モチベーションマネジメントのメリットは?やる気を高める方法と合わせて解説
現在は売り手市場と言われており、優秀な人材の確保が困難になっています。その中で、いかに今いる社員のやる気を上げ、生産性を上げるかがポイントです。
では従業員に意欲を持たせるにはどうしたらよいのでしょうか。そこで今回はモチベーションマネジメントのメリットと具体的にやる気を上げる方法を解説していきます。
モチベーションとは
モチベーションは「動機づけ」の意味で使われます。若干意味合いが異なるものの「やる気」「意欲」と置き換えられるケースが多いです。人はモチベーションが高い状態でこそ、本来の実力を発揮できます。反対に意欲が低い状態が続くと生産性が落ち、会社全体の業績も上がらないでしょう。
そのため、全社員がいかにモチベーションが高い状態で業務に取り組めるかが重要になります。結果が出ている企業を見渡しても、やはり社員が明確な目標を持って仕事に打ち込んでいます。
そして、モチベーションには外発的動機付けと内発的動機付けの2種類があるのです。次から詳しく見ていきましょう。
外発的動機付け
外発的動機付けとは外側からの要因をもとに行われます。代表的なのは報酬や名誉です。「目標達成したら給料が上がる」「前年よりも業績が良ければ出世できる」など、外部から刺激を与えてモチベーションを高めていきます。即効性があり、やる気がなかなか上がらない社員にも効果的と言えるでしょう。
一方、効果は長続きせず、一時的なデメリットがあります。一旦報酬を受け取ってしまえば、モチベーションは下がりかねません。報酬という目標が無くなれば、あらためて意欲は低下してしまうでしょう。外発的動機付けは即効性を有するものの、長い目で見れば継続がむずかしいのです。
内発的動機付け
内発的動機付けは社員の内側から湧き上がるやる気です。例えば「今の分野を極めたいから資格勉強を頑張ろう」「将来起業したいからIT・経理・営業など幅広いスキルを学ぼう」など、本人の意識にある目標や意欲に対して自主的に取り組んでいきます。
外発的動機付けと違い、社員の内に秘めた思いと関連が強いため、モチベーションが維持しやすいです。反対に、動機付けさせるまでに時間が掛かるかもしれません。報酬のような強い刺激を与えるわけではなく、あくまで社員本人の意識に植え付ける作業です。
時間をかけて意欲をかきたてる必要があります。以上のように、モチベーションには内発的・外発的動機付けがあるのは念頭に置いておきましょう。
モチベーションマネジメントとは
モチベーションマネジメントとは、企業が社員のやる気を最大限引き出すために行う手法です。社員のモチベーションは自動的に上がるわけではありません。経営者や管理職が知恵を絞って社員の背中を押していきます。
そのためにも、重要になるのが前述した内発的・外発的動機付けです。人により仕事の価値観は違うでしょう。報酬を目的とする社員もいれば、スキルを伸ばすために堅実に働きたい方もいます。
一概に給料を上げれば社員が一生懸命取り組むわけではありません。企業側は広い視野で社員を観察し、一人一人に合ったモチベーションの向上を図っていきましょう。
モチベーションが低下する理由
モチベーションが低下する理由は次のとおりです。
仕事のやりがいを感じていない
仕事のやりがいを感じなければ、モチベーションは低下していきます。とくに、近年は仕事に対して自己成長や満足感を求める傾向にあるのが事実です。「誰にでも出来る仕事をいつまでもやらされる」「持っているスキルや知識を存分に発揮できない」などと感じてしまえば、気が乗らなくなるでしょう。
とくに若くて優秀な社員ほど、仕事へのやりがいを重視しています。企業側が改善を試みなければ、転職して挑戦しがいのある会社へ移ってしまうかもしれません。
一般的に仕事へのモチベーションと聞けば給料がイメージされるものの、仕事への面白さを求めている社員も増えているのが事実です。
職場の環境に不満や不安がある
職場の環境に不満や不安があると、モチベーションは低下していきます。社員の実力を最大限出し切るには整った環境があってこそ。給与水準が明らかに低かったり、残業時間が基準よりも多かったり。社員が納得いかない思いで働いていても、生産性は上がりません。
とくに、近年上司と部下のコミュニケーションが希薄になりがちです。世代間にギャップが生じているのも、会話がしにくい原因なのかもしれません。加えて面談を設ける機会も少ないため、部下の不満は募るばかりです。普段感じている思いを言い出しづらいため、結果的に意欲の低下につながります。社内全体で会話が少ない企業は注意が必要と言えるでしょう。
目標設定が高すぎる
目標設定が高すぎる場合も、社員のモチベーションを下げてしまいます。人はゴール地点が見えないとやる気が起きません。「どんなに頑張っても達成できないな」「目標が高すぎて具体的な行動を起こせない」など、意欲が湧いてこないのです。
結果、目標に進むどころか、まったく違う方向へ歩んでしまいます。本ケースは目標設定した企業側が社員のスキルや性格を把握していない点にあるでしょう。漠然と設定しているため、人によってはこのようなハードルが高すぎる目標になってしまうのです。
そのため、経営層や管理者は日頃から社員とコミュニケーションを取り、一人一人の現状やスキルを確認しておく必要があります。
モチベーションマネジメントのメリット
モチベーションマネジメントの利点を解説します。
