【テンプレート掲載】目標管理シートの書き方ポイントを業種ごとに詳しく解説
「人事評価の書き方がわからない。」、「毎年書いているけど毎回書くのに苦戦してしまう。」と考えることはありませんか。人事評価は、企業での給与や待遇に影響するとても大切なものです。伝え方ひとつで評価が様変わりするので、気を遣って記載しなければいけません。
適正な人事評価の書き方が理解できれば、自身の評価を高くし、立場に合った処遇を受けられるでしょう。また、社員がどのような能力を持っているのかはマネジメントする上で、非常に重要な要素なので正確な把握を心掛けてください。
この記事では、人事評価の評価要素を始め、目的、各業務毎の書き方の例文をいくつかお見せします。記事を読むことで、人事評価をなぜ書かなければいけないのかや、例文による人事評価の基本的な書き方が理解できるに違いありません。
目標管理シートとは
目標管理シートとは、目標管理制度に基づいて成果や目標を文書として管理するために使用されるシートのことです。
目標管理制度とは米国の経営学者ピーター・F・ドラッガーによって体系化された組織マネジメントの手法を指し、一般的にはMBO(Management by Objectives)と呼ばれています。
1990年代後半から日本国内で導入する会社が増えており、成果主義の広がりとともに広がっていきました。
目標管理シートを導入するべき理由
目標管理制度は上司が部下をマネジメントするというのを目的として導入されます。司は部下が目標を設定する際にサポートを行い、会社の方向性と一致させるようにアドバイスを行います。
目標が決定したら、部下が着実に目標達成ができるようアドバイスしたり相談を受けたりしながらサポートを行い、最終的に目標の達成度やそれに至るプロセスを評価します。
目標管理シートの失敗例
目標管理シートを導入しても、あまり効果が出ないような失敗するシートになる場合もあります。こちらでは目標管理シートでやってしまいがちな3つの失敗例を紹介いたします。
目標が多すぎる目標管理シート
目標管理シートに記載する目標は多くしすぎると、それぞれが中途半端になってしまいます。あくまで目安ですが、記載する目標は3つまでに抑え、設定した目標をどれも達成できると思えるように設定します。
もしどうしても3つ以上目標がある場合は、優先順位をつけて期間を分けて段階的に達成していくことを推奨しています。目標管理シートを運用し始めたばかりであれば、まずは1つの目標に絞り、目標管理に慣れていくことから始めましょう。
責任感を持てない目標設定
いい目標が設定できたとしても、取り組む本人が目標を達成したい、仕事に責任をもって達成したいと思えなければ、達成率は下がってしまいます。
個人が主体的にやりたいと思える目標であることを大前提とし、組織目標と個人目標が結びつけられる必要があります。目標達成に向けて取り組んでいることが組織に貢献しているという喜びを与えるとともに、自己成長を実感できる目標を設定しましょう。
目標が大きすぎる
目標管理シートに記載した目標を「大目標」とすると、その達成に向けた具体的な行動やプランが設定されていない場合、達成率は下がる傾向にあります。
目標が設定されており、取り組む意欲があったとしても、どのように取り組めば達成できそうか計画に落とし込むことが大切です。
こちらの行動やプラン設定に関しては1つの大目標に対して複数個記載しておきます。
⇒人事評価制度の事例について詳しく知りたい方はこちら
人事評価の評価要素
人事評価の評価要素は、大きく分けて3つの要素から成り立っています。
- 業績基準
- 能力基準
- 情意基準
それでは、上記の3つの要素について順番に説明します。
1.業績基準
「業績基準」とは、一定の期間内に実務でどのくらい実績を上げたかを評価する基準です。基本的には、初めに売上目標やプロジェクトの達成度を決めておいて、その期間が終了した後に、その実績をもとに評価を決定します。業績は、数値として目で見れるので、客観的に視認性が高いことが特徴といえます。
例えば、売上目標が200万円だったところを250万円売り上げた場合は、高く評価される基準となるでしょう。また、実績のみならず資格の取得や技術の習得についても評価対象となり、習得までのプロセスが評価要素の1つになります。
2.能力基準
「能力基準」とは、自身が持っている能力をどのくらい与えられた業務に反映させられたかを評価する基準です。この能力には、構想力や対応力、実行力などの他に専門的な知識や技術などがあり、職務を遂行するためには必要不可欠です。
