人材管理をエクセルで!導入のメリットとデメリットを徹底解説!
会社にとって、従業員は貴重な人材です。人事担当者は適切な人材管理のもと、最適な人材配置や業務の効率化を実施する必要があります。人材管理のためのツールは多種多様にありますが、誰もが簡単に使い始められるエクセルもまた、人材管理に役立ちます。
今回はエクセルで行う人材管理に着目して、導入のメリットやデメリットについて解説します。
エクセルでできる主な人材管理
エクセルで可能な人材管理を紹介します。
社員の出欠状況の管理
社員の出欠状況は、人事評価の上でも重要な要素です。雇用形態などによって福利厚生の内容や就業規則は異なるかもしれませんが、一人ひとりの出欠を把握し記録しておくと良いでしょう。
出社、病気欠勤、特別休暇、有給休暇など、ひと目で個人の状況が把握できると、給与計算の際にも役立ちます。
作業スケジュール
作業スケジュールを入力できるエクセルファイルがあれば、社員の進捗状況や今後の予定を一元管理することができます。お互いのスケジュールを把握できる環境では、周囲の人の忙しさも分かるため、依頼や相談事がある際は余裕をもって行動できるようになるでしょう。
上長にとっては、部下のスケジュールがすぐに確認できるので進捗確認がしやすくなります。さらに、社員の状況を理解した上で的確な指示が出せるようになるためより効率的に業務が進行するのです。
応募者の採用選考
選考フローは会社によって違いがあれど、どの会社でも応募者からの履歴書や職務経歴書を整理して選考が終わるまでは保管しておく必要があります。応募者の数が多いほどに煩雑になる採用選考の書類整理においても、エクセルが役立ちます。
選考結果だけでなく、面談時の会話の内容などをメモできるようにしておけば、一次面接から二次面接までの期間が空いていたとしてもメモを参考により深い話が聞ける可能性もあるのです。
新規採用者の教育・研修
新しい職場での仕事は、まず業務に慣れる必要があります。新卒採用でも中途採用でも変わりなく、その会社のやり方や業務フローを覚えてもらうために必要なのが研修です。人事担当者は、無理なく理解しやすいように研修内容や順番を定めることが求められるため、研修内容と全体の流れが確認しやすいエクセルファイルを作成すると良いでしょう。
入社後の初期研修だけではなくその後も定期的なフォローアップや研修を実施すると社員教育に効果的なため、長期的なスパンで管理できるようにしましょう。研修内容と達成率も併せて記載するようにすれば、社員一人ひとりの成長度合いもひと目で確認できます。
給与明細書
給与明細書は書面での発行が主流でしたが、昨今はメール等も活用した電子配信も増えています。給与明細書に記載される項目は会社内で統一されているため、一つのフォーマットを用意しておくと便利です。エクセルでの給与明細書を活用すると、あらかじめ設定しておいた数式に沿って総支給額や控除額、差引支給額が自動計算されます。
自動計算が可能になれば、これまで計算にかけていた時間が減る上に、人的ミスもなくなります。業務の効率化の上でも、給与明細書をエクセルで管理する意義があるのです。
労働者名簿
法定三帳簿のうちの一つ、労働者名簿もまたエクセルで管理することが可能です。社員の名前のみならず、履歴や業務内容、解雇状況や退職状況などの項目を含めれば、労働者名簿として必要な情報が集約でき、ひと目で確認することができるのです。
労働基準法に準じて作成が求められる労働者名簿。作成は必須ですがいざ作ろうとすると面倒なので、あらかじめエクセルファイルを用意しておくと良いでしょう。
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人材管理をエクセルで行うメリット
エクセルを導入する2つのメリットを紹介します。
コストが抑えられる
人材管理をエクセルで行うと、他の人材管理専用ソフトやシステムを導入するよりもコストが抑えられます。マイクロソフト社のオフィスソフトは一般的に使用されており、多くの会社が導入しているソフトであるため、人材管理のために運用を開始するハードルが低いといえます。エクセル自体を導入していなかったとしても、導入のために必要な費用は比較的安価に済むでしょう。
