人事評価システムを中小企業に導入する目的とそのメリット!
時間的コストの節約や効率性の重視のために、多くの企業で『人事評価システム』が導入されています。人事評価システムとは、本来人の手で行なっていた個人の目標設定や振り返り等を、全てシステムに任せることができるようになった仕組みのことです。本記事では、中小企業に導入する目的やメリットを中心に、解説ししましょう。
中小企業の実態
厚生労働省によりますと、一般的に中小企業と呼ばれる会社では、人事評価システムを導入しているところが50%にも満たないようです。その一方で、企業規模が1000人を超えるような会社では68.8%もの導入率となっており、その差は歴然としています。
また導入している中小企業でもあまり運用できていないケースもあります。導入したまではいいものの、システムをうまく使えないとなると、社員にとってもメリットがありません。その結果、社員からの不満が高まり、離職に繋がってしまうリスクも高まっているようです。
中小企業が導入する目的
まだまだ導入が進んでいない中小企業において、人事評価システムを取り入れることの目的とは何なのでしょうか。
業務の効率化
中小企業では大企業に比べて、社員の数が少ないため、人事評価の管理が比較的行いやすいと考えられます。ですが管理担当者のスキルに依存するところや、社員の数が増えてくると、管理にかかる手間が増えてしまいます。人間の操作によるものだとミスが出るリスクもあるため、全体的な効率性を高めるためにシステムを導入すると良いでしょう。
データの一元管理
システムの利用によりデータを一元管理することができ、必要な時に即座にデータを活用できます。データを検索する手間や時間も節約できるため、結果的に効率化にも繋がります。
中小企業が人事評価システムを導入するメリット
目的を理解した上で、他にはどのような利点があるのか解説しましょう。
公平な評価が可能
システムの活用により、上司の主観による評価が入り込む余地がなくなり、極めて客観的な評価を期待することができます。評価する人によって人事の結果が変わるというようなことは絶対に避けたい事態ですので、大きな利点と言えるでしょう。
スキルの可視化
データの一元管理が行えるため、社員の人事評価履歴や保有資格、異動履歴等がすぐに分かるようになります。そのためどのようなスキルを持っているのか一目でわかるので、社員の育成や異動の際に役立ちます。
コストや無駄の削減と生産性の向上
本来は人間の手で行っていた作業を全てシステムに任せることができるので、その間の時間を別の業務に活用することができます。人事評価を人の手で行う場合、複数人の間で評価票を受け渡しする時間が発生してしまいます。それらの時間を省くことができるので、結果的に生産性の向上につながるでしょう。
モチベーション向上
上司からの評価において、その際のフィードバックや助言等のかける言葉によって、社員のモチベーションが低下する恐れもあります。モチベーションが低下すると、生産性は低下し、目的を失うことによって退職してしまうケースも珍しくありません。システムを活用すれば、評価プロセスを適切に踏むことができ、個人にあった目標を定めやすくなり、モチベーション向上につながるでしょう。
人事評価システムを選定時のポイント
会社の規模や目的によって『人事評価システム』の選び方は変わってきます。ここでは、どのように選べば良いのかについて3つの点からお話しします。
目的の明確化
まずは自社が掲げる目的をはっきりとさせておきましょう。例えば、生産性を向上させたいのか、無駄な時間を省くことなのかというようなものが挙げられます。自社の目的にあったシステムを選定し、導入後すぐにその目的を達成できるようにすれば効率的に人事評価を進められるでしょう。
自社の規模に合うか
大企業にあったシステムもあれば、中小企業でしか機能しないようなシステムも存在します。まずは自社の社員数をもとに規模を確認し、それにあったシステムから絞ることをおすすめします。特に中小企業では人数が少ないこともあり、個人の行動が業績に大きく影響しやすいです。そのため個人に焦点を当てた設定ができるものを選ぶと良いでしょう。
自社に合う評価方法
人事評価の手法にはいくつか種類があり、どの手法を取り入れれば、自社の目的達成に貢献できるかを考える必要があります。評価方法には「360度評価」や「OKR」、「1on1」などがあります。何を基準に目標達成とするか、客観的な評価とはどこまでを含むのかなどを自社で決めておくと選びやすいかと思います。
人事評価システム導入時の注意点
システムの選び方について理解した上で、実際に導入することとなった際に、何に気をつけるべきなのをまとめました。全部で4つの注意点があるので、漏れがないようにしっかりと把握しておきましょう。
無料で使える場合
システムの導入に際して、有料のサービスを使うのか無料のサービスを使うのか悩むかと思います。費用面のこともあり、とりあえず最初は無料のものにしようと思うかもしれませんが、いくつか注意点があります。
- 全ての機能を使えるわけではない
- 初月無料などの特典で、その後は自動的に課金継続となることがある
- 初期費用が無料で、その他の継続費用が有料
というような可能性があります。無料のサービスを導入する際にはよく吟味してから始めるようにしましょう。
評価基準が変わる恐れ
システムを導入したことにより、それまでの自社で重視していた評価基準とはかけ離れたものになってしまうリスクがあります。例えば、これまでは社員のスキルを高めることを重視していたのにも関わらず、システム導入によって効率性を追求してしまうというようなことです。組織としても社員の能力が上がらず、結果的に生産性が下がってしまい、効率が上がらないというようなことになりかねないので、導入前に各部署とのすり合わせを行う必要があります。
人事担当者の負担
人事評価の管理をしやすくするために導入したにも関わらず、かえって人事担当者の負担を増やしてしまう可能性があります。システムは基本的には扱いやすいものが多く、直感的に操作できるものが多いのですが、新しいシステムとなると慣れるまで時間がかかってしまいます。そのため、スケジュールに余裕がある時に説明を行い、負担を大きくしないような配慮が必要となります。
クラウド型・オンプレミス型
現在主流となっている形態には「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。
- クラウド型:初期費用が安く、システムを1から構築する必要がありません。災害時のリスクが少なく、サーバーを拡張しやすいという利点があります。
- オンプレミス型:自社でサーバなどを用意し構築するため、自分たちで使いやすいようカスタマイズできます。処理速度が速く、セキュリティも充実しているという利点があります。
自社の規模や必要とするものを振り返り、どちらの方が適しているか考えましょう。
まとめ
『人事評価システム』の導入は最初こそ手間や時間がかかってしまうのですが、長期的な視点で見ると効率的であることが分かったかと思います。その中でも自社に適した機能や設定を含んだシステムを選定し、導入したことによって逆に社員の負担を増やしてしまわないように注意しましょう。