例えば、営業職なら会話力や交渉力が必要になりますし、エンジニア職なら創造力や思考力、専門的な知識などが求められるでしょう。能力基準では、このような個人が持っている能力から社員の業務水準を評価します。
3.情意基準
「情意基準」とは、業務への取り組む姿勢やモチベーションを評価する基準です。どれだけ真摯に業務に取り組んでいるか、他の社員と協調力を持って取り組んでいるか、仕事を完遂する責任感などが評価の対象になるでしょう。
また、遅刻や欠勤なども評価される項目であり、モチベーションや業務の取組みなどを評価する基準は個人の裁量によります。しかし、業務に対する怠惰な面は、日々の勤務記録から客観的な数値として評価が可能です。
⇒コンピテンシー評価について詳しく知りたい方はこちら
人事評価の目的
そもそもなぜ人事評価は行われるのでしょうか。人事評価を行う前に、その3つ目的を把握しておく必要があります。
- 賃金管理や昇進を適切に行う
- 会社の風土形成
- 社員のモチベーションUP
それでは、上記の3つの目的について順番に説明します。
1.賃金管理や昇進を適切に行う
1つ目の目的は、「賃金管理や昇進を適切に行う」ためです。人事評価は、その個別の評価が賃金管理や昇進・異動などの待遇を適切に決めるための裏付けとなります。
年功序列・終身雇用で長く働いた分給料や待遇に影響を与えたのは、今や過去の話です。近年では実力主義の企業が多くなっており、業績や能力を基準に社員を評価しています。人事評価は、業務の違いによる不均衡を無くし、社員への公平な評価基準によって個人の待遇を判断する材料なのです。
2.会社の風土形成
2つ目の目的は、「会社の風土形成」を行うためです。社員に対し、ある一定の評価水準を設定し明確化することによって、会社の方針を客観的に指し示すことができます。
明確な評価基準が提示されることにより、社員は「社内では、どのようなパフォーマンスをするべきなのか」、「どのような行動が的確なのか」などを判断しやすくなるでしょう。個々のレベルで方向性を揃えることで、組織全体で目指すべき企業像や会社の風土形成に繋がります。
3.社員のモチベーションUP
3つ目の目的は、「社員のモチベーションUP」です。社員の目標が明確に提示されていれば、終わりまでの道程を把握でき、モチベーションを高めたまま働けるでしょう。
ところが、目標が曖昧だった場合、社員はどう行動すればいいかわからず、ダラダラと業務をこなした結果モチベーションを低下させる要因になるかもしれません。それを防ぐために、目標が設定されていれば、自ずとその目標に向かって行動がとれるようになります。そして、目標を達成し評価されれば、賃金や待遇に反映され、さらなるモチベーションの向上に繋がるのです。
⇒人事評価と人事考課の違いについて詳しく知りたい方はこちら
人事評価シートとは
人事評価とは、業績・能力・職務に対する「姿勢」や社内で決められた項目をどれくらい「達成」しているのかを振り返るものです。
評価内容は昇級や報酬に反映されます。そのため、客観的な観点で評価できることや、評価された人にとって納得感のあるものを作成する必要があります。
人事評価を書く時のポイント
人事評価を書くのは難しいですよね。そこで、人事評価の書き方のポイントを3つの評価要素から順番に説明します。
・業績基準
業績基準は、社員が目標に対して、どのくらい実績をあげたかを評価します。そのため、実績を上げるプロセスについては考慮されず、結果について書くようにしましょう。
業績基準では、業務毎で具体的な数字が現れるので、その数字を軸にして記載するようにしましょう。
書き方のポイント
- 目標における達成率
→売上金額や営業成績など具体的な数字をもとに記載する - 自身で決めた課題への克服率
→プロジェクト開始前に掲げた課題やウィークポイントなどをどのくらい克服できたか - 日常業務への評価
→ルーティンワークの質は高く保っているか
・能力基準
能力基準は、自分の能力がどのくらい業務に反映させられたかを評価します。業績基準のように具体的な数字が出るわけではないので、客観的な視点から記載しましょう。
書き方のポイント
- 企画力
→どうやって企画したかのような手法よりも、企画した業務の内容を重視して記載する - 対応力
→緊急時やイレギュラーな事柄が発生した時に、どのように立ち回って対応したか - 解決力
