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パラダイムとは?ビジネスでの使い方やパラダイムシフトの具体例を解説

時代が大きく変わると、わたしたちの生活様式も著しく変化することがあります。昔の時代と今の生活がまったく異なるのも、この大きな変革が何回も起こったことによるものでしょう。

このような事象を「パラダイム」の変化といい、個人・社会が成長するには欠かせない要素です。この記事では、パラダイムがどのように使用されているのか、どのような重要性を持っているのかを解説します。

パラダイムとは

パラダイムとは「その時代では当たり前になっている考え方」や「その分野で基本となるとらえ方」などを指す言葉です。現在では、経済や科学などの幅広い領域で使用されています。科学の分野では、地球の形が明確ではなかったころに唱えられていた「天動説・地動説」の意味として使用されていた時期もありました。

また、時代の流れにともなって現れる革新的な改変が起こると、パラダイムが変化する可能性があります。たとえば、以下の事例があげられます。

  • ガラケーからスマートフォンに移行して、コミュニケーション方法が大きく変化した
  • デジタル技術が進化して、AIが普及してきた
  • 新型コロナウイルスが流行した

このように、ポジティブ・ネガティブなものかは問わず、世界的に大きく変化した事例をパラダイムシフトと呼びます。

パラダイムの語源とビジネスシーンでの使い方

実際のビジネス場面では、どのように使っているのでしょうか。ここでは、言葉の由来や使用方法についてご紹介します。

パラダイムの語源

パラダイムは、もともとギリシア語が起源で、概念として生まれたのは科学哲学者である「トーマス・トークン」による書籍が最初とされています。最初に使用されたときは「専門家に対して問答のモデルを付与させるもの」という意味がありました。これは一部の分野だけでなく、幅広い領域の学問に多大な影響がありました。

専門用語として使用されていたその言葉は、意味合いとしても抽象的なものでした。時代の流れとともに変化して、少しずつ現在の意味合いに近づいていったのです。このように、昔に使用されていた言葉の意味が変化するのはよくあることです。同じ言葉でも、職種や領域によって内容が異なるケースも多いでしょう。

ビジネスシーンでの使い方

ビジネス場面で使用するときは「ある時代の当たり前の思考パターンを支えるための観念・理念」のことを指します。一定のパラダイムの思考に則って進めていくことは、ある種の定石ともいえるため、多くの会社が取り入れながら経営を進めています。

その他にも、時代の流れとともに新しい変化を生み出すために、固定化されている概念を題材としたディスカッションを行うこともあるでしょう。この新しい取り組みによって画期的な考え方・物事が生まれる可能性もあります。その結果、個人だけでなくチーム全体に新しい価値観が生まれ、会社としての飛躍につながるのです。

日本語では翻訳が難しい

パラダイムは一定の意味を持っているわけではなく、非常にバリエーションのある使い方をされています。そのため、日本語としてわかりやすく表現することがむずかしく、マッチする言葉が見つからないのが現状です。

もともと、この言葉は科学の領域で使用されていました。しかし、革新的な考え方を発見したときに「今までの思考のこと=パラダイム」と受け取るようになりました。このような背景から、日本語としてフィットしている言葉が見つからず、翻訳が困難となっています。

パラダイムに関連する言葉

パラダイムにはさまざまに派生した言葉があるのはご存じでしょうか。ここでは関連する言葉についてご紹介します。

◯◯パラダイム

特有の領域によるパラダイムを表すときに、その前に「○○」をつけて使用されるケースがあります。その時代の流れや領域のベースとなっていた「とらえ方」や「考え方」が、今までにない革新的な変容をしたときに用いられます。

たとえば「企業」や「ファイナンス」など、それぞれの領域で新しい変換がともなったときに使用されることが多いです。最近では、ビジネスやファイナンスの領域では、以下のパラダイムの転換がみられています。

