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サーベイとは?6つの種類や実施の流れ、項目の作り方を解説

サーベイとは

組織の課題を解消し、従業員により充実して働いてもらうにはサーベイを実施する必要があります。実際にヒアリングを通じて悩みや疑問を従業員から吸い上げている企業は、右肩上がりに成長している傾向があるのも事実です。とはいえ、サーベイについて正しく理解している方は少ないです。そこで今回はサーベイの目的や種類について解説します。

サーベイとは

サーベイ(survey)は日本語で調査を意味する言葉です。調査と言っても単純にアンケートのような、街角でインタビューする行為とは異なります。ビジネスでは企業全体の実態を把握するために行われ、近年では導入が増加傾向にあるのです。それは以前よりも、働き方や仕事に対する思いが変わってきたからです。そのような変化がうまれれば、あらたな疑問や課題が出てくるのも当然です。

また、企業内にとどまらず、外部へ実施されるケースもあります。代表的なのはマーケティング活動です。新商品を発売するためにニーズを聞き出したり、商品をリニューアルするために評価をヒアリングしたりします。ユーザーの思いがつかめれば、発売した商品がヒットする確率も高くなります。いずれにしても、全体像を把握するためにはサーベイが不可欠なのです。

なぜ今サーベイが必要なのか

ここからはサーベイの必要性について解説します。

従業員エンゲージメントが低下しているから

従業員エンゲージメントとはビジネス用語であり、社員の会社に対する愛社精神です。Engagementは契約・誓約・婚約と訳せますが、ここではそのような意味に該当しません。企業と従業員の結びつきを指す言葉であり、従業員のモチベーションと深いつながりがあります。

この従業員エンゲージメントが、現在低下しているのが現実です。一番の理由はテレワークの普及と大きく関係しています。テレワークが浸透し、どこでも自由に仕事ができる環境になりました。「事情で勤務地から100km以上離れた場所へ引っ越すことになった」「子供の世話があるのでなかなか出社できない」そんな理由があっても、テレワークなら働き続けられます。一方、コミュニケーションが希薄化しやすく、従業員が抱える悩みや疑問がヒアリングしにくくなったのです。そのためにサーベイが必要となりました。

組織開発が重視されるから

組織開発とは企業に属する人同士で環境を良化させていく考え方です。近年はこの組織開発がより重要視されはじめました。背景には企業文化の移り変わりがあります。以前まではほとんどの企業で年功序列の文化が浸透されていました。「とりあえず長く働いていれば出世できる」「在籍しているだけで給料が上がる」などの傾向があったのも事実です。結果的に従業員の考えに大きなズレはなくなり、組織開発の概念自体がなかったのです。

しかし、近年年功序列文化が撤廃されつつある中で、勤続年数よりもやりがいや働き方を重視する傾向になりました。様々な考え方や価値観を持つ方が増えたため、企業側はより社員とのコミュニケーションが重要となったのです。そこでサーベイを導入し、従業員エンゲージメントを測定する必要が出てきました。測定したのち、どのように従業員エンゲージメントを向上させるかが企業成長のカギとなります。

サーベイの種類

サーベイの種類について解説します。

従業員サーベイ

従業員サーベイとは社員を対象としたサーベイです。従業員が抱えている課題や悩みを吸い上げるための調査となります。具体的には「働いていてコミュニケーション上のストレスを抱えていないか?」「充実した働き方が出来ているか?」などが該当します。数あるサーベイの種類の中でも、もっとも一般的な調査と言えます。近年は人材を「人財」と呼ぶ企業が増加している背景からも、いかに従業員の悩みを解決できるかがポイントになります。

結果的に従業員サーベイを導入すると、社員のコミュニケーション不足や風通しの悪さが明確になるのも事実です。反対にコミュニケーションが活発化しすぎ、なれ合いを嫌う人も出てくるはずです。そのような課題が浮き彫りになれば、課題解決の糸口が見えてきます。コミュニケーションのバランスが取れ、最終的には働きやすい環境へと変わっていくのです。

パルスサーベイ

パルスサーベイとは短期間で複数回行われる調査です。パルス(pulse)は脈拍や鼓動などを意味します。短いスパンで細かい波を打つ脈になぞらえ、パルスサーベイと名付けられました。具体的には週1~月1回の高頻度で行われ、社員の現状を細かくヒアリングしていきます。従業員サーベイも社員を対象とした調査ですが、この実行頻度がパルスサーベイとの大きな違いです。

