業務プロセスとは?改善する目的や実際の手順について解説
企業内の各チームで行われている作業を細分化すると、さまざまな項目が組み合わさっていることがわかります。その項目ごとの作業をあらためて確認すると、ブラックボックス化したものや、非効率に行っているものもあるでしょう。今回紹介する「業務プロセス」の改善は、それぞれの作業を1から見直し、生産性を高めるための重要な考え方です。
業務プロセスとは
作業の過程や流れのことを「業務プロセス」といい、その改善に向けた対策を行うことで企業としての生産性向上につながります。成果が思うように出ていない場合、作業過程でなにか問題が発生している可能性があります。そのポイントを発見するためには、一つひとつの作業を見直し、解決策をみつけることが重要です。
このような改善の類似として「BPR(Business Process Re-engineering)」があげられます。BPRは「企業戦略やそれぞれの業務を再度組み直すこと」を指し、今後もビジネスを進化させるためには必要不可欠な考え方といえるでしょう。つまり前者は「今ある問題を見つけて改善するための行動」、後者は「今の根本的な変化を促すための行動」と表現できます。この両者は類似している点こそありますが、方向性が異なることがわかります。
業務プロセスを改善する目的2つ!
業務プロセスの改善といっても、どんな目的で行うのかわからない人もいるのではないでしょうか。こちらでは以下の具体的な目的について説明します。
- 業績の向上
- 業務の標準化によるリスク管理
業務プロセスを改善し、効率化をあげることで業績アップ
作業の流れの改善にともない、効率性を高めて業績を伸ばすことが可能です。普段行われる内容をあらためて観察してみると、効率の悪い部分を発見することがあります。そのときに「いつも行っているから」「修正するのが手間だから」などの理由で改善を滞らせてしまうと、常に従業員の負担となる危険性があります。
改善すべきムダを排除しスムーズな作業に移行すれば、企業全体の生産性が高まり、新しい試みを行うための時間的余裕が生まれるでしょう。ビジネスを今以上に進化させるためには、効率的な作業が必要です。
業務プロセスを改善し、業務を標準化することでリスクマネジメントができる
作業の過程で起こりうる問題として、特定の従業員のスキルに依存した内容が生まれてしまうことです。その人がいないと回らない、あるいは機能しないようなチーム配置は、コンスタントに成果を生み出すのが困難となります。
また作業中にアクシデントが起こった場合にリスク管理を十分に行えず、損害を出してしまうこともあるでしょう。この問題が各チームでみられている場合、対策を迅速に行わないと今後企業としての成長を停滞させてしまいます。マニュアル化を徹底させたり、定期的な勉強会を設けたりして、誰でも同じ作業を行えるようにすることが大切です。
まとめると、業務プロセスの改善のおもな目的は、以下の2点です。
- 業績の向上
- 業務の標準化によるリスク管理
このように、どちらの目的も企業を存続させるためには欠かせない要素です。
業務プロセスを改善する4つの手順
実際に作業を改善しようとして闇雲に対策を立てても、思ったような成果が発生しない可能性があります。こちらでは具体的な手順について、以下の4つの流れに沿って説明します。
- 課題をまとめて問題点を発見する
- 改善後の期待値を予測する
- 中間目標と最終目標を立てる
- より詳細な施策に落とし込む
課題をまとめ、問題点を発見する
まずは今まで行っている作業内容を1から見直してみましょう。普段はなんとなく行っていた内容も、俯瞰して見てみると複数の問題点が浮き彫りになることも多いです。それらを列挙したうえで「どのようなアクションを行えば解決できるのか」について、具体的な対策を考えてみましょう。
また作業を単一のものとして考えるのではなく、それぞれの内容がつながっていることを前提にしてみましょう。そのつながりを視覚化すれば、新しい解決に辿り着くヒントにもなり得ます。
改善で得ることができる期待値を出す
今まで行っていた作業内容を見直し、浮き彫りになった問題点への解決策を出したら、その後の期待値を考えてみましょう。「問題点を解決したらどのような影響が出てくるのか」を予測しつつ、チーム配置やその比重などの詳細なプランを構築します。
このときに起きる失敗の1つとして「解決策を進めたいのに他の作業に追われてしまい、なかなかプランが進まない」ということがあげられます。もちろんコア作業を中心に行うべきですが、それでもプロセスの解決を第一に進めた方が結果的に効率は高くなるケースもあるでしょう。そのため現在の状況を考慮しつつ、少しずつプランを進めるための時間を作ることが大切です。目先のことだけではなく、長期的な視点を持って計画的に取り組みましょう。
KGIとKPIを設定する
次は「解決のためのゴールと達成のために実行する内容」について明確にします。おもに「KGI」と「KPI」の2つを詳細に設定します。KGI(Key Goal Indicator)とは最終的なゴールを意味した言葉であり、KPI(Key Performance Indicators)は中間ゴールという意味です。まずは作業の問題点を解決して、最終的にどのようにしたいのか、というゴールを決めましょう。
その後、最終ゴールにたどり着くためにはどのような課題をクリアすべきなのか、という中間目標を決定します。この2つを定めれば行うべきアクションが明確となり、プランの実行中に軌道がズレることが少なくなります。
具体的な施策に落とし込む
中間ゴール、最終ゴールを決めた後は、今後もコンスタントに解決していくために、具体的な施策に落とし込みましょう。たとえば「作業過程を見直し、効率を高めて成果をあげられるようにする」ためには、以下のような施策が考えられます。
- 紙媒体の使用から脱却する
- RPA(ロボット)の活用でノンコア作業を自動化させる
- 外注を利用して社内スタッフの負担軽減を図る
このように問題解決のために行うべき施策を詳細に考え、うまく落とし込むことが成功につながるでしょう。
またこの項目では、施策の実行後にどのような変化があったのかを分析するフェーズも含まれています。実行して満足するのではなく、その後の結果からブラッシュアップが必要か、あるいは施策変更が必要かを進めていきます。PDCAサイクルを止めずに、常に回していくことが企業の成長につながるでしょう。
まとめると、手順については以下のとおりです。
- 課題をまとめて問題点を発見する
- 改善後の期待値を予測する
- 中間目標と最終目標を立てる
- より詳細な施策に落とし込む
この他にも重要な点はいくつかありますが、まずはこの流れに沿って試してみましょう。
業務プロセスの改善で生産性を高める
あらゆる作業は「業務プロセス」をとおして成果が発生します。企業が望むような成果を生み出ていない場合、この過程で問題点が発生している可能性が高いです。日々のルーチンワークのような気持ちで作業を行っていると、改善すべきポイントを見逃してしまいます。仕事をさらに効率化し生産性を高めるために、今行っている内容をあらためて見直し、どこを改善できるのかを考えることが大切です。まずは今回紹介した手順を参考に、できる範囲からはじめてみましょう。