承認欲求とは?特徴や承認欲求の強い人のメリット・デメリット、付き合い方まで解説!

承認欲求とは自分自身を認めたい、他者から認められたい、という欲求です。
誰しもが持っている、自然な欲求ではあるものの、あまりに承認欲求が強い従業員には、企業は対処方法を考えたりする必要があります。
本記事では、承認欲求の具体的な特徴や、承認欲求が強い人のメリット・デメリット、そして承認欲求が強い人との付き合い方のコツなどを解説します。
承認欲求とは
承認欲求とは「他者から認められたい」「他者から評価されたい」という人が持つ基本的な心理欲求、願望の一つです。
また、自身の能力を高めたり技術を磨くことで自らのことを価値ある存在として承認したい、という願望でもあり、「尊敬・自尊の欲求」とも呼ばれ、自己肯定感や人間関係に影響を与えます。
本項目では、承認欲求とはどのようなものなのかについて、詳細を説明します。
承認欲求と自己顕示欲の区別
「承認欲求」と「自己顕示欲」は似たような意味で用いられることが多いですが、実は欲求の目的や生じる心理には違いがあります。
承認欲求とは、「他者から認められたい」という欲求であり、他人に評価されたり、褒められることや感謝されることで満たされる傾向にあります。
一方、自己顕示欲とは、「自分の存在や能力を誇示したい」という欲求であり、他人より優位に立ち、周囲の注目を集めることに価値を感じる傾向にあります。
承認欲求の低レベルと高レベルの区別
承認欲求には低レベルの承認欲求である「他者承認」と高レベルの承認欲求である「自己承認」の2つがあります。
では、具体的にそれぞれの承認欲求はどのようなものなのでしょうか?本項目では、それぞれの承認欲求について説明します。
他者承認
低いレベルの他者承認は、他人から認められたいという欲求のことで、他者から注目されることや評価されること、地位や名声を得ることで満たされます。
例えば、より昇進したい、高い役職に就きたい、という「出世欲」も他者承認欲求に当てはまりますが、過剰に求めると自己を見失い、トラブルや周囲とのハレーションを引き起こすこともあります。
自己承認
高いレベルの自己承認は、自分で自分自身を認めたいという欲求のことで、自身の技術や能力、自己肯定感を高めることで満たされます。
従業員の他者承認と自己承認の双方を同時に満たすには、従業員を十分に理解することと、そのうえで従業員一人ひとりに対する適切な育成・スキル開発を行うことが必要です。
マズローの欲求5段階説について
マズローの欲求5段階説は、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが1943年に発表した「人間の動機づけの理論(A Theory of Human Motivation)」で提唱された説であり、「マズローの法則」「自己実現理論」などとも呼ばれています。
マズローは、人間の行動を理解するために、従来の行動主義や精神分析の視点だけではなく、人間の成長や自己実現に焦点を当てる「人間性心理学」の立場からアプローチを行いました。
この理論では、人間の欲求は段階的に発展し、基本的な欲求が満たされることで、より高次の欲求へと向かうとされています。
ただし、完全に段階的なものではなく、ある程度の重なりや同時進行も起こりえることをマズローは指摘しています。
本項目ではマズローの欲求5段階説で提唱された5つの欲求について説明します。
生理的欲求
生理的欲求とは、マズローの5段階説の中で最下層の第一段階の欲求です。
人間が生きていくために必要な欲求であり、具体的には、食事、睡眠、排泄、住居などが挙げられます。
これらの欲求が満たされないと、生命の維持が困難になり、他の欲求を満たすことができないため、非常に重要な欲求といえるでしょう。
安全欲求
安全の欲求は、身体的・精神的な安全や経済的な安定を求める欲求です。
身の安全(健康、住居、衣服、法律・秩序のある社会生活など)や経済的な安定(安定した仕事、貯金、社会保障など)を手に入れ、安心できる環境で暮らしたいという欲求を指します。
安全が確保されることで、より高次の欲求を満たす余裕が生まれます。
社会的欲求
社会的欲求は、他者とのつながりや愛情を求める欲求です。
家族、友人、恋人、職場、コミュニティなどとの関係を築き、帰属したいと願う欲求です。
人間は社会的な生き物であり、他者と関わることで安心感や幸福感を得るため、この欲求が満たされないと、孤独感や疎外感を感じ、精神的な健康にも悪影響を及ぼします。
承認欲求
承認欲求は、他者から評価されたい、自分の価値を認められたいという欲求です。
