生産性とは?生産性が落ちる理由やメリット、向上させる秘訣など徹底解説!
近年の労働者不足や国際競争の激化や、働き方改革の影響もあり、今まで以上に企業に対し生産性の向上が求められています。しかし「生産性向上」という言葉の意味を正しく理解している人はどのくらいいるでしょうか?
今回は、生産性向上の持つ意味やメリットを解説し、企業のできる具体的な施策を紹介します。
生産性向上とは
初めに「生産性」の意味とは、企業が採用した経営資源に対し、どれだけ成果を生み出すことができたかという効率の度合いのことを言います。経営資源に対し、産出した成果が大きいほど生産性が高いといい、小さければ低いといいます。
つまり「生産性向上」とは、経営資源を有効活用し、最小限の投資で最大限の成果を生み出すことです。
生産性が落ちる理由
生産性が落ちる理由として、以下の3つが挙げられます。
・長時間労働
・マルチタスク
・個人とチームのアンバランス
①長時間労働
かつて日本では、労働時間が長ければ長いほど成果を上げることができるされてきました。現在でも、一部の企業では長時間労働を採用しています。
しかし、長時間労働を続けることはストレスや疲労が積み重なり、判断能力が低下します。社員の作業効率は悪くなり、ミスや事故につながってしまい、最悪の場合過労死にもつながります。
また、社員の残業で建物を遅い時間まで使えば、施設の光熱費もかさみます。
②マルチタスク
マルチタスクとは、複数のシステムを同時進行することです。本来はコンピューターの用語ですが、そこから転じて複数の作業を同時にこなすことを指しています。
人間の脳はコンピューターとは違い、2つ以上の物事を同時進行で行うことが苦手です。作業に集中しづらくなることから、効率は悪くなります。
またマルチタスクをすると、アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンを増やします。生産性の向上を目指す際は、マルチタスクは避けた方が良いでしょう。
③個人とチームのアンバランス
チームでの作業の場合、社員の能力によって作業速度に差が出てきます。「作業の早い人に、遅い人の分の仕事を与え、終了時間を揃える」という手法は、全体の作業スピードを高めるという点では効率が良く見えます。しかしこれでは「仕事ができない人の負担が少なく、できる人の負担が大きくなる」ということになり、生産性は低下してしまいます。
作業の負担に見合った報酬を得られないと、仕事が早い人はモチベーションが低下し、会社に対して不満が募ってしまいます。
生産性向上と業務効率化の違い
生産性向上と混同しそうな言葉に「業務効率化」というものがあります。
生産性は「投入した経営資源に対してどれだけの成果を上げられたか」を計ります。つまり、生産性の向上には成果に直接つながる行動が重視されます。
業務効率化は、現状で非効率とされていることを、より効率的にするための改善を目的にしています。社員のバラつきや作業の無駄をなくし、スピーディに作業を行うことを目的とするため、業務効率化ではコスト削減につながる行動が重視されます。
つまり、生産性とは投入した経営資源に対してどれだけの成果を出せたのかを指す指標であるのに対し、業務効率は生産性を向上させるための手段であると言えます。
生産性向上を行うメリット
生産性の向上は企業にとって大きなメリットになります。今回は具体的なメリットを3つに分けて紹介します。
・人手不足に対応できる
・競争力の向上
・労働環境の改善
人手不足に対応できる
日本の労働人口は、今後数十年に渡って減少し続けることが問題視されています。ですので、生産性の向上に努めていない企業は、人手不足に陥ってしまう可能性が高いです。
このような人手不足は企業にとって深刻な問題ですが、生産性を向上させることにより対応力を上げることができます。
競争力の向上
他企業との差をつけるためにも、生産性向上は欠かせません。仮に他企業よりも規模が小さくても、十分な生産性が確保できていれば劣ることはありません。
また、国際的な競争力という点でも生産性の向上が注目されています。日本の生産性は先進国の中でも低い水準にもあり、諸外国を手本に生産性の向上を図ることが求められています。
コストを削減できる
生産性の向上とコストの削減は比例すると考えられています。生産性が向上すれば、それに必要な固定費、原材料費、残業代などを減らすことに繋がります。余裕ができた分、そのリソースをより優先順位の高い業務に充てることもできるでしょう。
労働環境の改善
