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アウトプットとは?実施する際のポイントやインプットとの違いを解説

学生や社会人に限らず、どのような方も新しいことを学習したり体験したりすることは重要です。

しかし、ただ学んだだけで終わりにすると、手に入れた知識や体験をうまく活かすのがむずかしいでしょう。得られたものを自分のなかに定着させるには、アウトプットを行う必要があります。

この記事では、その理由ややり方のポイントについてご紹介します。

アウトプットとは

アウトプットとは、勉強や体験によって獲得した知識を共有したり、活用したりすることです。

アウトプット(output)の意味

本来は「出力・送信」などの意味を持っている言葉であり、その反対は「インプット」と呼ばれます。

元々はPCの用語として用いられてきましたが、徐々にビジネスの領域でも使用されるようになりました。その際の意味は「伝える・書く」など、行動に落とし込むことを指すケースが多いです。

たとえば、データ収集によって集まった情報をまとめる業務があるとしましょう。その場合、データ収集はインプット、情報をまとめる業務がアウトプットといえるでしょう。

アウトプットの目的

学習したものを反映してより多くの知識を吸収し、結果につなげるのがおもな目的です。

現在では「業務の生産力を向上させるために、どれだけ学びが反映されているかを測定する指標」という意味で用いられることが多いです。

そのため、得られた知識や体験を吸収して、どのくらいの効果が得られているかを測るために活用されています。

アウトプットとアウトカムの違い

アウトカムとは「影響」や「作用」などの意味があり、自身を中心とした行動によって生まれたもの、という捉え方ができます。

たとえば、収集したデータをまとめる作業をアウトプットだとしたら、まとめ終わった書類自体がアウトカムといえるでしょう。

本来、それぞれの言葉の意味は違いますが、場合によっては同義語として使用される場合もあります。

アウトプットとインプットの違い

これらの言葉は、それぞれ反対の意味を表す言葉です。たとえば、資格を獲得する場合、それに向けて学習を行う行動が後者の言葉です。手に入れた資格を仕事で活用するのが前者の言葉です。

前者によってスキルや知識をうまく活用して、はっきりとした成果・成績が表れることで、はじめて明確な結果が得られたと実感できるのです。

後者では結果を得られておらず、その前の段階といえるでしょう。

アウトプットのメリット

ここでは、利点について詳細にご紹介します。

スキルや能力の定着

吸収したスキルや学びを浸透させるには効果的といえるでしょう。

他の方に内容を伝えたり、文に直したりするには、今のデータをわかりやすく組み立てる必要があるのです。理解をしていない部分や足りていないデータがあると、共有が不十分となる恐れがあります。

自分が内容を把握しているかを確認するためなので、都度共有を実施する場を作ることも重要です。

理解度が高まる

得られたスキルや学びを自分のなかで整頓して共有するため、物事の理解度が高まります。たとえば、むずかしい問題に遭遇したとき、自身のなかで完結させるよりも他人にアドバイスを行った方が頭に残りやすいのではないでしょうか。

ミーティングなども同様で、頭でいろいろと考えているだけでは、途中で迷走してしまうこともあります。しかし、他人に向けて考えを伝えると、徐々に思考が明瞭になるのです。

信頼を得ることができる

他の方と知識やスキルを共有することで、周囲の信頼度が高まるのも大きな利点といえるでしょう。アドバイスの質が高いと業務の成績アップにもつながり、上司からの期待も上がります。

その他の場面でも、自身の持っているスキルを活用できるようになれば、新たなビジネスのきっかけが生まれることもあるでしょう。

このように、情報の共有は自分にとっても有利な方向に向かいやすいのです。

インプットの質を確認できる

周囲に伝えたり、文言を書いたりすることで、学習した物事の質をチェックできます。さまざまなものを吸収したと思っても、実はそれが活かされていないケースもあるのです。

吸収したものを表面的に表すことで、不足している点を見つけたり、ブラッシュアップする必要があったりする点に気づけます。この繰り返しによって、より精度の高い結果につながるのです。

生活の中で様々な気付きを得ることができる

日常のなかで新しい発見を見つけられます。たとえば、日々さまざまな領域についての記事を書く仕事の方は、普段の生活のなかで何かしらの発見がないかを探すことが多いでしょう。

常に新しいネタを察知するアンテナを立てることで、少しの変化でも敏感になるのです。この考え方を継続すれば、さらなる考えや探索力が磨かれるでしょう。

キャリア構築につながる

今まで吸収した体験や知識を伝えることで、今後の経歴の可能性を広げられます。

たとえば、業務をそつなくこなせるだけでなく、誰かに的確なアドバイスができたとしましょう。このスキルが認められれば、新人教育の担当や後輩を指導する役割を任される可能性もあります。

