人事考課のフィードバックとは?意味や目的・メリット、効果的なフィードバックを行うポイントを解説!
人事考課におけるフィードバックは、従業員一人ひとりの成長と会社の将来的な業績に関わる重要な人事評価制度です。しかし、「全く効果が感じられない」「導入を検討しているがどのように進めたら良いか分からない」という悩みを抱えている企業は少なくありません。
重要なポイントをしっかり押さえ適切な方法でフィードバックを行えば、より高い効果が得られます。効果を最大限に引き上げるポイントや具体的な手法をお伝えします。
フィードバックとは?
フィードバックは、日常の業務や活動において、上司と部下、同僚同士、あるいはチーム内で行われるコミュニケーションの一形態です。具体的には、相手の行動や成果に対しての評価や指摘を行い、その結果をもとに改善や成長を促進するためのアドバイスや指示を行うことを指します。
フィードバックは、ビジネスの現場だけでなく、教育やスポーツ、家庭など、さまざまな場面での人間関係の構築や維持において重要な役割を果たしています。
人事考課におけるフィードバックとは
人事考課におけるフィードバックとは、社内の人材育成につなげるために上長と部下が話し合いの場を設けることです。評価する立場にある上長と評価される側の部下が会話する機会を作ることで、部下個人の目標の達成度合いや改善点を確認して目標達成に向けてより具体的なアクションを起こせるようになります。
そもそも「フィードバック」は「帰還」を意味しており、ビジネスシーンにおいては相手の行動に対する評価と改善点を伝えて軌道修正や動機づけをすることを指します。これは、数字などの客観的な事実に基づいて行われるため上長個人の意見や人間関係に左右されることがありません。
フィードバックは基本的に部下を褒めることでやる気を引き出す「ポジティブフィードバック」と、改善点を指摘して変化を促す「ネガティブフィードバック」の2つに大別されます。評価者はこの2つのフィードバックを使い分けながら部下の成長を促進させる役目を担っているのです。
これまで主流であったランク付けをする人事評価制度との違いは、評価の柔軟性と期間にあります。従来型の評価制度では業務や職位によらず同じ評価基準を使う会社が多く、優秀な従業員や、突出したスキルを持った従業員が見つかりにくい状況でした。かつ、評価は年に1度だけとする場合が多く評価への納得感が得られにくくなっていたのです。そのため、貴重な人材の流出につながる可能性が高い制度でした。
それに反してフィードバックは週に一度や月に一度など、比較的短いスパンで行うため、従業員が生み出した成果や頑張りをすぐに承認できます。目的は従業員一人ひとりの成長をサポートすることであり、従業員同士の優劣を決めることではありません。個性やスキルをさらに伸ばして会社の成長に寄与する人材に育てるのです。
人事考課のフィードバックを行うと以下のメリットが得られます。
- メリット1:客観的な評価を確認できる
評価される部下にとって、自分自身を客観視する機会や経験は貴重なものです。自分自身では「頑張った」と思うような仕事をしても、意外と他者からの評価は低かったり、見逃していた改善点に気づくこともあるでしょう。
定期的なフィードバックによって部下の客観的な視点が養われ、より効率的かつ効果的な行動を取れるようになります。
- メリット2:透明性の高い評価に納得感が得られる
「なぜ高評価を受けたのか」「なぜ低評価を受けたのか」というのは、向上心がある従業員ほど気になるでしょう。フィードバックの機会を設け、その評価に至った理由や根拠を提示されることで、部下は自分の強みや弱みを見つけられます。また、上長の導きにより正しい方向性で努力できるため、短期間で大きな成長が見込めるのです。
評価の透明性は部下のモチベーションアップにもつながります。これは、理由も含めて評価されることで、評価結果に対する納得感が得られやすいためです。腑に落ちる理由であれば部下は不満を抱く以上に、次回に向けて改善しようと前向きな気持ちになるでしょう。
- メリット3:評価のズレが発生するのを防ぐ
上長と部下など、社内での立場によって人事考課に対する考え方が若干異なる場合があります。たとえば、「報連相」に対して部下は仕事の区切りがつく度に報告しようと考えていて、上長は区切りがつかなくても毎日の細かな進捗報告を期待しているなどです。