→難易度の高い案件や問題をどのようにクリアしたか
このように能力基準は、具体的な数字を用いて記載ができません。したがって、自分が持つ能力が業務の何に影響を与え、どう変化したのかを表面的ではなく、深く入り込んで記載しましょう。
・情意基準
情意基準は、業務への取り組み姿勢や意欲を評価します。能力基準と同様に数字での判断が難しい評価です。そのため、日々の積み重ねによる信頼が評価の指針となり得るので、正確性のある記載を心掛けましょう。
書き方のポイント
- 積極性
→指示待ちにならず、自ら率先して業務や課題に取り組めたのか - 団結性
→独りよがりならず、他の社員と協力して業務を進めているか - 勤務態度
→上司への指示に反抗的な態度をとっていないかや、遅刻や無断欠勤をしていないか
情意基準は、常日頃の積み重ねが評価に影響します。客観的な事実に基づいて記載しましょう。
業種ごとの人事評価の書き方・例文
人事評価は、評価者・被評価者のどちらにとっても大切なものですよね。適正に記載されなければ、待遇に差が生じることにもなるので、お互いに納得できる形で評価し、また評価されなければなりません。
そこで、下記の各業務ごとに人事評価で参考になる書き方と例文を説明します。
- 営業職の例文
- 企画・マーケティング職の例文
- 事務職の例文
- コンサルタント職の例文
- サービス(販売・外食)職の例文
- クリエイティブ(編集・デザイナー)職の例文
- エンジニア(機械・ものづくり系)職の例文
- ITエンジニア職の例文
- 保育士職の例文
- 看護職の例文
- 介護職の例文
- 公務員の例文
- 教員職の例文
- 管理職・マネージャーの例文
1.営業職の例文
上司
・書き方の注意点
上司が部下にする評価は、強い客観性が必要です。部下によってばらつきが起こらないよう平等に評価しなければなりません。
また、業績のみを評価するのではなく、普段の生活態度や仕事への取り組み姿勢についても評価をしましょう。目に見えにくい取り組みも評価すべきポイントなので、部下の様子を日常的に見ておくことが必要です。
・例文
営業での成績が前年度より10%増えたことは、非常に感心すべき点であり、また、プロジェクトのチーム内では率先して指揮を取ることによって、チーム内で強固な協調性を作り上げたことは大いに評価する。
しかし、営業でのクレーム件数も増えていることから、長期的に考えると損失に繋がる可能性もあるので、次期からは顧客への対応を見直すことが課題となるだろう。
部下
・書き方の注意点
営業は業務成績や改善点が明確に見えるので、割と評価文は書きやすいです。自身が掲げた目標をどのくらい達成できたのか、目標達成の結果分析、上司からの改善点への取り組みとともにチームワークについて書きましょう。
・例文
今年度は前年度より10%業績を上げることができた。チームが協調し、団結したことがこの業績を上げたことに起因するだろう。具体的には、声掛けや挨拶を初めとしたコミュニケーションをとることにより、連帯感が増えたことが結果として表出したと考える。
しかし、顧客への対応に対するクレームが前年度より7件増加したことから、今後は顧客への満足度を高めることに力を入れていきたい。
⇒営業職の目標管理について詳しく知りたい方はこちら
2.企画・マーケティング職の例文
上司
・書き方の注意点
企画・マーケティング職は、行っている業務によって業績の見え方に差が出やすいですが、見えにくい業務でもきちんと見て評価しましょう。また、企画・マーケティングは論理的な仕事であることから、上司も論理的な目線を持って評価することが大切です。
・例文
顧客が何を求めているか詳細に分析し、業績を上げてくれたのだろう。プレゼンテーションも非常に有意義なものだったと率直な意見を持った。また、データを見るとさらなる売り上げが望める可能性が十分にあったので、より分析し、そのデータを次の企画に生かし改めてブラッシュアップさせれば、大きな利益を創出できると期待できる。
基本的な能力はとても高く、他者に劣らない力を持っているので、一層高いデータ収集・分析能力を得て今後の業務に生かして貰いたいと思う。
部下
・書き方の注意点
企画・マーケティング職は、データの精査を行い、企画を作り上げて他者へ交渉する業務なので、それらに関することを記載しましょう。また、自身が関わった業務で具体的な数値として表れているものがあれば記載し、無ければ自身がその業務でどんな役回りだったのかを記載します。
