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組織開発の目的とは?人材開発との違いや手法や流れについて解説!

組織開発

企業などの組織は、従業員数の増加や、新しい事業の拡大などによって変化していきます。従業員同士の関係性や相互作用によって企業の成長につなげていくことを組織開発と言い、日本の企業の複雑化した課題を解決する取り組みとして、近年注目を浴びています。ここでは、組織開発の目的や、人材開発との違い、手法や導入の流れ、事例など様々な点を解説します。

組織開発とは

英語では、「Organizational Development」と呼ばれます。従業員など会社や組織に所属している人の手によって、その組織をよりよくしていくことを「組織開発」と言います。従業員同士の関係性によって、組織を活性化し、それぞれの能力を引き出すことにつながり、組織としての力も向上することを目指します。

組織開発の目的

組織開発の目的は、それぞれの相互作用によって、組織が良い方向に活性化し、従業員のモチベーションを向上させ、組織としての生産性向上へつなげることになります。人事においては、現場の業務上の問題や課題を把握し、組織に変化をもたらすことが必要になります。

組織開発が注目されている理由

組織開発は、欧米から取り入れられたものです。日本では、終身雇用など成果主義への移り変わりや、雇用の流動化による従業員の多様化、一人で業務を進めるように変わっていったことによって、人同士の関係性が変化し、コミュニケーション不足による弊害が起きました。そういった問題を改善するために組織開発が注目されるようになりました。

組織開発と人材開発の違い

「組織開発」という言葉のほかに、「人材開発」という言葉があります。両者にはどのような違いがあるのか説明します。

人材開発とは

人材開発とは、組織に所属している従業員などの人材の能力やパフォーマンスを向上させることです。研修や、OJT、実習、キャリア開発といった教育を行うことで、人材のスキルを高め、能力の向上を目指します。

取り扱う対象の違い

人材開発では、従業員などの「人」を対象にしています。一方、組織開発では人同士の「関係性」や「相互作用」が対象になります。人材のスキルの向上だけでなく、組織を、一つのシステムとしてとらえることによって、従業員同士の関係性やグループ間の関係性といったものが見えてきます。

アプローチの違い

人材開発では、課題の原因を従業員個人に求めます。それに対し組織開発では、課題の原因を、人やグループの「関係性」に求めています。従業員は、それぞれ役割や方向性が異なるため、協力関係が築けないと組織の成長も伸び悩んでしまします。それを改善するために、研修や会議を開き、関係性を向上させていくことで、組織をより良いものに変えていきます。

組織開発のフレームワーク

組織開発の進め方としてのフレームワークを何点か解説します。

ミッション・ビジョン・バリュー

「企業理念」を構成する三つの要素のことを指します。組織の存在意義であるミッション、組織が目指す姿であるビジョン、価値観や行動指針のバリューを定義し、「MVV」とも呼ばれています。組織の存在意義を明確にし、浸透させることによって、組織開発を進めることができます。

タックマンモデル

心理学者のタックマンが提唱したフレームワークのことです。チームメンバーが「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」「散会期」の5つの成長段階を経て、チーム形成のステップをモデル化しています。メンバーは混乱や衝突の経験によってお互いの価値観等を理解し合い、結束力のあるチームへ成長すると考えます。チームビルディングを行うことで、チーム内のコミュニケーションが活発になったり、モチベーション向上や新しいアイディアなどの効果があります。

7S

マッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱したフレームワークです。「戦略(strategy)」「組織構造(structure)」「システム・制度(system)」「共通の価値観・理念(shared value)」「経営スタイル・社風(style)」「人材(staff)」「スキル・能力(skill)」の7つの経営資源の相互関係を表します。これらを基に、その企業の最適な戦略を考えることが可能です。

コーチング

答えを与えるような「ティーチング」とは異なり、コーチングとは、その人自身で解決策や気づきを得られるように、傾聴や観察、質問、提案を行い、目標達成に向けた行動をサポートします。そのため、ティーチングより、コミュニケーションが活発になります。

ワールドカフェ

カフェのようにゆったりとした雰囲気の中で自由に議論ができるフレームワークです。社内の会議の中には意見やアイディアを話しづらいといったことがありますが、ワールドカフェではそのような問題を解決でき、活発に議論ができるミーティングの実施が期待できます。

アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)

質問や探求によって組織の発展を促すフレームワークです。従業員などへの質問から、強みや情熱といった気づきやポテンシャルを発見したり、視野を広げ、組織のイメージを共有し、発展させるためにアクションプランを作成します。従業員の可能性を広げることで、企業の変化を引き起こすことができます。

⇒組織開発のフレームワークについて詳しく知りたい方はこちら

組織開発の流れとポイント

組織開発を行っていくためには、次の流れに沿って進めるのが良いでしょう。

①組織の目的、現状の把握

組織開発はあくまでも手段ですので、組織としての目的か何かを明確にします。組織の問題は、あいまいな表現が多いため、組織の課題を設定するためにも、現状の事実を確認する必要があります。従業員へのインタビューやアンケートを取って、組織の現状を把握します。

②課題設定

次に、課題の設定を行います。組織の課題には、複数の原因が絡み合って複雑になっているケースが多くあります。様々な角度から検証を行うために、従業員への意識調査やインタビューを行い、課題を絞り込む必要があります。

③アクションプランを検討し、試験的実施

次に、問題解決のためのアクションプランを検討します。想定外の状況が起きる可能性や、いきなり組織全体に展開した場合の影響のリスクから、まずは、スモールスタートで始めると良いでしょう。特定部門に絞って、ワークショップ等を実施します。

