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国家公務員の人事評価とは?目標の設定や給与への関係について解説

国家公務員の人事評価とは?

人事評価は国家公務員にとって給与や人材のスキル成長にも大きく関係している重要な制度です。しかし人事評価は複雑な仕組みとなっており、どのような制度なのかあまり理解していない方もいるのではないでしょうか。

今回は人事評価の概要や目標の設定方法、給与との関係性についてご紹介します。

国家公務員の人事評価とは

公務員の人事評価とは、その人材が保有するスキルや実績にもとづいて決定される評価です。その他に人材育成の役割も持っており、評価をする側とされる側のコミュニケーションを通して成長につなげる効果もあります。人事評価には大きく3種類に分けられます。

  • 能力評価
  • 業績評価
  • 情意評価

能力評価とは、業務に役立つスキルや知識を保有しているかを評価します。業績評価とは、業務を行って得た成果や結果を評価します。能力評価と業績評価は類似しているように感じますが、前者は「過程」に、後者は「結果」に注目しているとイメージすればわかりやすいです。最後の情意評価とは、業務に取り掛かる態度や意欲を評価します。

以前は「勤務評定制度」によって公務員の評価を行っていましたが、「評価項目の不明瞭さ」「一方通行的な評価」「評価内容がわからない」などの問題点がありました。その問題点を改善するために新しく定められたのが、現在の制度です。

6段階評価で行われる

人事評価は以前までは「S・A・B・C・D」の5段階で評価されていました。しかし、2021年10月以降からはB評価を「優良・良好」に分けた6段階での評価に変更して進められています。その背景には、以前の評価では大きな偏りが発生しやすかったことがあげられます。5段階評価のうちAとBが大半を占めているため、公務員側としては「評価を行う意味がない」と思っている方も多いです。

また各公務員の給与の差が少ないことは、人材の意欲が低下してしまう原因の1つです。これらの問題点を改善するために中間の評価を削除し、より明確に人材のスキルを反映できるように変更されています。このように人事評価は、時代の流れに沿って人材を的確に評価できるように、適宜変更・改善が行われています。

国家公務員の目標設定

目標設定の流れとしては、先ほど説明した「能力評価」と「業績評価」を基準にして、それぞれ一定の期間で評価を行います。公務員の目標を設定するには、評価を行う側(上司)・される側(従業員)による話し合いで決定されることが多いです。上司は従業員の業務役割に応じて適切な目標を設定し、従業員は自身の業務役割を理解したうえで目標を立案します。上司と従業員の両方の目線から目標をすり合わせることで、より妥当性の高い設定が可能です。このときに注意したいポイントは以下のとおりです。

  • チームの目標とズレはないか
  • 役職に相当する目標内容か
  • 目標設定後に達成の有無が明確か
  • 不明瞭な目標ではないか

立案した目標は決して数値として測定できる項目ばかりではありません。そのため結果だけではなく過程にも目を向けつつ、チームから逸脱したような目標に設定しないように気をつけましょう。

人事評価による給与への影響

人事評価の概要について説明しましたが、給与とどのように影響するのかがわからない方もいるのではないでしょうか。こちらでは以下の項目について説明します。

  • 昇給額の決め方
  • ボーナスの決め方

昇給額の決め方

昇給額については以下の流れで決定します。

  • 能力評価・業績評価を基準にして全体的な順位を決める
  • 成績の良い従業員から「A〜E」の段階の区分に分ける

能力評価は年に1回、業績評価は年に2回行われるので、その評価を基準にして全体的な順位を決めます。順位に応じて一定のグループに分けた後、成績順に「A・B・C・D・E」の区分に割り振ります。区分がAに近づくほど昇給額が高く設定されていますが、こちらでもほとんどの公務員がCより上の評価がされるようになっているのが現状です。

もともと日本の公務員は年号序列で評価される風潮が大きいため、海外企業のような成績・実績を重視した仕組みではありません。人材によって昇給額の差が大きくならないので、仕事のモチベーションが上がりにくい原因にもなっています。

ボーナスの決め方

ボーナスには2種類あり、「期末手当」と「勤勉手当」の項目に分かれています。その内の勤勉手当は、業績評価を基準とした項目です。業績評価は「S〜D」で決められ、評価が高い順からさらに以下の4つの区分に振り分けます。

  • 特に優秀
  • 優秀
  • 良好
  • 良好ではない

ボーナスも同様に基準の偏りが大きいため、そこまで公務員ごとの差は少ないです。しかし社会の風潮も次第に変化しており、年々成績を重視するようになっています。そのため昔と比較すると徐々に実力主義の時代になりつつあるといえるでしょう。このように昇給額やボーナスなどによる給与への影響は、さまざまな基準によって変動します。

まとめ

国家公務員にとって重要な人事評価の概要についてご紹介しました。複雑な基準で評価が決められていますが、実際には評価の偏りが顕著になっているのが現状の課題といえるでしょう。しかし評価の細分化したことや、年功序列が崩れてきていることもあり、少しずつその課題の解決に近づきつつあります。その変化に応じて、公務員もあらためて業務に対する姿勢を見直す必要があります。