生産性向上と業務効率化の違いはどこにある?効率化が必要な理由と対策を解説
近年働き方改革の推進により、業務効率化及び生産性向上に取り組む企業が増えています。実際、無駄を省いて効率を上げた会社は業績が伸びているのです。では効率化に向けたポイントは何でしょうか。今回は両者の違いや実現に向けた対策を徹底解説していきます。
業務効率化とは?
業務効率化とは仕事を行う上で発生する「ムダ・ムリ・ムラ」を限りなく減らし、満足のいくものに仕上げていく作業です。業務効率化が実現すれば、小さな労力で最大限の力を発揮できるでしょう。最終的には企業の業績アップへとつながっていきます。ムダとは業務において人や物を必要以上に投資する行為、ムリは一人あたりの能力や業務量が限界を超える現象です。最後のムラは仕事における完成度が均一でない状態。ムダ・ムリ・ムラの改善において、一つでも疎かにすると効率化の実現は見込めません。企業の問題点を洗い出すのは困難かもしれませんが、まずはどこに課題を抱えているかの現状分析をしてみると良いでしょう。解決するためのヒントが見つかるはずです。
⇒業務効率化について詳しく知りたい方はこちら
生産性向上とは?
生産性向上とは前述した業務効率化を実現させ、少ない資源でいかに大きな成果を生み出すかを具現化していくものです。生産性が向上できれば、人や物への投資額を下げつつ業績が上がっていくでしょう。生産性は次の計算式で表せます「生産性=成果額÷人や物への投資額」。例えば、Aカフェでは4人で20杯のコーヒーを淹れられ、Bカフェは5人で20杯のコーヒーを淹れられるとしましょう。Aカフェの生産性は5(20杯÷4人)、Bカフェは4(20杯÷5人)となり、Aカフェが生産性高く業務を行っていると分かります。今回は人や物への投資額の違いでしたが、成果額を上げる方法を取っても良いです。4人で40杯のコーヒーを淹れられると生産性は10となります。いずれにしても、生産性向上を狙うにはコストを下げると同時に一人当たりのパフォーマンスアップを目指していきましょう。
業務効率化と生産性向上の違いとは?
業務効率化と生産性向上の違いは目的と手段の違いです。あくまで最終目標は生産性向上が目的であり、業務効率化は達成するための手段と言えます。生産性を上げるには業務のムダ・ムリ・ムラを分析し、人・物・時間の無駄遣いを無くす必要があります。会社全体でよりスマートな仕事が実現できれば、投資額も自然と減っていくでしょう。さらに、人や物のスキルを向上させていくと、少ない資源で期待以上の成果が見込めます。このように、業務効率化が達成できると、生産性も向上していくのです。業務効率化と生産性向上は同じ意味で使われるケースが多いかもしれません。しかし、両者は目的と手段の違いがあり、業務効率化を実現した先に生産性向上が現実のものとなります。
業務効率化・生産性向上が必要な理由
業務効率を上げるべき理由は以下のとおりです。
労働人口の減少
業務効率化・生産性向上が必要な理由は労働人口の減少です。働く人が減ると、一人一人の労働力が求められます。実際、2021年12月に発表された総務省統計局「労働力調査(2021年11月分)」によると、日本の就業者数は6650万人。2020年11月同月と比べて57万人の減少であり、3か月連続減少の結果が出ています。背景として、労働環境の悪化や少子高齢化があるでしょう。政府より働き方改革の推進がされても、依然として就労環境が思わしくない職場が見受けられます。例えば、サービス残業を求められたり、仕事内容に見合った給料が支払われなかったり。いずれも労働者が不満を抱えながら業務に取り組んでいます。結果的に離職率が高くなってしまうのです。また、少子高齢化も労働人口減少の原因となっています。総務省統計局の調査では15~64歳人口は平成7年(8726万人)を最盛期に減少し、平成30年(7545万人)はピーク時より1181万人減少しています。結果、若い世代の働く人が減ってしまっているのです。労働者が減れば、必然的に一人一人のハイパフォーマンスが求められます。業務効率化・生産性向上が必要な背景には日本の労働人口減少が関係していると言えるでしょう。
