新卒離職率は30%越え!?新卒の離職理由や早期離職を阻止する対策
大変な就職活動を乗り越えて企業に就職した新卒社員が、早期に離職するケースは毎年後を絶ちません。入社初日に退職を決断する人もいるようで、人材の確保・育成への多大な投資をした企業にとっては、新卒の離職率を以下に下げるかが課題となっています。
また、投資が無駄になるだけではなく人員配置や正常な事業運営にも影響を及ぼします。
新卒社員の離職は早期離職とはいえ、企業にとってのダメージは大きいです。この記事では、新卒の離職率や理由、早期離職を阻止する対策について解説していきます。
早期離職の定義は新卒から「3年以内」
「早期離職」の定義は、入社後3年以内に離職することを一般的に指しています。2010年に「青少年雇用機会確保指針」が改正され、少なくとも学校卒業後3年間は新卒採用枠での応募を可能とする措置が要請されたことが背景とされています。
厚生労働省では「新規学卒就職者の離職状況」の中で、新卒社員が就職後3年以内に離職する率(離職率)を毎年公表しています。
離職率の計算式は「離職率=就職後3年以内で離職した人数÷入社日に新卒として入社した人数×100」となっています。
厚生労働省のデータから見る新卒の離職率の推移
2019年10月に厚生労働省から公表された、2016(平成28)年3月の新規大卒就職者の離職状況では、1年ごとに1割強の人が離職し、最終的な離職率は32%となっています。
就職氷河期と呼ばれる1999年~2005年のデータを見てみると、新卒の離職率が35%前後で推移していますが、入社1年以内での離職者が全体の4割に達しています。これは就職難によってミスマッチが起きた状態で雇用された新卒の人たちが離職した結果ととらえることができます。
リーマンショックの影響から脱した2010年以降は、32%前後の離職率で比較的安定しています。
新卒の離職率は平均3割
2016年3月の新規大卒就職者の離職率は32%です。この数値は事業所の規模や産業別の離職率を平均した数値です。
■企業規模別3年離職者率
従業員5人未満企業 56.1%
従業員5~29人企業 51.1%
従業員30~99人企業 40.1%
従業員100~499人企業 33.0%
従業員500~999人企業 29.9%
従業員1000人以上企業 26.5%
事業所の規模別になると規模が大きくなるほど離職率が下がり、従業員5名未満の事業所における離職率が57.7%と高くなっています。
■産業別3年離職率
宿泊業・飲食サービス業 64.2%
生活関連サービス業、娯楽業 59.7%
教育、学習支援業 55.8%
小売業 49.5%
医療、福祉 47.0%
建設業 45.8%
不動産業、物品賃貸業 43.8%
サービス業(他に分類されないもの) 43.8%
情報通信業 40.8% 卸売業 40.5%
学術研究、専門・技術サービス業 39.5%
運輸業、郵便業 36.1%
複合サービス事業 30.7%
製造業 29.2%
金融・保険業 28.4%
鉱業、採石業、砂利採取業 23.7%
電気・ガス・熱供給・水道業 12.0%
また、産業別の離職率を見てみると、電気・ガス・熱供給・水道業の離職率が9.2%と一番低く、エネルギー業界は人材定着がうまくいっているといってよいでしょう。
宿泊業・飲食サービス業(50.4%)を筆頭に、医療・福祉(39.0%)や小売業(37.4%)などのサービス業の離職率が平均を上回っており、人材の流動が盛んとみることができるでしょう。また、雇用のミスマッチが発生している可能性もあります。
⇒離職率について詳しく知りたい方はこちら
新卒の離職理由
若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ(第2回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)|独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)で紹介されている離職率の上位10位を見ていきます。
1位:労働時間・休日・休暇の条件
2位:肉体的・精神的な理由
3位:人間関係
4位:賃金条件
5位:やりたい仕事内容ではなかった
6位:キャリアアップのため
7位:会社に将来性がなかった
8位:仕事がうまくできず自信を失った
9位:結婚・出産のため
10位:ノルマや責任が重すぎた
上位の結果をみると、1年未満で離職する人は、入社前の理想と入社後の現実にギャップを感じてしまう人が多いようです。就職活動中に思い描ける仕事内容には限界があり、実際に働き始めてから「この仕事がしたいのではなかった」と感じることが多いのでしょう。
新卒の離職防止のための施策
早期離職を防止する上で有効な、施策を紹介します。
メンター制度
メンター制度を導入は、新入社員の仕事上・生活上の悩みを気軽に話せる存在を作ることができ、結果的に新入社員の成長の支援を行えます。
メンターには、別部署に所属する入社5年〜7年目の社員が適任といわれていますが、業務の悩みを共有するという点に関しては同じ部署の先輩のほうが良い場合があります。社内や各部署の教務内容によって臨機応変に指名する必要があります。
キャリアデザインの作成
キャリアデザインは自分の将来像を描き、業務への積極性と向上心を高めることを支援する目的作成されます。
企業が求める能力や人物像も含め、短期目標・長期目標を新入社員と決めていくことで、早期離職の防止に有益になるとされています。
また、「サクセッションプラン」を導入することも、長期勤続へのモチベーションを高める効果的な施策といえます。
相談窓口の開設
一部社員による不正行為やハラスメント行為に備えたコンプライアンス通報窓口を開設することも必要です。いつでも相談できる窓口があることで、新入社員はもちろん既存の社員にも安心感を与えることができます。
人事評価制度の整備
正しい評価がされないと離職に繋がる可能性が高くなります。人事評価制度を整備することで、行動特性を分析しながら、本人の能力を引き出して将来の成長につなげることも可能になります。
また、人事評価を正しく行うことで新入社員の早期離職を防ぐだけでなく、企業全体のやる気と生産性を高めることができます。
人事評価制度の整備は人事評価システムがおすすめ
早期離職防止のためにも、人事評価制度の整備は欠かせません。しかし、エクセルや紙での社員管理や評価管理には限界があります。
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