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タレントマネジメントの市場規模とは?システム導入のポイントも解説

タレントマネジメントとは、自社の従業員が持っているタレント(特性や才能)やスキル、経験などの情報を人材マネジメントの一環として集約して一元管理することです。

企業の経営戦略に基づいた適切な人事配置や人材育成につながります。

年齢や学歴、そして職務経歴といった人事の基本的な情報にタレントマネジメントを追加することで、新規プロジェクトの立ち上げ時に迅速に必要なタレントやスキルを持った人材を確保できるため、ビジネス展開が極めてスピーディに行えます。

今回のコラムでは、タレントマネジメントの市場規模や、タレントマネジメントの市場規模が拡大している理由、そしてタレントマネジメントシステム導入のポイントなどについて解説します。

タレントマネジメントについて詳しく知りたい方はこちら>

タレントマネジメントの市場規模について

タレントマネジメントとは、自社の従業員が保有している特性や才能やスキル、経験などの情報を管理し、経営や人事戦略に活かすことを指します。

市場規模は年々拡大しており、IT調査会社のITRが調査した「ITR Market View:人事・人材管理市場2018」によると、

2020年度の国内市場規模(売上金額)は90億円を超えて、さらに2021年度には100億円を超える

と予想されています。

参照:https://www.itr.co.jp/topics/pr-20180411-1

SaaS型が市場拡大の原動力となっており、2021年度は前年度と比較して10%程度伸びると見られています。

今後も伸びは緩やかになるものの、市場規模は拡大の傾向が続くものと予想されています。

ワークライフバランスを重視する企業の増加

3つめの理由は、ワークライフバランスを重視する企業が増えていることです。

従業員が企業に求めるものが給与や安定といった従来の価値観から、残業時間や休日出勤、転勤の有無など仕事とプライベートの時間のワークライフバランスを優先するように変化しています。

そのため、企業の経営戦略としてタレントマネジメントを活用することで、フレックスやテレワークなどの柔軟な勤務形態にも対応できるようになります。

よって従業員が求めるワークライフバランスの実現が可能となり、結果的に従業員のエンゲージメントの向上にもつながります。

ワークライフバランスのメリットや働き方改革について詳しく見る>

タレントマネジメントの現状

タレントマネジメントを実行するための施策として、システムを導入することは1つの手段です。

タレントマネジメントシステムの導入は、売上高が高い企業ほど導入が進んでおり、特に業界でいうと、金融業が最も導入が進んでいます。

また、業界別では、サービス業や製造業は導入率が低く、システムの普及率には大きな差があります。

野村総合研究所が発表した「ITナビゲーター2021年版」によると、タレントマネジメントシステムの市場は拡大が続くとの予測が出されています。

併せて、HRテック市場の規模予測によると、HRテック市場規模は2020年時点で773億円だったのに対し、2026年には1,995億円の規模にまで拡大するとされています。

HRテックとは、タレントマネジメントシステムに加え、採用支援サービスやエンゲージメント管理システムを合わせた内容になりますが、今後もタレントマネジメントシステムは、企業にとって重要なシステムであると予測できます。

参照:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://juas.or.jp/cms/media/2023/07/JUAS_IT2023.pdf

タレントマネジメントの市場規模が拡大している理由

なぜタレントマネジメントの市場規模はこのように急速に拡大しているのでしょうか。

タレントマネジメントの市場規模が拡大している理由は多岐に渡りますが、大きな理由は以下に集約されます。

働き方改革による人事管理ニーズの多様化

1つめの理由は、昨今の働き方改革の浸透によって人事管理ニーズが多様化していることです。

少子高齢化にともなう労働人口の減少や労働者の働き方に対する価値観の変化などが、企業と従業員の関係性にまで影響を及ぼしています。

具体的には従業員が「働かせてもらえる職場」から、「無理なく働いて成果を高める職場」を求める主体的な働き方を選択する流れが大きくなってきています。

こうした流れを受けて、労働人口が少ない状況のなかで他社に先駆けて優秀な人材を確保すること、そして従業員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できる環境の整備も企業にとって急務の課題です。