  • 入社時期の経験年数による序列から実力主義へ
  • 国内における地域によるビジネスから、世界まで視野を広げたビジネスへ
  • 紙面を中心としたアナログな業務から、クラウドシステムやWebを活用したデジタルな業務へ

このような変換によって、徐々に世界各国の技術が進化しているのです。

パラダイムトレーダー

外国為替取引の領域で用いられているサービス名のことで、トレードを行うときに使用される言葉です。この領域では、信頼性が高く実績を残している方が開示しているデータから、外国為替取引による変動を推測し、売買を行うケースが多いです。ここ最近では、同じようなソフトを活用して、外国為替取引を実施する方法が注目を浴びています。

パラダイムロスト

感情のなかに潜んでいる「スティグマ」を解決するために書かれた、本のタイトルです。この本はロジックとその行動方法を表しています。スティグマとは「差別」や「偏見」などに関連した意味を持っています。

より詳しく解説すると「その人が持つ何かしらの原因によって、差別や偏見が生まれて不当なあつかいをされる」という意味合いがあるのです。このような心に関係する問題を解決する方法を示したのがおもなテーマです。

パラダイムシフト(パラダイム転換)の意味や具体例

「パラダイムシフト」という言葉も用いられる機会はよくあります。ここではその意味や具体的な例についてご紹介します。

パラダイムシフトとは

その時期に当たり前だと判断されていた事項が革新的に転換したことをパラダイムシフトと呼びます。この言葉が生まれたことによって、さまざまな意味が分岐するようになりました。現在では、以下の出来事で用いられるケースが多いです。

  • 通説をひっくり返す
  • ステレオだったスタイルから脱却する
  • まったく新しい発想によって新時代をむかえる
  • アイデアの転換で今までの価値観を逆転させる
  • 新規性の高い提案で市場を大きく転換させる

このように、使用する際にどれも共通しているのが「新しい変化」であることがわかります。

パラダイムシフトが起こる理由

このような大きな変化が起こる理由として、「今までの思考では新しい壁を突破できない」という状態が発生するからです。これはヒトの本来の性質ともいえるでしょう。なかには「ある課題は今までの思考では解決できない」という言葉もあります。

なにかの課題にぶつかったときに「今までのパターンでは解決ができない」「当たり前だと思っていたものを変えていかなければいけない」という考え方が大きな変化をもたらしているのです。また、最近ではさらにパラダイムシフトが進むようになりました。その理由として以下があげられます。

  • 急速なデジタルの発展
  • ネットの発展
  • コロナウイルスによる感染の拡大
  • 人口の変化

このような技術の進化およびウイルスのパンデミックにより、さらに加速すると考えられます。

パラダイムシフトの具体例

世界中でさまざまなパラダイムシフトが生まれてきました。その例としては以下の通りです。

  • エネルギー革命によって仕事の内容や形態が著しく変わった
  • 「地球が宇宙の中心」だと何千年のあいだ当たり前だと思っていたが、実はそうではなかった
  • ムダな消費が多かったのに対して、エコ・エシカルな活動の普及によって環境にやさしい取り組みが増えた
  • 車や電車が普及したことによって、遠い距離でも短時間で行けるようになった

このように、今までの時代では大きな変化が繰り返し行われていることがわかります。

個人におけるパラダイムシフト

本来、ある一定の時期における当たり前の事象といわれるものを指す言葉ですが、最近では「その物事のとらえ方」や「想像の仕方」などを表しています。また「物事のとらえ方を大きく変える」という考え方で、幅広い領域で使用されています。

一方で、時期に限らずに一人ひとりのレベルでパラダイムシフトを発生させることも十分にできるでしょう。しかし、ねじれたとらえ方で実行しようとすると、かえって思わしくない方向に向かってしまう危険性もあります。もともとの意味を理解しつつ、大きな変化によってどのような方向に向かうのかを考えてみましょう。