この欲求は二つに分かれ、一つは賞賛、ステータス、評価、名誉など他者からの承認を求める「低レベルの承認欲求」、もう一つは自己肯定感や達成感を求める「高レベルの承認欲求」です。
この欲求が満たされると、自信が向上し、さらに高い目標に向かう意欲が生まれます。
自己実現欲求
自己実現の欲求は、自分の能力や可能性を最大限に発揮したいという欲求です。
夢の実現、創造的な活動、社会貢献、自己成長などが挙げられます。
この段階では、他者からの評価よりも「自分らしさ」を追求し、自分自身が満足することが重要になります。
例えば、画家が自己表現のために作品を描いたり、起業家が新しい価値を生み出そうとすることが、この欲求を満たす行動の一例です。
承認欲求が高い人の特徴
ここでは、承認欲求が高い人に見られる4つの特徴を説明します。
他人の評価を気にしやすい
始めに、承認欲求が高い人は、周囲からの評価や反応を常に気にしており、他者からの批判や反応の薄さ、無視などに特に過敏に反応する傾向があります。
また、近年ではSNSの「いいね」やコメント、フォロワーの数へのこだわりが非常に強い人も見られ、こういった人もこの特徴に当てはまると言えるでしょう。
競争意識が強い
また、承認欲求が高い人は、他者と自身を常に比較し、自身が常に上位にいたいと考える傾向があります。
自身が常に上位にいると示すために、成績や実績を周囲にアピールする一方で、他者に負けることや失敗することを過剰に恐れる傾向があることも特徴です。
周囲に依存しやすい
続いて、自身の考えや意見ではなく、他者の意見を重視する傾向があり、自身の意見が認められないと自信を失ってしまうという特徴もあります。
職場においては、上司や同僚の評価を気にしすぎたり、自身の意見が否定されるのを恐れるあまり、自身で強いプレッシャーを生み出してしまうこともあります。
承認されないと不安や不満を感じやすい
最後に、他者からの承認を求めるがゆえに、他者に承認されないと自分への価値を感じられず、不安や不満を感じ、やる気を失ってしまう傾向があります。
極端な場合は、他者からの承認を得るために過剰なアピールを行ったり、自己顕示欲が強くなってしまうケースも見られます。
承認欲求が強くなる原因
これまで、承認欲求の概要について説明しましたが、承認欲求が強くなる原因はどういったものがあるのでしょうか。
今回は主な原因を4つに分けて説明します。
過去の成功体験
過去に他人から大きな承認を受けた経験があると、その評価を維持したいという思いが強くなり、承認が得られない状況に不安や焦りを感じることがあります。
成功体験が忘れられず、常に賞賛を求めるようになってしまったり、賞賛されることが当たり前と考えるようになってしまうことも少なくありません。
特に、社会的地位や影響力がある人ほど、この傾向が顕著になり、評価が下がることを恐れて過剰に承認を求めるようになります。
自己肯定感の低さ
自己肯定感が低い人は、自分の価値を他者の評価に委ねがちです。
自分に自信が持てないため、外部からの称賛や承認を得ることで、自分の存在意義を確認しようする傾向があります。
また、失敗や批判を過度に恐れたり、完璧主義になってしまったりと、他者からの承認が唯一の安心と感じるようになります。
幼少期の経験
幼少期の家庭環境や親との関係は、承認欲求の強さに大きく影響します。
例えば、親に褒められることや評価されることがなかったり、兄弟と比べて肯定的な言葉が少なかったなど、十分な愛情や承認を得られなかった場合、自分の価値を感じられず、承認欲求が強くなる傾向があります。
承認の機会が少ない環境
職場や家庭などで適切な評価や承認を受ける機会が少ないと、人は不足を感じ、承認欲求がより強くなります。
例えば、努力しても評価されない職場環境では、「もっと認められたい」という気持ちが強まり、過剰なアピールや承認欲求の増大につながることがあります。
家庭での感謝の言葉が少ない、友人・恋人のリアクションが少ない、などもこの原因につながります。
承認欲求が強い人の特徴とメリットとデメリット
これまで説明してきた通り、承認欲求には低レベルのものと高レベルのものがあり、また、その強弱も人によって異なります。
特に、承認欲求が強い人は、周囲の反応を意識しながら行動する傾向があり、その特性が長所にも短所にもなります。
本項目では、承認欲求が強い人のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
承認欲求が強い人のメリット