また、雇用形態についても正社員だけではなく契約社員、派遣社員やフリーランスなど多様化しており、企業はさまざまな雇用形態や働き方について柔軟に対応することが求められています。

HR-Techの普及

2つめの理由は、HR-Techの普及によるものです。

HR-Techとは、「人事関連業務(HR)を最新のIT技術(Tech)を活用し、採用や育成、評価といった人事業務領域の全てを効率化させ、質の向上を目指すサービス」と定義されます。

このように、人材管理とHR-Techは親和性が高く、人材管理に関するHR-Techを「タレントマネジメントシステム」と呼び、タレントマネジメントシステムによって従業員情報や人事情報をデータで一元管理することができます。

従業員一人ひとりの入社年、経歴、評価、スキルといった多岐に渡る情報をニーズに応じて即座に参照することが可能になるので、効率的かつ戦略的な人材配置が可能となります。

さらにデータに基づいた客観的な評価が可能になるため、従来の上司による評価よりも納得感があるなどのメリットがあります。

ワークライフバランスを重視する企業の増加

3つめの理由は、ワークライフバランスを重視する企業が増えていることです。

従業員が企業に求めるものが給与や安定といった従来の価値観から、残業時間や休日出勤、転勤の有無など仕事とプライベートの時間のワークライフバランスを優先するように変化しています。

そのため、企業の経営戦略としてタレントマネジメントを活用することで、フレックスやテレワークなどの柔軟な勤務形態にも対応できるようになるため、従業員が求めるワークライフバランスの実現が可能となり、結果的に従業員のエンゲージメントの向上にもつながります。

ワークライフバランスのメリットや働き方改革について詳しく見る>

グローバル化の進展

最後は、グローバル化の発展があるためです。

日本企業は日本国内だけではなく、海外進出・国際展開を実施する企業が増加傾向にあります。

国際展開を行うと、各企業の風習や言語、文化に合わせた多国籍チームを編成する必要があるため、海外の国に沿ったマネジメントや、各国の雇用制度に対応した人材管理が求められるようになってきています。

また、海外拠点を持つ企業では、異文化を考慮したタレントマネジメントが重要視されていることから、タレントマネジメントが各企業に普及しているのです。

タレントマネジメントのグローバル規模

国内におけるタレントマネジメント市場は今後も拡大し続けると野村総合研究所のITナビゲーター2021年版は示唆していましたが、日本国内だけではなく、グローバル観点ではどうなのかが気になる方もいらっしゃるかもしれません。

結論として、タレントマネジメントのグローバル市場規模も拡大の一途をたど辿っています。

例えば、techcrunch.comによるとアメリカのタレントマネジメントの市場規模は60億ドルにも上り、今後も人材マネジメントのサービスとして伸びていくと見られています。

さらに世界全体で考えた場合、Grand View Research社の調査によると、人材マネジメントの市場規模は2018年時点で146億8,000万ドルに達しており、さらに2019年から2025年にかけて年平均11%の成長率で伸びると予測されています。

参照:https://techcrunch.com/2022/07/21/15five-a-pioneer-in-talent-management-hr-tech-raises-52m-to-boost-its-own-performance/
参照:https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/talent-management-software-market

日本と欧米におけるタレントマネジメントシステムの相違点

日本と欧米のタレントマネジメントシステムの運用を比較すると、運用方法に違いがあります。

例えば、欧米はジョブ型雇用が中心であるため、各必要なポジションのペルソナ像や要件が明確であり、ジョブディスクリプションベースで従業員の管理が可能です。

それに反して日本では、大学を卒業した新入社員を同タイミングで一括採用する、いわゆるメンバーシップ型の採用を実行する企業が一般的であるため、1つのジョブに人を当てはめて採用する採用方法を取り入れていない企業がまだまだ多いです。

