生産性とは?生産性の定義と生産性の向上に向けた企業事例、タレントマネジメントの活用について
働き方改革の推進に伴って、従業員の生産性向上は企業の喫緊の課題になっています。
それでは、生産性の定義や生産性向上にはどのような手段があるのでしょうか?
今回の記事では、生産性の定義や向上のための手段、手段の一つとしてのタレントマネジメントの導入についてご紹介します。
生産性とは?
根本的な概念としては「付加価値/ 投下生産要素」とされます。
投下生産性要素としては、資本と労働投入量が挙げられます。それぞれ説明します。
資本生産性
工場や機械などの設備資本に対してどの程度の付加価値(≒粗利)を生み出せたかを算出します。
労働生産性
労働生産性は労働者1人あたりや時間あたりの付加価値を生み出している効率を確認することができます。労働投入量として、「労働者数」を用いる場合と「労働者数 × 労働時間」を用いる場合があります。労働者1人あたりの労働生産性を求める場合には前者を、時間あたりの労働生産性を求める場合には後者を使います。
物的労働生産性
生産された製品や作物などの個数や量を付加価値として置き、それらがどれほど効率よく生産されたのかを表す指標になります。例えば、30000個の部品を生産するのにかかった人員が300人の場合、1人あたりの物的労働生産性は100個分ということになります。物的労働生産性は比較的、客観的に認識しやすいため、社外向けの資料などでもよく使われます。
業務効率化と生産性の関係
業務効率化は「付加価値に寄与する業務効率を最大限高めることと、付加価値に寄与しない業務を減らすこと」だと言えます。
そのため、業務効率化を進めることは労働生産性と資本生産性を向上させることに繋がります。
一方で、生産性向上には、付加価値そのものを高めることもその手段の一つです。
よって、業務効率化は生産性を高める手段の一つという関係だと言えるでしょう。
なぜ労働生産性が注目されているのか
近年、労働生産性が注目されている理由について解説します。
労働人口の減少
少子高齢化により、人材不足が大きな課題となっています。総務省統計局「労働力調査」2020版によると、日本の労働人口は6868万人で、前年比18万人の減少となりました・このような状況下でも、求められる生産量を維持するためには従業員一人一人がより多くの付加価値を生産することが必要です。よって企業が保有している限られたリソースを最大限生かせるようにするため、労働生産性の向上が不可欠となっています。
国際社会での競争激化
様々な調査から、日本の国際社会における競争力が低下していることがわかります。例えば、公営財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2020」によると、日本の時間あたりの労働生産性は47.9ドルであり、OECD加盟37カ国中21位となっています。日本の国際競争力が低いことには、国際社会において日本企業が生き残ることが難しくなってしまいます。この状況を打破するためには、少ないリソースでより高い付加価値を生み出すこと、「生産性の向上」が必要なのです。
生産性を向上させるためには?
ここからは、労働生産性を向上させるためにどのような手段があるのか、ご紹介します。
そもそも労働生産性を高めるためには、付加価値の向上と労働時間×労働者数を減らすことの二つの解決の方向性があります。それぞれの方向性に分けてご説明します。
付加価値を高める
付加価値=売上高ー外部購入費と定義されます。そのため、手段としては以下が考えられます。
売上高の向上
売上高の向上については様々なところで詳しく解説されていると思いますので、詳述は避けますが、新製品の開発や営業強化等が考えられるでしょう。
外部購入費の削減
外部購入費を削減するためには、以下のような手段が考えられます。
- 製品設計の見直しによる原価の削減
- 流通ルートの改善による流通コストの削減
労働時間×労働者数を減少させるためには?
これが、先ほど挙げた業務効率化に該当するでしょう。具体的な手段としては下記のようなものが挙げられます。
- システムの導入による定型業務の圧縮
- 業務フローの見直しによる労働時間の圧縮
- 報酬体系や人材配置の見直しによる時間当たり成果の増大
労働生産性の判定方法
適正な労働生産性かどうかを見極めるには、過去の数値と比較してみましょう。前月や前年と比較することで向上しているのかを確認できます。向上していれば現状維持、していなければ他の施策を新しく練る必要があるでしょう。
また、類似事業を行なっている企業の労働生産性と比較してみる事も有効です。他社との差はどれほど、どのようなものがあるのかについて見てみてると改善策や向上策が見つかるかもしれません。
生産性向上に向けた企業の取組み事例
日産トレーデイングオペレーションジャパン株式会社 様
人事評価業務のExcelを利用したものからシステムを活用したものに変更したことで、140人日分の工数の削減に成功しています。
(参考:スキルナビ導入で、140日分の工数を削減。今後は、定量データをベースにした人事施策で、タレントマネジメントを推進していく。)
生産性向上とタレントマネジメントの関係
業務効率化には、最適な人材配置や業務量の圧縮が有効だと上述しましたが、タレントマネジメントの導入は最適配置を実現するだけではなく、様々な人事関係業務の見直しに繋がり、業務効率化に繋がります。この機会にタレントマネジメントについてもご検討してみてはいかがでしょうか。