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ESGとSDGsの違いを徹底解説!

最近、社会では「SDGs」という単語をよく聞くようになりました。

詳しく知らない人でも、なんとなく「地球にやさしい未来を目指す」ことなのかなというイメージを持っていると思います。

しかし、ビジネス界では、「SDGs」という単語だけでなく「ESG」という単語も目にすることが出来ます。

今回は、この「ESG」という単語について「SDGs」と絡めてご紹介していきます。

SDGsが注目されている理由

近年なぜSDGsが注目されるようになったのでしょうか。2つの理由を紹介します。

ビジネス面での利点

SDGsとは世界全体で語彙された価値観だと言えます。そして、2015年にニューヨーク・国連本部で開催された国連サミットで採択されたのち、より一般社会に浸透しました。

SDGsに取り組むことで、企業価値や市場開拓にもつながる可能性は大いにあります。よって従来は顧客のニーズに合わせて商品を提供していた企業も、社会問題に対してビジネスを行うようになりました。これによる事業の差別化や社会貢献により多くの投資家を引きつけています。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの流行は私たちの生活を大きく変化させました。多くの企業でテレワーク化を強いられたり、一人一人がより健康に配慮するきっかけとなりました。

例えばSDGs8番の「働きがいも経済成長も」はテレワークの実施、継続による勤務形の多様化に繋がっています。テレワークが推進され、自分の生活様式にあった働き方を選択でき、従業員のやりがいに繋がります。

また、3番の「すべての人に健康と福祉を」は感染防止対策の強化に繋がります。希望する方全員へのワクチン接種や病床の確保など、人々の健康を守る際の指標となります。

ESG SDGsの違い

「SDGs」と「ESG」のどちらも地球にやさしい未来に関わる単語になるのですが、「ESG」は主にビジネス界で使われる単語になります。これはそれぞれの単語が意味するところの違いが理由になります。

では、それぞれの単語が何を意味するのか、見ていきましょう。

ESGの定義

[ESG]とはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を取った単語になり、「経営や成長において、環境・社会・ガバナンスの3つの観点での配慮が必要である」という企業が持つべき考え方になります。

SDGsの定義

一方でSDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称になります。こちらは「ESG」が考え方である一方で、持続可能な開発目標になります。

ここまでで、「ESG」と「SDGs」の違い、「ESG」は目標ではなく企業が持つべき考え方であると分かっていただけたと思います。

しかし、「ESG」は元々は企業ではなく投資家に向けたものでした。

では、どのようにして企業に対する考え方へと変わっていったのか紹介していこうと思います。

ESGは投資家に向けての言葉

「ESG」は、実は「SDGs」より早い時期に出来た単語で、2006年に国連の事務総長だったコフィ・アナン氏が投資家に呼び掛けた際に生まれた単語で、「人類が地球と共存の道を図ろうとしている中で、環境・社会問題への投資も行われなければならない」というメッセージとして発信されました。

ESGは企業を評価する指標になった

投資家へのメッセージであった「ESG」が企業を評価する指標となったきっかけは、リーマンショックでの短期的な利益追求をする方法に対する反省とも考えられていますが、少なくとも「ESG」に賛同する投資家が増加したことで、企業も投資家からの支援を得るために「ESG」を尊重する経営戦略へと舵を切ったことは確かです。

結果として、「ESG」は現在企業に対する評価基準として大きな役割を示すようになっています。

SDGsとESGの関係

SDGsとは国連が採択した目標であり、企業や個人を担い手として位置づけしています。そのため、多くの企業がSDGsを事業目標として掲げています。主に「気候変動」や「資源の保全」、「男女の不平等」といった課題解決に取り組むことによって投資家からのESGの評価向上を図ることができるでしょう。投資家からより高い評価を得ることができれば、企業のビジネスチャンスの拡大にも繋がるでしょう。

SDGsに取り組む企業事例

以上のように、ビジネス界では「SDGs」だけではなく、SDGsにつながる企業理念として「ESG」が注目されていますが、実際にはどんな取り組みがなされているのか少しだけ紹介したいと思います。

・カルビー

商品サイズの変更による温室効果ガス排出量の削減やバイオマスインキの使用による地球環境への配慮

・日立

再生可能エネルギーに関わる技術研究によるSDGsへの寄与

・SHARP

工場の生産性向上やエネルギーコストの削減による温室効果ガス排出量の削減

ESGの観点から考える経営戦略

ここではESGの観点からどのように経営戦略を練れば良いのかを解説していきます。

環境への配慮

ESGの「E」は「Environment」、つまり「環境」を意味しています。つまり、企業は環境に配慮した戦略を考えていく必要があります。例えば、環境に優しい素材を使った製品開発などです。また太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを利用した製品開発なども有効な手法の1つでしょう。

職場環境の整備

ESGの「S」は「Society」、つまり「社会」を意味しています。つまり、企業における多様性やワークライフバランスの実現のことです。

多様性においては、ジェンダーや国籍に関係なく従業員一人一人が個性を活かしながら業務をこなすことのできる環境整備が求められるでしょう。ワークライフバランスの実現に関しては、業務効率化をはじめとした職場環境の改善を行うことで残業時間の短縮や有給休暇取得率の向上に務めていきましょう。

リスク管理、法令遵守の徹底

ESGの「G」は「Governance」、「ガバナンス」を意味しています。これは企業が透明性を持って活動する上で必要な項目であり、内部統制の強化が求められます。具体的には、予め想定されるリスクを把握しておき、それに対しての対策を講じておく必要があります。これには社員個人のガバナンス意識の向上が欠かせません。そのためには定期的にコンプライアンスについて教育・研修を行うことも有効な手段と言えるでしょう。

「SDGs」や「ESG」に積極的に取り組もう

特に「ESG」は聞きなれない単語で、今回の説明でさらに興味を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな方は、様々な企業が投資家へ向けて自社の「SDGs」や「ESG」に関わる取り組みを発信しているので、調べたり周りの人とディスカッションしてみるのもおすすめです。