メンバーシップ型雇用がメインだと、人材の要件が不明確となり得るため、タレントマネジメントシステムを導入する際、管理しづらいという課題が発生し得ます。

欧米のジョブ型雇用とタレントマネジメントシステム

欧米で一般的なジョブ型雇用は、各ポジションごとの職務内容、目標やミッション、必要なスキルや資格などの要件を明確にし、”要件に合った人材を確保する”雇用方法です。

このため、従業員の資格やスキルなどの情報を管理するタレントマネジメントシステムとの相性が良く、職務やスキル管理を行う際は、管理が容易です。

日本のメンバーシップ型雇用とタレントマネジメントシステム

日本企業が一般的に取り入れているメンバーシップ型雇用では、まず人材を採用し、ジョブローテーションの実行や、勤続年数などを踏まえて”人に仕事を当て込む”雇用方法です。

メンバーシップ型採用は、各業務やポジション要件が明確に定義されていない場合が多く、中長期的に人を育てていくことを前提としています。

欧米のタレントマネジメントシステムは、ジョブディスクリプションベースで管理するものが一般的であるため、タレントマネジメントシステムを導入するには、管理すべきデータの調整や、職務要件の整理が必要です。

日本のメンバーシップ雇用について詳しく見る>

タレントマネジメントシステムにおける今後の展望

タレントマネジメントシステムを導入するには、各企業が採用している雇用方法に沿った管理項目の定義づけが必要です。

タレントマネジメントシステムを導入する際の展望を、下記にて解説します。

人事部門の重要性の高まり

育児・介護を行う従業員が柔軟に働きやすい環境づくりや、従業員の転職がますます世間で一般化するなかで、各企業はより優秀な人材確保や既存従業員の能力開発が重要になります。

そのような状況下では、タレントマネジメントシステムを導入し、うまく上手く活用することが求められるため、今後、より人事部門の重要性が高まることが予想されます。

戦略的人事の推進

タレントマネジメントシステムを企業が導入することで、各従業員の適正やキャリアプランに沿った能力開発ができたり、属人化していた評価から脱却し、企業全体で公平な評価実行が実現できます。

人的資本経営が重視される現代において、戦略的人事を推進する一助となり得ます。

タレントマネジメントシステムの進化と普及

現代社会は、クラウド技術がますます発展しているため、インターネットさえあれば、どこにいてもタレントマネジメントシステムを使用できる環境を作ることができます。

そのような状況下ではタレントマネジメントシステムの導入がますます容易になり、市場規模も拡大されることが予想されるので、各企業の戦略的人事や人的資本経営支援のために、システムも進化し続けることが期待されます。

タレントマネジメントシステム導入のポイント

タレントマネジメントは企業のミッション達成に不可欠な要素なので、失敗は避けたいですよね。タレントマネジメントを成功させるためにはシステム導入が不可欠と言っても過言ではありません。ですが、せっかくシステムを導入しても適切に使いこなせなければ宝の持ち腐れになってしまいます。タレントマネジメントシステム導入のポイントを抑えておくことで、自社のニーズにマッチしたシステムを選ぶことができます。導入のポイントは以下の3点です。

  • 自社に必要な機能があるか
  • セキュリティ対策は十分か
  • 自社に合った提供形態か

上記の点に留意することで、タレントマネジメントシステムを自社の経営戦略にフル活用することができます。それでは、順番に説明していきます。

自社に必要な機能があるか

1つめは、自社にとって必要な機能を備えていることです。

そのため、まずはどういった機能が必要なのかを人材管理の観点から明確にしておく必要があります。

必要な機能の洗い出しを漏れなく行い、タレントマネジメントシステムに要求する機能を決定しておきましょう。

さらに、タレントマネジメントのニーズは企業ごとに千差万別なので、汎用性の高い機能がパッケージ化されたシステムとの相性も良くない場合もあります。

そのため、可能であればあとからカスタマイズできるシステムを導入することで、導入後に発生した自社のニーズに応じて機能の追加・変更などフレキシブルな対応が可能となります。