・例文
女性向けに売り出していた商品が、SNSや口コミなどから男性に対しても集客が望めそうだと判断したので、男性向け商品の売り出しを企画した。企画当初は、集客は見込めないとされたが、基礎情報をもとにプレゼンテーションを行ったところ採用された。そして、その商品の販売により男性利用者が10%増加したことも確認できた。
次回の企画でも普遍的な目線で立案できる能力を、さらに養っていきたいと思う。
3.事務職の例文
上司
・書き方の注意点
事務職は、業績を数値として表すことが難しいので普段部下がどのような仕事ぶりなのか、しっかり見ておきましょう。ルーティンワークをこなすスピードが上がっているなど細部への評価が大切です。もし業務に対し積極的に取り組んだ点が見られたならば、評価の判断材料としてください。
・例文
エクセルへの数式の挿入によって、単純作業を自動化し業務の効率化を図ったことにより、全体の作業負担を減らしていた。このような細かい改善の意思はとても評価できる。
また、新たな採用予定者があった時に向け、定型の引き継ぎマニュアルを作成し引き継ぎを簡素化したことは、積極的な改善点の発見と言えるだろう。これからも続けて貰いたい。
部下
・書き方の注意点
日々の業務は、ほとんど代わり映えの無いものなので自己評価がしづらいですが、個々の業務クオリティを高めることを意識しましょう。これが足りないなと感じたものは積極的に改善し、さらなる効率化を図ることが大切です。
・例文
販売個数などによって、エクセルに打ち込む数値の変動があり、ルーティンワーク完了までに時間のばらつきがあったが、数式を打ち込んだことで、自動化し効率良くこなすことができた。
また、以前から新規採用者への引き継ぎに時間がかかっていると感じていたので、マニュアルを作成し効率の良い引き継ぎを行えるようになった。
4.コンサルタント職の例文
上司
・書き方の注意点
部下の業務での成果を積極的に評価しましょう。それに引き換え、本人が気づいていない部分について進言することも大切です。客観的な目線で改善点を指摘することで能力アップに繋がります。
・例文
顧客の依頼を真摯に受け止め、依頼に対する改善を行ったことで、顧客の要請を超えた販売個数を売却できたことは大いに評価できるだろう。
改善点にあっては、顧客に対し少し強い口調が目立ち、厳しい印象を与えることがある。そのため、日々の業務の中で少しづつ柔和な話し方を習得すれば、良い印象を与えられるだろう。
部下
・書き方の注意点
コンサルタントは、顧客が持つ問題点を解決に導く仕事です。したがって、きちんとした正しい意見を正確に答える必要があります。ですので、自己評価は日々の業務で顧客に対し、良い提案が出来た時は具体的に記載します。
・例文
顧客から商品販売の広告プランの依頼を受けたので、プランを提示したが、顧客の考えとは相違があった。そのため、現在の顧客の意図を伺い、それをもとに広告プランに掛かる費用の削減を申し出たところ採用され、プロジェクトに取り掛かった。
結果的に、顧客がノルマと考えていた販売個数を大きく超えた売却数だったことから、顧客より謝意をいただいたことは良い成果だったと思う。
5.サービス(販売・外食)の例文
上司
・書き方の注意点
販売・外食では、従業員は笑顔で基本的な挨拶から会計、退店対応までを行うことが求められます。したがって、お客様にはきちんとした言葉遣いができているか、自身の身だしなみは整っているか、自ら積極的に業務をこなしているか、勤務態度は良好かなど日々の業務で多くのことをポイントに評価しましょう。
・例文
顧客対応では、入店から退店まで笑顔で接し、間違えのない言葉遣いができており、身だしなみも整っている。お客様からの評判は非常に良いだろう。
また、周りの従業員との関係も良好で、協調力が高いことから業務多過の時もリーダーシップを発揮し要領良くこなしてくれている。これからも継続して欲しい。
部下
・書き方の注意点
販売・外食では、お客様ファーストの精神が大切です。そのため、お客様に対しどのように接することができたか、業務時は何を意識しているか、他の従業員と協調はしているかなどについて記載しましょう。
・例文
お客様が来店された時に不快な気持ちにならないよう笑顔を保ち、来店のご挨拶を行っている。また、オーダーや要件などでお客様と対応する時は、聞き取りやすい言葉を発し、笑顔を持って対応していると思う。
