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タレントマネジメントとは?システム導入までの手順と選定ポイント

タレントマネジメントとは

タレントマネジメントは90年代にアメリカで導入されたことにより注目を集めました。日本国内でも従業員の働き方の価値観の変化や、人材の流動化などの社会情勢の変化により多くの企業がタレントマネジメントに関心を寄せています。

今回のコラムでは、タレントマネジメントの定義や具体的内容、そしてタレントマネジメントシステム導入のポイントなどをご紹介します。

このコラムを最後まで読んでいただくと、タレントマネジメントの概要を理解することができ、自社のタレントマネジメントを成功に導くことができます。

タレントマネジメントとは

従業員が持つタレント(英語で「能力・資質・才能を意味する)やスキル、経験値などの情報を人事管理の一部として一元管理することによって組織横断的に戦略的な人事配置や人材開発を行うことを指しています。

タレントマネジメントを導入するうえで、タレントマネジメントが注目されている理由や、目的を明確にしておくことで、精度が上がります。

日本でタレントマネジメントが注目されている理由

タレントマネジメントが注目されている理由は、少子高齢化による労働人口の減少と労働者の働き方に対する価値観の変化です。従来のように新卒一括採用では優秀な人材が確保できなくなった今、外国人や子育て中の女性、高齢者など国籍や年齢を問わず労働力を確保することが企業にとっての急務の課題です。

また、雇用形態についても正社員以外の働き方、すなわち時短勤務や契約社員、フリーランスなど多様化したニーズに応えていくことが求められています。

限りある労働力で経営目標を達成するためには、従業員情報を全社横断的に一元管理し効率的に人材をアサインすることが重要であるため、タレントマネジメントが注目されているのです。

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タレントマネジメントを行う目的

タレントマネジメントの目的は、経営目標に基づいた経営戦略を人材マネジメント面でサポートして達成させることです。

組織における社員一人ひとりのスキルを活かしパフォーマンスを最大化させることによって、より高いレベルの経営目標を達成することを目指すものです。

日本における人材マネジメントにおいては、配属された人材の使い方は配属先に一任する傾向が色濃く残っています。しかし、この傾向が社員のパフォーマンスの発揮につながらないことも多々あり、人材流出をもたらすケースもあります。

社員一人ひとりの持つスキルやタレントを余すことなく活用し、どう育成したのかをキャッチアップする仕組みを構築することで社員のパフォーマンスを最大化することが可能です。

経営目標の実現

タレントマネジメントの一番の目的は、経営目標の実現です。その中でも、「事業の拡大」「会社の業績アップ」など、企業の経営目標を人事戦略に落とし込みながら実践していきます。

タレントマネジメント実現のためのポイント

タレントマネジメントでは経営目標の実現といったところだけでなく、そのうえで何を行うのかを明確にする必要があります。

タレントマネジメントは具体的な何をすればいいのか?と疑問に感じる方もいらっしゃると思います。そこで、続いてはタレントマジメントの具体的な方法について見ていきます。タレントマネジメントの方法は主に以下の4つに集約されます。

  • 人材の調達
  • 人材の育成
  • 適材適所による成果の最大化
  • 人材の定着

人材に関する調達から、定着までを一気通貫的に管理することがタレントマネジメントの具体的方法と言えます。それでは、ひとつずつ順番に説明していきます。

人材の調達

優秀な人材を調達することは、タレントマネジメントの根幹ともいえる重要なプロセスです。

しかし、新卒採用、中途採用問わず前例を踏襲し、効果検証もせずに毎年のルーティン的な業務として採用活動を行っている企業が少なくありません。採用戦略とタレントマネジメント戦略はリンクさせる必要があり、戦略に基づいた採用活動の立案・実行が求められます。

まずは経営目標の達成のために、必要とされるタレントについて自社内での人材発掘を検討します。自社で必要な人材をまかなえない場合は、新たに必要な人材を外部から採用し不足するタレントを補填することで、経営目標の達成につなげていきます。

人材の育成

優秀な人材を確保するためには、社員のモチベーション維持が必須であり、そのためには社員一人ひとりに寄り添ったキャリアプランの設計が重要です。

社員のタレントを把握することで、その社員が将来的に最も高いパフォーマンスを発揮できるキャリアはどれか、そのためには今どのような経験を積ませるべきかなど効果的な人材育成方法を分析する事ができます。その分析に基づいて人材育成計画を実行していきます。