組織の構成は日々変化するので、それに合わせて機能の追加や削除ができるものを選ぶことでシステムを100%使いこなすことができます。

また、カスタマイズの際に追加費用が発生しないシステムを選ぶことで、コストパフォーマンスよくシステム運用ができます。

セキュリティ対策は十分か

2つめは、十分なセキュリティ対策が施されていることです。

タレントマネジメントシステムは社員の個人情報や人事データといったセンシティブ情報を大量に取り扱うため、情報流出を防止するための強力なセキュリティ対策が要求されます。

サーバーへの不正アクセスの監視やブロック、システム利用時のログインIDやパスワード設定などの他、データごとのアクセス権限や操作ログの保存なども細かく設定できると安心です。

また、情報流出だけではなく企業にとっての資産ともいえる人事データの保存方法についても対策が求められます。

データの自動バックアップや、データベースの冗長化、誤って消去したデータの復元などにも対応しているとより万全と言えます。

自社に合った提供形態か

3つめは、自社に合った提供形態であることです。

タレントマネジメントシステムの提供形態は大別してクラウド型とオンプレミス型の2つです。

クラウド型とオンプレミス型はそれぞれの以下の特徴を持っているので、特徴をきちんと把握し自社に合った提供形態のシステムを選択することが重要です。

【クラウド型】

サーバーを自社で用意せずに、インターネット経由で提供会社のサーバーにアクセスしてシステムを利用する提供形態です。

最近はこのクラウド型が主流となっています。

自社でサーバーを用意する必要がないため短期間で導入でき、さらにコストを低く抑えることができます。一部制限はあるものの、カスタマイズも可能です。

また、システムの更新やメンテナンスなどの保守作業や障害発生時の復旧作業などは提供会社が担当するため、自社で手間をかけずに済むので人的リソースなどに限りのある中小企業が導入しているケースが多いです。

【オンプレミス型】

自社サーバーにシステムを導入して利用する提供形態です。

サーバー導入のための初期費用や保守コストが発生するため、クラウド型と比較してコストが高くなる傾向にあります。

しかし、自社サーバーなので思い通りにフルカスタマイズが行えることと、セキュリティが強固であるメリットがあります。

サーバーの運用費用やシステムのメンテナンス費用などのランニングコストもかかり、障害発生時の復旧作業も自社で対応する必要があるため、潤沢なリソースを持つ大企業向けといえます。

データの一元管理と分析活用

タレントマネジメントシステムの最大の利点は、人材データを一元で管理することができたり、それを基に分析に活かせたりする仕組みが整っていることです。

企業に所属する従業員の保有する資格やスキル、適正や業務経験など、複数のデータを統合して組織を可視化することによって、より戦略的な人事施策を実施できる糸口を見つけられます。

タレントマネジメントシステムの導入を成功させるには

タレントマネジメントは自社の抱える社員が持つ能力(タレント)を一元的に管理・活用することで社員一人ひとりのパフォーマンスをあげることが目的であり、企業にとってミッション達成のために避けては通れない人材マネジメント手法です。

タレントマネジメントはシステム化をすることによって効率的に運用できます。

タレントマネジメントシステムを導入することにより、従来個別のシステムで分散して対応していた適材適所の人材配置、効果的な人材育成、社員のモチベーション向上などの人事戦略を1つのシステムで統合して実施することができます。

当社スキルナビは、従業員が保有する資格やスキルを一覧で管理するスキルマネジメントシステムです。

事業に直結するタレントマネジメントを実現するため、まず従業員のスキルや資格を可視化して育成につなげたい方は、ぜひ当社宛にお問い合わせください。