ランチやディナー時など忙しい時は、他の従業員と連携を密に保ち、率先して動くことによってスムーズに店内が回るよう常に意識している。
6.クリエイティブ(編集・デザイナー)職の例文
上司
・書き方の注意点
編集・デザイナーは、1人で行うことが多い業種なので、個人の能力はもちろんですが、周囲との協調力や納期への対応力などを評価します。また、部下が自分でわかっていない面を評価することで、よりレベルの高い人材に育つことも考えられるので発見に努めましょう。
・例文
新たなWebサイトの開発に向けた業務に取り組んでいるが、他のスタッフとしっかりと連携をとり、デザインに関して積極的にアドバイスを貰っている姿を見受けられる。他の者にはない独創的な感性を持っており、細かな技術に関しては非常に高いレベルを持っている。
また、納期については余裕を持った納入を意識しているようで、焦った姿を見たことがないのは高く評価できるだろう。
部下
・書き方の注意点
編集・デザイナーは、自身のスキルや知見が全ての仕事です。そのため、スキルアップのために行っていることを記載すれば、高い評価となるでしょう。また、納期を守るために行っていることや、現状の課題点を洗い出し、改善法を考えることも評価に繋がります。
・例文
新たなサイトデザインを先進的なものにするため、客観的な視点を取り入れたいと考え、アドバイスを積極的に貰いに行って創造性を広げた。
また、納期に遅延が生じないよう周りのスタッフの支援のもと、自身に持ち合わせていないアイデアを取り入れ、余裕を持って日々の業務を行っている。
7.エンジニア(機械・ものづくり系)職の例文
上司
・書き方の注意点
機械・ものづくり系は、具体的な数値による評価がしづらいので、会社へどのような貢献をしたのかが評価のポイントです。技術を用いて達成したことが、どのように費用削減に繋がったのかや、効率を向上させたのかなどはっきりとした評価を示しましょう。
・例文
製造工程において品質の低下を引き起こすミスが頻発していたことから、工程改善のために検証を実施し、その結果中間製造工程を追加し、30%ものミスの低下を達成し、社内全体の効率化を実現したことは、非常に評価できるだろう。
また、今後はさらに各部門と連携を図り、新製品の開発にも力を入れていって欲しい。
部下
・書き方の注意点
機械・ものづくり系は、会社の課題に対して技術を用い、どのような貢献をしたのかが最も評価を得られるポイントです。効率化の実現や製品の質の向上など具体的な貢献を記載できると良いでしょう。
・例文
試験製造工程において、細かいチェック漏れや確認不足が頻発したため製品の質が低下したことから、各工程の再検討を実施した。その結果、中間製造工程を追加することで、以前と比べて各種ミスの発生率が30%低下し、質の向上及び作業の効率化を実現できた。
8.ITエンジニア職の例文
上司
・書き方の注意点
ITエンジニアには、ITの広い知見やスキルが求められることから、上司は部下がどのような知見やスキルを持ち合わせているかを日々観察しながら、評価しなければなりません。また、ITに関する領域のみならず、他所との連携といった異なる分野の評価も忘れずに行いましょう。
・例文
上半期までに設計完了の見込みがあったシステムについて、ツールを作り上げることで、作業効率を約3割向上させたことは非常に素晴らしい。今後も全体を俯瞰して、業務を続けていって貰いたい。
また、自分の作業に没頭する社員が多い反面、部門を超えた連携を取るために、アプリを使用した連携を検討していることは、作業の効率化を大いに推し進めるので実践して貰いたい。
部下
・書き方の注意点
ITエンジニアは、ITに関する広範な知見やスキルに加え、他所との連携やコミュニケーションなどのスキルも必要です。したがって、自身の能力を業務にどのようにアプローチして貢献したかや、他所との連携状況を詳細に記載すると良いでしょう。
・例文
上半期までに設計するよう言われていたシステムにおいて、効率的な作業を実現するため、ツールを作り上げた。その結果、従来の約3割の作業効率の向上に成功し、設計工程に余地が生まれ、余剰時間が発生する結果となった。
日常業務では、他所との連携に不足する点が見られ、そのために業務連絡の食い違いが発生していたことから、チャットアプリを使用した連絡を取り合うことを計画している。
9.保育士職の例文
上司
・書き方の注意点