何かを的確に伝えるスキルは仕事だけでなく、幅広い場面で活躍ができるのです。

自己効力感や自信につながる

体験や学びから得られたものをうまく活用できるようになれば、自身の可能性を把握し、業務に対しての自信が得られるでしょう。自己肯定感が高まるだけでなく、周りのスタッフからの信頼性も高まるきっかけにもなります。

このポジティブな循環により、さらにモチベーションが高まり、より大きい成果を得られるのです。このように、さまざまな場面が良い方向へ流れやすくなるのが大きな利点といえるでしょう。

伝えるスキルが向上する

誰かに説明する機会が増えると、次第にわかりやすく伝えるスキルが身につきます。たとえば、チャットやSNSで自身の考えを端的に伝えられれば、その知見や体験が浸透しやすくなるでしょう。

また「他人からどのようなとらえ方をされるか」を意識し、より伝えやすいように工夫をするようになります。

その他にも、気づいたことをメモしておく方法も、伝え方の精度が高まるといわれています。

アウトプットを上手に行うためのポイント

アウトプットをよりうまく行うためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。ここでは、その工夫についてご紹介します。

アウトプットする目的を明確にする

どのような狙いで行うかをハッキリしておくと、質が高まりやすいです。基本的にビジネスの領域では、学習した知識・スキルを仕事に活かすために行われるものです。

そのため、仕事ではよりスムーズに遂行し、生産性アップにつなげることが目的となるケースが多いでしょう。

とくに定量的なゴールを設定しておくのがおすすめです。たとえば「取引先のメールでは、今日学んだことを必ず取り入れる」「毎日少なくとも1個は新しい学びを共有する」などを決めるといいでしょう。

質より量を意識する

質も大切ですが、最初のうちは数を意識するようにしましょう。多くの量を重ねれば、その分成果やコツが見えてきて、次第に質のアップにつながります。

最後にクオリティの高い結果が出なくとも気にする必要はありません。まずはチャレンジすることからはじめて、徐々に修正ポイントを見つけていけば大丈夫です。数をこなしながら、ブラッシュアップを続けていくことが大切です。

インプットを意識する

インプットにフォーカスすることも重要です。毎日の仕事のなかの発見や気づきは、殴り書きでもいいのでメモしておき、その後に見返せるような工夫をしておきましょう。

仕事で使用するツールのなかにはタスクやリマインダーなどの機能が搭載されているものもあるので、活用してみてください。

伝えたり話したりしたときに思うような結果が得られない場合は、物事を吸収するスキルを養っておきましょう。

一から学ぶ姿勢を持つ

どんなにありふれたものだとしても、あらためて学習し直すスタンスを持っておきましょう。わからないことを放っておくのではなく、自分から勉強しにいくような姿勢が大切です。

自分は何が理解しているのか、何が不足しているのかをおさえておけば、さらなるスキルの獲得につながるのです。

質の高い吸収と共有を行うためにも、知識の取りこぼしには注意しましょう。

どんなこともメモをする

たとえ重要な発見があったとしても、頭のなかでずっと覚えておくことはむずかしいです。

箇条書きや殴り書きでもかまわないので、その場ですぐメモをとる習慣をつけておきましょう。気づきを忘れずに残しておけば、その後の共有の質が高まりやすいです。メモさえしておけば、情報を忘れることもなく、追体験のきっかけにもなるでしょう。

誰かに伝えることを意識する

知識や体験を共有する際は、必ず他者に伝えるという気持ちを忘れないようにしましょう。

たとえば、今日の出来事で「見たテレビ」「読んだ小説」「業務で聞いた有益な話題」などを誰かに伝えたとします。

そのときに「あなたに伝わってほしい」「その出来事を知ってほしい」という気持ちがあれば、内容はより記憶として残るでしょう。

ストーリーを意識する

周りの人に何かを共有するときに意識したいのが、その出来事を物語のように伝えることをおすすめします。何かを伝えるのが苦手な方がいたとしても、量をこなしていくうちにコツが見つかるものです。

共有するスキルを高めるためにも、練習だと思って諦めずに伝えてみましょう。その際は、物語のような流れで話をするとわかりやすくなるケースもあります。

アウトプットの失敗を修正する

覚えたものを頭に残すためには、外部に共有したときに誤解した要素をケアしましょう。

学習・体験したデータを誤った方向で使用するのは、自分のプラスにはなりません。誤解した要素を学習し直す際は、どの要素が誤りだったのかを把握して、正しいデータを学ぶことが大切です。

