グローバル人事制度とは?日本企業のグローバル化の課題と対策も解説!
グローバル化が話題になる昨今、グローバル人材の育成・採用を推進する企業が多くあります。しかしグローバル人材の獲得のために何が必要なのかがはっきりせず、頭を悩ませる人事担当者が多いのも事実。
これからの企業に必要とされるグローバル人事制度について、導入までの課題とその対策を解説します。
グローバル人事とは
グローバル人事とは、企業が日本のみならず世界で活動するために導入する人事戦略を意味します。
文部科学省は「グローバル人材育成推進事業」を立ち上げており、グローバル人材の育成を図るための大学教育支援を開始し、平成24年度に計42校が採択されています。
グローバル人事により、各企業は世界でビジネスを展開できるようになるのです。
グローバル人事が必要な理由
なぜ日本企業にはグローバル人事制度の導入が必要だとされるのでしょうか?
3つの理由とともに解説しましょう。企業に新たな試みが求められる背景を理解して、より効果的な人事戦略を立てると良いでしょう。
事業の海外展開
グローバル人事により育成・採用されたグローバル人材は、海外と日本を繋ぐ重要な役割を担うでしょう。自社の事業を海外で展開する際に、海外企業との連絡や各種管理ができます。
国内外の幅広い情報の入手
多くのグローバル人材は得意とする語学を活用して、リサーチ業務を任せられます。日本国外の最新情報をいち早く入手することで、日本国内において新しいサービス展開の先駆けとなれるのです。
国内マーケットの縮小
日本は超少子高齢化社会であり回復の兆しがないことから、国内マーケットの縮小が予想されます。国内ではなく海外へと事業を展開することでマーケット規模は拡大し、企業もより発展が期待できるでしょう。
グローバル人事に必要なスキルとは?
実際に何が求められているのだろうかと疑問に思う人もいるかもしれません。
ここで、グローバル人事にとって必要な3つのスキルを紹介します。
外国語によるビジネスコミュニケーション
外国語を習得していることは円滑なコミュニケーションを図る上で非常に重要なスキルだといえます。母国語に加え、英語を始めとする多言語を操るグローバル人材を採用することが必要です。
もちろん、社内でそうした人材を育てる姿勢も欠かせません。社員が世界に目を向けて業務を遂行できるような環境を整えていきましょう。
日本や各国の文化・歴史に関する知識
意外と重要なスキルは、各国の文化・歴史に関する知識です。グローバル人事制度を導入することはすなわち、多様な文化や考え方を受け入れることなのです。各々の価値観の違いを排除するのではなく受容する姿勢は、社内のみならず各国のニーズや文化に合わせ事業をカスタマイズする際にも有益に働きます。
さらに、日本という国への理解を深めることも重要です。なぜなら、グローバル化が進むほどに日本の文化や歴史について聞かれる場面も多くなるからです。
人事に対する見識や能力
グローバルに事業を捉え、今後の展望に合わせた人事制度を導入し実践するためには、人事に対する見識や能力が求められます。経験から得た知見はもちろん財産となりますが、グローバル人事に対する学びを深める機会を増やすとより良いでしょう。
ビジネススクールなどでグローバル人事に関する育成プログラムが提供されています。こうしたスクールを活用して、見識を深めグローバル人事の能力を身につけることが重要です。
グローバル人事制度導入への課題
グローバル人事制度の導入は一朝一夕では難しいといえます。
実際に導入するまでには、どんな課題があるのでしょうか?3つの課題を取り上げて説明していきます。会社の現状も含めながら人事戦略を立てる姿勢が重要です。
会社とマッチしたグローバル人材の判断
何よりも会社とマッチしたグローバル人材をいかに判断し採用するかが大きな課題です。企業理念や事業展望に合わせた人事を行うためには、自社の現時点での課題を洗い出した上で採用活動に臨む必要があります。
グローバル人材を配置する拠点が日本であれ海外であれ、共通の評価制度を用いて会社とマッチした人材かどうかを正確に判断しましょう。
企業自体が柔軟に対応する姿勢
グローバル人事制度を導入するということは、日本国内ではなく世界に向けて事業を展開・サービス提供することです。
つまり、これまでの企業のやり方や考え方を変える必要があるのです。企業全体が柔軟に変化し、対応する姿勢が求められます。
外国人採用に対する理解
グローバル人事制度により外国人採用の機会が増えるでしょう。外国人採用における注意点を押さえ、相互のコミュニケーションを円滑にする必要があります。
まず知っておくべきは日本人の指示は他国と比べ曖昧であるという点です。せっかく採用した優秀な外国人が混乱に陥らないよう、事前にコミュニケーションに関する注意喚起や研修を実施すると良いでしょう。
グローバル人事実現のために
その会社にとって本当に必要な人事制度を実現するために、効果的な策はあるのでしょうか?
ここでは、人事戦略として取れる3つの対策を紹介します。
会社にとっての現状と課題と照らし合わせながら、策を講じると良いでしょう。
目標達成のために必要な「グローバル人材像」の明確化
グローバル人材というと語学力に長けている印象を持つ場合が多いですが、実際に語学力だけを基準に採用することはおすすめできません。会社の目標を達成するために必要な「グローバル人材像」を明確化することが重要です。
海外で事業展開するためには語学力・マネジメント力・コミュニケーション力など、求められる能力は多岐にわたります。会社や事業によっても変わるため、必要なグローバル人材像を明らかにすると会社の目標達成も早くなるでしょう。
グローバル人材育成は時間がかかるが可能
グローバル人事の範囲は採用だけではありません。社内の人材を育成もまた有効です。スキルや価値観は身につけられるものです。
育成にかかる費用や時間を考慮する必要がありますが、既に会社の理念や目標を理解している社員のスキルを伸ばす方針を持つと、より確実にグローバル人材を確保できるのです。
会社でも語学研修を取り入れたり、各種能力を伸ばす教育プログラムを導入するなどの人事戦略が求められます。
人事戦略の見直しと再構築
グローバル人事において、綿密な計画は欠かせません。短期的、中長期的な目標を掲げ、未来を見据えた人事配置をするためには、人事としての使命・役割を再認識する必要があるでしょう。
いつまでにどの事業をどのように展開するのかを理解し、その実現が可能な人事戦略を打ち出しましょう。会社の目指す姿の明確化が、迅速かつ有効な人事戦略につながります。
また、海外に配置したグローバル人材の帰国後のキャリアがイメージできるように、人材を活かす仕組みを整える必要もあるでしょう。
まとめ
グローバル人事制度の導入は、課題に対する適切な対策を打ち出し国際競争の中で生き残るために重要です。グローバル人事の担当者が自身の役割を認識した上で、柔軟な姿勢と広い視野を持つようにすると良いでしょう。