さらにタレント把握によって、将来の幹部候補を選定することもできるので、様々な部署での業務を経験して必要な役職につかせるなど、企業の将来を牽引するリーダーを育てることも可能です。

適材適所による成果の最大化

社員のタレント情報をもとに最も適正の高い業務にアサインするなど、客観的なデータに基づいて適切な人材配置を行います。

社員それぞれの資質やスキル、経験を活かせる人材配置を全社的に行うことで、適材適所によりパフォーマンスを最大化することができます。

新規プロジェクトの立ち上げなどを行う際にも、必要なスキルを有する人材をすぐに確保できるため、迅速かつ最適なチーム編成でプロジェクト遂行が可能です。

人材の定着

適材適所で人材を配置し、その成果を正しく評価することで、社員のモチベーションやエンゲージメント向上につながるため、結果的に優秀な人材を自社に定着させることができるようになります。

また、タレント情報を分析することで自社の弱い部分を可視化できるので、採用活動の際に特定の領域に絞ったリクルーティング活動が行えるため、業務との適正がある人材を効率的に採用できるようになります。

調達した人材を育成し、パフォーマンスを最大化させ、そしてその人材を自社に定着させることでミッション達成への源泉とすることがタレントマネジメントの具体的方法です。

タレントマネジメントの定義

そもそもタレントマネジメントはどのように定義されるのでしょうか。

実は、タレントマネジメントについて明確化した定義はなく、各国の各研究機関によってそれぞれ異なる定義が公表されています。

今回はアメリカにおける2大人材マネジメント組織(SHRM、ASTD)による定義をご紹介します。それぞれの組織による定義は以下のとおり。

SHRM(2006年版)
人材の採用、選抜、適材適所、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の人材マネジメントのプロセス改善を通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、現在と将来のビジネスニーズの違いを見極め、優秀人材の維持、能力開発を統合的、戦略的に進める取り組みやシステムデザインを導入すること。

ASTD(2009年版)
仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、適材適所を実現し、仕事をスムーズに進めるため、職場風土(Culture)、仕事に対する真剣な取り組み(Engagement)、能力開発(Capability)、人材補強/支援部隊の強化(Capacity)の4つの視点から、実現しようとする短期的/長期的、ホリスティックな取り組みである。

いずれの定義においても、基本的な理念としては社員のキャリアパスを明確化し、中長期的なキャリアプランを設定し、実現させようとする考え方です。

社員ファーストを基本として組織横断的に、人材活用と人材育成を推進することがタレントマネジメントの根幹です。

タレントマネジメントの”タレント”とは?

タレントマネジメントを提唱した書籍、THE WAR FOR TALENTでは、「『タレント』とはマネジメント人材を指し、あらゆるレベルで会社の目標達成と業績向上を推し進める、有能なリーダーとマネジャーを意味する(Michaels et al. 2001=2002)」としています。

 

タレントマネジメントの効果

タレントマネジメントを行うことによってさまざまな効果を期待することができます。

満足度、モチベーション、エンゲージメントの向上

タレントマネジメントは個人の特性やエンゲージメントレベルに合わせて行います。そのため、自然と仕事への満足度、モチベーション、エンゲージメントの向上が期待できます。

仕事の質と能力の向上

タレントマネジメントによって社員のコミットメントを高めることにより、必然的に能力が向上します。それにより、仕事の質も上がっていくのです。

適材適所の人員配置の実現

従業員のスキルに適した作業内容の選定を行いやすくなります。たとえば、技術職では思うようなパフォーマンスを出せなかった人材でも、営業部に移ったら成果をすぐにあげられた、なんてこともあるでしょう。

このように、人材それぞれの隠れたスキルを可視化しやすいのが大きな特徴です。今後、企業の要になれるような従業員に対しては、早期に指導や研修を行ってスキルを養っていく、という戦略も構築できます。

中長期的な人材育成

適切なポジションの配置や意欲の向上だけでなく、先を見据えたうえでの人材教育にも役立ちます。一人ひとりの従業員の将来像を明確化することで、今後どのような方向でスキルを養うべきか、どのような研修が必要なのかが見えやすいです。

