう。
⇒エクセルでの勤怠管理について詳しく知りたい方はこちら
出勤簿
従業員が紙に記載する方法とエクセル入力する方法があります。これも従来型では主要な『勤怠管理システム』です。利点は導入するのに、コストが必要ない点です。紙とペンができるので、その気になれば今日からでも始められます。
一方、出勤簿は各人が任意に記載をするので、場合によっては記入忘れが発生します。また、実際の出退勤とは違う時刻を記入することもできるので、不正が起こる可能性があるという点では「タイムカード」と同じデメリットを抱えています。
自社独自の管理システム
自社で独自に構築されたシステムを使用する方法です。会社にあったシステムを使用することで、就業規則や社内慣習に合わせた勤怠管理が可能になります。
その一方で、就業規則の変更や法改正が行われた際には自社でシステムを再構築しなければならないというデメリットもあります。また、システム構築に関わった社員が退職してしまい改修ができなくなってしまった、システム操作に変更が加わった結果業務効率が落ちてしまったなどの状況を防ぐために情報の共有が重要になってきます。
勤怠管理システム
多くの企業で使われているのが、専用の仕組みで管理できるこの方法です。ICカードや指紋認証を用いて社内への入退場時刻を記録するというもので、その情報がシステムと連携しているため、就業時間が自動的に算出されます。第三者の書き換えを防ぎ、そのまま給与計算もできる強みもあります。
『勤怠管理システム』は、インターネット経由で提供されたシステムを用いるクラウド型と、独自にシステムを構築して運用するオンプレミス型に大別することができます。企業規模や管理項目によって、どちらのタイプを使うか選びましょう。
勤怠管理システム導入タイプ
『勤怠管理システム』について、どういったタイプがあるのかご紹介します。
クラウドタイプ
近年注目されているクラウドタイプは、インターネットを通じた打刻を可能とする仕組みで、場所を問わずにマネジメントできるのがひとつの利点です。Excelに出退勤時間を手入力したり、タイムカードを利用するこれまでの方法だと、ミスが生じやすいという課題があります。クラウドタイプは、正確性と使いやすさを両立しているので、勤怠管理のミスの防止や、管理する担当者によって精度に差がでてしまう問題を解消できるでしょう。
オンプレミスタイプ
オンプレミス型とは、自社の業務に合わせた専用システムを開発して、構築する場合に採用される形式のことです。自社のネットワーク内で利用するため、社内ネットワークが整備されている中規模から大規模の企業に適しています。また、システムカスタマイズの柔軟性が高いため、自社で機能をカスタマイズしたい場合や、他のソフトウェアと連携させるといった対応も可能になります。
タイムレコーダータイプ
もっともシンプルなのが、このタイムレコーダー型です。紙のタイムカードの進化版といったような位置付けで、出退勤の記録のみができるものになります。記録したものはデータとして抽出することができます。打刻方法には「ICカード」、「指紋認証」、「静脈認証」などさまざまなバリデーションがあり、勤怠管理の精度としては高いものがそろっています。
自社の用件や目的にあった勤怠システムの選び方
選び方やシステムの種類について理解した上で、自社に必要となるような「目的別の選び方」についてご紹介します。
小・中堅規模の場合
小・中堅企業では、「広く扱われており、かつ実績も十分なタイプ」を4つご紹介します。ほとんどの企業で求められるような「豊富な打刻方法」、「雇用形態への幅広い対応」、「管理画面でカスタマイズ可能」といったような機能を取り揃えたものが多く、基本的には使い勝手に不満は感じないかと思います。
Touch On Time
市場シェアNo.1のクラウド勤怠管理システムである「タッチオンタイム」は、初期費用無料で、月額300円/人から使用できます。勤怠管理の業務改善だけでなく、勤怠の見える化やコストダウンも期待できるでしょう。サービス利用継続率は99.7%を誇るほどの使いやすさで、独自開発のタッチオンタイムレコーダーを使えば、PC不要という手軽さで打刻が可能になります。
ジョブカン勤怠管理
「ジョブカン」は業界No.1のクラウド型勤怠システムで、初期費用・サポート費用無料、月額200円/人から使用できます。出勤管理はもちろん、シフト管理や休暇・申請管理、スマホ操作、工数管理、集計などの機能を兼ね備えています。30日間の無料お試し期間があり、無料プランにも対応しています。
CLOUZA
リアルタイム管理や選べる打刻方法、アラート機能、年次有給休暇管理など、最低限必要となる機能が搭載された無駄のないサービスです。初期費用無料、月額200円/人から利用でき、30日間の無料お試し期間も用意されています。とにかくシンプルでわかりやすい操作に特化しており、少人数(1〜500名)の勤怠管理ならかなりお得に利用できるのが特徴です。
MINAGINE就業管理