パルスサーベイのメリットは課題解決のスピードです。短期間で何回も調査が行われるため、課題が早期に見つかりやすいと言えます。「新設した部署の悩みや問題点を早めに知りたい」「新人を成長させるために現状のストロングポイントを早く把握しておきたい」などの希望にこたえられます。実際には5~15問程度の簡単な質問を繰り返し、現状の課題を深堀りしていくのです。しかし、導入ボリュームが大きく、場合によっては本業に支障をきたします。導入する場合は事前に時間と人材を確保していきましょう。

エンゲージメントサーベイ

エンゲージメントサーベイとは、社員の企業に対する愛着度をはかる調査です。「どれくらい企業に対して満足できているか?」「会社に対して不満はないか?」などを吸い上げていきます。エンゲージメントサーベイにおける一番の目的は、離職率を低下させるためです。社員が日々抱えている悩みや疑問は把握しづらく、テレワークが急速に導入された昨今ではなおさらです。現在は売り手市場である背景からも、少しでも不満があると離職してしまう傾向にあります。そのため、不安や悩みが大きくなる前にエンゲージメントサーベイを実施するのです。

また、エンゲージメントサーベイを導入すると生産性向上が見込めます。例えば「交通費を簡単に申請できるシステムを導入してほしい」「紙の申請から抜け出したい」などの意見があったとします。新システムを採用すれば、業務の効率は上がります。結果的に企業の業績は上がっていきます。

モラールサーベイ

モラールサーベイとは従業員のやる気をはかる調査です。モラールとはフランス語であり、直訳すると「モチベーション」「意欲」などと置き換えられます。社員のモチベーションを左右させる悩みや課題を知れば、社内の適材適所が実現します。例えば「上司と合わないから仕事に行くのがつらい」「苦手な仕事をやらされてやる気が上がらない」などと声があがれば、人事異動も視野に入れられます。

また、モラールサーベイは社員の経営参加意識を高められます。会社に対して意見を述べれば、チーム方針や企業戦略に組み込んでくれる可能性もあります。結果的にリーダーとしての自覚が芽生え、社員の成長スピードが上がっていきます。

コンプライアンス意識調査

コンプライアンスとは法令遵守とも言い換えられます。従業員が法令や規則に対し、意識付けができているかを調べるのがコンプライアンス意識調査です。「部下に対して差別的発言をしていないか?」「業務において不正を行っていないか?」など、自分自身が誤った行動を取っていないかを調査していきます。行動に問題がある場合、違反した従業員に対して罰則や懲戒処分を取る場合もあります。

また、コンプライアンス意識調査では、自分自身が問題行動を取っていないかを調べるだけではありません。周囲の人間から被害を受けていないかを調べるのも、重要なポイントです。万が一上司や同僚から迷惑行為を受けている場合、ただちに環境改善を図りましょう。社内に相談窓口を設けるのもトラブル防止策の1つです。

ストレスチェック

ストレスチェックとは、従業員が抱えている悩みや問題点を解決するための調査です。前述したサーベイとは違い、ストレスチェックの実施は義務となります。これは労働安全衛生法で定められており、主に50人以上の従業員がいる事業所が対象です(年1回の実施が不可欠)。実施形式は質問票による選択回答方式です。いくつかの質問に対し、該当する・やや該当する・ややあてはまらない・あてはまらないなどの回答に〇をつけていきます。

質問の具体例で言うと「現在の教育者の対応に満足している」「ストレスを抱えず働けている」などです。質問項目の指定はないものの、ストレス原因やサポート体制に関する項目は入れなければいけません。ストレスチェック実施後、ストレスが高い人には面接指導を実施します。

サーベイ実施の流れ

サーベイ実施の流れについて解説します。

対象者に実施目的を共有する

まずは対象者に実施目的を共有していきましょう。目的を共有すれば、従業員のサーベイに対するモチベーションが上がっていきます。回答内容は充実し、具体的な解決策が出しやすくなります。例えば「従業員1人1人が働きやすい職場をつくるため、今回はじめて調査を実施する」と伝えれば、とくに日頃から不満を抱えている人は熱心に取り組んでくれるはずです。

反対に目的が漠然としていると、サーベイ実施自体が無駄になってしまいます。質問に対して適当に答えたり、回答期限を守らなかったり、期待通りの結果は得られません。実施目的はサーベイの軸となる部分であるため、時間をかけて丁寧に共有していきましょう。

サーベイを実施する

目的が共有できたら、次はテストサーベイを行います。テストを行わずに実施しても良いですが、テストサーベイを行っておくと失敗リスクの軽減につながります。テストは専門機関に依頼するのがベストです。専門機関を通じて第三者へ調査が行われ、その結果をもとに質問項目を磨き上げていきます。結果的に内容の濃い質問項目ができあがり、従業員からも洗練された回答が返ってきやすいです。