未来に直結できるような教育をピンポイントにピックアップすることも可能です。将来的な企業の利益につなげるためにも、ぜひ育成の目線でも活用してみましょう。

タレントマネジメントのデメリット

多くの利点がある反面、注意しなければ「思うような結果が得られなかった」「うまく活用できなかった」と失敗してしまう会社もあります。

とくに気をつけたいのが「労力に対して成果が釣り合っているか」です。会社があまり把握していない状態で導入したとしても、十分に活用できなかったり、費用対効果がまったく得られなかったりします。

その他に失敗してしまう理由として、以下があげられます。

  • 最新の情報を活用できていない
  • 情報の入力だけで終わってしまう
  • データの取り込みがメインとなってしまう
  • 取り込んだ情報を別のチームと連携していない

このように、うまく活用するためには十分に内容を理解する必要があります。

タレントマネジメントの項目・指標

導入の際は、以下のようなポイントを取り込みましょう。

【基本的なデータ】

年齢や配属先、ポジション、入職日など、会社として利用する頻度が多いデータを取り込みます。配属先やポジションは変わりやすいので、適宜修正する必要があります。

【スキル】

仕事を行ううえで必要な知見や技術だけでなく、他の人とのやり取りや部下の管理能力なども含めて入力します。可能であれば、保有資格や長所なども追加しておくと、今後役に立つ可能性があります。

【業務内容・成果】

仕事における内容やその成果、成功した事項などを取り込みます。

【勤怠】

勤怠データを取り込んでおけば、行動にあわせた成果を分析したり、業務過多によるメンタルの変動をいち早く察知可能です。

【独自的なマインド】

表面上では判断しにくい人材の立ち位置や思考パターン、価値なども可能であれば入力しておきましょう。将来的なポジションやチーム配置を考える際に役立ちます。

タレントマネジメント導入までに必要なこと

タレントマネジメントは導入すれば全てうまくいくというわけではありません。タレントマネジメントを効果的に行うためには、以下のような項目について事前に準備しておくことでタレントマネジメント導入の成果を十分に高めることができます。

  • 人材情報の見える化・可視化
  • 「タレント」の特定、タレントプールの作成

人材情報を可視化し、タレントプールなどの方法でデータ化しておくことで、自社がタレントマネジメントにおいて達成すべき目的が明確化します。それでは、順番に説明していきます。

人材情報の見える化・可視化

人材に関するスキルや個人情報、および組織情報などの人材情報を可視化することで、目指すべき人材の姿と現状との間にあるギャップを明確化することができます。

ギャップが明確になることで、そのギャップを埋めるための経営戦略の立案や適切な人材配置、さらには人事評価制度の仕組みなどを最適化することができます。

「タレント」の特定、タレントプールの作成

人材情報の可視化を実現したあとは、経営戦略の遂行に必要なタレントを特定します。タレントを特定することで自社内で補填できるのか、もしくは外部から新たに調達が必要なのかを判断することができます。

また、タレントプールの作成も必須です。タレントプールとは、「将来的に自社で採用する可能性のある人材データベース」のことです。

タレントプールを作成しておくことで、人材が必要になったタイミングで迅速に採用候補者へコンタクトをとることが可能になります。また、採用候補である人材にアプローチできるので、採用に関する費用や時間などのコスト削減にもつながります。

タレントプール内にはある程度のデータが蓄積しているため、面接回数を減らすなど採用活動を省力化できます。ある程度自社との適正がある人材があらかじめ選別されているので、採用後の早期離職などといったミスマッチを減らすこともできます。

人材情報を可視化し、タレントプールなどでデータベース化しておくことで、タレントマネジメント導入後の方向性が明確化するのでタレントマネジメントの効果がグッと高まります。

目的・目標の明確化

企業のゴールを明確にして、経営と人材両面の戦略を結びつけてみましょう。この2つを関連付けることで、はじめて思うような効果が出現します。

導入を第一に動いていては、コストに見合った効果は得られません。なにをしたいのか、どのような成果をあげたいのかをよく考えておきましょう。

取得したい項目の整理

取り入れたい項目を調整し、うまく活用することが重要です。たとえ入力可能なデータが豊富にあっても、うまく利用できなければ意味がありません。

またデータは取り込んだら完結ではなく、常に新しい情報を得られるようにリニューアルし続ける必要があります。社内にはどんな特徴の人材が働いているのかを管理することが、成功への道です。

