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人事が考えるべき生産性とは?向上させるための具体的な施策を解説

人事が考えるべき生産性とは?

企業全体の生産性を高めることで、会社のさらなる成長を目指すことができます。同じ時間仕事を取り組んだとしても、生産性が低ければ思うような結果が現れません。同業他社に遅れをとってしまい、自社のシェアを拡大させるといったような目標を達成することは困難になるでしょう。しかし具体的にどのような施策を行えば、企業全体の生産性を向上させることができるのかいまいちピンと来ないという方も少なくないはず。本記事では、人事がすぐに取り組むべき施策をいくつか紹介しながら、生産性を着実に高める方法を解説します。なかなか今自社で実践している方法だけでは頭打ちであると感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

生産性とは?

そもそもビジネスの場で言われる「生産性」とは何を表すのでしょうか。単純に生産性といっても、人によって意味の解釈が異なれば、生産性向上という目標に向けて具体的に何をすべきなのか方向性がブレてしまいかねません。そのため今一度、生産性の定義を再チェックしておきましょう。

生産性という言葉の定義は、EPA(ヨーロッパ生産性本部)によって決められており、「産出÷投入」の式で書くことが可能です。もっと分かりやすくいうと、資源の投入量に対してどれだけの成果を出すことができたかを表しています。一般的に議論に挙げられる生産性の意味合いはこの定義がほとんどですので、必ず社内で共有しておくことをおすすめします。


生産性向上につながる人事施策

生産性を高めるためには、実際に働く従業員がいかに効率的に働くかどうかがポイントとなります。ですが本人たちだけでは見えない部分が多く、即座に改善することは困難である場合がほとんどです。そこで人事の立場から、生産性を向上させるための施策を5つご紹介します。いずれも日頃から人材について考えており、採用や人材配置に携わっている人事だからこそ行える方法です。


働き方の見直し

まずは労働環境を整えるところから始めましょう。実際に従業員が働く環境が快適でなければ、彼らの仕事効率は低くなってしまい、一向に生産性が上がってきません。企業の生産性を高めるためには従業員の力が不可欠ですので、働きやすい環境で労働条件に大きな不満を抱えさせないようにしましょう。

快適な労働環境を築くためには、例えば以下のような点についてチェックしてみてください。

  • フレックスタイム制の導入により、それぞれの従業員が働きやすい時間帯を設定できないか
  • テレワークの導入により、会社に来なくても良い柔軟な働き方ができるか
  • 残業時間が多くなり、長時間労働につながっていないか
  • 同業他社と比較して、改善すべき労働条件はないか
  • 従業員が上司や職場環境に対して不満を抱えていないか

といったこれらの要素をチェックし、自社がまず改善すべき点を洗い出しましょう。その上で労働条件を変更したり、1on1ミーティングや社内アンケートの実施を行うことで不満を解消するといったことを目指すと良いでしょう。


先を見据えた人材育成

こちらの人事施策は中長期的な目標にはなってしまいますが、将来的な自社の成長を目指したものとなっています。シンプルに、人材育成を行なった結果が目に見える形で表れるまでに多大な時間を費やしてしまうということもありますが、その中でも将来的に組織に必要となるスキルを身に付けさせることが重要です。当然、結果はすぐには表れず、その上時間やコストを費やす必要があるのですが、組織の今後の発展のためには必要不可欠な要素とも言えるでしょう。

ロボットがとって代われるようなシンプルな仕事ではなく、組織のために自身の頭で考えて行動できるような能力が理想的です。先を見据えた人材育成が成功すれば、従業員の離職防止やモチベーション向上にもつながりやすいため実践しない手はありません。


年功序列から成果主義へ

日本の企業の文化には「年功序列・終身雇用制度」が長く残っており、特に大企業ほどその特徴が顕著です。確かに年功序列により、長く勤めた従業員ほど厚い待遇を受けられるため、会社への帰属意識が高まり、離職防止にもつながります。しかしその一方で、特に大きな成果を挙げなくても厚い待遇を受けられるため、生産性が上がらないどころか下がってしまう傾向にあります。これではせっかく人事が生産性向上のための施策を打ったとしても、企業全体としての生産性は一向に上がりません。

そこで成果主義に移行する企業が増えており、業務での成果をあげた人ほど良い評価を受けることができ、厚い待遇を受けられるという仕組みです。つまり勤続年数のみに縛られた給与ではなくなるため、従業員自らスキルや能力を高めようとするきっかけになるのです。その結果、会社全体の生産性がアップし、将来的な成長も見込める可能性があると言えるでしょう。


適切な人事配置

現状の人事配置を今一度見直してみる機会を設けることも、生産性向上のための施策として有効でしょう。ある程度のスキルや資格を取得し、別の部署での配置にチェンジした方がその能力を存分に発揮できる従業員もいるかもしれません。あるいは別の部署に代わりたいという従業員がいれば、それを叶えることで本人のモチベーションアップにもつながります。もちろん人員のバランスやすぐには配置転換できない都合もあると思いますので、まずは配置転換の見直しの機会を設けることから始めると良いでしょう。


適切な人事評価

最後に従業員を適切な基準によって評価を行うことが、生産性向上につながるでしょう。直属の上司による主観的な評価では平等ではなく、不満に感じてしまう従業員も増えてしまいます。そこであらかじめ評価基準等を公表しておき、あくまで客観的な物差しによって評価できるように設定します。そうすることで正当な評価を行なってもらえるため、従業員は自ら行動したり、スキルや資格の取得に励むようになります。結果的に人材育成にもなるため、企業の将来的な成長にもつながるのです。


まとめ

以上が企業全体の生産性を向上させるために人事に求められる施策となります。人材育成による生産性の向上は少なからず時間がかかってしまうため中長期的な目標に設定しておき、短期的に施策を行える「人員配置」や「労働条件の見直し」から始めると良いでしょう。特に「労働条件の見直し」については競合他社と比較して、従業員が不満を抱えていそうな部分を見つけ、すぐに改善できる条件はないかどうか考えましょう。また並行して社内アンケートなどを用いて、自社の労働条件に対して抱えている不満を直接聞いてみるのも効率的な方法です。

成果を上げるために残業時間を増やし、多くのタスクを割り振ってしまうと作業効率は低下してしまい、生産性の向上にはつながりません。単純に時間を増やせば良いわけではないため、長い目で改善していくことを心がけると良いでしょう。そのためにも、1on1ミーティングやシステム導入などが効果的です。1on1ミーティングによって、従業員の目標に向けたサポートを徹底し、確実に成長できるようにアシストすることができます。またシステムの導入によって単純な作業をシステムに任せることで、人の手を他の作業に回すことができ、作業効率が大幅に向上することを望むことができます。確かにそれらの導入には時間やコストがかかってしまうのですが、中長期的な視点で見るとそのリターンは非常に大きいものであると言えるでしょう。企業生命を左右する生産性を高めるために、できることは可能な限り行うことをおすすめします。