生産性向上
モチベーションマネジメントによって生産性向上が見込めます。社員一人一人の意識が高まれば、業務内容が濃くなります。例えば、今まで3時間要していた業務が2時間で完成できると、空いた1時間で他の仕事に取り組めるでしょう。
結果、仕事の量と質が向上し、会社全体の売上が伸びていきます。少ない時間で好結果に結び付くため、残業時間の削減や仕事とプライベートの両立化が実現します。業務効率化が見込めれば、社員だけでなく会社全体に好循環がうまれるのです。
従業員の成長を促す
モチベーションマネジメントは従業員の成長を促すメリットがあります。社員自身のやる気が上がれば、業務において好成績が見込めるでしょう。結果が出れば本人の自信へとつながり、大きな成長へとつながっていきます。
順調に育成が成功すると、さらに学ぶ姿勢が身に付いていきます。「営業で目標を達成したから次はエリアマネージャーに挑戦してみたい」「広告事業で結果を出せたのでマーケティングにもチャレンジしたい」など、知識やスキルの吸収意欲が高まるのです。
結果、本人だけでなく、管理職や会社全体の成長へとつながっていきます。目の前の社員一人をやる気にさせるだけで、さまざまな部分に良い影響をもたらします。
人材が定着し離職のリスクを抑える
モチベーションマネジメントへの取り組みにより、人材が定着し離職のリスクを抑えられます。社員一人一人のやる気が上がれば「この会社でもっと働いていたい」「結果を残して恩返ししたい」などと、会社へ残りたい意欲が湧いてきます。
とくに現在は売り手市場であり、人材の確保が困難な世の中です。企業にとっては優秀な人材はどんなことがあっても残ってもらい、一人でも多く優秀な人材に育ってほしいものです。
モチベーションマネジメントでは退職リスクを踏まえ、定期面談や個人スキルの把握を徹底的に行っていきます。一人一人が会社に貢献できる仕組みをつくっていくのです。
モチベーションを高めるには
モチベーションを高める方法は次のとおりです。
適切な人員配置
社員のモチベーションを高めるには適切な人員配置を行っていきましょう。持ち合わせたスキルが置かれた環境に合致すれば、本来の実力を発揮できます。社員本人のやりがいへとつながり、自然とモチベーションは上がっていきます。
反対に、本人の意見を参考にしなかったり、明らかに適正が合わない配置を行ったりした場合、意欲は湧いてきません。
そのため、日頃から社員のキャリアプランについて「将来この会社でどんな仕事をしていきたいのか?」「伸ばしていきたいスキルや能力は何か?」などすり合わせる必要があります。もちろん会社の意向もありますが、本人の希望と環境が合致しているのが最適です。まずは人員配置について見直してみましょう。
従業員のモチベーションを把握する
従業員のやる気は常に把握しておく必要があります。社員の状況をつかめていれば、何か起きた際も軌道修正が可能です。逆に、社員の不満や悩みに気付かなければ、モチベーションを下げる原因へとつながります。そのため、話し合いの場を日頃から設けていきましょう。
中でも、1on1ミーティングは現在注目されている面談方式です。上司から部下へ向けられる一方的な指示や命令ではなく、あくまで双方向のコミュニケーションを目的としています。
部下自身が困っている点を素直に話せる場でもあり、自由な議論が可能です。従業員のモチベーションを把握できる最適な面談方式のため、是非導入を検討してみましょう。
正当な評価制度
社員のモチベーションを高めるには評価制度をあらためて見直してみましょう。制度を見返すだけでも、社員のやる気は大きく変わるはずです。
例えば、不公平感が出ていたり、結果だけに捉われていたりする場合があります。社員全員が納得できるかたちで査定するのが大切です。そのためにも、業績・能力・情意評価の観点から査定していきましょう。
仕事で残した結果だけでなく、本来持ち合わせているスキルも評価対象となります。加えて、本人の勤務姿勢や業務態度も評価に入れると多角的に評価でき、評価に平等感がうまれます。結果、社員が納得する評価となり、自然とモチベーションが上がっていきます。
適切な目標設定
モチベーションを高めるには適切な目標設定を行うのが重要です。目標が高すぎれば意欲を失ってしまいます。反対に低すぎるとやりがいを感じず、社員の成長につながりません。一人一人に合った目標を立て、明確にゴールまでのサポートをしていきましょう。
そのためにも、定期的な面談で状況やスキルの把握を行うのが大切です。社員は日々成長し続けているため、目標に対する考え方も変わっていきます。「以前までは達成が困難だったけど、今なら達成できそう」「取得したスキルを発揮できれば結果を残せる」など、都度設定ハードルは異なってくるのです。
日々意思疎通が図れていれば、社員に合った目標設定が可能になります。結果、納得して目標に向かって業務へ取り組んでくれるはずです。
モチベーションマネジメントで社員のやる気を高めよう
モチベーションマネジメントは社員の意欲をかき立てるための手法です。仕事のやりがいを感じていなかったり、職場環境に不満があったりする場合、従業員のやる気は下がっていきます。
そのためも「置かれている環境が本当に合っているのか?」「日々コミュニケーションを取れているか?」の確認が必要です。改善箇所があれば、評価制度の見直しや1on1ミーティングの導入を検討していきましょう。