浸透させるための広報活動や研修

新鮮な情報をいつでも管理するためには、従業員と力をあわせる必要があります。

しかし、概要をよく把握していなかったら個人的なデータの収集を怪しまれる可能性があるでしょう。データを集める理由、利点をしっかりと説明して、社内の理解を深めていくことが大切です。

講習や研修を開き、どのようなゴールを描いているのか、データをどのような用途で使用するのかを共有するのもおすすめです。

フローの整理

実際の運用において、過去の実施内容やその成果を見つめ直して、次のアクションに生かすことが重要です。そのためには、以下の流れを整頓してみましょう。

  1. 現段階の企業の状況を理解しておく
  2. 社内の人材をよく分析して必要な項目を決定する
  3. 課題達成のためのプランを作る
  4. プランに則って適切な人材の確保、業務配属を行う
  5. 実行した結果を分析し、次のアクションに備える

このように、これまでの情報を活かしたうえで、企業特有の流れを組み立ててみましょう。

タレントマネジメントの導入から実践まで

実際に導入した後は、どのような流れを行えば成果が出るのでしょうか。ここでは、具体的な実践方法を各段階に分けて解説します。

【課題抽出・対策立案】採用・育成計画書の作成(P)

社内の従業員のデータを集めた後、いくつかのカテゴリに分けます。そして、そのカテゴリに適した教育プランを作ります。カテゴリ内に十分な人材がそろっていない場合、新しく採用を行うことも検討しましょう。

一方で、1つのカテゴリに溢れるほど人数がいる場合、再びプランを組み直すことも考えましょう。これは導入の段階で核となる要素であるため、多少の路線変更はあっても軸だけはブレずにプランを設定しておくことが大切です。

人材の採用・配置(D)

次の段階では、作ったプランにあわせて人材を確保したり、適切な配属をしたりします。

従業員にもこのプランを共有して、どのような目的・ゴールがあるのかを意識してもらうと、より大きな効果を得るきっかけとなります。

これらのアクションが従業員にも伝わるように、明確な意思を持って実施しましょう。

人事評価、レビュー(C)

新しい戦力の確保や配属を変更した後は、おそらく職場環境が一新されるでしょう。

そのため、細かく評価を行って、どのような効果が現れているのか、どのような課題点があるのかをチェックしましょう。従業員それぞれの成果や生産性はもちろん、業務姿勢に変化がないかをよく確認しておくことをおすすめします。

なにか心情面で変化がみられている場合は、マンツーマンで話し合って確認してみましょう。

異動、能力開発など(A)

仕事面で指導が必要だと判断した場合、不足しているスキルを養うために研修や教育によるサポートを行います。

思うような成果が見られない場合、配属が適していない他にも、単純にスキル不足の可能性もあります。その従業員が行う仕事の生産性を高めるためにも、企業として協力できる体制を整えておきましょう。

PDCAを回し続ける

これまでの段階を踏んだら、そこで終了ではありません。今まで実践したことを再度繰り返し、さらにブラッシュアップできるような体制を作ります。

このサイクルを回転させるほど、企業としての成長につながるでしょう。たった一度の実践で完了させるのではなく、一連の取り組みを反復する力が重要なのです。

実践にあたり気をつけるべきこと

実際に取り入れるにあたって、どのような点に注意すべきでしょうか?ここでは、3つのポイントについてご紹介します。

手段が目的化しないようにする

うまく成果をあげるために大切にすべき点は「なんの達成に向けて実施するのか」という考えです。あくまでも手段の1つであることを忘れてはいけません。

本当のゴールを企業全体で共有し、その達成のためのツールとして活用していきましょう。決して手段と目的を混同してはいけません。

年功序列制度の概念をなくす

日本の伝統的な決まりでもある制度に執着すると、思うような成果をあげられない可能性があります。

そもそも「経験年数を経れば、着実に昇進できる」という日本の古い制度との相性はあまり良くないので、両立はむずかしいでしょう。

企業として今後も成長を続けるためにも、年功序列の考えは忘れて、新しい改革にコミットするのをおすすめします。

育成を成功させるポイントは人材戦略

人材を成長させるためには個人の意欲や自発的な行動が大切ですが、なによりも上司の影響が大きいといえます。

上司のスペックによって、従業員が発揮するパフォーマンスが大きく変わるといっても過言ではありません。従業員がレベルアップするのを遅らせるような行動をとる上司は、配属を変えたり、厳重注意したりなどの措置をとりましょう。

人材だけでなく、その上に立つ上司の方略もよく考えながら、実践していきましょう。

人事システムとは?