承認欲求が強い人は、周囲から認められたいという気持ちから、向上心が強く、成長意欲が高いため、他者の評価を意識することが自己成長につながり、成果を出すために継続的に努力を重ねます。
また、他者からの評価や人とのつながりを意識するため、周囲とのコミュニケーションが活発になり、良好な人間関係を築きやすい点もメリットです。
承認されることが目標となるため、高いモチベーションを維持し、困難な状況でも継続的に挑戦し続ける力を持っています。
承認欲求が強い人のデメリット
承認欲求が強い人は、他者の評価に依存しやすく、他者からの評価に一喜一憂する傾向があり、否定的な意見や批判を過剰に気にしてしまい、メンタルが不安定になることがあります。
また、完璧を求めすぎることで自分を追い込んでしまったり、周囲の期待に応えようとするあまり、本来の自分を見失い、自分の意見を伝えられなくなってしまうというデメリットもあります。
職場での承認欲求の強い人との付き合い方
職場には、承認欲求が強く、他者の評価を気にする人が一定数存在します。
承認欲求が強い人には前項で述べたメリット・デメリットがあり、適切に対応しないと、人間関係のストレスや職場の雰囲気の悪化につながることもあります。
本項では、承認欲求の強い人と良好な関係を築き、メリットを引き出すための具体的な対処法について解説し、円滑なコミュニケーションを行うためのポイントを紹介します。
適度に承認し、モチベーションを上げる
「承認欲求が強い=認められたい気持ちが強い」ため、小さなことでも適度に評価をし、承認することが重要です。
そうすることでモチベーションがあがり、成長・成果に繋げることができます。
一方で、過剰に持ち上げすぎると承認に依存されてしまい、承認がなされない場合にモチベーションの低下につながってしまうため、バランスが重要です。
競争心や嫉妬心を刺激しない
承認欲求が強い人は、他者と比較して優位に立ちたいという気持ちを持ちやすいため、不必要に競争心や嫉妬心を刺激しないことが大切です。
特定の人だけを特別扱いすると、不公平感を抱かせ、対抗意識やネガティブな感情を引き起こす可能性があります。
そのため、評価や承認はできるだけ公平に行い、平等な対応を心掛けることが円滑な関係構築につながります。
ほどよい距離感を保つ
承認欲求が強い人に過度に関わると、承認を求めて頻繁に頼られたり、依存される可能性があります。
その結果、対応に追われて負担が増えたり、人間関係のバランスが崩れることもあります。
適切な関係を維持するためには、必要な時にしっかり対応しつつも、常に関与しすぎず、ほどよい距離感を保つことが重要です。
相手が承認欲求を求める人だと把握する
相手が承認欲求を強く持っていることを理解することで、その人の言動や反応に対して冷静に対応しやすくなります。
「この人は自己承認欲求が強いから」と認識することで、必要以上に振り回されることなく、適切な距離感を保ち、付き合うことが可能になります。
自己肯定感を高めるサポートをする
承認欲求が強い人は、「他人の評価」に依存しがちで、認められないと不安を感じやすい傾向があります。
そのため、他者からの承認がなくても大丈夫だという意識を持てるように促し、自己承認の大切さを伝え、自己肯定感を徐々に高めるサポートをしていくことが重要です。
承認欲求は落ち着くことがあるの?
承認欲求は誰もが持っており、完全に消すことはできませんが、適切に満たされることで緩和される傾向があります。
食欲のように、満たされない状態が続くと欲求が強くなり続ける一方で、適度に満たされると落ち着くことがあります。
そのため、職場においても承認欲求が強い人の欲求を適切に満たすことが重要です。
承認欲求と向き合い、その力を上手に活かそう!
承認欲求が強いことは決して悪いことではなく、周囲や自身の理解・行動によりプラスに働くことも多くあります。
特に職場環境内では、承認欲求の強い人は高いモチベーションを持ち、成果を出そうと努力する傾向があります。周囲がその特性を理解し、適切に対応することで、能力を最大限に引き出すことができ、貢献をもたらしてくれる可能性があります。
当社が提供するサービスのスキルナビは、スキルマネジメントを通して従業員の最適配置やスキル評価を適切に行うことが可能です。
管理項目の一部に、各従業員の適性や性格を管理する項目を設けることで、企業として承認欲求の強い従業員を管理し、育成施策などに適切に落とし込むことができます。
適切な育成施策の実行で、承認欲求が強い本人、および組織成長につなげることが可能です。
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