人材マネジメントの目的とは?役立つフレームワークのまとめ
組織としての競争力を高めるためには、社員一人ひとりのモチベーションを上げて、雇用管理を徹底することが必要になります。たとえ優秀なスキルを持った人材を雇用できたとしても、会社の環境やマネジメントが甘くなっているとモチベーションが低下してしまい、生産性の低下や離職につながるケースもあります。本記事では、人材マネジメントについて解説したのちに、役立つフレームワークをいくつかご紹介します。
人材マネジメントとは
ビジョンの達成や組織の持続的な競争力を目的として、社員一人ひとりのやる気向上や有効的な人材活用を目指すための管理のことです。具体的には、研修や面談などで人材育成を行ったり、労働に見合った報酬や評価を与えたり、配置転換を行うといったことが挙げられます。これらのプロセスをまとめて「人材マネジメント」と呼び、このプロセスを繰り返すことが重要とされています。
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人材マネジメントの目的
上でも述べたように、人材マネジメントの目的は「企業の生産力や競争力、ビジョンの達成のための長期的な人材育成」とされています。人材の採用計画から始まり、どのような人材を取り入れるのか、どの部署に配置し、どのような活躍をしてもらうのかまで見据えて考えることで、人材マネジメントが成功しやすくなるでしょう。
人材を公平・正確に評価、処遇
評価の基準を明確に定めておき、可能な限りフェアに評価することが重要視されています。人材マネジメントの短期的な目的がこれに当たります。フェアな評価を行われていることが明らかになれば、社員は目標やノルマに向けて力を入れることが可能になり、モチベーションの維持を図ることができるでしょう。
人材の獲得・育成・異動
企業にとって大きな利益をもたらし、持続的な競争力の優位性を実現するためには「優れた人材」が求められることでしょう。ですがそのような人材を採用することは容易ではなく、短期間では実現不可能とも言えます。そのため中長期的な目的として、社内で育成するための方法を考えることが重要となります。
日本における人材マネジメントの特徴
海外ではあまり見られない、日本ならではの人材マネジメントの特徴とはどのようなものなのでしょうか。年功序列や雇用形態による処遇の格差などいくつかありますが、大きく分けて3つご紹介します。
処遇が職務内容やパフォーマンスによって決まらない
最も知られているであろう特徴の1つで、職務内容によらず賃金などの処遇が決まってしまうというものです。年功序列がその一例であり、長く勤めている社員は成果を出している若手社員よりも多くの賃金をもらえるケースが多いという企業が根深く残っています。
また雇用形態の違いにおいても、正規か非正規かで賃金に格差が生じてしまうケースも多いです。
雇用形態による格差が激しい
雇用形態による賃金の違いがあると説明しましたが、その差は大企業であるほど大きいようです。非正規雇用には、パートやアルバイト、派遣労働者があります。中には正規雇用の社員が受け取る賃金の半分程度しかもらえないというケースもあります。正規雇用であれば当然採用されていた「年功序列」も非正規雇用社員には採用されず、長く勤めていたとしても賃金が大きく増加するということはありません。
企業規模の違いによる格差がある
大企業と中小企業の間にある格差も、日本ならではの人材マネジメントの特徴となっています。中小企業の中には労働組合といった組織が存在しない場合が少なくなく、その影響により不当な解雇や劣悪な労働環境、過酷な労働時間などが問題となっています。賃金の上昇率も企業規模の違いが大きく影響し、年齢や在職年数が増えるほど、その格差は顕著なものとなります。
人材マネジメントに役立つフレームワーク
ここでは人材マネジメントに有効的なフレームワークを4つご紹介します。人事戦略において役立つ枠組みを活用すれば、企業の課題を1つ1つ突き止めることができ、適正な解決策を練ることができるでしょう。
ロジックツリー
名称の通り、このフレームワークでは1つの大きな課題を木の幹に見立てて、そこから枝状に小さな課題として細分化します。それぞれの枝にもさらに小枝を書き加え、課題を見つけていきます。1つ1つの小さな課題を解決することで、大きな課題を解決することが目的です。見えてきた課題の解決策をいきなり考えるのではなく、まずはいくつかの要素に分けて考えることが成功のポイントです。最もポピュラーなフレームワークなので、覚えておくと役立つでしょう。
SWOT分析
「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の頭文字を合わせてできたフレームワークの言葉です。自社を取り巻く外部環境と、自社の内部環境をそれぞれプラス面とマイナス面に分けて分析する手法となります。外部環境には政治・経済情勢や市場、競合他社などがあり、内部環境には商品価格や技術力、ブランド力などがあります。客観的に自社の課題分析をすることができるため、資源の最適化にも効果的です。こちらも有名な手法であり、多くの課題のケースに当てはめることができるため、必ず覚えておきましょう。
TOWS分析
こちらのフレームワークも同様に、「強み」「弱み」「機会」「脅威」に分けて分析する手法です。SWOT分析と異なる点は、強み・弱みを機会・脅威に密に結びつけて分析するというところにあります。SWOT分析でリストアップした現状分析の項目を掛け合わせて、より具体的な解決策を立案することができます。例えば、商品の品揃えが豊富という「強み」とモバイルユーザーの増加という「機会」を掛け合わせて、オリジナリティのある対策案を考えることができます。
プロダクトポートフォリオマネジメント
PPMと略されるこの手法は、社員を会社の大事な資源としてみなした上で、適材適所の配置を行うための分析とされています。事業や製品を「花形」「負け犬」「金のなる木」「問題児」の4つのカテゴリに分類し、経営資源の最適配分を意思決定します。市場成長率と市場占有率のマトリックスによって分析します。例えば市場成長率が高く、市場占有率が低い事業は「負け犬」として分類され、将来的には撤退せざるを得ない評価を受けます。
人材マネジメントと人事評価システム
人材マネジメントを効率的に行うためには、適正かつ公平な人事評価のデータが必要です。公平な人事評価を行うためには、社員一人ひとりの成果目標やその目標達成率、業務の進捗率を正確に記録することが必要となります。これらの作業は人の手で行うとすると非常に手間であり、多くの時間を費やさなければなりません。そのような負担を軽減する「人事評価システム」の導入を検討す企業は増えており、本来業務の一環として行なっていた時間を他の業務に利用できるというメリットもあります。
まとめ
企業の経営戦略として、「人材マネジメント」は非常に効果的な手法です。新たに採用した社員がたとえ優秀だったとしても、劣悪な労働環境や育成システムが充実していなければ、モチベーションの低下につながってしまいます。企業の競争力を高く維持するためにも今回ご紹介したフレームワークを活用し、是非とも自社での人材マネジメントにご活用ください。また効率的なマネジメントのためにも、人事評価システムの導入を同時に検討してみてはいかがでしょうか。