身近なパラダイムシフト

わたしたちの身近なところでも、いろいろなパラダイムシフトを体験しているのはご存じでしょうか。そのおもな例として、以下のものがあげられます。

  • ガラケーからの変化
  • 分かちあいの意識
  • 改札の仕組み

ガラケー時代でも携帯ゲームや音楽の機能は搭載されていましたが、メール・電話などの連絡手段として使用するのがおもな用途でした。しかし、スマートフォンはそれ以上にさまざまなコンテンツを利用できるようになりました。

またサステナブルな考え方が普及している今、共有の意識が高まっています。カーシェアやシェアオフィスなど、1つのものを複数人であつかうことでムダな消費を避けて環境に配慮した戦略がとられています。電車を切符ではなくICカードをタッチするだけで利用できるのも、大きな変化といえるでしょう。

パラダイムシフトで押さえておくべきポイント

新しい変化が起こると、今までの常識が通用しなくなることもあるでしょう。ここでは、そのために持っておきたいポイントについてご紹介します。

柔軟に対応する姿勢

物事に執着せずに、どんなことでもスムーズに対応できるようなスタンスを持っておきましょう。なにかに執着してしまうと、大きな変化が起きたときの精神的な負担が大きくなります。新しい考え方や新しい製品に遭遇したときに、自分はどのような気持ちになるのかを深堀してみましょう。

「順応するのがむずかしい」「ついその考え方を否定してしまう」などの反応をしてしまうのなら、その考え方をさらに追求します。新しい物事を受け入れられない場合、その理由の裏に本当の気持ちが潜んでいる可能性は高いでしょう。自分をあらためて見直して、少しずつ柔軟に受け入れる気持ちを持っていきましょう。

変化を敏感につかむ

技術が進歩するにつれて、時代はわたしたちの想像以上に変化していることもあります。その流れに気づけるように、ちょっとした変化も把握しておくことをおすすめします。時代が変わるにつれ、そのときにフィットした考え方や対応が必要です。

このように、日々の変化を察知するために新しい需要や世界情勢に注目しておくと対応しやすいです。経営者であれば、あらゆる状況を予測したうえでゴールを設定するスキルが求められます。

疑問を持ち、分析する

物事に対して常に疑問を持って、どのようなロジックになっているのかを分析することが大切です。ただ習慣としてなにも考えずに行うのではなく、そこにどんな意味を持っているのかを追求してみましょう。

その要素に新しい考えを追加したり、アレンジしたりすることで、新規性のあるアイデアが生まれるきっかけとなるのです。

この考え方はさまざまな領域で活用できます。たとえば、ビジネスの場面では「このサービスはなぜ人気なのか」「どのような経緯でこの製品はヒットしたのか」などを考えます。このような疑問を細分化して分析することで、新しいひらめきが生まれやすくなるでしょう。

様々な価値観の人とコミュニケーションを取る

自分の考え方に固執するのではなく、さまざまな方とやり取りをして新しい価値観を見つけてみましょう。とくに話す機会が少なかったり、自分とはまったくタイプが違ったりする方とやり取りをするのはおすすめです。自分にはない思考に触れやすいので、新しいひらめきにつながるでしょう。

このように、他人の考えを理解することで、今まで当然だと思っていたものをあらためて見つめ直すきっかけになります。今まで1つの視点で見ていたものをさまざまな方面で確認すると、広い視野を持てます。

行動力を身につける

当たり前を取り払った考え方の他にも、それを実行できるような行動力も重要といえます。今の時代、革新的な発想を生み出さないと社会に取り残されてしまう恐れがあります。自分で考えた新しいビジネスを構築して、企業で成功している方も増加傾向です。

このように、考える力があったとしても、行動に移さないと意味がありません。今の当たり前を見つめ直すスキルに加えて、行動力をともなうことで革命が起こるのです。なにか新規性のあるアイデアを持っている方は、ぜひその考えの実現のために、少しずつ行動をしてみませんか。

