人事業務には何がある?業務内容の違いや人事部の役割について解説!
人事業務と聞くと採用周りの仕事のイメージが強いかと思います。実は、人事部は組織の運営においてなくてはならない重要なポジションです。しかし、「人事が行う業務」についてイメージしにくいという人もいるでしょう。本記事では、人事業務について解説したのちに、総務との業務内容の違いや人事部の役割についてお話ししましょう。
人事部とは
人事部とは、「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源のうち、”ヒト”について特に担当する部署です。たとえば、採用や教育・評価、配置などが理解しやすいと思います。企業活動を行なう上で、無視することのできない「ヒト」に関わるいくつかの業務を担当します。
人事部の業務内容
人事が行う業務は、大きく分けて6つに分類されます。それぞれについて解説していきます。
採用活動
「採用計画」「採用方針」を策定して、組織にとって必要な人材の確保に努めます。その際、経営計画に従って必要な人材を選びます。
基本的には人材紹介サービスや求人サイトを活用することが多く、昨今ではSNSを活用した採用も増えています。
異動・配置
社員は、本人の適性や能力と仕事内容がマッチしていれば気持ちよく仕事ができ、また会社も効率よく事業を運営できます。
しかし、適性・能力に合わない仕事に就いていたり、特定の部門では従業員が余剰の状態にあるのに他の部門では不足しているといった場合があります。その際、社員の仕事を変えたり、部門間の人員のやり取りを行ったりするなどして適正な配置を進め、適材適所の状態に近づける必要があります。
教育・研修などの人材育成やキャリア開発
「内定者研修」や「新入社員研修」など、入社した社員に対する教育や、管理職向けのマネジメント研修、業務に必要な「eラーニング」の手配など、教育プランをいくつか考えたのちに実行します。
人材戦略にあわせ、個々の社員の能力を高めたり、やる気を高めて組織全体を良い方向に持っていくための役割を果たします。
評価制度の運用
社員の能力や重要性を正しく評価するための「評価基準」を設定して、給与や賞与の計算や人事異動、昇給・昇格の基礎資料とします。
評価基準の設定は、他の従業員やその上司の主観によって決められないようにする必要があるため、とても重要かつ困難な業務です。
人事戦略・人事制度の企画
社員の能力や業績を適正に評価して、成果をあげた人が還元を受けられる仕組みを作ることも人事の仕事です。
具体的には、「目標管理制度」や「評価制度」「昇格や給与体系の仕組みづくり」などが挙げられます。社員がモチベーションを高く持って、長く働き続けられるように、透明性・公平性をもった人事評価制度を構築・運用しなければなりません。
労務管理
具体的な仕事としては、「雇用契約」「給与計算・支払い」「勤怠管理」「社会保険手続き」「福利厚生」などが挙げられます。例えば、従業員は会社から労働分の給料を受け取る権利や休みを取る権利があります。
一方で、契約どおりに出社し、税金や保険料を給料の中から納めなければなりません。このような従業員の義務や権利をマネジメントし、働きやすいよう環境を作るために運用していくことが『労務管理の仕事』です。
総務・労務の業務内容の違い
ここでは総務・労務との違いについて解説します。
総務
総務では、備品の管理・発注、オフィスの管理、社内規定の作成・更新、株主総会の運営、社内イベントの企画・運営といった仕事を主に行っています。会社全体、会社そのものにかかわる仕事と言い換えてもいいかもしれません。
労務
報酬を目的とした労働自体も労務と呼びますが、一般的には企業における労働に付随する関連業務全般を指します。事務処理や管理業務が中心です。労働量、つまり勤務時間の管理や、労働の報酬となる給与の計算、保険の手続きなど、従業員のサポート的な意味合いが強い仕事と言えるでしょう。
人事部の役割
人事部の役割を大きく分けると4つに分類されます。
それぞれ重要な役割を担っています。具体的にはどんな役割があるか解説していきます。
経営陣のパートナーとなる
人事部は組織のリソースをうまく管理して、経営目標を達成しなければなりません。その際に、社内の適切な部分に人材を配分し、各々のモチベーションを高く維持してもらうために動く必要があります。そういう意味でも経営に深く関わっており、いわゆる「経営陣のパートナー」とも言えるでしょう。
制度設計と運営
人事部では「賃金制度」「昇給・昇格制度」「配置転換・異動」「福利厚生」のような制度を一括で管理しています。経営戦略に基づいた各種制度の立案や改変も行なっており、制度の管理・運営も担当します。
オペレーション
毎月の給与計算といったようなオペレーション作業も人事部は担っています。
給与計算以外には、「支給実務社会保険手続」や「福利厚生実務入退社手続・異動対応手続」、「格付・評価制度運用資料作成評価集計」、「研修オペレーション」も行なっており、非常に広い範囲を対応していることがわかるでしょう。
人材開発や組織開発
人材開発において、企業と社員との価値観のすり合わせができれば、経営課題の解決が社員のモチベーションに繋がります。
また、組織開発の目的は組織の価値を最大化することです。企業と社員との一体感を生み出したり、1on1ミーティングの導入から上司と部下の関係性改善を行ったりするなど、個性を活かした組織文化の形成を目指していきます。
大企業と中小企業の人事機能や仕事の違い
企業の規模によっても人事業務に違いがあります。その違いをここでは見ていきましょう。
大企業の場合
大企業での業務の特徴は「細分化」される傾向にあるということです。例を挙げると、採用業務では「プロモーション担当」「面接管理担当」「内定者フォロー担当」のように分類され、縦割りの構成にすることで効率的な業務を目指します。
中小企業の場合
一方で中小企業では、細分化せずにあらゆることをまとめて行えるマルチな人材が求められます。大企業ほど人数がいないので基本的には1人で対応することも少なくなく、他の部署と兼任する場合もあります。
人事に向いている人
最後に人事の仕事にあっている人の特徴を解説します。
明るく対応できる
人事が採用活動に携わる場合、その時に対応した社員が会社の顔として認知されることになります。その際に明るくコミュニケーションをとれれば、会社への印象も良くなります。ハキハキと喋り、相手に関心をもって会話できる人が向いていると言えるでしょう。
進捗管理能力がある
採用計画において、選考スケジュールの管理や何回選考を行うかなどを決める必要があります。その際に目標となる数字に対して、どの程度達成できているのかしっかりと把握し、その都度適切な施策を実施できる必要があります。
機密情報を適切に扱える
人事部は、社員の給料や評価、異動や降格の情報、役員報酬、リストラ予定の社員の名前など、会社の機密情報を取り扱うことが多いです。これらの情報を漏洩させてしまった場合は、社員の不信感や不平不満、トラブルなどが生じることもあるでしょう。しっかりと機密情報を扱い、他部門の社員と適度な距離を維持できる人が人事には向いています。
まとめ
以上が人事部の業務内容に関する内容となります。一見、採用活動を主に行なっている部署だと思われがちですが、実際はさまざまな業務に携わっていることが分かったと思います。また、「向いている人の特徴」に当てはまったと感じた方はぜひ人事として働くことを検討してみてください。