OKRの設定方法とは?注意点や成功事例を紹介!
OKRとは、目標を管理するうえでの手法の1つで、O(Objective=目標)とKR(Key Results=主要な成果)を設定し、目標の設定から成果の確認、評価の流れを高い精度で行うことを指します。さらにOKRは、目標を企業単位や個人単位で設定できることが特徴となっています。
近年ではメルカリやGoogleなど、多くの企業がOKRを取り入れたことにより、日本でも主流な目標管理方法となりました。企業内のチームのパフォーマンスを向上させるOKRの効果をもとに、導入を検討している企業も多くあるかと思います。
今回は、OKRの設定やそれにかかる時間、注意点や成功事例を詳しく解説します。
OKRの設定にかかる期間
OKRの設定に取り掛かるときは、あらかじめ設定にかかる時間やスケジュールを想定しておくと、スムーズに進めることができます。もちろん企業の規模や対象とする社員数にもよりますが、「OKRの設定は運用開始の三か月前から」「企業全体、部門、個人の設定にそれぞれ1ヵ月ずつ期間を見込む」という認識を持っていれば、余裕を持ったOKRの設定が可能になると考えてよいでしょう。
OKRの設定手順
では、実際にOKRを導入、設定する際にはどのように行えばよいのでしょうか。ここでは、OKRの設定手順4つを順番に紹介します。
- 企業の目標=Oを決める
- 企業の成果目標=KRを決める
- グループた個人の成果目標=OKRを決める
- 定期的な見直しを行う
1.企業の目標=Oを決める
OKRの設定手順として、まず始めに企業の目標=Oを決める必要があります。OKRを設定する際に重要となってくるのが、目標の一貫性を持つことです。段階ごとに目標を立てていく際に一貫性がなければ、社員が協力して同じ目標に向かって行動するということは難しくなってしまいます。また、企業としての目標を設定する際には、企業に勤める社員の理解を得やすいものにすることが良いでしょう。
2.企業の成果指標=KRを決める
Oを設定したら、次は企業の成果指標=KRを決めていきます。KRは目標を達成するための指標であり、企業が定めた目標との関連性が高いものである必要があります。設定した目標を達成するために欠かせない指標はどのようなものであるかを検討しながら決めていきましょう。
KRはあまり多く設定しすぎてもかえって目標達成が困難になってしまうため、大きく影響を与えるものを厳選し、最終的には3~5つに絞り込むと良いでしょう。
3.グループや個人の成果指標=OKRを決める
グループや個人での成果目標=OKRを設定する際には、先ほど定めた企業のOKRとの矛盾がない目標を2~3個決めることが重要になります。ある程度難易度が高い目標を設定すると、モチベーションの維持や向上にも繋がるので、6~7割程度達成できる見込みのある目標を設定すると良いでしょう。
4.定期的な見直しを行う
OKRを設定し、そのうえで更に定期的な見直しを行わなければ、個人や企業の成長にはあまり効果が出ない可能性があります。そのため、例えば週1回にミーティングを行って社員一人一人のOKRを確認すると、企業に合わない目標を設定していないかなどの判断が可能になります。また、週末にフィードバックを行うことで、社員の進捗確認や設定した成果目標は適切かどうかを確認することができます。
Oを設定する際の注意点
OKRを設定する際に最初に決める必要のあるOですが、どのようなことに注意すればよいでしょうか。そもそもOを決める際には難しく考える必要はなく「チームで実現可能な目標か」「期限が明確に示されているか」「6~7割が達成できるものか」の3つを重視して行うのが良いでしょう。そして、目標は明確かつ数字では表現できないものを設定しましょう。
今回はOを設定する際に注意すべき点を2つ紹介します。
- 維持・継続は使わない
- 目標を具体的に決める
維持・継続は使わない
Oを設定する際に「維持すること」や「継続すること」といった表現は使わないようにしましょう。目標はより高みを目指すものである必要があります。仮に維持や継続が必要な目標でも、このような表現は避けるようにするのが良いでしょう。
目標を具体的に決める
あまりに抽象的な目標を設定してしまうと、KRを設定することが困難になってしまう可能性があります。目標が具体的なものであれば達成度も高くなると言われているので、達成後がイメージしやすい具体的な目標を設定しましょう。
KRを設定する際の注意点
Oを設定することができたら、次はKRを設定します。KRはOの達成度合いを測るものであるため、数字で表すことのできるものが良いでしょう。「Oを達成できたとわかる」ためのKRなので「何をもってOの達成であるか」を想定し、具体的に設定することが重要になります。
ここでは、KRを設定する際の注意点1つを解説します。
成果を達成できる自信度を付け加える
