介護職における個人目標の立て方とは?ポイントや作成方法の解説
介護士の仕事では施設によっては個人目標管理シートを記入します。
ゴール設定やそれを達成するためのプラン、課題などを明確化したものが目標管理シートです。
手間に思われますが、介護士にとってもメリットである要素があります。
今回は介護士が個人目標を設定する必要性やポイントについて解説していきます。
介護職の個人目標が必要な理由
それぞれの職員の目標を設定することで、スキルの向上や仕事へのやりがいを持てます。
個人目標がないと一日の業務にメリハリがなく、流れ作業のようにこなしてしまいます。
その結果、職員の成長やモチベーションの維持につながりにくいです。
また施設によっては個人目標の評価によって賞与額を決める場合もあります。
目標を立てるメリット
個人目標を立てるとどのようなメリットがあるのかを説明します。
スキルアップ
目標を達成するにはどんなスキルが必要なのか、そのスキルをどうやって身につけるのかを具体的に把握が可能です。
スキルを手に入れるまでの道筋を計画的に進められるので、漠然とした業務を行うより効率良く仕事を進められます。
モチベーションの維持
決めた目標に近づくとモチベーションが下がらずに高い状態を保てます。
普段のルーティンで仕事を行うと、モチベーションが下がり自己成長につながりにくいです。
逆に難しい目標だとモチベーションを維持しにくいので、難易度設定には注意してください。
キャリアの具体的な設計
最初から数年後の長期的な計画を立てることは難しいですが、短期的な目標を積み重ねていくと少しずつ未来のビジョンが見えます。
具体的なキャリア設計をイメージできたら、それも考慮しながら目標を設定するのがおすすめです。
個人目標を設定する手順
どのように個人目標を設定すればいいのか、その手順について説明します。
課題点の明確化
達成すべき課題点が明確になるような内容にしましょう。
課題点がわかりにくいと、その目標がクリアできたのかわからないため、達成感が得られにくいです。
また目標を高く見積もってしまうと、日々の成長を感じにくくモチベーションが下がってしまう原因にもなります。
課題点はなるべく明確で達成可能なレベルに設定しましょう。
期限の設定
「1週間までにこの課題を終わらせる」
「1ヶ月後に〇〇に挑戦する」
あらかじめ期日を設定することで、より具体的な計画を立てた行動に移すことが可能です。
期限を設定しないと課題を先延ばしにしたり、モチベーションが下がって目標を達成できなかったりする危険性があります。
また課題達成による緊張感がなくなり、惰性で仕事に取り組むことにもつながります。
具体的な行動計画の設定
目標達成のための行動計画は具体的であることが望ましいです。
計画を具体的にするためには数字を使うとわかりやすいです。
「休憩中に10分勉強をする」
「毎日利用者さんと5分以上話す」
このように数字だと明確なので、具体的な計画に困ったら数字を活用してみましょう。
⇒目標管理シートについて詳しく知りたい方はこちら
具体的な個人目標を立てる際のポイント
個人目標は人によってそれぞれですが、具体的に立てるときに大切なポイントについて説明します。
理想
介護士としての自分の理想像を個人目標にすることです。
職員の先輩が自分にとって理想の介護士だと思う方もいるでしょう。
その場合は先輩がどのように行動しているのか、どんな風に利用者さんと接しているのかをよく観察してみましょう。
仲が良ければその先輩にアドバイスをもらうことで、どんなことを心掛けているのかを教わることもできます。
他の職員の経験を参考にすればより理想の自分に近づきます。
行動
個人目標が理想の自分に近づくことではなく、スキルを身につけたいという方もいると思います。
それも立派な目標ですが、どんなスキルを獲得したいのかを明確にしなければいけません。
そのためにはどんな行動をすればいいのかも考える必要があります。
「このようなスキルを身につけたいので、この勉強をする」といった行動目標を決めれば自分の道筋がハッキリと見えてきます。
資格
資格の獲得を目標にすることもあります。
介護士はその先のキャリアアップとして資格に挑戦することも多いです。
ケアマネジャーや福祉用具専門相談員など、さまざまな資格につながる職種でもあります。