グローバル競争への対応
日本はグローバル競争への対応が求められたため、業務効率化・生産性向上が必須となりました。世界の企業と戦うためには労働者の生産力アップが必要であり、少ない資源で高い価値を生み出さなければいけなくなったのです。実際、2021年12月に発表された日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2021」によると、日本の時間当たり労働生産性は49.5ドル(5,086円)で、OECD加盟38カ国中23位でした。1970年以降では最も低い順位であり、いかに日本人が非効率的に働いているかが分かります。背景にはIT化への遅れや長時間労働があるでしょう。現在の日本企業を見渡すと、請求書や見積書などの文書が未だに紙ベースで業務を行っています。押印や直筆作業は必然的に時間を費やすのは目に見えます。また、上司が遅くまで残っているがために、なかなか部下が帰宅しづらい場面もあるのが現状。無駄な労働となり、結果的に長時間労働へと発展してしまうのです。国際競争力を高めるためにも、まずは働く環境の見直しが必要と言えるでしょう。
業務効率化・生産性向上を実現するために
業務効率化に向けた対策は以下のとおりです。
全体像から考える
業務効率化・生産性向上を実現するためには全体像から考えるのがおすすめです。大枠から業務プランを組めば、効率的に仕事がまわります。代表的なのは時間配分。例えば退勤時間を18時と決め、ノー残業の計画を立てます。次は退勤時間から逆算していき、必ず行わなければいけない業務のみを入れ込んでいけば良いでしょう。優先順位付けが習慣化すると、無駄な作業は行わなくなります。意味のない雑談や生産性が低い会議・商談を回避できるはずです。結果的に仕事のスピードが上がり、こなせる業務量も増えていきます。業務効率化・生産性向上を考えるには、まず全体像から業務を見ていきましょう。
ITツールの有効活用
業務効率化・生産性向上を実現させる上で、ITツールの有効活用は必須です。ITツールは申請書や請求書などをデータ化したサービス。ITツールを導入すれば、無駄な業務や人件費を削減できます。一般的に生産性向上を果たしている企業はITツールを駆使し、効率化を実現させているのです。中でも最近の主流は「グループウェア」。前述の申請書や請求書はもちろん、スケジュール・ウェブメール・タイムカード・アンケートなどが一つのサービスで利用できます。今まで面倒だった各社員の予定確認や勤怠管理も、グループウェアを導入するだけで多くの悩みが解決可能です。社員同士のコミュニケーションを円滑にする利点もあるため、導入する価値は大いにあります。大掛かりなサーバー設置は不要で、気軽にクラウド利用できる点も評価されているポイント。ITツールを有効活用して業務効率化を図っていきましょう。
業務のアウトソーシング
業務効率化・生産性向上を実現するためには、仕事のアウトソーシングを行っていきましょう。業務委託が実現できれば、コスト削減や業務内容の見直しができます。具体的には人事・営業・経理・事務などの部門を対象に、専門家不在や人員不足解消の目的で実施すると良いです。自分達で行うよりも業務を高いレベルで仕上げてくれ、本来果たすべき仕事に集中できます。また、会社全体の業務内容を見直すキッカケにもなるでしょう。無駄な仕事や無理な人材配置を減らし、生産性向上が見込めます。業務効率化・生産性向上を図るにはアウトソーシングを上手く活用していきましょう。
まとめ
業務効率化と生産性向上の違いは目的と手段の違いです。ムダ・ムリ・ムラを限りなく減らし業務効率化が実現できれば、少ない資源で大きな成果を上げられます。結果、生産性向上につながっていくのです。効率化を図るためには仕事を全体像から考え、場合によってはITツールの活用や業務アウトソーシングを検討してみるのもおすすめです。まずは自社の問題点を洗い出し、業務効率化・生産性向上にむけて改善を行っていきましょう。