評価基準は誰が評価しても同じ結果になるように設定する必要があるのはもちろんですが、ある程度の認識のすり合わせは必要になるため、フィードバックの場を活用すると良いでしょう。認識のズレはお互いの信頼関係を壊しかねません。そうしたズレを予防するためにもフィードバックは有効です。
フィードバックを行う目的
目的は4つです。
目標達成のため
フィードバックは過去または現在の部下自身を評価するため現状把握に役立ちます。さらに、目標までに必要なアクションや改善点を上長と相談できるため、回り道をすることなく最短ルートで目標達成できる可能性が高まるでしょう。
目標を達成すると部下は達成感を得られますし、成長を実感して仕事に前向きに取り組めるようになります。そうなるように導くためには、目標を明確かつ具体的に設定することが重要です。
人材育成のため
週に一度など短いスパンで行われる人事考課のフィードバックは、従業員にとって自分自身を振り返る時間にもなります。前回から自分がどう変わったか、何を意識したか、何が改善できるかなど、自分自身の行動を思い起こすことが新たな気づきや学びにつながるでしょう。
日常業務に追われていると内省の時間を持つことは難しいですが、フィードバックの時間でそうした機会を部下に与えられるのです。自己を振り返った結果、得意なことや自身のキャリア展望、取得を目指したい資格が表面化し、個々の希望はもちろん会社としての人材育成も実現していくでしょう。
モチベーション向上
仕事においてどれだけ成果を生み出したかは企業の成長に欠かせない評価基準であるといえます。しかし、成果ばかりに着目して過程をないがしろにすると従業員のモチベーション低下を招きやすくなります。
部下の努力や試行錯誤する姿勢を認め、適切なフィードバックを行いましょう。そうすると承認された部下のモチベーションは高まり、本来の能力を最大限発揮して業務を遂行しようと尽力します。
業務の効率化のため
フィードバックは部下が目標に対してどれだけコミットできたか、達成度や改善点を上長と話し合う場です。そのため、掲げた目標が達成できれば次はより高い目標を設定します。こうした定期的なフィードバックは、PDCAサイクルを回し続けることにもつながるため業務効率化が期待できるでしょう。
本来は個人でも回せるPDCAサイクルですが、ここに上長も介入することで精度とスピードを高めることが可能です。フィードバックによって、一人ひとりが能動的に考え行動を起こしやすくなり、個人単位や部署単位での業務の効率化が望めるでしょう。
フィードバックの種類
フィードバックは、相手の行動や成果に対しての評価や指摘を行い、その結果をもとに改善や成長を促進するためのアドバイスや指示を行うコミュニケーションの手法です。特にビジネスの現場では、ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックの2つの主要なタイプがあります。
どのような方法を用いて、どのようなシーンで使用することが適切なのか説明していきます。
ポジティブフィードバック
ポジティブフィードバックは、従業員の良い行動や成果を称賛するためのものです。業務の成果が目立った時や、新しいアイディアや提案が採用された際、チームの協力的な行動などの際に特に効果的です。このフィードバックは、従業員の自信を高めるとともに、その行動を継続するように励ます役割があります。
ネガティブフィードバック
ネガティブフィードバックは、特定の行動や結果に対して改善や修正が必要であると感じた際に伝える評価の形です。ネガティブフィードバックは、名前の通り否定的な内容を含むことが多いですが、その目的は相手の成長や改善を促すことにあります。
使われるシーンとしては、業務上のミスや不適切な行動が見られた際、それを指摘し、今後の同じミスを防ぐための手段として用いられます。例えば、プロジェクトの進行中にコミュニケーションの不足から誤解が生じた場合、その原因となった行動や発言に対してネガティブフィードバックを行うことで、今後の同様の誤解を避けるための対策を共有することができます。
人事考課におけるフィードバックの型とその例文
5つ紹介します。
①ペンドルトン型
心理学者であるペンドルトン氏が開発した型で、言葉のキャッチボールを重視している点が特徴です。基本的には上司と部下が交互に発話して、互いに意見や考えを述べる流れに沿って行います。
これによって部下は主体的に物事を考えるようになり、自分の意見も反映された評価や行動計画が実現できるのです。さらに、双方に話し傾聴する機会があるため、信頼関係を強固にする効果も期待できます。