自分にとって最終的にどの資格を取りたいのかを決めて、計画を進めていきます。
複数の資格に目移りしてしまうと目標がブレてしまうので、まずは1つの資格にフォーカスして計画を立ててみましょう。
個人目標の例
実際にどのように個人目標を決めるのかを説明します。
資格取得
例えばケアマネジャーの資格を取りたい場合は以下のようにプランを立てます。
・実務経験が浅い場合は受験資格を得るまでは業務に従事して知識を蓄えておく
・施設内でケアマネジャーを受ける人がいれば勉強会を開催し、情報共有を行う
・介護支援専門員実務研修受講試験のために1日1時間過去問題集を解く
このように目標の段階によって試験の対策を変えていくことが大切です。
コミュニケーション
コミュニケーション能力はどの仕事でも大切ですが、利用者さんと接する機会の多い介護士はより重要になるでしょう。
・研修に参加してコミュニケーションの技術について学習する
・先輩のコミュニケーションの仕方を観察する。
・実際に学んだことを利用者さん・職員に実践する。
コミュニケーションは誰かがいて成り立つものなので、1人だけの努力ではうまくいきません。
誰かを参考にしたり、実際に会話を試したりして勉強をする必要があります。
後輩社員の育成
経験年数が上がると後輩も増えるため、育成もする必要があります。
教育に対しての悩みを持っている方も多いでしょう。
・技術面や精神面で足りていない部分を指摘し、改善点を伝える
・相談を通して本人の気持ちや疑問点について話し合う機会を設ける
・口頭でのアドバイスでは不十分な場合は実技を交えて指導をする。
このように後輩の育成は今まで学んできたことをアウトプットする機会にもなるので、自分の成長にもつながります。
キャリア別個人目標管理シートの作成方法
新人や経験者によっても目標は変わります。
こちらでは経験年数別に分かれて説明します。
新人介護職員(経験1年~3年)
新人の時期はまず業務を把握することが最優先です。
また先輩をモデルにすると、理想の介護士像を想像のヒントになります。
業務の他にも自分の理想像も取り入れながら目標を決めていきましょう。
例文
・基本的な介護技術を身につけて利用者さんとのコミュニケーションも積極的に行う
・利用者さんに寄り添って笑顔にしてあげられるような介護士になる
中堅介護職員(経験3年~9年)
職場の中では中堅の立ち位置となり、ある程度の業務は1人でこなせるようになります。
そのためマネジメントスキルや資格の獲得も視野に入れておくとよいでしょう。
この時期では少しずつ将来についても考える方が多いです。
例文
・業務や技術について新人に教育できるようになる
・介護福祉士を獲得するために勉強をはじめる
ベテラン介護職員(経験10年以上)
経験年数が10年以上だと管理職としての立場になることが多く、現場以外の業務が主です。
職員の指導だけでなく、他職種とのやりとりや施設全体の会議なども増えます。
自分に対して考える時間が少なくなりますが、それでも何を目標にするのかは忘れずに意識して設定しましょう。
例文
・教育リーダーとして後輩の育成を中心に行う立場を目指す
・職員が自分らしく働けるような環境作りを目指す
目標設定時の注意点
共通して注意するべき点について説明します。
現実的でない目標の設定
現実的なレベルではない目標の設定は控えるようにしましょう。
設定した難易度が高すぎると、目標に近づいている実感が持てずモチベーションが維持できません。
高い目標を立てることは悪いことではありませんが、現在の自分の状況を考慮した上で現実的なレベルの範囲で設定するように心がけましょう。
企業からの一方的な押しつけ
自分で決めたものではなく、企業から一方的に押し付けられたような目標で取り組むことはおすすめできません。
他者から言われて従うことはどうしても「やらされている感」が強くなってしまいます。
企業と自分の目標にズレがある場合は、お互い慎重に話し合う必要があるでしょう。
まとめ
自分の現状を理解して成長につなげることだけではなく、キャリアアップをするためには個人目標を立てることが大切です。
個人的に作成して今の状況を把握してみるのもいいかもしれません。
ぜひ自分の理想像を意識しながら仕事に取り組んでみましょう。