保育士は業績というものが無いため、具体的な取組みをどう評価するかが大切です。子供達や保護者への対応はどうか、子供達が過ごす環境を、より良くするためにしたことは何かなど日々の生活から評価をしましょう。
・例文
散歩時の園児に対する率先した注意の促しや、日々の生活の中で元気の無い園児への声掛けなど、目の前のことに手一杯にならず、広い視野で業務をこなしていることは非常に感心できる。
今後は園児が増える予定で業務多過となるかもしれないが、そのままの調子で業務に取り組んで行って貰いたい。
部下
・書き方の注意点
保育士は、数値を用いた評価が難しい仕事なので、具体的に業務で何に取り組んだのかを記載しましょう。保育士で1番大切なのは、子供たちが安全に1日を過ごすことなので、例えば、事故が起きそうな時にどのように状況を防いだのかを記載するといいかもしれません。また、保護者と良好な関係や交流を作れているのかについても自己評価に記載しましょう。
・例文
子供たちを散歩に連れて行く時は、園児一人一人を注意深く観察し、人数の把握はもちろん周囲にも気をつけている。そして、車道を歩く時は特段の注意を払っている。
保護者の方がお迎えにいらした際は、1日の様子をできるだけ詳細に伝えることを心掛けており、「いつもありがとうございます。」とお礼のお言葉をいただく時がある。
⇒保育士の目標管理について詳しく知りたい方はこちら
10.看護職の例文
上司
・書き方の注意点
看護師は、日々の業務が業績を上げることに繋がっていないので、日常の取り組みに対し評価します。しっかりと目標を立てさせ、その目標にどのようにアプローチしていったのかについて、コメントを残してあげるといいでしょう。
・例文
苦手としていた採血を、日々の訓練の成果あって誰の補助もなく、こなせるようになったのは大変評価できる。これからは、自身が苦手としている業務について、積極的に知識や技術の習得に努めて貰いたい。
しかし、時折患者さんに不用意な発言をしてしまうことが散見されるので、日々の業務の中で改善する意識を持ち、患者さんに寄り添った対応をすれば、直すことができると期待している。
部下
・書き方の注意点
看護師は、診療補助や入院患者への補助、家族や入院患者への接遇などが主な業務です。正確な技術や細かい配慮を持った態度、話を聞く姿勢などが必要になるので、職場に沿った内容で記載しましょう。また、自身に足りない技術を向上させるような評価を記載することも大切です。
・例文
日々の巡回では、働き始めた頃から苦手だった採血を心配なくこなせるようになったので、自身でも技術が向上していることがわかる。今後は、入浴の補助についてもスムーズにこなせるように取り組んでいこうと思っている。
しかし、時々患者さんの機嫌を損ねる言動をしてしまう時があり、より患者さんの目線に立った理解や発言をすることを目標としている。
⇒看護職の目標管理について詳しく知りたい方はこちら
11.介護職の例文
上司
・書き方の注意点
介護士は、目に見える業績がないので、日常生活でどのように被介護者に接しているか、ご家族との関係は良好か、介護技術は十分かなどを元に評価しましょう。また、今後本人に期待することや課題を与えることで、より大きな成長ができるに違いありません。
・例文
日々多忙な業務をこなしながら、危険箇所の改善に取り組んでいる姿は関心に値する。203号室の入居者は、褥瘡の経験があり、ご家族からも注意深く見て欲しいとの声があったので、率先して接してくれることでとても助かっている。
また、ご家族の方々からは、「いつも大切に見てくれてありがとうございます。」という言葉をいただくことが多いので、これからも変わらない接遇を心掛けてほしい。
部下
・書き方の注意点
介護職には、被介護者に対する安全な介助や生活支援スキル、コミュニケーション能力、事務処理能力が必要です。ですので、日々の業務に自身が持っているスキルをどのように反映させたのか、被介護者に会いに来た家族にどのように接したのかを具体的に記載しましょう。
・例文
入居者が安全に入居できるよう、段差や見通しの悪い箇所などがないか業務毎に点検している。また、褥瘡が発生する恐れのある入居者に対しては、通常より多く接することを心掛けるとともに、体位の変換を頻繁に行い、発生の抑止に努めている。
また、来られたご家族の方には、いつも快活な挨拶をし、生活で起きたことをできるだけ詳しく伝えるよう心掛けている。
⇒介護職の目標管理シートについて詳しく知りたい方はこちら
12.公務員の例文
上司
・書き方の注意点