下記の例のように、まず相手の良い点を挙げ、その後に改善点を指摘し、最後に再度良い点を強調するとよいでしょう。
「先日のプレゼンテーション、資料のデザインや内容の整理が非常によくできていましたね。ただ、もう少し声の大きさに気を付けると、さらに伝わりやすくなると思います。でも、全体的には非常に分かりやすく、良いプレゼンテーションでした。」
このように、相手が受け入れやすいようにポジティブな評価を前後に配置することで、改善点をスムーズに伝えることができます。
②サンドイッチ型
名前の通り、ポジティブフィードバックでネガティブフィードバックを挟む型です。まずは良かった行動や成果を褒め、次に改善点を指摘します。そして最後にまた褒めることで、部下はやる気を維持したままフィードバックを受け取り、次の行動に移れるようになります。
また、部下の頑張りを認める褒め言葉からスタートすると、その次の否定的な上長の意見や指摘も真摯に受け止めやすくなる効果も期待できるでしょう。上長からしても前向きな雰囲気の方が指摘を伝えやすくなりますし、部下との関係構築にも支障をきたさないと予想できます。
例として、下記のように、良い点を挙げた後に改善点を指摘し、最後に再度良い点を挙げてみましょう。
「あなたの報告書は、データの整理が非常にきちんとしていて、読みやすかったです。ただ、結論部分がもう少し簡潔にまとめられると良いと感じました。それにしても、全体的には非常に高いクオリティの報告書でした。」
上記のように、改善点を柔らかく伝えることで、相手が受け入れる意欲を保ちながら、必要な点を改善してもらうことができます。
③SBI型
「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」という3つの流れに沿ってフィードバックします。客観的事実を時系列順に説明できるので、部下が自分自身の行動を振り返りやすくなる点が特徴です。
また、状況に対する行動が適切だったかどうかを影響(結果)から考えられるため、自身の行動と結果の因果関係への理解が深まるでしょう。フィードバックを通して因果関係を学べば、日常業務でも自身の行動が結果に与える影響を加味して行動するようになるのです。
具体的な状況(Situation)、行動(Behavior)、そしてその行動による影響(Impact)を明確に伝えるために、下記のように話してみるとよいでしょう。
「昨日のミーティングで(Situation)、あなたが具体的なデータを用いて説明した時(Behavior)、チーム全体が問題の本質を理解しやすくなり、効果的な議論が進められました(Impact)。」
例文の通り、具体的かつ明確にフィードバックを伝えることで、相手が自身の行動とその結果を明確に理解し、必要な改善を行うことができます。
④FEED型
FEED型のフィードバックは、効果的なコミュニケーションを目指す手法の一つで、特定の行動や状況に対する評価や指摘を明確に伝えることを目的としています。FEEDとは、Fact(事実)、Example(例)、Effect(影響)、Different(改善策)の頭文字を取ったものです。
Fact(事実)では、具体的な行動や状況を指摘します。これは、フィードバックを受ける側が何について話されているのかを明確に理解するためのステップです。次に、Example(例)では、その行動や状況を指摘する理由や背景を具体的な例を挙げて説明します。これにより、フィードバックの根拠や背景が明確になります。
Effect(影響)の部分では、その行動がもたらした具体的な影響や結果を伝えます。これは、行動の良し悪しやその結果を具体的に理解するための重要なステップです。最後に、Different(改善策)で、次回からどのように行動を改善するかの提案やアドバイスを行います。これにより、フィードバックを受ける側が具体的な行動改善の方向性を持つことができます。
実際に例文を見てみましょう。
F (Fact): 「プロジェクトの進行中、あなたは毎週のミーティングで進捗を詳細に報告していました。」
E (Effect): 「そのおかげで、チーム全体がプロジェクトの状況を常に把握することができました。」
E (Expectation): 「今後もこのような報告を続けていただきたいです。」
D (Development): 「報告の際に、具体的な数字やデータを取り入れると、さらに明確になるでしょう。」
このように、FEED型を用いることで、具体的かつ効果的なフィードバックを行うことができます。
