HRテックとは?人事が知っておくべき活用領域とメリットを紹介!
近年、人手不足の中、企業の業務効率化や生産性の向上が課題となり、さまざまな対策が求められています。その中で、IT技術を駆使して採用や人事配置、労務管理などの人事業務を効率化を行うHRテックが注目を集めています。ここでは、HRテックとは何かということから、導入の背景やメリット、導入手順、近年のトレンドまでを解説します。
HRテックとは
HRテックとは、人事「Human Resources」とITテクノロジー「Technology」を掛け合わせた言葉になります。近年では、テクノロジーを使用して採用・労務管理のみならず、適切な人材配置やスキル評価、面接、退職予測など人事業務全般を効率的に管理できるツールとして注目を集めています。
HRテックに用いられる技術
HRテックにはAIやビッグデータなど様々なIT技術が活用されています。ここでは、代表的なIT技術について何点か説明します。
人工知能(AI)
AIはビッグデータの解析に使用される技術として使用されます。客観的なデータから判断するため、成果が見込めるような適材適所の人材配置につなげることができます。また、退職予測もAIによって判断でき、人材流失を防ぐことにもつながります。
ビッグデータ
AIが分析や予測をするためには、根拠となるデータが大量で、かつ多様であるほど、精度を高めることができます。人材配置の分析をする上では、高い成果の従業員のスキルや特徴、経験など、退職予測においては、過去の退職理由、営業成績の傾向、アンケート調査などのデータがビッグデータになります。
クラウド
クラウドシステム、または、SaaSと言われるもので、インターネットに接続して使用できるシステムのことです。自社にサーバーを設置する必要がないため、場所やコストの負担が少なくなります。HRテックはクラウドサービスが主流になりつつあります。
モバイル
ノートパソコンやスマートフォンなど持ち歩くことを前提としたエンターネットが使用できる端末のことです。現在では、スマホなどを利用したシフト調整サービスや、勤怠管理システムを使用する割合が増え、利便性が高まっています。
SNS
ソーシャルネットワーキングサービスと言います。インターネットにおいて交流を行うサービスになります。HRテックにおいては、社内向けのチャットアプリなどの会社内のコミュニケーションを促進するサービスが開発されています。
HRテックの市場規模
HRテックが初めて導入されたアメリカ市場では2012年から2016年の世界シェアは62%と需要があります。ミック経済研究所の調査によると、2019年度のHRテックの国内市場規模は349億円となり、前年より136%の成長率を記録しています。さらに近年の情勢による働き方の変化によるテレワークの普及などによって今後さらに市場規模は拡大すると考えられます。
HRテックの導入が進む背景
HRテックの従業が急速的に高まっていった理由として以下のものがあげられます。
人手不足による人材獲得競争の激化
日本においては人口減少による労働人数の減少などにより、人手不足が深刻化しています。そのため、優秀な人材は特に獲得競争が激化していきます。HRテックを活用することによって、労務管理などの人事業務の負担を減らすことができ、業務効率化を図ることができます。
働き方の多様化
時短勤務やテレワークなど多様な働き方が増えており、それにあった労務管理が必要となります。評価に関しても、以前より、客観的で正当に評価できる制度が必要になります。HRテックを活用することによって、働き方の変化に柔軟に対応した人事管理が可能となります。
クラウドサービスの普及
自社にサーバーを設置するオンプレミス型とは違い、クラウドサービスを利用することで、コストを抑えられ、人事システムを気軽に利用することができます。開発や保守運用を行うエンジニアを確保する必要がなくなるため、HRテックは導入しやすいものになりました。
HRテックが活用される領域
HRテックはテクノロジーと人的資源管理が融合したシステムとなり、以下の領域において活用されています。
人事業務のデータ化と一元管理
従業員が増えると、人事に関するデータも増大するため、名前と顔が一致しなかったり、異動前の部署が不明になったりと管理も難しくなります。HRテックは人事業務に関した様々な情報をデータ化して、一元管理が可能となります。
オペレーションの効率化
HRテックでは、以前より、給与計算などのデータを扱うオペレーション分野でIT技術が進んでおり、ノウハウを人事管理業務全般に普及することができました。そのため、人事関連のオペレーション業務の効率化が進みました。
分析や立案の精度向上
HRテックによって、既存データの現状分析や仮設の立案の精度を高めることができました。さらに、ビッグデータの解析技術などを使用して分析や立案の速度を向上させることも可能になりました。
HRテックを利用するメリット
ここではHRテックを導入することによるメリットを説明します。
人材採用業務の効率化
HRテックによって給与計算や労務管理などの定型的業務を効率化できれば、人材採用におけるコア業務に時間を当てられることができます。また、履歴書や職務経歴書をデータベース化することによって採用業務の工数の削減や情報管理のリスクを防ぐことができます。