さらに、エクセルの操作は多くの人が経験しているために、基本的な操作に関する研修や講習が不要になります。人的コストを抑える意味でもエクセルで人材管理を行うメリットがあるといえます。
簡単に作れる
人材管理に活用するためには、エクセルで表の作成、計算式や関数の挿入が必要です。日常的にエクセルを操作している人は基本操作はすでに身についているので、エクセルの方が初めて触れるシステムを導入するよりも容易に管理用ファイルを作れます。
エクセルのデータは簡単に紙ベースの書類として印刷できるため、他のシステムへの移行時も簡単に移行準備が整うでしょう。印刷しないとしても、多くのシステムが取り込み可能なCSVデータで保存することによって、システム移行が容易になります。
人材管理をエクセルで行うデメリット
導入のデメリットについて説明します。
セキュリティの不安
セキュリティ管理は会社にとって必要不可欠な課題ですが、表計算ソフトであるエクセルはセキュリティの面で不安が残ります。特に個人情報が載った労働者名簿や、給与明細書などが社内で自由に閲覧できる状況は避けるべきです。
エクセルはシートごとに閲覧権限を設定したり、アカウントごとに編集権限を変更することができます。しかし、シート内の一部のセル情報は編集できないようにするなどの細かな設定はできません。意図せず情報が編集されてしまう懸念や、誤送信による情報漏れ、間違った情報で上書き保存したために正しいデータが紛失する恐れもあります。
データの一元管理が難しい
データの変更履歴や変更した人物の把握が難しいエクセルでは、情報管理の流れが見えにくくなります。データの一元管理が運用の方法によってはより煩雑になってしまう可能性もあるため注意が必要です。
社員数が多いほどに人材管理のためのデータ量は膨大になりファイル数やフォルダ数も増えるため、人事担当者の手間が増大してしまう場合もあるでしょう。
閲覧権限の設定が必要
エクセルはデータ公開の制限が難しく、制限をかけない限り誰でも閲覧、編集が可能な状態になりやすいので注意が必要です。不当な人事評価を防ぎ適切な人事評価を下すために、オープンにしておくべき情報ももちろんありますが、社員の職域や職階に応じて制限も必要です。
エクセルはシート内の一部を権限によって編集可能にするような設定ができないため、細かい権限設定が出来ない点は導入のデメリットだといえます。エクセルの閲覧者を指定する場合も、事前に閲覧権限を設定する必要があり、手間がかかるのも難点です。
チェック機能が弱い
人材管理においては部署ごとに評価数値を集計したり、個人の評価数値の変動を確認するためのエクセルファイルが必要になります。計算式や関数を挿入した状態のフォーマットファイルが出来上がっていたとしても、数値の入力自体は手作業になるので人的ミスは避けられません。
ミスは仕方がないものですが、エクセルは評価の矛盾点などはチェックできません。計算式のエラーは表示されますが、人材管理の内容に適したチェック機能はないためミスに気づきにくい状況が生まれてしまうのです。
操作性が悪い
エクセルは同時編集が難しく、共有状態にしない限り複数のユーザーが編集することが出来ません。操作性が悪く、「ある人の編集が終わらないと次の工程に入れない」状況が発生し業務効率の低下が起きます。
また、同時に更新することで同名のファイルが複数存在してしまい、最新データが判別できないこともあります。
まとめ
人材管理をエクセルで行う場合のメリットとデメリットについて解説しました。エクセルは安価に簡単に導入できる、誰もが使いやすいソフトですが、人材管理の現場における実用性は検討する必要があります。
人事として長期的な運用も見据え、エクセルで試験的に人材管理を行いながら人材管理に特化したシステムも取り入れていくことがおすすめです。社員の人数や管理したい内容から最適な人材管理方法を導入すると良いでしょう。