⑤KPT型
KPT型のフィードバックは、プロジェクトや活動の振り返りにおいて、その成果や過程を評価するためのシンプルなフレームワークです。KPTは「Keep(継続するべき点)」、「Problem(問題点)」、「Try(次回試すべき点)」の頭文字を取って名付けられました。
「Keep(継続するべき点)」では、プロジェクトや活動で上手くいった部分、良かった点を挙げます。これは、今後も継続して取り組むべき成功要因や強みを明確にするための部分です。成功体験を共有することで、チームのモチベーション向上や次回への手引きとなります。
「Problem(問題点)」では、プロジェクトや活動での課題や問題を挙げます。これは、今後の改善のために必要な部分で、具体的な問題点や困難を共有することで、それを解決するための議論やアイディアを生み出すきっかけとなります。
「Try(次回試すべき点)」では、次回のプロジェクトや活動で新たに試してみたいこと、改善策を提案します。これは、前述の問題点を解決するための新しいアプローチや、さらなる成果を目指すための新しい取り組みを考える部分です。
では、一例を挙げてみましょう。
K (Keep):「毎朝のスタンドアップミーティングでの情報共有は、日々のタスクの進行状況を把握するのに役立っています。この習慣は継続しましょう。」
P (Problem):「ドキュメントの更新が遅れがちで、最新の情報がすぐに手に入らないことがあります。」
T (Try): 「ドキュメントの更新が必要な場合は、すぐに担当者に通知するシステムを導入して、情報の鮮度を保つよう努力しましょう。」
以上のように、KPT型フィードバックは、チームの強みを認識し、課題を明確にし、そして具体的な改善策を提案するための効果的なツールとして活用することができます。
人事考課のフィードバックには1on1ミーティング
おすすめの手法を紹介します。
1on1ミーティングとは?
上長と部下が「1対1」で対話することを意味しています。最終的な目的は会社が継続して成果を生み出すことであり、従業員の意欲と生産性を高めようと多くの企業が1on1ミーティングを導入しています。部下が意欲的に仕事に取り組めるようになると、会社への定着率上昇も期待できるでしょう。
人事考課のフィードバックに1on1ミーティングを導入するメリットは以下の3つです。
- メリット1:信頼関係を築ける
1対1で会話する時間を作ると、グループで話す以上の親密さをもって関係を築けるでしょう。これは、短期間に一度上長と部下が1on1ミーティングを通して相互理解を深められるためです。
部下にとっては親身に話を聞いて共に改善案を考えてくれる上長の存在は頼もしく感じられるでしょう。上長も部下の人柄や考え方の癖を把握できるので、個々の能力を活かせる仕事を割り振れるようになります。
- メリット2:悩みや問題の解決につながる
ある種閉鎖された空間で行われるため、個人的な悩みや他人に聞かれたくない困りごとも打ち明けやすくなります。部下から受けた相談が職場改善につながる場合もあるため、従業員一人ひとりの問題であると同時に、部署やチームの問題も浮き彫りになるのです。
先手を打って問題解決に取り組めれば、従業員にとってより働きやすく居心地の良い職場にしていくことができるでしょう。
- メリット3:本音を話しやすい
1対1で会話する場を設けると、部下は「心理的安全性を確保」できて本音を話しやすくなります。
「自由に思いを伝えてよいのだ」と部下が安心できる環境が整えば、思わぬ悩みや業務の改善点が見えてきます。部下の本音にしっかりと対処する姿勢を見せることで、部下のモチベーションが上がり、パフォーマンスの向上につながるでしょう。
これらのメリットを得るためには、1on1ミーティングにおける注意点を評価担当者に周知しておく必要があります。上長が一方的に話さないように注意し、事前に話すテーマを決めておくなどすると良いでしょう。
人事考課におけるフィードバックのポイント
4つのポイントを解説します。
目的や課題の共有
大切なのは部下が自主的に考え行動できるように促すことです。フィードバックを行う目的やそれぞれの部下が持つ課題を明確にして、共通認識を持ちましょう。
同じゴールに向けて話し合うことで、方向性がブレたり話す内容がなくて困ったりしなくなり、充実したフィードバックの時間にできます。