生産性が向上するということは、従来と同じ労働時間でより良い成果を生み出せるということです。今まで長時間かけて行っていた作業が短時間で成果が出るようになると、残業時間を大幅に減らすことができます。
社員が働きやすい環境をつくり、モチベーションを高めることも、生産性の向上につながります。
生産性向上のための具体的な施策
企業が生産性向上のためにできる施策は多くあります。その中でも重要なポイントを5つに絞って紹介します。
- 個人業務の可視化
- 無駄な業務を洗い出す
- スキルアップ
- テクノロジーの導入
- 社員間の信頼関係の構築
個人業務の可視化
最初に、個人で抱えている業務の可視化を行いましょう。業務内での優先順位を確認し、選抜を行うことが重要です。また、周囲の環境の整理整頓や、集中して業務に取り組める環境づくりも大事な要素となります。
個人では処理できないものはチームで執り行う、個人での工夫を企業で共有するなど、業務の改善を定着させていきましょう。
無駄な業務を洗い出す
無駄な業務とは、必要のない承認や、複数の社員が個々で行っている業務、時間のロスに繫がるプロセスのことを指します。無駄な業務を続けていると、貴重な経営資源の無駄遣いになってしまうだけでなく、不要な業務による社員のモチベーションが低下してしまいます。
業務の可視化を行った後、無駄と思われる業務を洗い出し、バラバラで行っている業務のマニュアルを作成する、同じ内容の業務をまとめて不要な業務をなくし、生産性の向上に努めましょう。
スキルアップ
生産性の向上には、限られた時間の中で高いパフォーマンスを発揮することが求められます。そのためにもスキルアップは欠かせません。ショートカットキーの活用やブラインドタッチなどを習得しパソコンスキルを身につけたり、要点を簡潔に伝えることができるようコミュニケーションスキルなど、生産性向上のためのスキルは多岐にわたります。
スキルアップのための勉強会や、資格取得に対する手当を出すなど、環境づくりを行うことで社員のモチベーションアップにもつながります。
テクノロジーの導入
最近ではPCアプリケーションや情報管理・閲覧システム、クラウドサービスなどの導入をしている企業が増加傾向にあります。作業の自動化を進めることで、従業員の負担を減らし、生産性向上に繋がります。また近年は、AIやロボット技術は急速に発展しているので技術動向にも目を向けていきましょう。
適切な人材配置
各部署に適切な人材が配置されているかどうかは、企業の生産性を左右します。従業員の得意分野や志望とマッチする環境で活躍してもらうことで従業員本人達のモチベーションの向上につながります。従業員一人一人のスキルや性格、キャリアプランを明確に把握した上で適材適所を行いましょう。
社員間の信頼関係の構築
いくら1人で行っている業務でも、会社という組織に属している以上、その業務に関連する人は必ず存在します。それがチームでの業務では尚更です。信頼関係を気づくことができれば業務やそれに関する情報共有が円滑になり、最終的に生産性向上につながることでしょう。
生産性向上のために気をつけるべきポイント
取り組むべきことがわかったところですが、実際に着手する前に気をつけるべきポイントを認知しておきましょう。ここでは2点紹介します。
複数の業務を同時に課さない
生産性を向上させるためには、一見、多様な業務を一度にこなすことが効果的に思えるかもしれません。しかし、複数の異なる業務をこなすことでコルチゾールやアドレナリンといった、ストレスを引き起こすとされているホルモンの生成が促進されてしまいます。社員の集中力を高め、生産性向上を目指すためには少ない業務に注力させるようにしましょう。
上層部からの一方的な通達にならないようにする
生産性の向上は、会社の利益に直結することの1つでもあることら、つい上層部が先導してしまいがちな項目の1つです。しかし、現場を深く理解していない上層部が主体となって立案した施策は効果が見られにくい、または効果があっても現場社員のモチベーションの低下を招いてしまうこともあるでしょう。よって、現場社員が主体となって立案をしすることが一番ですが、もし上層部が立案するのであれば、現場の声をきちんと聞くようにしましょう。
生産性向上のために長期的な視点をもって施策に取り組もう!
国際的な競争の激化や、労働力人口の減少に伴い、生産性向上が注目されています。「業務の可視化」や社会の変化に柔軟に対応することで、今後の人事戦略や生存戦略にもつながります。
また、生産性向上は長期的な視点を持つことが重要です。目先のことだけでなく、必要な対策の取捨選択を行いましょう。