採用ミスマッチの防止
自社で活躍している人材のスキルや特徴、経験を分析し、応募者と比較することで、入社後も活躍できる人材であるのかの予測が立ち、事前に採用のミスマッチを防ぐことができます。内定辞退や早期離職を防止することにも役立ちます。
客観的データを基にした組織マネジメント
人事異動や人事評価、社内コミュニケーションといった組織マネジメントに対しても活用できます。配属先を決定する際に、ビッグデータのを用いて分析することで、適材適所に配置できます。人事評価においても実績をデータベースで管理することで、客観的な評価を行うことができます。
離職率の低減
HRテックを活用することで、組織マネジメントや採用のミスマッチを防ぐことができ、離職率の低下に貢献できます。また、従業員のスキルや能力に適した業務を与えることで、仕事のやりがいにもつながり、従業員が意欲的に業務に取り組むようにもなります。
HRテックの種類と特徴
HRテックには様々な種類や特徴があります。代表的なものをここで紹介します。
採用管理システム
採用に関わる情報を一元管理するシステムです。面接の日程管理やエントリーシート、面接の評価管理、応募者の選考ステータスなどを管理することができます。採用管理のために複数のツールや書類を用意する必要がなく、一つに集約できるため管理しやすくなります。
労務・勤怠管理システム
出勤退勤の打刻管理や労務関係の申請などを管理するシステムになります。従業員自身がオンライン上で申請や打刻を行ったり、人事担当者などの管理者が一元に管理、閲覧することが可能となります。また、労務管理のデータを給与計算などに活用することができ、業務の効率化ができます。
人材管理・タレントマネジメントシステム
従業員の所有するスキルや経験、資格、評価などを一元管理できるシステムになります。従業員のスキルや能力を可視化することで人材配置を最適化したり、能力開発が可能となります。また、評価もデータで管理するため、より客観的で透明性のある評価を行うことができます。
HRテックの導入方法
HRテックの導入は大企業のみならず、中小企業やベンチャー・スタートアップ企業などでも導入が進んでいます。ではどのように進めればいいのかをここで解説します。
業務の棚卸の実施
HRテックの導入は抜本的な改革の一環として行うため、現在行っているすべての業務を洗い出し、棚卸します。HRテックの導入を行うためには予算がかかるため、人事部にとってはコスト削減が必要になります。
テクノロジーで代替できる業務の分類
業務の洗い出しが終わったら、その中で削減できる業務を見つけます。長年やっている業務の中には不必要になっているものもあるため、業務をスリム化させます。そのうえで残った業務から、HRテックの活用で代替・効率化できる業務を見つけていきます。
目的に応じたシステムの決定
HRテックで代替できる業務を見つけたら、それぞれの目的に応じた策を決定します。採用業務の効率化の場合は、採用関連のHRテックを導入し、評価などの人材管理であれば、それに沿ったシステムを採用します。数社トライアルを行い比較を行うのが良いでしょう。
導入プロジェクトの立ち上げ
導入先が決まったら、導入プロジェクトを立ち上げます。人事部ではIT導入を行う機会があまりないため、詳細な要件定義を行うためにも、人事担当者だけでなく、IT担当者やベンダーを巻き込んだプロジェクトを立ち上げると良いです。
HRテックの今後のトレンド
IT業界は変化が激しいため、今後予想されるトレンドを紹介します。
テレワークに対応
働き方改革や新型コロナウイルスの影響により、テレワークの普及は今後さらに進んでいきます。オフィス勤務を想定したシステムではなく、さまざまな場所からアクセスできるクラウドサービスのHRテックが前提になっていきます。また、法改正により休暇が1時間単位で取得できるようになることから、柔軟に対応できるHRテックが求められます。
通年採用にも対応
経済団体連合会は、新卒者に対して通年採用を拡大するよう進めています。そのため、毎年4月入社を前提とした仕組みのみならず、通年採用にも対応できる準備が必要になります。会社説明会や選考日程などの調整が複雑化するようになるため、それに対応したHRテックの導入が必要となります。
人事・労務に関する定型業務の自動化
RPA(Robotic Process Automation)とはAIを活用したソフトウェア型のロボットです。勤務時間の集計や社会保険などの事務作業、給与計算などの定型業務はRPAで行うことで担当者の負担を少なくすることができ、他のより重要な業務に時間を割くことができます。
タレントマネジメントのHRテックならスキルナビ
社会情勢に伴い働き方の多様化や人材獲得のさらなる激化に対応するためにHRテックはこれからもさらに普及していくでしょう。HRテックを導入する際は自社が抱えている問題を解決できるようなシステムを選ぶ必要があります。スキルナビはHRテックのタレントマネジメントシステムになります。従業員のスキルや能力の可視化、評価のスムーズに行うことなどを課題に感じていれば、スキルナビによって解決できます。