タレントマネジメントについて説明しましたが、人事システムも解説したいと思います。人事システムとは人事情報を管理し、業務をスムーズに行うためのツールです。おもに以下のような情報を管理します。

  • 採用
  • スタッフ
  • 評価
  • 給料
  • 人材指導
  • 業務配置 など

どれも人材にとって重要な要素でもあるため、人事スタッフの負担を減らす他にも、業務ミスを無くすためには欠かせません。このツールは幅広い業務に対応するため、それぞれの分野に分けられます。

  • 勤怠管理システム:スタッフの勤怠記録
  • 人事管理システム:入職手続きや申請
  • 給与計算システム:勤怠情報から給与を計算
  • 人事評価システム:スタッフの評価や業務配置
  • 採用管理システム:求人募集

このように人事業務全般をスムーズに行うために運用するのが人事システムです。

タレントマネジメントと人事システムの違い

タレントマネジメントと人事システムについて説明しましたが、どんな違いがあるのかイマイチわからない方もいると思います。類似している要素はありますが、それぞれの「目的」に大きな違いがあります。

タレントマネジメントは企業経営の成功を目的に用いられることが多いです。人材の能力・スキル情報を細かく管理することで、適切な業務配置や人材育成を行い、企業の生産性を高めます企業内部の円滑化というより、経営戦略を練るための取り組みといえるでしょう。

一方人事システムは、人事業務の効率化を目的に用いられることが多いです。人事業務は幅広く煩雑になりやすいため、システム運用して担当スタッフの負担やミスを減らします。タレントマネジメントと比較すると、経営の戦略より企業内部、とくに人事部の業務の効率化に特化したシステムです。それぞれの目的が異なることを理解したうえで、うまく活用することが大切です。

タレントマネジメントのメリット

タレントマネジメントについて大まかな概要について説明しましたが、具体的にどんなメリットを持っているのでしょうか。今回は3つに分けて紹介します。

  • 少ない人材で業務を行える
  • 人材育成が可能
  • モチベーションが向上する

少ない人材でも業務を遂行できる

人材のスキルを正確に把握できていないと、業務に対するスタッフの人数が多く効率が悪い、ということも起こります。一見人数は多い方がいいと思われがちですが、チーム内の意思疎通にかかるコストを考慮すると、最低限必要な人数であることが望ましいです。

タレントマネジメントを運用すると人材のスキルが可視化され、効率的な業務配置が可能です。ムダのない適切な人数を配置できるので、必要な人材のみでコストパフォーマンスの高い業務が行えます。

昔のような年功序列や職務に分けて、すべてのスタッフに同じ研修を行うスタイルでは効率的ではありません。事業に必要な人材をピックアップし、各スタッフにあわせた教育体制を整えるスタイルが重要といえるでしょう。

人材の育成

人材の育成はどの企業にとっても頭を悩ませる課題です。とくに中小企業はコスト面よく考える必要があるため、十分な教育体制を整えることが難しい傾向にあります。その結果人材をうまく育成できず、次世代のスタッフにノウハウが伝わらない、といった問題が起きます。

タレントマネジメントを活用することで、それぞれの人材の得意・不得意がすぐに把握できるため、育成の方針が明確化しやすいです。

また人材が必要としている教育プログラムを構築できるので、育成に必要なコストをおさえることが可能です。ムダのない育成を行えることから、スタッフも短期間で効率的に成長できます。

従業員のモチベーション向上

人材のモチベーションは企業の生産性に大きく関わる要素といえるでしょう。希望に沿わない業務配置や正当性に欠けた評価は、スタッフのモチベーションを低下させる原因です。最悪の場合、離職につながるケースもあるので注意が必要です。

タレントマネジメントの運用で、人材に適切な業務、信頼性の高い評価を提供できます。

また先ほど説明した教育体制も整えられるので、スタッフのモチベーションの向上につながります。その他にもスタッフの意見を汲みとるための1on1面談や、業務配置後の状況確認もおすすめです。

