最適な人員配置を行うことによって期待できる効果とは?
人員配置は企業において基本かつ重要な業務です。従業員単位でのパフォーマンスや離職率にかかわり、組織としての生産性や経営計画の達成にまで大きな影響を与えます。しかし最適な人員配置を行うことは難しく、膨大な従業員のスキルアップやキャリアプランに合わせて最適化を繰り返す必要があります。
今一度、人員配置の重要性、目的や効果、必要な計画を確認してみましょう。
人員配置が最適化されている状態
一度人員配置を最適化しても、最適な状態は永遠には続くものではありません。人員のスキルアップやキャリアプランの変動などに対応して配置の見直し、再配置をサイクルとして行う必要があります。
①人員データ管理
まずは従業員のデータを一元管理する必要があります。人員配置において、「不透明な人事評価」を避けるためです。
評価基準があいまいだったり、人事評価に私情を挟んでいないかという疑念は評価への納得感に関わりますし、仕事へのモチベーション低下にもつながります。
従業員のデータを管理する人が限られていると、どうしてもその人の発言権だけが大きくなってしまいます。このような事態を防ぐためにも、従業員データの一元管理が必要なのです。
②人員の特性の把握
従業員の特性を正しく把握しましょう。各従業員のパフォーマンスを正確に判断するため、スキルや適性といったデータを管理し、必要に応じて分析できる環境を整えることが重要です。
- 採用時の情報
- 保有資格
- 受講した研修
- 評価面談、人事面談の内容
- 異動歴、昇・降格歴
③人員のキャリアプランの把握
人員配置を的確に行う上で、従業員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握することは不可欠です。
- 業務に対する不満、相談したいこと
- 興味のある業務
- 現在の人事評価への不満
面談やアンケートを活用して、従業員の考えを聞いてみましょう。もしも把握していた情報と相違があれば、正しい人事評価が行えていない可能性があります。注意しましょう。
人員配置とは
そもそも「人員配置」とは何でしょうか。正確に言葉にすることはできますか?
人員配置とは企業の組織構成、従業員の特性や配置などを最適に保ち、組織の生産性を高める人事マネジメントです。
人員配置の目的
なぜ人員配置をする必要があるのでしょうか。大きく2つの目的があります。
- 事業目標達成のため
- 人材定着と人員の成長のため
事業目標達成のため
人員配置における最大の目的は、事業目標の達成です。企業の命運にかかわる戦略的な人材マネジメントと言えます。最適な人員配置を行うことで、以下が期待できます。
- 従業員のスキルや適性に沿った業務を振り分けられる
- 各事業に必要なスキル、最適な人員数を振り分けられる
従業員のパフォーマンスが最大化され、高い生産性によって事業目標の達成につながるのです。
人材定着と人員の成長のため
人員配置が適切でないと、従業員のキャリアプランに沿わなかったり、適性に一致せず、スキルアップに繋がりづらい環境になってしまいます。
人によってはこれがきっかけで転職してしまうこともあるでしょう。人材の定着のためにも正しい人員配置が重要なのです。
人員配置のために必要な計画
人員配置を最適化には、以下4つの計画が肝です。
①定員計画
定員計画とは、事業目標などを達成するために必要な人員数を、取りまとめることです。目標達成のために人員数を増やすべきか、減らすべきか、もしくは維持すべきなのか定める段階です。
おおよその人員数が決まれば人件費の試算も可能になります。階級や役職なども含め、必要な人員数と人件費の見込みを立てます。
②要員計画
要員計画では、事業目標達成のために必要な人員を各部門や現場単位で算出します。人員配置や採用活動の計画など、定員計画から一段階掘り下げます。
人員の情報がより具体的につかめるようになり、人員の管理が効率化されます。また人員の過不足などの問題があった場合、この段階で組織全体に共有できます。
③人員計画
人員計画では、要員計画で算出された数字をより具体的に計画します。行うことが似ているので要員計画と人員計画は混同されやすいのですが、「要員計画は経営的」「人員計画は現場的」という違いがあります。
採用や異動、またそのコストについて、個人単位での計画を行います。ある程度長期的な事業計画や市場の様子も関わってくるので要員計画での数字と差異も生まれるでしょう。
④代謝計画
代謝計画では人員計画と要因計画の間で生まれたギャップをすり合わせます。人員計画で見つかった問題、例えば人員が不足している、コストが足りない等を解決します。
どうしても計算と現実は完璧に一致しないものです。追加で部署移動や採用を行う等、柔軟に対応しましょう。
人員配置で期待できる効果
①離職防止
人員配置が最適化されれば従業員と仕事の不一致が解消されます。また従業員のキャリアプランに沿った人員配置は働き方への不満も減少します。「正しく仕事に取り組める」「企業から従業員として尊重されている」といった企業への信頼は離職率の低下に繋がります。
②生産性向上
従業員のスキルや適性、仕事がマッチすればパフォーマンスの向上が見込まれます。結果として、企業全体の生産性が向上します。また個人単位での生産性が上がれば、少ないコストでより高い成果を得られます。
③人材の確保・有効活用
必要以上の新規採用や無理な部署移動がなくなります。適切な人数で業務を行うことが出来れば、結果的に企業全体の収益性が上がります。例えばこれまで5人で行っていた業務に必要な人数が3人で成立するとなった場合、2人を人員の不足している部署に異動することが出来ます。これにより必要のない新規採用がなくなります。
人員配置に人事管理システムが必要な理由
人事管理システムとは「人」にまつわるデータを集約・管理する人材マネジメントシステムです。他システムとの連携も可能で、人事業務が効率的に行えます。従業員のデータを見える化することにより、目的に応じたデータを抽出したり、情報を探す手間が省けます。
適切な人員配置で組織パフォーマンスを向上させよう
人員配置の最適化は必要不可欠です。しかしどうしても手間もコストもかかってしまうもの。そのうえ定期的に最適化しなおす必要があります。時にはデータの処理に追われ、本来の創造的な業務に掛けられる時間を削られてしまうこともあります。人員配置が楽になれば、組織としてのパフォーマンスの向上も、時間、コスト、人員の余裕も見込まれます。
人員配置に課題を感じているのであれば、人事管理システムの導入も一考してみてはいかがでしょうか。