People Analytics(ピープルアナリティクス)とは?メリット、デメリット、導入するために注意すること、企業事例について
米国企業を中心にPeople Analytics(ピープルアナリティクス)が興隆しています。Googleが先陣を切って導入したものですが、企業によってその導入・運用の目的や方法は異なっています。
一方で、多くの企業事例から示唆されることもあり、今回は、People Analytic(ピープルアナリティクス)の概要、メリット、デメリット、導入するために注意すること、企業事例についてご紹介します。
(参考:HBR, the October 2010 Issue, “Competing on Talent Analytics”)
People Analytics(ピープルアナリティクス)とは?
People Analytics(ピープルアナリティクス)とは、人材データを収集、分析することによって、企業の判断の確度を向上させることです。Googleが導入したことが始まりとされており、いまではアメリカ企業を中心に、多くの企業で導入されています。
People Analyticsのメリットとは?
企業と従業員の二つの視点で考えます。
<企業視点>意思決定の確度が上がる
企業側のメリットは上記に尽きます。人材データの分析により、いままでは経験知によって曖昧に下されてきた様々な判断が根拠をもって下されることになり、意思決定の確度が上がると想定されます。
実際、People Analyticsを導入した多くの企業では、従業員の生産性向上や、人材の能力向上が確認されています。
<従業員視点>意思決定を納得しやすく、生産性向上につながる
People Analyticsの導入によって、多くの場合、根拠薄弱な意思決定は減ります。結果として、従業員は、異動や評価、経営方針に関する意思決定への理解が深まることに繋がります。
People Analyticsのデメリットとは?
<企業視点>前例のない意思決定を下す際には、参考にならないこともある。
当然ながら、統計的学習を基に判断を行う場合、その判断は過去のデータに基づきます、すなわち、過去に存在した事象でなければ予期できない可能性は常に付きまといます。どこまでPeople Analyticsを意思決定に反映させるのかは、議論しておくべきでしょう。
<従業員視点>情報の開示が為されないと、メリットが享受できない。
People Analyticsによる意思決定プロセスは開示されなければ、ただのブラックボックスです。どこまで開示されるかは管理者側に委ねられるため、People Analyticsが導入されたとしても意思決定がブラックボックスのまま、ということも生じ得るのです。
People Analyticsを導入するには?
実践する上で必要な要素は5つあり、どれも不可欠。
1)データを充実させること
勤務姿勢や人事評価、健康等に関するデータは、人材データとして頻繁に持ち出されますが、ここで言うデータには企業の独自指標も含まれます。
例えば、Harrahでは、多くのラインマネージャが従業員の接客時の笑顔の頻度を観察し記録してます。
2)企業全体で取り組むこと
特に日本企業で顕著なことですが、人材データが一部署でしか利用されないことがあります。。しかし、少なくない人材データは企業全体の業績に直結するものであり、企業全体で人材データを活用することが求められています。
3)リーダーシップを発揮すること
当然のことながら、全社での人材データの活用には強いリーダーシップが発揮される必要があります。
4)目的を明確にすること
People Analyticsを行う目的を明確化させる必要があります。というのも、People Analyticsは様々な目的のために活用することができ、企業によって力点の置き方は異なるためです。
5)アナリストと意思決定者の意思疎通を密にすること
アナリストは、人材データの分析を行うだけではなく、管理者層がPeople Analyticsの観点からの意思決定を受け容れられるように意思疎通を図る必要があります。そのためにも、アナリストと意思決定者の定常的なコミュニケーションが不可欠なのです。
People Analyticsの企業事例
日立
2017年にPeople Analytics Labを設立し、新卒人材のポートフォリオ管理を行ったり、生産性に対する社員の意識調査を通じた施策立案等を行っています。
(参考:日立人財データ分析ソリューション)
ソフトバンク
新卒採用におけるエントリーシートをAIによってスコアリングし、一部を自動で合否判定しています。
(参考:新卒採用選考におけるIBM Watsonの活用について)
採用活動の最適化を図るべく、採用におけるさまざまな挙動データを収集・分析しています。これは、Googleの社員数が爆発的に増えていた際に、採用に割けるリソースが限定され、効率化に迫られた際に考案されたようです。
最近では、評価や異動もPeople Analyticsに基づく判断が為されているようです。
(参考:re:Wrok)