限られたリソースを活用し企業として躍進するためには、経営戦略だけでなくスタッフのマネジメントも重要です。

まとめると、タレントマネジメントを運用するメリットは以下のとおりです。

  • 少ない人材で業務を行える
  • 人材育成が可能
  • モチベーションが向上する

このように現代社会にとって欠かせないメリットを搭載しているのが、タレントマネジメントの強みです。

タレントマネジメントシステムの選び方のポイント

タレントマネジメントにはシステムで行うことがスタンダードですが、やみくもにシステムを導入しただけでは効果が得られません。

導入の恩恵を最大限享受するには、システムをどう活用したいのか、さらには使い勝手や価格などを十分に吟味し、自社にふさわしいシステムを選ぶ必要があります。

タレントマネジメントシステムの選び方のポイントは以下の通りです。

  • システムでなにをしたいのか
  • 誰でも使えるUIか
  • 導入しやすい価格帯か
  • 信頼できる実績か、評判はいいか

これらの点を踏まえておけば、自社に最適なシステムを導入することができます。

システムでなにをしたいのか

まずは、システムで何を実現したいのかを明確にしておきましょう。システムを導入する背景は、企業ごとに千差万別であり、共通した項目はありません。

例えば、「リーダーを育てる」、「社員のモチベーションを高める」、「適材適所の人材配置を行う」など、自社のタレントマネジメントにおける目的をはっきりさせておきます。

目的を明確にすることにより、システムに要求する機能などが特定され、自社のニーズにマッチした仕様のシステムを構築することができます。

誰でも使えるUIか

タレントマネジメントシステムは人事部などといった人材マネジメント所管部署以外にも、経営層など年齢の高いメンバーや、各セクションの責任者なども使用する機会が多くなります。

そのため、導入を検討しているタレントマネジメントシステムのUIが誰にとっても使いやすいものであるかについても、確認しておきましょう。

導入しやすい価格帯か

タレントマネジメントシステムは、機能が多さに比例してコストが高くなっていきます。

自社でサーバーを運用する場合は数百~数千万円、クラウドを利用する場合でも数十~数百万円かかるケースが多いです。さらにシステム導入後も月額費用や保守費用などのランニングコストがかかります。

そのため、イニシャルコストおよびランニングコストを総合的に考慮した上で、導入しやすい価格帯のシステムを選ぶようにしましょう。

システムによっては、定額で一定期間トライアル利用できるものもあるため、本格導入の前にお試し期間として利用してみるのも手です。

信頼できる実績か、評判はいいか

導入予定のタレントマネジメントシステムについて、信頼できる実績があるか、導入した企業による評判はいいかという点も確認が必要です。

導入実績が多くなればなるほど、企業からのフィードバックを反映して機能が充実していくため、システムが完成形に近づいていきます。実際にシステムを導入した企業の口コミやレビューなどの評判がいいものを選ぶことで、導入したもののうまく活用できないといった失敗を避けることができます。

システムで実現したいこと、UIの使いやすさ、コスト面や実績などを総合的に考慮することが自社にマッチしたシステムを選ぶためには重要になります。

サポート体制はどうか

システムの導入前後はどのような機能が搭載されているのか、どうやって操作するのかなど、いろいろとわからない点が多いでしょう。

その悩みを解決するためにも、サポートが充実しているサービスがおすすめです。実際の活用方法を細かくレクチャーしてくれたり、都度サポートをしてくれたりするシステムも多いです。

導入経験がない企業は、このポイントにすぐれているものを選択してみましょう。

セキュリティ対策は十分か

運用中にウイルス感染によるトラブルが起こるのは非常に怖いことです。とくにこのシステムは数多くの個人データを管理しているので、万が一漏えいなどがあれば大きな問題となるでしょう。

そのため、可能な限りセキュアなシステムの利用が望ましいです。それぞれ独自の管理体制が敷かれているものも多いので、このポイントも注目しながら選定をしてみましょう。

タレントマネジメントシステムを導入しよう

効果的なタレントマネジメントのためには、システムによる情報の集約化が必須です。今回のコラムで紹介した方法でタレントマネジメントシステムを選ぶことで、自社のタレントマネジメントの効率性と実現性を飛躍的に向上させることができます。

この機会にぜひ、タレントマネジメントシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。