数字で表すことのできるKRを設定したら、その数字を達成できるという自信度を付け加えましょう。例えば自信度が10段階あるうちの5であれば、適切なKRであると言えます。
また、OKRは一度設定したら期限までそのままにしておくのではなく、毎週のミーティングなどで確認するようにしましょう。そうすればKRの自信度も更新され、達成のためにやることが明確になります。
OKRの効果を発揮するために重要なこと
OKRの効果を最大限発揮するためには、常にOKRを意識すること、そして改善を続けていくことが重要になります。
OKRは達成度が6〜7割程の難易度の高めな目標を設定し、、達成度の指標を明確化することによって、普段以上のことを達成する目標管理の手法です。他の手法とは違い、目標に向かってチームや個人が自主的に最大限の力を発揮するために作られています。
どんな目標管理手法も、それを行う企業や人次第で効果は大きく変わります。使い方を間違えてしまうと、想定通りの効果は期待できないこともあるでしょう。今回は、OKRの効果を発揮するために重要なこと2個を解説します。
立てた目標を忘れない
OKRを達成できない理由としてよく挙げられるのが「せっかく設定したOKRを忘れてしまう」ことです。定期的にミーティングを行い、その都度OKRを確認するのが良いでしょう。また、KRの達成度も定期的に確認することで、自信度の向上にも繋がり、社員の状況の把握が容易になります。
目標を途中で変更しない
Oを期間内に変更してしまうと、Oに向かって努力していたチームや社員のモチベーションが減少してしまいます。また、企業への不信感も強まってしまう可能性があるので、Oを途中で変更することは避けましょう。
Oを変更する際は、一度達成した後に、その結果を踏まえて次のOを設定しましょう。
OKRの成功事例
ここでは、実際にOKRを導入し、成功した企業の例として2つを紹介します。
- メルカリ
メルカリ
大手フリマサイトのメルカリが、OKRの設定で重要視している観点は以下の2つです。
- 達成率が50%程度のOKRを設定すること
- ワクワクするOKRにすること
メルカリは、個人単位でOKRを設定する際にはマネージャーが大きく関わります。企業のOKRは高く設定することが可能であっても、個人のOKRまで反映させると、通常業務に視点をあてがちになってしまい、現実的なOKRができてしまうという課題があります。これに対してマネージャーは個人とミーティングを行うことで、その都度適切なアドバイスを与え、解決することを得意としています。また、「KRを考慮する上で、全てが50%程度の達成率のものである必要はない」と述べています。これは難しい目標だけを設定して社員のモチベーションが減少することを危ぶみ、適度なバランスでKRを設定しています。
このように、OKRの基礎と企業独自の手法を組み合わせることも重要であると言えます。
GoogleにおけるOKRの設定は、様々な役職の社員が提案できる仕組みになっています。経営者やリーダーだけでなく、全社をあげて企業の目標を構成するのがGoogleのOKRに関する特徴です。
また目標設定の面では、Googleは以下の4個をおさえていることが必要であるとしています。
- 具体的であること
- 客観的であること
- 達成に価値のあること
- 達成度が60〜70%に落ち着きそうな、ストレッチゴールであること
これらを遵守した企業のOKRを設定したあと、個人単位でのOKRを設定します。そして設定したOKRは全社で公開される仕様になっています。
Googleでは、OKRを評価する場面は1.5ヶ月に1回で、再構成することもあります。
健全性指標
OKRとは別に、健全性指標を設定する必要もあります。健全性指標とは、OKRには記載がないものの、OKRには欠かせない指標のことを指します。健全性目標は青・黄・赤の3段階で評価され、赤に近いほど危険度が高いものとなります。
例えば、Oを「市場における価値向上」と設定し、KRを「業績〇%アップ」「新規顧客△名獲得」とせってしたとします。以上の目標には「チームの健康」などが含まれておりません。どんなに良いOKRを設定したとしても、チームにストレスを与えてしまうものであれば、再構成の必要があります。その他には「顧客満足度」なども挙げられます。
注力したい項目をOKRに設定した場合、健全性指標は目的達成などの有無に関わらず、注視しておく必要があります。
適切なOKRを設定し、生産性を向上させましょう
OKRは、目標を企業やチーム、個人ごとに設定することが魅力の1つであると言えます。つまり、1つの目標に対して様々な視点で、達成に向かって主体的に行動することができます。
適切な目標の設定を行うことで、企業や個人の生産性をさらに向上させることが可能になります。今回の記事を参考に、OKRの設定を行ってみてはいかがでしょうか。