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ISO内部監査員の力量とは?チェックリストで確認!

ISO内部監査員とは?

内部監査はそれぞれの企業でマネジメントシステムが有効に働いているか、要求されている内容との適合性があるかなどを確認するために重要です。

一般的には内部監査と聞くと良くないイメージを持たれるケースが多いですが、実際には適切におこなえれば企業の成長に大きく貢献する可能性もあります。

その中でもISO内部監査員は重要な役割を持っており、さまざまな角度から問題がないかなどを精査しなければいけません。

本記事ではISO内部監査の役割に加えて、力量を評価する方法についても解説するので、参考にしてみてください。

ISOにおける内部監査とは

ISOとは国際的な取引をする際にスムーズに進められるように、製品やサービスを世界中で同じ品質・レベルで流通させられるようにする国際的な基準です。

また、製品以外にも環境活動や品質活動などが該当するマネジメントシステムにも採用されており、いろいろな場面で活躍しています。

ISO内部監査は後者であるマネジメントシステムの運用が適切かどうかを判断する役割を持っており、定期的に内部監査することで効率的な運動を目指せるのが特徴です。

具体的に意識するべき点については、以下が挙げられます。

  • ISO規格要求事項に適合している業務をしているか
  • 社内規定や手順書を守りながら内部監査が実施されているか
  • 組織目的や事業目標に対しての達成状況や効果・業務効率が向上しているか
  • 不正予防をするために、それぞれのプロセスで業務が適切に取り組まれているか
  • 計画的に業務が進められている段階であり、文書記録と計画が合致しているか

企業と協力しながら問題点や解決策について考えていきます。

内部監査員の役割

内部監査員の役割は段階的に分かれているのが一般的であり、それぞれの段階で求められている内容について理解して取り組まなければいけません。

主な役割は以下の4つに分かれているため、理解しておくのが大切です。

  • ISO導入期:規格が適合しているか確認する
  • 定着期:自社システムとの適合性を確認する
  • 成長期:マネジメントシステムの有効性を確認する
  • 発展期:マネジメントシステムを使いこなせているかを確認する

注意点としては焦って一気に進めてしまうとミスが多くなったり、効果的な内部監査ができなくなったりするため、段階ごとに丁寧に進めるようにしましょう。

ISO導入期:規格が適合しているか確認する

ISO導入期は企業が取り組んでいる内容と規格が適合しているか確認して、起こっている問題を早くに解消できるか考えます。

ただし、導入期は自社内で育成している内部監査員の力量がまだまだ未熟であるケースが多く、伝達能力不足などが原因で同じ不適合がなんども繰り返される可能性も高いです。

企業側も導入してからの時間が短い関係から伝えられている内容について精査が難しいので、ここから徐々に理解を深めていく必要があります。

規格が適合しているか確認するためにも面談・活動の観察・文書の調査などをおこない、客観的証拠の収集をしなければいけません。

定着期:自社システムとの適合性を確認する

定着期は自社システムとの適合性を確認しながら進めますが、起きやすい内容として業務を繰り返しおこなった慣れやマンネリが挙げられます。

このような問題を解決するために相互内部監査をおこなう必要があり、4MやPDCAの観点を持ちながら取り組まなければいけません。

特にPDCAは中長期的に問題を確認して解決するためにも重要な要素なので、内部監査員が十分に理解して具体的な方法について提示する必要があります。

それぞれのプロセスごとのつながりについて確認しながら、自社システムとマネジメントシステムが適合しているか確認するのが大切です。

定着期で十分に定着できていないと後の段階にスムーズに移行できないため、しっかりと4MとPDCAの観点を持たなければいけません。

成長期:マネジメントシステムの有効性を確認する

マネジメントシステムは導入して定着させるだけでは意味がなく、有効性を確認して業務プロセスや業務パフォーマンスの検証をおこないます。

それぞれの業務は単独で取り組まれているケースは考えられず、つながりを持ちながら業務をしている点を把握するのが大切です。

重要なのは監査側と被監査側それぞれの強みについて共有して、強みを活かすためにはどのような協力が必要か、具体的にどのような方向で進めるかなども確認します。

パフォーマンスを重要視して監査をおこないますが、他部門ともコミュニケーションを取れるようにツールの活用も必要です。

他にも内部監査に対象部署が慣れてきている場合、定期的なセルフチェックも重要になります。

発展期:マネジメントシステムを使いこなせているかを確認する

最終的にはマネジメントシステムを使いこなせているかがISO内部監査の目的になるため、与える影響やシステム独自部分の検証などが求められるでしょう。

サプライチェーンの上流へとさかのぼるような監査の導入も求められ、複合監査・統合監査などもおこなわなければいけません。

マネジメントシステムによって得られた情報を経営判断に有効活用する段階であり、監査側の実施能力が問われるようになります。

また、導入期などではまだまだ少ないマネジメントシステムも発展期になると複数に増えているため、ISO内部監査員はさらに高いレベルの専門的な知識やノウハウが必要です。