テストサーベイで調査項目が完成したら、早速サーベイを実施していきます。サーベイは匿名で行うのが一般的であり、どの社員に対しても平等に扱うのがポイントです。氏名記入方式であると「名前を書いたら後で批判されそう」「本音を書いたら評価に響きそうだな」と感じさせてしまい、正しい回答が得られません。

結果を分析する

サーベイ実施後は結果の分析をもれなく行っていきましょう。従業員から得られた情報をもとに「どこに原因があるのか?」「どんな施策を打ち出せば改善できるか?」などを精査します。そこで重要なのは原因を多角的に見る点です。例えば「仕事でミスが減らない」と訴える従業員がいたとします。一般的には本人の確認不足と思われがちですが、失敗する土壌をつくり出している風土が原因です。

具体的にはシステムが複雑であったり、むずかしくつくられていたりすると、ミスが多発してしまいます。結果的に将来他の従業員もミスをする場面も出てきます。今回の場合はシステム改善を検討するべきです。このように、結果を分析する際は広い視点で見ていきましょう。

結果をフィードバックする

結果を分析したらフィードバックしていきましょう。別名サーベイフィードバックとも言われています。サーベイの結果を従業員本人や該当部署へ返していくのです。近年、サーベイを実施している企業が増えているものの、効果が出ていないケースも多発しています。それはフィードバックの未実施が大きな原因です。分析するだけにとどまらず、改善につとめるのが重要と言えます。

また、フィードバック実施時のポイントは、対象者を肯定的に受け止める点にあります。どうしても物事がスムーズに進まないと、責めたり批判したくなったりする瞬間もあります。そこで該当社員を攻撃すると、自信を喪失するだけでなく、信頼関係が崩れてしまいます。フィードバックはポジティブな空気の中で進めていきましょう。

必要に応じてサーベイを再実施する

サーベイの効果を検証し、必要に応じて再実施していきましょう。とくに初めて導入した方や手探りで実施した場合、思うような結果が出ない可能性もあります。一度で結果を求めるのではなく、修正して再チャレンジするのが大切です。再実施する場合はあらためて目的の共有からはじめ、結果のフィードバックまでを実践していきましょう。ほとんどの企業は何回か試行錯誤を繰り返し、失敗から学んでいます。

尚、実施ペースは多すぎても少なすぎても逆効果です。必要以上に多い場合、作成側も回答側にも負担がかかってしまいます。反対に少なすぎると、サーベイの効果が発揮されません。具体的には年1回のペースが適していると言えます。

サーベイの項目を自社で作る方法

サーベイの項目を自社でつくる方法を解説します。

サーベイの目的を決める

サーベイの項目を自社でつくる際も、目的が最も重要なのは変わりません。まずはサーベイの軸となる目的について決めていきます。その際、具体的に取り決めるのが重要なポイントです。「どんな問題を解決していくのか?」「いつまでに解決したいのか?」「いつからスタートするか?」などを明確に決めていきましょう。例えば離職率を低下させたいと思えば「3年後までに離職率を10%低下させたい。そのために半年後サーベイをスタートさせる」のような目的を決めるのが重要です。

目的が明確になれば、たとえ結果が一時的に振るわなくても軌道修正できます。従業員に目的を共有すれば、サーベイに対する意識も高まります。サーベイの導入を検討した際、早速項目をつくりたくなりますが、まずは目的を決めていきましょう。

文献を調査する

目的が決まったら、次は文献を調査していきましょう。文献は研究成果が集約された、欠かせない情報源です。自分たちの経験やスキルに頼っても良いですが、ここはプロの知識や知恵を借りるのが賢明な手段です。調査する分野に関連深い文献を用意し、情報を集めていきます。文献は書店で購入するのはもちろん、図書館でいくつかの文献を借りるのもおすすめです。図書館を利用すれば、たとえ参考にならなくても出費はゼロで済みます。

ちなみに関連分野の文献が見つからない場合は、研究を行う組織や機関と一緒に開発してみましょう。共同研究のメリットは調査環境が整っている点です。研究資金を出してもらえるため、専門分野の情報が得られやすいと言えます。

仮の設問をする

文献で集めた情報をもとに、実際に仮で設問をつくってみましょう。目的は主観を除くためです。たとえ文献を参考にしてつくっても、自分中心の考えや視点が入り混じってしまう可能性もあります。例えば「将来はどんな夢を会社で叶えたいですか?」という質問を検討したとします。しかし、最近の若い世代の社員は一般的に貪欲さがなく、出世したいと願う従業員は少なくなりました。となれば、このような聞き方は愚問であると分かります。