国家公務員と地方公務員は、能力評価を年に1度、業績評価を年に2度行います。能力評価は、実際に業務で駆使した部下が持ち合わせる能力を評価しましょう。業績評価は、面談での申告により決めた目標で、達成度から判断してください。
・例文
時間がかかるエクセルでの入力作業の効率化を図るために、ショートカットキーの習得をしており、結果的に業務の効率を大幅に向上させていた。そして、効率化による余剰時間を利用し、以前より多くの業務を1人で請け負うようになったことは、高く評価できるだろう。
また、現在は他の職員の支援がなくても、ミスすることなく業務を完遂できており、当面の目標は達成できたといえるだろう。
部下
・書き方の注意点
一括りに公務員といっても、様々な職種があるので、それによって書き方が変わります。業績に具体的な数値を出せるなら、それを記載しましょう。事務的な業務が多い職種ならば、業務の習得状況や業務効率を向上させた事例に沿って書いてください。
・例文
去年から部内異動で事務業務に従事し始め、書類作成や決裁書類の振り分けなど、日常業務を支援無しで行えるようになった。
また、日々エクセルで作成する書類に数十分の時間をかけていたが、ショートカットキーを複数習得することで、業務時間の大幅な短縮ができ、他業務に時間を割けるようになった。
13.教員職の例文
上司
・書き方の注意点
教員の業務は、はっきりとした数値が業績として出ないため、授業や行事への取り組み具合から評価しましょう。また、教員として生徒に反映させられたことがあれば、積極的に評価してください。
・例文
単調な授業ではなく、毎回面白い話を交えた授業を実施しているようで、生徒や保護者からの評判はとても良い。
また、成績に関しても上昇傾向にあることから高く評価できるだろう。遅刻や欠席が多い生徒が目立つことに関しては、学校としても保護者に掛け合ってみることを検討する。
部下
・書き方の注意点
教員は、生徒に授業をするだけでなく、体育祭・文化祭などの準備や部活の顧問を担当したりと、多くの業務があります。したがって、評価には自身がどれだけのことを達成できたのかを記載し、また現在の課題や改善点をまとめておくとよいでしょう。
・例文
ただひたすらに板書し、話すだけの授業とならないよう、生徒を指名し対話形式の授業を行うように心掛けている。授業前にミニテストを実施することで、クラスとしての成績が向上している様子も窺える。
課題としては、遅刻や欠席が多い生徒が目立つので、どうすれば健康管理の自覚を持たせられるかや、保護者に協力を得られるか考えるつもりである。
14.管理職・マネージャーの例文
上司
・書き方の注意点
管理職・マネージャーに対しては、基本的に部署や店舗の業績で評価を判断します。また、業務責任者としてのリーダーシップやマネジメント力にも注目して評価すると良いでしょう。
・例文
新販売店のマネージャーに就任してから、地区の売り上げ目標に、すでに達していることは大いに評価できるだろう。
また、自らの判断でスタッフを教育係に当て、人材育成を行ったことは、十二分のマネジメントを果たしたといえる。目指すべき売り上げ目標を実現し、スタッフへの十分な配慮に秀でていることがわかる。
部下
・書き方の注意点
管理職・マネージャーは、もちろん自身が働いている部署や店舗の業績について記載します。業績を上げるに至った経緯を書くといいでしょう。また、業績が目で見える数値で表れているなら、その詳細な数値を記載してください。
・例文
販売店のマネージャーとして勤務してから、スタッフに細かく来店の挨拶、店内の清掃、お客様に対する接遇を指導したことで、客足が増え、売り上げが前年度より10%の増大となった。
最近では勤続3年目のスタッフに新規アルバイトの教育を担当させたところ、アルバイトが支援をつけることなく業務を任せられるまでに成長した。また、教育に従事させたスタッフに責任者としての自身をつけることにも繋がった。
人事評価は目的を理解して記入することが大切
さて今回は、人事評価の書き方について解説しました。適正に人事評価を書くためには、どのくらい業績をあげたのか、どのような能力を持っているのか、どのような姿勢で業務に取り組んでいるのかを元に判断しなければなりません。また、それだけではなく「なぜ人事評価を行うのか」という目的をきちんと噛み砕いて理解することが大切です。
書き方のポイントを理解し、各業務ごとで注意点に沿って記載すれば、価値のある人事評価に繋がるでしょう。