人材育成目標の設定方法とは?職種別具体例も解説!
人材育成とは、単なる育成プログラムではなく、主体性を備えた人としての一般的な能力の向上を目的としているものです。単純な教育では、教えられる側は受け手に回るものですが、育成は「企業の業績アップのために自ら考え、行動するという主体性を伸ばす」ことを指します。
人材育成目標を計画することは、企業にとっても社員にとっても成長のために不可欠なことです。無計画のままプロジェクトを進めてしまうと、目標設定の時間をとることができなくなったり、未完成のまま滞ってしまう可能性もあります。
今回は、人材育成のメリットや、目標設定のためのポイント、職種別具体例を解説していきます。
人材育成のメリット
人材育成には、業績アップのほかにも様々なメリットがあります。今回は3つに分けて解説します。
- 企業への所属感が高まる
- 社員のスキル向上
- 退職の防止
企業への所属感が高まる
企業の理念や、今後の視点に合わせて人材育成を行うことになるので、社員1人1人の企業への理解が深まり、所属感が高まっていきます。
部署間を超えた研修を行うことにより、社員の相互認識が行われ、それぞれの考え方を知り、見識を深めることができます。結果として社内での意思疎通の場が増加し、企業への所属感を高めることが可能になります。
また、多くの企業は「社員エンゲージメント」を向上させる取り組みを行っています。社員エンゲージメントが向上すると、企業の経営に大きな発展が期待できるとされています。
社員のスキル向上
社員のスキル向上は人材育成において基本となるものですが、単純な個人のスキル向上だけでなく、社員同士の連携により、高い効果を発揮できるという相互作用の創出が期待されています。
このようなメカニズムを導入することにより、経営陣が継続して人材育成の活動を行わなくとも、自然と人材が成長していきます。なので、社員同士が高めあうような教育制度を設けると良いでしょう。
退職の防止
近年では、新入社員の三年以内の離職率が高くなってきていることが話題になっています。採用前から入社後もコストをかけ教育を行ってきた社員が早いうちに退職してしまうのは、企業側からすれば大きな損失を被ることになります。
これを防ぐためには、社員が成長ややりがいを感じることのできる施策を実施し、モチベーションを高い水準で維持させることが重要となります。
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人材育成目標を設定する際の3つのポイント
人材育成目標を設定する際に注意すべきポイントは以下の4つです。
- 期間を決定する
- 目標達成の基準を決定する
- 具体的な行動を決める
- 求める成果を考える
期間を決定する
目標を設定する際に重要となることの1つ目が「目標達成までの期間を決定する」ことです。「いつまでに目標を達成する」という明確な期間を設けることにより、そこから逆算して行動することが可能になります。期日が来たら進捗に合わせてフィードバックを行い、何が達成できたか、何が足りていないかなどを確認し、継ぎの目標の設定につなげることができます。
具体的な行動を定める
実施する期間が決まったら、具体的に何を行うかを決める必要があります。より具体的な行動を定めることにより、自分が何をしたら良いかが明確に表され、達成できなかったとしても行動目標の面で評価ができます。「〇〇をがんばる」などの抽象的な内容にならないようにサポートするのが重要です。
目標達成の基準を決定する
設定した目標を達成できたかどうかの判断が必要なので、基準を設定します。基本的には数値データで表す場合が多いですが、どうしても数値では表現できない場合は物事の状態で判断するようにすると良いでしょう。
また、結果だけを示すのではなく、達成までの過程にスポットを当てるのも1つの手法です。
求める成果を考える
目標達成によって、どのような成果が得られるのかを考えます。「期間内に〇〇を達成し、△△という成果を達成する」という具体的な目標を設定することで、途中で振り返ることができ、間違った方向に進んでいたら軌道修正が容易にできるようになります。
先述しましたが、より具体的な成果を求めるためにも、目標は数値で設定するのが良いでしょう。