誤解したデータのまま覚えないように、気づいた段階で直しましょう。

アウトプットを意識しすぎない

外部への共有に執着しすぎないように気をつけましょう。「自分が手に入れた体験や学びを定着させたい」という気持ちが先行してしまうと、つい「アウトプットをやらなければ」という思いに陥りがちです。

この気持ちがずっと残っていると、頭が疲れて精神的な負担となるでしょう。疲れた頭をケアするためにも、考えすぎないようにメリハリをつけることがおすすめです。

コミュニケーションの中で活用する

手に入れたデータを当たり前のように使用するに、日常生活のなかで用いることが大切です。誰かに教えたり、解説したりするには、獲得した学びのロジックを組み立てることが重要です。

頭の中で考えがまとまることで、知識の落とし込みができます。新しく学んだデータは組織間でシェアしてみましょう。

少しずつ行動に反映させる

あらゆる情報がネット上に溢れている今、1日でチェックできるものは数え切れません。しかし、それらのデータをすべて吸収しようとしても、かなりの苦労がともなうでしょう。

それよりも、得た学びを1つでもかまわないので、少しずつアクションに移すようにすることが大切です。得たものを有効活用することで、その情報が頭に定着しやすくなります。

「広く浅く」よりも「狭く深く」のイメージを意識しながら行動してみましょう。

【場面別】アウトプットの方法

実際にアウトプットをするときは、どのような方法をとればいいのでしょうか。ここでは場面にあわせた方法について解説します。

仕事

まずは仕事場面でのシチュエーションをみていきましょう。

TODOリストを作る

今日1日やることを整理するために、TODOをメモ帳に記載しましょう。頭のなかで考えているものをすべて視覚化して整理することで、何からやるべきかをあらためてチェックできます。

また考えた後に時間が経つと、つい忘れてしまう課題もあるでしょう。課題を見える化すれば、その問題も解決できるので、どこでも良いので書き出してみましょう。

どんなことでもメモをとる

どんなことでもメモをするクセを持っておきましょう。たとえ直前に新しく学んだことがあったとしても、少し時間が経ったら忘れてしまう、なんてことは珍しくありません。

とくに重要な会議では、話を取り逃がさないようにする必要があるでしょう。聞いたことに対して自分がどのように感じたのかもメモしておくと、そのときのシチュエーションを思い出しやすくなります。

目標を数値化し具体的にする

ゴールは明確にして、定量化できるような内容を設定しましょう。新しいゴールを作るときに「この月はなるべく多く売上を作る」のような抽象的な内容だと、どこから進めていけばいいかわかりにくいですよね。

「この期日までに30個購入してもらう」という、はっきりとしたゴールがあれば、その達成のためにどんなアクションを行えば良いのかが見えてきます。

勉強

ここでは勉強面でのシチュエーションをみていきます。

人に教える

学習したもの、体験したものを自分だけにとどめるのではなく、他人に共有してあげると、自分の知識として定着しやすくなります。自ら積極的に吸収しに行くのも重要ですが、それを自分のものにするための一番スムーズな方法は、誰かへの共有です。

他人に伝えたときにうまく解説できない部分は、自分がまだ理解しきれていないところです。その把握できていないポイントをおさえれば、より知識として身につくでしょう。

書き写さず、自分の言葉で整理する

覚えたいものをただなんとなく記載するのではなく、ロジックを組み立てながら整理することが大切です。どれくらい重要な物事だとしても、ただ単に書くだけでは定着につながりにくいのです。

その文章を自分なりに組み立てて、どのようなプロセスで表現すれば記憶に残りやすいのかをアセスメントしたうえで記載しましょう。大切なのは書くことではなく、考えることです。

演習問題を行う

問題を解いて、頭のなかにある知識を活かしましょう。どんなに頑張って覚えたものだとしても、基本的に使わなければ忘れてしまうものです。

そのため、学習したものを忘れないように、問題を解いて使うようにすることが大切です。どれくらい高価なテキストを購入して、長い期間勉強したとしても、学習した知識を活かす場面がなければ定着しにくいといえるでしょう。

アウトプットで得られた知識を定着させましょう

普段学習したり体験したりしていても、その得られたものを反復しないと知識・技術として定着しにくいです。うまく自分のものにしてスキルアップを目指すには、積極的に外部に共有することが大切です。

これはビジネス場面でも学校などでも一貫して同様といえるでしょう。「勉強してもなかなか頭のなかに入らない」と感じている方は、ぜひ普段からアウトプットを意識してみましょう。