上長は部下の悩みを聞いて一方的なアドバイスや意見を述べるのではなく、部下の能動的な行動と思考を促します。また、部下の愚痴を聞く場や雑談の場にしないためにも、事前に実施の目的と話すべきテーマとなる部下の課題ははっきりさせる必要があるといえます。
感情を含めずに行う
職場での人間関係や感情が評価結果に影響を与えないようにしましょう。フィードバックを行う際は客観的な事実をもとに、論理的で公平性のある内容を伝えるよう注意しなければなりません。
意外としてしまいがちなのが「思い込み」です。「この人はこういう人だから」という思い込みや決めつけを持って会話すると、偏った評価をされる危険性があるので、先入観は捨てて事実のみに着目しましょう。
そのためには、日頃から部下の働きぶりや行動をよく観察することです。成果だけでなく過程も正しく評価するためには、上長がどれだけ部下一人ひとりを気にして見ているかが鍵だといえるでしょう。
部下との関係性を築く
部下が素直に悩みや目標を話し合える雰囲気を作るためには、上長との信頼関係が築かれている必要があるでしょう。信頼できない相手に対し、人は心の内を開示しにくいものです。何でも相談できるような関係づくりに日頃から取り組むことが重要です。
たとえば、部下の話を傾聴するよう意識したり、積極的に話しかけたりすると良いでしょう。良好な関係にある部下であれば、ポジティブなフィードバックはもちろん、ネガティブフィードバックでも素直に受け入れ、改善を図る行動を取りやすくなります。
実行できることを具体的に助言
人事考課におけるフィードバックでは、目標に対する行動や結果を評価するに留まらず、これからのアクションプランも立てます。その際に設定するプランは、実行できる難易度の内容で、かつ数値や期限を決めて具体化するように心掛けましょう。
また、前回のフィードバック時に立てた目標を達成できていなかった場合は「なぜできなかったのか」を部下と共に考え、アクションプランの難易度や内容を見直すと良いでしょう。
「フィードバック」に似た意味の言葉と使われ方の違い
360度評価との違い
フィードバックと360度評価は、両者ともに個人の成果や行動を評価し、向上を促すための手法として用いられますが、そのアプローチや目的には大きな違いがあります。
フィードバックは、多くの場合、上司から部下への一方的な評価や意見の共有を中心としています。これは、具体的な業績や成果に基づいて行われることが多く、その結果としての指摘やアドバイスを受け取ることが主な目的となります。
一方、360度評価は、その名の通り、上司だけでなく同僚や部下、時には外部の関係者からも評価を受けることを特徴としています。この評価方法は、評価の客観性や多様性を確保することを目的としており、対象者の行動や態度が周囲にどのように伝わっているのかを明確にするためのものです。そのため、360度評価は、給与や昇格に直接反映させるものではなく、むしろ自己認識のギャップを埋めるための手助けとして用いられます。
リアクションとの違い
フィードバックは、相手の行動や成果に対して具体的な評価や指摘を行い、その結果をもとに改善や成長を促進するためのアドバイスや指示を行うコミュニケーションの手法です。フィードバックは、受け手が自らの行動や成果をより良くするための具体的な手がかりや方向性を得ることを目的としています。このため、フィードバックは構造的であり、具体的な事例やデータに基づいて提供されることが多いです。
一方、リアクションは、相手の行動や発言に対する即座の感情や印象を示すものです。リアクションは、喜び、驚き、不満、同意などの感情や感覚を表現するためのものであり、その内容は主観的で瞬時のものであることが多いです。リアクションは、相手の行動や発言が自分にどのような感情や印象を与えたかを伝えるためのものであり、具体的な改善策や方向性を示すものではありません。
要するに、フィードバックは「これが良かった、これを改善すればもっと良くなる」という具体的な評価や提案を伴うものであり、リアクションは「これには驚いた」「これが嬉しかった」という感情や印象を伝えるものです。
ポイントを押さえてフィードバックしましょう
人事考課においてフィードバックを行うことは、その後の従業員一人ひとりの成長を早め、将来的な会社の発展に寄与します。会社は離職防止や業務効率化の実現、自発的に行動できる従業員の育成など、さまざまなメリットを得られるでしょう。
導入時に押さえたいポイントは複数ありますが、適切な運用をすることでメリットを最大限享受できます。対話時に役立つフィードバックの型も取り入れながら実践すると良いでしょう。