経営者にとっては、企業内で起きている有効な内部情報が得やすくなります。

内部監査の流れ

内部監査の流れについてISO内部監査員は十分に理解しなければならず、理解できていない状態で取り組んでしまうと効率が悪くなるのは避けられません。

具体的な流れについては、以下のようになります。

  • 監査チェックシートの作成
  • 現場へのヒアリング
  • 監査内で評価
  • 指摘事項のまとめと是正処理の依頼

細かい部分まで考えるとそれぞれの企業で取り組んでいる事業内容によって異なりますが、具体的な流れを抑えながら徐々に応用するのがおすすめです。

また、効果的で正確な内部監査は企業に対しても大きなメリットが生まれる点は頭に入れて、ISO内部監査員は専門家としての自覚を持って行動しましょう。

1.監査チェックシートの作成

監査チェックシートの作成を一番最初にするのが具体的な方向性を決めるために重要であり、内部監査をする際にどのような項目が必要になるか考えなければいけません。

注意点としてはどのような内容でもチェックシートに盛り込むわけではなく、企業の業務内容に合わせて項目を決めます。

最初から特定の項目に絞ってチェックシートを作ろうと考えずに、最初は必要になると感じた項目を出してから絞っていく方法も有効です。

また、監査チェックシートは一度作成した後もずっと同じものを使用せずに、前回の内部監査の結果や対応を考慮しながら項目を入れ替えるようにします。

2.現場へのヒアリング

よりよい監査をするためには現場へのヒアリングとコミュニケーションが非常に重要であり、監査側と被監査側が事前に監査計画書の内容などについてもやりとりが大切です。

ISO内部監査員は企業内に存在している各部署とコミュニケーションを取りながら、「監査目的」「監査基準」「監査日時」「場所」などについては決めておきます。

現場へのヒアリングが不足しているとトラブルや問題が起きてしまう可能性も高く、現場がどうしても手が離せないタイミングなどで内部監査をするかもしれません。

ほかにも準備してもらいたい文書や記録類について伝えておくのが、監査側も被監査側も気持ちよく監査するためには必要です。

一方的に対応しても効果的な監査はできないと心にとどめておいて、現場へのヒアリングは丁寧におこなうようにしましょう。

3.監査内で評価

チェックシートの作成と現場へのヒアリングを問題なく進められた後には、項目に沿った内容で監査を進めていきます。

それぞれの項目において問題なく実施されているか、それとも実施されていないかについて記録しますが、後から見返してもわかるように具体的な内容を残すのが重要です。

監査した結果は一回限りで終了ではなく、次回以降も参考にしながら監査をする点から、監査担当者以外が確認してもわかるように丁寧な記載が求められます。

このように監査内でしっかりと評価をして、マネジメントシステムの整備や効率化につなげなければいけません。

4.指摘事項のまとめと是正処理の依頼

内部監査の最終的な目的として挙げられるのは、企業内で起きている問題や指摘事項について是正することです。

実際にはまだ問題が起きていない段階であっても、そのまま放置しているとトラブルや問題に発展するかもしれません。

指摘事項のまとめと是正処理の依頼も内部監査員の仕事になりますが、抽象的な依頼ではなく具体的な内容で是正処理の依頼を出します。

ここで曖昧な内容で依頼をすると次回の内部監査までに是正されないケースも考えられ、監査側と被監査側で協力しながら進めなければいけません。

内部監査員に求められる力量とは

内部監査員は誰でも担当できるわけではなく、より質の高い内容で実施するためには十分な力量が求められます。

実際には対象となる製品やマネジメントシステムによって細かい内容は異なりますが、以下の4点が代表的です。

  • ISO規格の理解
  • ヒアリングスキル
  • 問題発見・課題形成能力
  • 監査所見・報告書作成力

また、監査活動中は専門家として行動している自覚を持つのが大切とされており、企業や相手担当者から質問された内容については応えられるようにしなければいけません。

ISO規格の理解

ISO内部監査員はその名前の通りISO規格について専門的な知識やノウハウが求められ、十分に理解できていない状態だと間違った指摘をする可能性が高いです。

一般的な労働者はISO規格に対して深い知見を持っていないケースも多いため、被監査側から質問された場合には答えられる用意をします。

注意点としてはISO規格は日本だけでなく世界中で共有されている規格ですが、日本国内でも品質の高い製品やマネジメントシステムだと思われるためにも大切です。

監査活動はそれぞれの対象部署に協力してもらわないと成り立たないので、監査に求められる知識や技能については身に付けなければいけません。

ヒアリングスキル

ヒアリングスキルは相手からの意見や考え方を聞き取る力だけでなく、現場で取り組まれている工夫や悩んでいる問題点について把握するのにも重要です。

また、ISO内部監査員は周りと協力しながら監査を進める能力も求められるため、被監査側からの要望についても対応しなければいけません。

注意点としては内部監査員は会社の労働者が担当する場合、顔見知りやお世話になった同僚・上司がいる部署の監査内容が甘くなりやすい点です。

ヒアリング時に相手からの要望についてコミュニケーションを取るのはスムーズな監査で必要な一方、ヒアリングスキルはあくまでも監査に対して発揮する意識を持ち、ヒアリングする中で情や優しさを出してしまうのは問題になります。

問題発見・課題形成力

内部監査で本当になにも問題が起きていないならいいのですが、実際に問題が起きていないケースはほとんどありません。

また、被監査側が問題ではないと考えているようなことでも、客観的に見るトラブルや大きな問題につながる可能性も考えられます。

問題発見をして的確な内容で是正できるような能力に加えて、その問題に対して課題形成して解決できるように導く能力も重要です。

せっかく内部監査をしているにもかかわらず問題を見逃してしまえば、内部監査員の力量不足と判断されるかもしれません。

監査所見・報告書作成力

内部監査員は監査所見を後から誰が見てもわかりやすいようにまとめる能力も必要であり、この能力が低いと被監査側に正確に情報が伝わらないケースもあります。

また、報告書作成力は専門的な知識やノウハウを持っていない人が読んでもわかるような報告書を作って、後から分からない点や疑問点を残さないように丁寧に作成するのが大切です。

