失敗しないタレントマネジメントのための3つのポイント~第2回(標準化されたスキル定義)
タレントマネジメントシステムを導入する際には、スキル定義の標準化が絶対条件です。
スキル定義が標準化されていない場合、スキル評価はマネージャの属人的な基準で行われてしまい、評価の公正性がなくなってしまいます。
スキル定義を標準化するには、最初に、現場マネージャが保有している部下スキルの評価基準を分析します。次に、この分析結果を体系化し、客観的で公平な標準的スキルを定義します。特定業種でスキルテンプレートが存在する場合は、それを活用するのも良いでしょう。
クラウド型タレントマネジメントシステムスキルナビの場合、社員のスキル定義はタスクとスキルから構成されます。
ここで、タスクは特定業務を遂行するために必要な能力要素を指します。特定業種向けに作成されたスキルテンプレートは、多くの場合このタスクを定義したものとなっています。
例えば経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が企業向けに作成しているiCD(iコンピテンシディクショナリ)では、「アプリケーションシステム開発-ソフトウェアコード作成・単体テスト」業務に必要なタスクが次のように定義されています。
- プログラム構造設計(モジュール分割・モジュール設計)
- 単体テスト仕様作成
- プログラミング
- 単体テストの実施と評価
しかし、このタスクのレベルでは、客観的で公平な評価はできません。そこでiCDでは各タスクを評価するための指標として「評価項目」が定義されています。
スキルナビでは、これらの「評価項目」をタスクとは別にスキルとして定義します。スキル(評価項目)は客観的で公正な評価が可能であると同時に、研修講座など修得に必要な具体的な施策が設定可能なレベルで定義します。
先ほどのタスク例のうち、「プログラミング」に関連するスキルとしては、例えば以下のようなものが考えられます。
- 対象のプログラム言語の特性を理解して、コーディング規約を定める
- 作成するプログラムの機能を理解し、APIや再利用、代替プログラムを活用する
- データ構造を理解し、データアクセス技術(SQL)を活用してプログラムを作成する
- 処理速度を意識してプログラムを作成する
- セキュリティホールへの対策を理解して、セキュアなプログラムを作成する
- プログラムのデグレードが発生しないための管理方法を理解し、実践する
これらスキルの洗い出しは、当初はタスクを細分化することで行ってもかまいませんが、多くのスキルは複数のタスクで必要とされますので、最終的にはタスクとは別の体系として管理する方が効率的です。
スキルナビの場合、タスクとスキルは別々の体系として管理されますが、タスクとスキルを関連付けることで、双方から参照できるようになっています。
また、客観的で公正な評価を可能にするために、スキルナビの場合、各スキルについて習熟度レベルと呼ばれる点数を定義することができるようになっています。
タスクとスキル双方の定義と関連付けが完了したら、自己評価や上司の評価が可能になります。評価はスキル単位で行われますが、タスクと関連付けられているため、特定のタスクに必要なスキルが現時点でどういう評価になっているかが一目でわかるようになります。
以下の図は、スキルナビで営業職の「顧客アプローチ」タスクに関連付けられたスキルの自己評価を行う画面の例です。この例では、個々のスキルの習熟度をR0からR5の6段階で回答するように設定されています。
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