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キャリアデザイン
人材育成目標を考える上で重要なのが、キャリアデザインです。企業の成長だけでなく、社員の成長も見込んで育成を行わないと意味がありません。
ここでは、キャリアデザインの重要性を3つ紹介します。
- 企業のための育成目標ではない
- 社員1人1人に寄り添う
- キャリアデザインと企業の方向性の一致
企業のための人材育成目標ではない
企業のためだけの人材育成では、社員にとっては普段の研修と変わらないように感じ、モチベーションが低下してしまう可能性があります。
社員に主体性を持たせ、努力が企業に貢献しているという実感が湧くことにより、帰属感が高まりさらなるパフォーマンスが期待できます。
社員1人1人に寄り添う
社員には、例えば昇進を考えて行動する人やそうでない人がいます。社員1人1人考えが異なるので、それぞれに親身になってキャリアデザインの構想を練ることが重要です。
キャリアデザインと企業の方向性の一致
社員1人1人に寄り添い、一緒にキャリアデザインを考えていきましょう。もちろん主体となるのは社員ですが、キャリアデザインがあまりにも企業理念とズレていたら、それまでかかったコストが無駄になる可能性があります。
社員の意見を尊重しながら、企業の掲げる目標とズレが生じないように軌道修正を測りましょう。少し難しい項目ですが、上司としての腕が問われます。
人材育成目標の職種別具体例
それでは、職種別に人材育成目標の例を見ていきましょう。今回は5つの職種の具体例を紹介します。
- 営業職
- マーケティング職
- 人事
- エンジニア
- 管理職
営業職
営業職はチームでの目標が設定されていて、それに沿って設定することが多いです。チームでの目標とずれが生じないよう、キャリアデザインを考慮することが重要となります。
- 〇〇までに、商談の数を増加させ、個人での△△万円売り上げを目標にする
- 今期中に、過去に失注した企業を洗い出し、それに対して対応を行い、売り上げを〇〇万円まで伸ばす。
マーケティング職
マーケティング職は、自社メディアやSNS,Web上の広告など、多様な媒体を利用し、認知行動を行います。そのため設定するべき目標は多岐にわたるものです。企業の理念とうまくすり合わせを行い、キャリアデザイン、目標を設定していきましょう。
- 〇〇までに記事を△△本公開し認知度を上げ、□□万円の売り上げを目指す
- 期間中にWeb広告を〇本作成し、検索数△を目指す
人事
人事の主な業務は、企業にとって有力な人材を発見し、採用することや、社員の離職防止など、様々なものがあります。採用においては、企業の掲げる目標との一致など考えるべき項目が多いので短期的な目標設定が難しいことが考えられます。
- 来期中に〇〇が得意な人材を△△人採用する
- 今期中、各社員とのミーティングを行い、離職率の〇%減らす
エンジニア
エンジニアは最新の情報に敏感であり、様々な言語と触れ合う職種です。近年はオンラインでのやり取りが進んでいるため、UIの向上なども企業の成長と直結します。
- 今期中に企業サイトのUIを向上させ、閲覧数を〇%伸ばす
- 来期までに〇〇を導入し、作業効率を△%向上させる
管理職
管理職の目標としては、部下の成長度を目標に設定するのが良いでしょう。しかし個人だけの成長で満足するのではなく、それによって企業の成長も考慮していく必要があります。
- 今期は週に1度ミーティングを行い、社員の目標達成率を〇%で安定させる
- 来期中に各部署との連携を図り、各成長率を〇%伸ばす
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主体性を重視し、目標設定を行いましょう。
人材育成目標は、社員の主体性を重視し、そのうえで企業の成長も図るものです。今回紹介したポイントを抑え、社員1人1人のキャリアデザインに寄り添うことが重要です。
適切な目標の設定で、社員との団結力が高まり、結果的にモチベーション向上につながります。それぞれの部署でミーティングを行い、目標に向かって行動できるような施策を考えるのも良いかと思います。