監査所見・報告書はありのままに正確に報告するのが求められ、この部分で被監査側の立場を考えて虚偽申告するといつまでも是正が進みません。

専門家としての責任感を持ちながら内部監査に取り組むのが大原則なので、自身が報告する内容が大きな影響を与える点は理解しておきましょう。

内部監査員の力量評価表

内部監査員の力量評価表についても理解しておいて、一人ひとりの力量について正しく評価できる環境を整えます。

力量評価表としては以下の5点が挙げられ、それぞれの項目を満たせているかが大切です。

  • 規格の理解
  • 資質
  • 監査技法
  • 是正処置
  • 専門分野

注意点としては内部監査員はそれぞれの内容をなんとなく対応するのではなく、専門的な知識やノウハウがない人から質問されても答えられなければいけません。

十分な経験と知識を積み重ねながら、内部監査員として成長していきます。

規格の理解

ISO内部監査員はその名前の通りISOの規格についての理解は最も重要といえ、理解できていない状態だと正確に内部監査ができません。

また、一口にISO規格といっても詳しく内容について見ていくと、いくつかの種類にわかれているので、それぞれの規格についても深い理解が求められます。

他にも条項について質問された際には該当する条項番号について探して、正確な情報を伝えられるように準備が必要です。

資質

高いレベルのISO内部監査員になるにはさまざま資質が求められますが、理由としては一般的な業務と比較すると社内でも疎まれたり、嫌われたりする可能性が考えられます。

生産性を高めるために各部署での問題点について指摘して是正を要求しても、被監査側からすると本来の業務以外にも対応するべき業務が増えるのは避けられません。

社内で発見された不適合については臆せずに会社に報告するのが最終的な利益につながるため、相手との関係性などで情を湧かさずに適切に報告する意識も大切です。

また、監査中に発生した監査側と被監査側の考え方の違いについても正確に記録すると同時に、コミュニケーションを取りながら進めていきます。

監査技法

細かい監査技法については企業の事業内容などで異なりますが、基本的な流れや考え方については共通している部分が多いです。

ISO規格と自社システムの適合性について監査できるだけでなく、効率的に効果的に監査できるようにチェックシートの作成や質問を作成します。

また、監査をした結果について自分でしっかりと判断して、どこの部分に対して是正が必要になるか、会社に対してはどのような監査報告をするかも必要です。

まだまだ企業内に内部監査の専門的な知識やノウハウが蓄積されていない場合、自分たちで他社の内部監査などを参考にしながら基本的な流れについても確立していきます。

是正処置

是正処理は監査をしてわかった問題点について解決できるように取り組みますが、処理ができている・できていないかについても判断能力も重要です。

前年度に指摘した是正箇所を処理でできているかも内部監査対象として挙げられ、処理できていないなら改めて原因追及して問題解決に導きます。

また、是正処理に関しては被監査側にルール変更を一任するのではなく、内部監査員が責任を持ってルール変更を提案するのも役割です。

是正処理が適切におこなわれた際には、有効性についても監査します。

専門分野

内部監査員としての専門的な知識やノウハウを習得するのは求められるため、それぞれの企業でおこなわれている事業内容に合わせながら勉強しなければいけません。

ただし、その中でも共通している項目としては方針管理方法について理解している・必要最低限の文書管理方法がわかる・マネジメントシステムのパフォーマンスが見れるなどです。

注意点としては企業の在り方や時代の流れに伴って内部監査の専門分野も変わるため、昔からのやり方をなにも考えずに続けずに、毎年チェックシートの項目見直しなどもおこないましょう。

