人員配置システムとは?運用方法や導入のメリットについて解説
それぞれの人材の能力にあった業務を提供することは、生産性の向上と企業全体の活性化につながります。その反面、人員配置の作業には大きな負担がかかりやすいです。作業負担を軽減し、より効率的な業務を提供するにはシステムの運用が欠かせません。今回は人員配置システムについて詳しくご紹介したいと思います。
人員配置システムとは
各従業員のスキルにあわせた業務配置を設定し、効率・生産性を高めるために用いられるものが人員配置システムです。従業員の情報管理、配置の可視化といった機能を搭載しており、業務配置のサポートを行います。近年注目されているシステムでもあり、導入を開始している企業が増加傾向です。このシステムにより、業務効率化・生産性向上だけでなく、チーム状況や目標の達成状況の把握もしやすくなります。
システムを使った人員配置を行う理由
システムの運用は配置業務の効率化が主な役割ですが、決してそれだけではありません。企業がシステムを導入する主な理由について解説します。
データの可視化
従業員の基本情報をはじめとした、役職や配属されているチームのデータを可視化できます。また情報の可視化だけでなく、従業員の業務成績を分析し、今後の戦略を練ることも可能です。データ管理することで常に新しい情報を更新できるので、企業内の環境の変化にも対応できます。機能を最大限に活用するためには、自社のスタイルに適した機能を搭載しているシステムを選びましょう。
組織図のシミュレーションが可能
以前は紙面やエクセルを使用して配置の記入を繰り返す作業が必要だったため、労力を要していました。システムを活用することでチーム内の配置を簡単にシミュレーションできます。可視化されている従業員の情報を参考にしながら、直感的な配置が行えます。
複雑な配置も行いやすいので、企業規模が大きい場合でもスムーズなシミュレーションが可能です。システムの種類によっては従業員のアイコンを表示して、わかりやすく配置できる設定もあります。
人員配置の手間削減
システムの導入により従業員の情報をまとめられるので、配置に関する業務の負担を軽減します。導入をしていないと情報を一括して管理・更新が難しく、配置作業が難渋しやすいです。データを複数の媒体で管理している場合、従業員の必要な情報を探すのも一苦労です。システムの活用で必要なときに必要な情報を検索して、すぐに確認ができます。
人材配置システムを使用するメリット
システムの活用で得られるメリットは多数ありますが、大まかに4つに分類ができます。それぞれのメリットについて解説します。
生産性の向上
業務内容に適したスキルがある従業員を配置できるので、生産性を高められます。従業員としてもパフォーマンスを最大限に発揮できる業務を行えるため、仕事に対してのやりがいにつながります。また作業量に差のある部署同士を調整することで、従業員ごとの負担を一定にすることも可能です。
配置を変更しても効果がみられない、あるいは生産性が低下した場合、配置に問題が生じていることがほとんどです。あらためて配置のシミュレーションを行い原因の深掘りをすることで、より質の高い配置が実現できるでしょう。
人件費の削減
的確な配置を実現することで、人材リソースがどの程度必要なのかを判断できます。そのため従業員の必要人数が明確になり、ムダな人件費を減らせます。業務に対して従業員が少ないのも問題ですが、多すぎるのも作業効率を低下してしまう原因です。
チームごとに必要な人材リソースを割くことで、適切な業務量で質の高い結果を得られるでしょう。人件費を見直すとともに、他のシステム・サービスのテコ入れが行えます。
社員のモチベーション向上
従業員のスキルを発揮できる配置は、業務に対してやる気を高めることにもつながります。また従業員の希望も積極に取り入れることで、風通しの良い環境を構築できます。
逆に不適切な配置をしてしまうと効率・生産性の低下だけでなく、従業員のやる気にも大きく影響するでしょう。業務の意見に対してまったく応じない場合も、企業への不信感を高めてしまい離職の原因となります。システムを活用した配置だけではなく、従業員の声も取り入れるように配慮をしましょう。
ストレス低減
システムを活用した業務配置は従業員のやる気を引き出すだけではありません。ストレスを生み出す要因の排除にもつながります。作業量や業務の内容の差がストレスになり、対人関係のトラブルに発展することもあります。
この要因に対してシステムを活用することで、従業員は公平な業務を行うことが可能です。企業内の雰囲気も良くなり、ストレスのない環境を作れるでしょう。また定期的に配置を変えることで同じ作業によるモチベーションの低下を防ぎ、新しい刺激を得る機会を作れます。
人材配置の手順
システムをただ運用して配置を決めるだけでは十分な効果は得られません。正しい配置をするための手順について解説します。
定員計画
企業にどの程度人数が必要かを決定する段階が「定員計画」です。人数を決めるためには企業の方針やチームの目標から必要なリソースを計算し、大まかに設定します。人材がどの程度必要なのかは目標に応じて変動するので、従業員の増減については十分に検討しましょう。大体の人数が決定すれば、人件費の見込みも予想がつきます。
要員計画
それぞれのチームに割り当て従業員の人数を決定する段階が「要因計画」です。チームによって必要な人材スキル・人数は変わるため、規模に適した配置を行いましょう。
また人材リソースを割いても、収益の見込みが少ないチームの場合、アウトソーシングの利用などの工夫も必要です。その後従業員の雇用タイプも設定したうえで人件費のより細かな計算を行います。
人員計画
この「人員計画」はさらに細かく計画を立てる段階です。各チームに求められる人数を参考に、従業員1人1人の配置を検討します。この計画は今後予定される事業が中心となるため、配置はもちろん費用などの全体的に細かな調整が必要です。今後の企業の存続にも関わるものなので、この土台となる計画はしっかりと固めておくことが望ましいです。
代謝計画
手順に沿って計画を遂行したら、そこで終わりではありません。計画は必ずしも成功するわけではなく、その後の効果判定や改善が必要不可欠です。前段階では予想ができなかった問題が現れることもあるので、その後の「代謝計画」で解決の道筋を立てます。新たな人材の発見も、その計画の1つです。
運用時のポイント
配置に必要な計画を立てた後は、実際にシステムの運用を開始します。その際に重要なポイントについて解説します。
目標に対する現状の把握
システム運用を進めていくためには、目標から現在の状況について理解する必要があります。作業量に対する人材リソースは適正なのか、業務に適切な従業員を配置しているのかなど、よく確認しましょう。またこの現状確認は定期的に行い、常に目標に対しての進捗を把握しておくことが大切です。
事前にヒアリングの実施
あらかじめ従業員の意見も聞くことで、不満のない配置が行えるでしょう。
以下についてヒアリングしてみましょう。
- 希望している業務はあるか
- 今行っている業務に不満はないか
- 配置後の業務で困っていることはあるか
とくに1on1での面談形式は、従業員の本音が聞きやすいです。従業員の本当の思いを聞けるように、話しやすい環境を整えることも大切です。
まとめ
人員配置システムは非常に便利なツールの1つです。しかし効果的に運用するには、システムをよく理解し、常にブラッシュアップを続ける必要があります。またシステムを導入する際は、自社に適した機能を搭載したものを選ぶようにしましょう。