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タレントマネジメントシステムによる採用管理の高度化~第4回「ポータブルスキルの評価」

ポータブルスキルの位置づけ

ポータブルスキルとは、その言葉通り業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」と定義されます。

ポータブルスキルも含めて、社会人が一般的に持つべきスキル、あるいは評価の対象となるスキルは、基礎的なものから順に、ポテンシャル、スタンス、ポータブルスキル、リテラシー、テクニカルスキルの5段階に分類されています。

ポテンシャルは、「潜在力」「可能性」「将来性」といった社会人が仕事で成長するための潜在的知的能力のことを指します。もっとも基礎的なこのスキルは、新卒採用では特に重視されます。

スタンスは、ものごとに対する姿勢や志向を指します。社会人としての基礎となるため、新卒採用者に対して、早い企業では内定段階から、レベルの測定やレベルアップのための研修を実施しています。

ポータブルスキルは、「真面目さ」、「積極性」、「几帳面さ」といった特定の業種・職種・経歴にとらわれない能力のことを指します。特に、環境の変化や新しい業務内容への適応が必要になったときに重要となるスキルであるため、最近では、中途採用において重要視されるようになってきています。

リテラシーは、「語学力」、「ITスキル」といった業務を遂行する上での基盤となる能力のことを指します。一般的には、自己啓発の一環として、社員が個人的にスキルアップをはかることが多く、企業が時間的、金銭的に補助する場合もあります。

テクニカルスキルは、実際の業務を遂行するために必要となる専門的なスキルのことを指します。人事評価やタレントマネジメントにおいて、主要な対象となるスキルで、企業内研修では、もっとも重視され、集合研修だけではなく、OJTも含めてレベルアップがはかられます。

以上のような5段階の中間に位置するポータブルスキルは、新卒社員や若手社員で重視されるポテンシャルやスタンスとは異なり、ある程度社会人経験を積んだ中途採用社員が早期に新しい企業文化に順応し、以前とは異なる業務内容に対応するために必要な能力と位置づけられています。

ポータブルスキルの内容

ポータブルスキルは、より具体的には、「対人力」、「対自分力」、「対課題力」の3つの能力から構成されます。

対人力は、人に対するコミュニケーション能力のことで、以下のような能力が含まれます。

  • – 集団をまとめていくことができる力
  • – 相手に対して、自分の考えを理解納得させることができる力
  • – 相手に気を配り、支援やサポートをすることができる力

対自分力は、行動や思考のセルフコントロール能力のことで、以下のような能力が含まれます。

  • 決断力 – 一度決めたら最後まで貫く潔さで行動できる力
  • 冒険力 – 新しいことに対して危険を恐れず挑戦することができる力
  • 持続力 – 長期間継続してひとつのことに取り組むことができる力

対課題力は、課題や仕事の処理対応能力のことで、以下のような能力が含まれます。

  • 試行力 – 自分で色々と試行錯誤しながら物事を進めることができる力
  • 計画力 – 情報を整理して物事を段取りよく進めることができる力
  • 分析力 – 本質を捉えようと深く掘り下げて考えることができる力

ポータブルスキルとタレントマネジメントシステム

「リテラシー」や「テクニカルスキル」の場合は、レベルが高ければ高いほど優秀という判定になりますが、ポータブルスキルの場合は、絶対的な優劣が判定できるわけではありません。

例えば、「対人力」は、「主張力」「否定力」「説得力」「統率力」「傾聴力」「受容力」「支援力」「協調力」の8つの能力から構成されますが、これらは、先頭に立って引っ張るタイプに見られる「主張力」「否定力」「説得力」「統率力」と、周りと協調して仕事を進めるタイプに見られる「傾聴力」「受容力」「支援力」「協調力」に分けることができます。一般的に前者の能力が高い人は後者が弱く、後者の能力が高い人は前者が弱いという傾向にあるため、どちらが良いかは、企業側がどういう人材を求めているかによって評価が分かれることになります。 したがって、ポータブルスキルを判定するには、採用すべき人材のポータブルスキルのタイプを事前に明確にしておかなければなりません。そのためには、常日頃、在籍する社員のポータブルスキルを評価し、人事考課データと組み合わせて、ハイパフォーマー(評価の高い社員)がポータブルスキルのどの項目について高いレベルを持っているかを分析する必要があります。このような分析を可能にするためには、スキル管理と人事考課の両方の機能を持ち、2つのデータが統合されているタレントマネジメントシステムの存在が不可欠であるといえるでしょう。