④効果検証とフィードバック

試験的に実施した後は、その効果を検証し、フィードバックを行います。よりタイムリーに行うことによって、組織開発陣のモチベーションが向上し、さらに適切なアプローチ方法見直すことが可能となっています。

⑤成功事例を組織全体に展開

成功した場合、成功事例のポイントを整理します。その後、成功事例を全社に展開していきます。ワークショップや会議のファシリテーター向けにマニュアルの整備を行ったり、成果を共有するための制度の構築も行います。全社に展開後も検証とフィードバックを行い、施策のさらなる改善やモチベーション向上も目指すことができます。

組織開発している企業の事例

ここでは、組織開発を実際に行っている企業の事例を紹介します。

株式会社メルカリ/バリュー実現のためOKRを導入

株式会社メルカリが掲げる3つのバリューの中に「All for One(すべては成功のために)」があります。子のバリューを実現する手段としてOKRを導入しています。「OKR」と全社共通の価値観「Value」の軸で、達成状況を確認しています。

パーソルキャリア株式会社/新たなミッションバリューの制定

「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」というミッションと、「“はたらく課題”と“ビジネス”をつなげてとらえ、自分ゴトとしてその解決プロセスを楽しむ」というバリューを新しく定めました。従業員一人一人がこのミッションとバリューに向きあうことで、個人や組織が成長するような組織開発を行っています。

ヤフー株式会社/1on1ミーティングでコーチングの実施

ヤフーでは、上司が部下にコーチングの手法で問いかける「1on1ミーティング」を実施しています。また、部下には「上司の1on1はどうだったか」とアンケートを取り、上司のフィードバックも行っています。それにより業務改善に役立っているという結果が出て、組織開発に成功した事例となります。

Goodpatch(グッドパッチ)/エンゲージメントスコア上昇

グッドパッチは、企業の急成長により従業員が増加した結果、社内の雰囲気が硬化してしまいました。それを解決するために、必要な知識や技術を全体で共有するナレッジシェアリングを行い、グループの円滑化や、企業バリューの見直し等による組織開発を行いました。その結果、社内でのエンゲージメントスコアが上昇しました。

⇒組織開発の事例について詳しく知りたい方はこちら

組織開発をコンサルタントに依頼するなら、選び方の3つのポイント

組織開発によって課題解決を図るために、専門のコンサルティングサービスを利用する方法もあります。依頼時の選び方のポイントを以下で説明します。

カスタマイズ性

組織の課題は複雑であり、企業によって異なるため、顧客の多様な課題に対応できる方が結果を出しやすいと思われます。コンサルタントを選ぶ際には、自社の課題を解決するためのカスタマイズの必要性がどれくらいあるのかを踏まえて検討すると良いでしょう。

担当者

組織・人事コンサルタントの専門領域は、さまざまになるため、担当者やファームによって異なります。依頼する際には、目的を明確にし、専門分野が自社の課題に合うようなコンサルタントを選びましょう。

実績

実績の有無も確認する必要があります。大手や中小企業などといった得意分野があるため、自分と似たような組織の成果があるかといった点や、途中で打ち切りになってないかといった面でも確認すると良いです。

⇒組織開発のコンサルティングについて詳しく知りたい方はこちら

組織開発が学べるお勧めの本

組織開発について学びたい方のために、お勧め本を何冊か紹介します。

初級編

初めて組織開発を学ぶ方向けの本を紹介します。

中村和彦『入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる』光文社

組織開発の第一人者が執筆した書籍になります。組織開発の理由や特徴から手法などといったことまで事例を交えて紹介しています。全体像を理解するのに良いです。

加藤雅則『組織は変われるか--経営トップから始まる「組織開発」』英治出版

日本の企業の特徴を踏まえた組織開発の手法を紹介している書籍です。実在した企業をもとにしたストーリーとなっています。役員合宿や、ワークショップ設計の具体的方法など、実践的な内容が書かれています。

中級編・上級編

次に、組織開発の応用編や実践方法などのおすすめ本を紹介します。

ジャルヴァース・R・ブッシュ/ロバート・J・マーシャク『対話型組織開発――その理論的系譜と実践』英治出版

対話型組織開発の専門書です。日本ではまだ発表されていない手法や概念が記されています。事例も一部署から全社まで様々な内容が紹介されています。

中原淳/中村和彦『組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす』ダイヤモンド社

組織開発が生まれたきっかけや変遷、実践の具体的手法などを解説しています。実際の企業の事例がケーススタディとして載っています。「初級編」「プロフェッショナル編」「実践編」分かれているため、読みやすくなっています。

組織開発のセミナー

組織開発についての講座やセミナーも各地で開催されています。近くで開催されていない場合、「リクルートマネジメントソリューションズ」や、「Schoo」が開催しているオンラインセミナーの受講も可能となっています。

特定非営利活動法人OD Network Japan

これから組織開発を学習する方向けに体系的に学ぶことができる基礎講座と、ロールプレイに参加して組織開発の手法を体感できる実践講座の2つのタイプのセミナーを実施しています。

日本能率協会JMAマネジメントスクール

日本能率業界JMAは、マネジメントに関する調査や研究などを行う一般財団法人法人になります。公式際より多様なセミナーが記載されているため、必要なセミナーを選択できます。検索方法が豊富にあります。

スキルナビで組織開発のフレームワーク利用

組織開発は、企業などの組織が発展していく中で、重要な役割を担っていることがわかります。現状発生している社内の複雑化した問題も、もしかしたら組織開発によって解決できるかもしれません。人事のサポートによって従業員が主体的に行動し、組織の活性化につなげられることができます。実際に組織開発を導入するためには、さまざまな人材の管理が必要になります。スキルナビの導入で管理する負担が少なくなるかもしれません。