年齢はもちろん、性別や生い立ちの違う社員同士で精査するのがおすすめです。加えて、質の高い設問を少数用意するよりは、まずは結果にこだわらず数多くの設問を用意しましょう。中立的な視点で違和感のない設問が出来上がるはずです。

テストサーベイ

自社で項目を作る場合もテストサーベイは確実に実施していきましょう。最大の目的はデータ収集です。たとえ自分達で満足していても、実際に導入してみなければ結果は分かりません。現在は時代の変化が早く、作成した設問案ではすでに時代にそぐわない可能性もあります。テストサーベイを何回か繰り返し、設問の制度を高めていくのがおすすめです。

また、テストサーベイを社内で実施する場合、対象とするのは今回対象外の部署へ依頼しましょう。その際、年齢や性別が固まっていない部署へ依頼するのが望ましいです。意見や助言が偏らず、フラットな視点からアドバイスがもらえます。テストサーベイを実施する際も、対象者へ目的の共有を忘れずに行っていきましょう。

データ分析

テストサーベイを実施したら、得られたデータの分析を行います。不要な設問を削除したり、項目を追加したり、分析結果をもとに設問へ反映させていきましょう。最終的には良質な設問のみを残すのがベストです。

また、設問作成時の言葉選びについては対象者をイメージしていきましょう。例えば「上層部」に関わる設問をつくるとします。上層部と言っても、直属の上司・社長・幹部など、イメージする対象は様々です。そのまま上層部と書いてしまうと、回答者は困惑します。たとえデータを得られても、思惑通りの結果とはいきません。実際に設問を作成する際は、具体的かつ明確に表現していきましょう。

テンプレートを活用する方法

テンプレートを活用する方法について解説します。

アンケート作成ツール

システムの手を借り、かんたんに設問をつくれるのがアンケート作成ツールです。アンケートとサーベイは根本的な意味こそ違うものの、十分ツールを活用できます。ツールによっては1,500以上の質問サンプルが用意されていたり、設問を複数担当者で同時編集できたり、作成者を助けてくれる機能が目白押しです。とくに初めてサーベイを実施する方は活用する価値があります。

また、作成ツールは設問が用意されているだけではありません。例えば自動集計やデータ分析機能が付いているツールもあります。有料版になると、テストサーベイ回答者を集めてくれるサービスも提供しています。アンケート作成ツールを活用し、サーベイを効率的に導入しましょう。

タレントマネジメントシステム

タレントマネジメントシステムとは従業員の内面に注目し、企業戦略を立案するシステムです。近年は売り手市場であるため、即戦力人材をかんたんに採用できません。社内人材のスキルや能力をいかんなく発揮させ、今ある資源を最大限活用しなければいけないのです。そこで注目されているのがタレントマネジメントシステムとなります。

一般的にタレントマネジメントシステムは一人一人の能力を把握するためにつくられています。しかし、設問作成時にも十分活用できるのです。システムによってはアンケート機能も搭載されており、テンプレートをもとに設問の作成ができます。調査やデータ分析をシステムに頼ってしまうのもおすすめです。

サーベイを実施する際のポイント

サーベイを実施する際のポイントを解説します。

サーベイの目的を共有して従業員の理解を得る

サーベイを実施する際は、従業員の理解を得るのが先決です。事前に告知していなかったり、周囲が納得しないまま実行したりすると、不満やストレスを発生させる原因となります。サーベイで問題を解決するどころか、導入して新たなトラブルが発生しては本末転倒です。スムーズに導入するためにも、まずは目的を従業員へ共有していきましょう。

目的を共有する際は従業員へのメリットを伝えると効果的です。例えば「残業時間ゼロを目指すために実施します」「ストレスなく働いてもらうために導入します」などと伝えます。目的が明確になった社員は、スムーズに調査へ協力してくれるはずです。目的の共有はサーベイ実施において最も重要なポイントのため、もれなく連携を図っていきましょう。

本音を引き出せる工夫をする

サーベイでは従業員の本音を引き出す工夫も必要です。本心で回答してもらわなければ、正しいデータは得られません。そこで実施しておきたいのは匿名制度です。従業員は回答する際、自分自身の名前が非公表であると安心します。「後で回答に対して批判されることはない」「自由に書いても被害は受けないんだ」と感じ、素直に答えられるのです。とはいえ匿名制もいきすぎると、誹謗中傷をうんでしまいます。項目によって名前を公表・非公表で分けるといった工夫も必要です。