ISO9001 における内部監査について

ISO9001はISO規格内でもメジャーなものとして多くの企業で採用されており、製造業を中心として品質管理や品質保証を考えて1987年に発行されました。

取り組んでいる企業は社内でマネジメントシステムを構築して運用しているケースが多く、従業員が品質に対して高い意識を持ちながら業務に取り組むようになります。

企業がISO9001を取得するためには第三者組織から検査して証明を受ける必要があるため、取得しているだけでも取引先は安心して取引を依頼できるのも大きなメリットです。

実際に導入している企業の中には対外的なアピールを目的として取得している企業も珍しくなく、品質向上に加えてマーケティングでも魅力的といえるでしょう。

内部監査の規格要求事項

内部監査の規格要求事項を満たしていないと取得はできないため、これからISO9001を取得したいと考えている企業は社内環境から整えなければいけません。

具体的な企画要求事項としては、以下の10点が挙げられます。

  • 適用範囲
  • 引用規格
  • 用語及び定義
  • 組織の状況
  • リーダーシップ
  • 計画
  • 支援
  • 運用
  • パフォーマンス評価
  • 改善

それぞれの項目を十分なレベルで満たすことが求められることから、一つひとつに丁寧に取り組んで問題を解決できるように進めるのが大切です。

また、マネジメントシステム構築には企業に属している人たちが積極的に協力するのが必要であり、企業のトップが方向性について定めながら進めていきます。

IATF16949 における監査について

IATF16949は自動車部品と自動車用材料メーカーを対象とした規格で、自動車業界が定めている品質マネジメントシステム要求事項がISO9001に追加されました。

世界基準の自動車産業規格として広く知られているため、多種多様な自動車部品全体の品質管理を徹底する役割を持っています。

自動車関係に特化している規格なので他業種はまったく関係ない一方、高いレベルで自動車産業で事業をおこなうためには取得がおすすめです。

参考:箇条9.2「内部監査」

ISO9001 より厳しい監査が要求される

ISO9001を基本としてIATF16949は定められているため、ISO9001の規格要求事項を満たせるだけの環境整備も求められます。

自動車市場において高い信頼獲得につながったり、品質や生産性の向上に貢献したりしますが、厳しい監査が要求される点は理解しておきましょう。

内部監査の実施内容

実施内容は企業によって異なるのが一般的ですが、自動車産業独自の要求事項についても対応しなければいけません。

世界中で安心して車が生産できるように厳格な基準が定められているので、実施前にはチェックシートなどをしっかりと準備します。

内部監査員の選定基準

内部監査員はさらに高いレベルでの力量が必要になるため、内部監査員が十分に専門的な知識やノウハウを持っているかの判断が重要です。

また、短期的な内部監査だけを見据えた選定をするのではなく、数年後も視野に入れて人材育成や研修も積極的におこないましょう。

第二者監査

第二者監査によって定期的なチェックが入るため、マネジメントシステムの運用方法や構築内容について確認されます。

この点は企業側からすると面倒だと感じるかもしれませんが、自社内だけでは気づけない問題点やリスクについて把握が可能です。

内部監査について理解を深めましょう

内部監査員の力量は企業が成長するためには重要な要素として挙げられ、専門家としての専門的な知識やノウハウ・責任感を持ちながら取り組まなければいけません。

最初の頃は具体的にどのように内部監査をすればいいかについてわからないのは当然ですが、経験を積みながら勉強をして貢献できるように成長するのが望ましいです。

また、企業は内部監査員が継続的に成長できるような人材配置を心掛けて、さまざまなサポートをおこないます。