変化をポジティブに捉えるキャリア観を持つ

時代や考え方の転換をネガティブにとらえるのではなく、ポジティブに置き換えられる視点を持ちましょう。

ある理論によると、わたしたちの経歴の大半の割合は予期せぬイベントによって決定されているといわれています。これは、予測できないイベントを必然的に変化させることを中心とした理論です。大きな変化が起きやすい今、この考え方は重要といえるでしょう。

今後の経歴を組み立てていくためには、以下のポイントを意識することが大切です。

  • 好奇心
  • 粘り強さ
  • 悲観的にならない考え方
  • 順応性
  • チャレンジ精神

上記の姿勢を持つことで、ピンチだと感じている物事がチャンスに変わりやすくなるでしょう。

パラダイムシフトに対応できる組織になるためには

大きな変化に順応するためには、どのようなチームであるべきなのでしょうか。ここでは大切なポイントについてご紹介します。

人事評価制度を見直す

これまで採用してきた評価制度をあらためて洗い出すことが大切です。時代も大きく変化している今、制度を革新的なものに切り替える必要があります。昔から当たり前のように用いられてきた制度ではなく、多様性を尊重する今の時代に順応できるように組み立てていきましょう。

たとえば、同じ業務を行えば、雇用形態に関係なく平等の給料を支払う仕組みが生まれたのも、著しく変化した1つです。その他にも、年号序列を基準としたものではなく、成績や実力によって変動するような体制を整えることで、企業の活性化につながるケースもあります。

多様性に対応した施策を練る

今までの統一的な形態ではなく、スタッフ一人ひとりに適した仕事を提供できるような戦略が望ましいです。たとえば、スタッフが一度退職をしたらその企業とは関わりがゼロに近づきますが、最近では再度入職を受け入れる体制を作っている場所もあります。

またオフィス出勤だけではなく、在宅勤務を取り入れて仕事をプライベートのバランスを整えているケースもあるでしょう。ワーケーションを推進し、副業も受け入れている会社も徐々に増えてきています。このように、昔のような融通の効きにくい体制では今の社会が成り立たないことがわかります。

採用方法、基準を見直して人材を獲得する

採用形式やその入職のボーダーラインを再検討することも大切です。今までの採用形式を変えることで、それまでは見つからなかった優秀な人材を確保できる可能性があります。

なかには、新卒スタッフをまとめて採用する形式から、定期的に確保していく方針に変えている会社もあります。

また大規模な説明会を開催するだけでなく、SNSや採用ツールを活用するケースも増加傾向です。雇用形態の変化もみられており、入職後にさまざまな作業を割り振るのではなく、あらかじめ決まった仕事を担当させる場合もあります。

利益だけを求めたり、労働者の権利を無視した経営をしない

利益だけを最優先として、他の要素を考慮しない経営は行わないようにしましょう。たとえば、収益だけの目線でいると自然環境に悪いビジネスを実行したり、スタッフの労働環境が悪化したりする恐れがあります。

これらの問題が続くと、スタッフのモチベーションが低下し、離職につながるでしょう。さらに消費者からの信頼性が下がり、会社の評判が落ちる結果となります。

このように、収益だけに囚われてしまうのは経営を続けていくうえではおすすめとはいえません。この先の時代の流れに乗るためには、視野を広げて環境やスタッフにも配慮した土壌を整えていく必要があります。

ポイントを押さえてパラダイムシフトに対応していきましょう

わたしたちが成長して、より画期的な社会を作るためには、時代が変化するような革新的な出来事は必要といえます。その変革はポジティブな要素もある反面、戸惑いを覚えるきっかけにもなるケースもあるでしょう。

しかし、変化に対して恐れずうまく順応することで、新しいソリューションや考え方が生まれるきっかけになるのです。パラダイムシフトのきっかけとなる出来事を見逃さず、どのようにして新しいシステムを構築する思考を忘れずに持っておきましょう。