また、本音を引き出すためには十分な回答期間を設けるのもポイントです。忙しい時期に実施しても、いい加減に答える従業員も出てきます。中には取り掛かれない社員もいるはずです。

フィードバックを怠らない

サーベイを実施したら、かならずフィードバックを行いましょう。対象者が答えただけの状態では、従業員もモチベーションが下がってしまいます。回答者もフィードバックをもらえる前提で答えている可能性が高いです。回答データの所有権は会社のものではなく、本人に与えられます。そのため、現状と今後の行方はオープンにするのが鉄則です。

例えば「ほとんどの従業員から残業削減の要請があった。そのため、来月までに3名人材を採用する予定であり、4か月後には一人一人の残業時間を月3時間未満にする」のような報告が必要です。フィードバックを受けた社員は反映された事実から安心し、次回のサーベイに対するモチベーションが上がります。

サーベイの課題「サーベイ疲れ」

サーベイを実施した社員に感想を聞くと、約7割の社員からネガティブな答えが返ってきます。具体的には「回答するだけでもくたびれる」「答えても結果が返ってこない」などの回答が目立ちます。社員のサーベイに対するモチベーションが下がっており、期待通りの結果が得られていないと分かります。社内で項目を作成していれば、作成にかけた時間が水の泡となってしまいます。社外へ作成を依頼している場合、それだけの費用が無駄遣いとなるのです。

項目を作成する側はどうしても自分本位になりがちです。あくまで答える側は人間であると認識し、解決策を講じていきましょう。

サーベイ疲れの解決策

サーベイ疲れを従業員から感じた場合や導入して失敗したくない方は、解決策や対策を立てるのが先決です。まずポイントとなるのが従業員への依頼方法となります。人事部からサーベイを実施する旨を伝えるのが一般的であるものの、経営層や社長からの発信も検討してみましょう。人事部から伝えるのと、トップ層から発信するのでは説得力が違います。トップ層からの依頼であれば、真剣味が伝わります。

また、回答期間を長く設けるだけでなく、設問数にも配慮するのがポイントです。最大100問、一般的には50問前後で設定しましょう。回答時間の目安は15~30分であると、ストレスなく回答できます。そのためにも、分かりやすくシンプルな設問であるのがポイントです。

その他ビジネスで実施される調査

その他ビジネスで実施される調査を解説します。

アンケート

サーベイとアンケートは似た言葉として使われますが、根本的な意味は異なります。まず一つ目は調査対象です。アンケートは一般的にユーザーや消費者に対して行われます。「街頭アンケート」「路上アンケート」と呼ばれる言葉を聞いた経験のある方も多いはずです。見ず知らずの大多数の方へ調査を行っていきます。一方、サーベイは従業員を対象とした調査のため、違いは明確です。

続いての違いは調査内容です。アンケートは項目がすべて同じであり、特定の方を対象としているわけではありません。反対にサーベイは対象者によって設問を分けたり、部署ごとで質問内容を変えたりします。このようにアンケートとサーベイでは調査対象・内容で異なるため、念頭に置いておきましょう。

リサーチ

リサーチもサーベイと似た言葉ですが、両者の意味は違います。大きく異なるのは目的です。リサーチは文献やデータを活用し、ある事象に対して深く調査を行います。主にマーケティングや研究分野で使われる言葉です。一方、サーベイは従業員から悩みや疑問などの表面的な内容を吸い上げるために行われます。

また、両者には関連性があるのも事実です。サーベイは全体像を把握する目的で実施され、そのうえでリサーチにて根っこの部分までを調査していきます。サーベイという大枠の中に、リサーチがあると言えば分かりやすいはずです。全体像を把握する意味ではアンケートも同様であるため、アンケートとリサーチがセットで使われるケースもあります。

自社に合ったサーベイを実施しましょう

サーベイは調査を意味する言葉です。現在はテレワークや在宅勤務の広がりにより、コミュニケーションの質が低下するケースも多いです。「従業員が何を考えているか分からない」「社員の疑問や不満をなかなか聞く機会がない」などの声も頻繁に聞かれます。サーベイはそんな悩みを解決すべく、従業員を対象とした調査です。

サーベイには様々な種類がありますが、最も代表的なのは従業員サーベイです。コミュニケーション不足や風通しの悪さを解消するために行われます。他にもパルスサーベイやエンゲージメントサーベイなどがあります。この機会にぜひ自社に合ったサーベイを実施し、社内の問題を解決していきましょう。