使う人の立場で本当に必要な機能だけを、実際の使う場面を想定しながらバランスよく構成していったシステム」を売りにしたサービスです。労基署推奨フォーマットや豊富な打刻インターフェイス、シンプルなフローで管理が可能といったような機能が搭載されています。初期費用は無料で、基本料金は1〜30名なら月額30000円となっており、人数課金なら月額150名/人から使用できます。
大企業の場合
一方で、大企業でのカスタマイズ要件が多い場合におすすめのサービスをご紹介します。「多様なワークスタイルの推進」や「長労働時間の予防」、「有給休暇取得率の向上」などの要件にも対応しており、安心して利用できるものだけを集めました。
バイバイタイムカード
約120社、30万人(1社あたり平均2500名)に利用される「バイバイタイムカード」は、タイムカートやタイムレコーダー等を利用して行われている出退勤時刻の記録と、それらの集計を自動化するクラウド勤怠システムです。主な特徴として、「多種多様な打刻方法」「柔軟なカスタマイズ対応」「豊富な実績」があり、平均レスポンスタイム0.02秒というのがサクサク使えて便利な理由です。料金は月額300円/人で、別途初期費用はかかります。
WiMS勤怠/SaaS勤務管理システム
多様化する勤務形態に対応するクラウド型システムで、社会保険労務士を始めとする業務に精通したスペシャリストが。お客様個々の課題に対し、ベストプラクティスを提供します。出退勤時間の管理だけでなく、休暇や残業の申請、承認ワークフロー、シフト管理やプロジェクト工数管理等の豊富な機能を提供しており、テレワーク等でのご自宅のPCからも利用可能です。
勤怠管理以外にも社内業務を効率化させたい場合
『勤怠管理』以外で、社内の業務を効率化させる方法をご紹介します。
チームスピリット
1400社、31万人以上のお客様に利用されており、「圧倒的に使いやすいインターフェース」と謳っているサービスです。勤怠管理はもちろんのこと、工数管理、経費精算、電子稟議の一元管理が可能です。これまでバラバラに管理されることの多かった業務アプリケーションを高度に一元管理しているため、日々の事務作業を効率化させることができるでしょう。料金は月額600円/人から利用できます。
マネーフォワードクラウド勤怠
「働き方改革をサポートする勤怠管理システム」を謳っており、勤怠チェックや多様な雇用形態に対応、シフト管理、有給休暇管理、異動履歴管理、ワークフローなどに優れています。月の残業時間を超えていないか色別にアラートで表示されるので、一目でわかるのが非常に便利な機能です。料金は月額が基本料金+300円/人です。(基本料金は2980円〜)
kincone
「働きやすい」を実現するkinconeは月額200円の低コストで、勤怠と交通費の同時読み取りや多彩な打刻方法、アラート機能などの機能を持っています。利用ユーザー数はまだ少ないですが、コスパの良さが売りのサービスだと言えるでしょう。
業界・業種に見合ったサービスを選びたい場合
汎用性の高いサービスではないものの、特定の業界や業種にはピッタリというシステムもあります。
コレクトタイムナビ
「手のひら静脈認証式のシステム」が特徴のサービスで、情報を自動で読み取り、勤怠の記録も行ってくれます。出勤打刻と体温測定が同時にできるので、感染対策としても優秀です。料金はお問い合わせで、見積もってもらえます。
DigiSheet
7万人以上が利用する派遣会社向けの勤怠管理サービスです。変則勤務にも柔軟に対応し、スムーズに業務改善、コンプライアンスの順守、強力なバックアップ体制などの特徴があります。料金は月額390円(税抜)/人から利用できます。
かえる勤怠管理介護
介護施設・事業所のルーティンワークを変える勤怠管理システムです。初期費用は無料で、何人使っても追加料金なし、タイムレコーダー無料という特徴があります。主な機能は簡単打刻、データ管理、有給休暇管理、残業管理、介護用シフト、給与連携等です。
スマレジ・タイムカード
従業員の労務管理に対応したクラウド型サービスで、労働環境に合わせた勤怠管理用の設定を行えます。多様な打刻方法、スマホへの対応、不正防止機能、シフト外の臨時出勤に対応などの機能があります。料金はスタンダードで、従業員31名以上は110円/人です。
コロナ対策も合わせて行いたい場合
昨今の情勢に合わせたシステムを導入したい方はこちらをご覧ください。
Time-R
「シンプルでカンタンな勤怠管理システム」で、効率的な勤怠管理をする機能や、サーマルカメラ測温昨日で出勤登録と同時に検温を行うことも可能です。基準温度を超えていた場合はアラート表示され、マスク着用チェックや音声警告も行われます。料金は月額3000円(30名まで)から利用でき、初期費用は10000円です。
まとめ
『勤怠管理』は、社員の労働時間を正確に管理し、問題が起きないように対策するためには不可欠であるといっても過言ではありません。また会社の規模が大きくなるほどにその必要性は高まるので、自社にとって適切なシステムを選ぶようにしましょう。