サードプレイスの意味とは?8つの特徴と注目されている背景を解説
慣れない在宅勤務や長時間労働によって一人で有意義に過ごす時間がほしくなる瞬間もあるでしょう。気分転換ができなければストレスが溜まり、体にも悪影響を与えます。
そこで現在注目されているのはサードプレイスです。いつもとは違った空間で息抜きできると関心を持たれています。今回はそんなサードプレイスがもたらす効果や日本におけるベストな場所を解説します。
サードプレイスの意味とは
サードプレイスとは文字通り「第三の場所」です。家が第一、職場が第二であり、それらに属さない居心地の良い空間を意味しています。
日本で家や職場はストレスが溜まりやすいと答える方も多いです。職場は上司に気を遣わなければいけず、好きな仕事をさせてもらえるわけではありません。家に帰れば家事や育児に追われ、自分の時間を有意義に過ごせる時間は少ないでしょう。
そのような背景から家や職場は心身的にも強い負荷が掛かってしまうのです。サードプレイスは家や職場で抱えた不安や悩みから解放される、幸せな時間を得られる空間です。
「お金を稼がなければいけない」「子供の面倒を見なければいけない」などの「~しなければいけない」から解き放たれる瞬間でもあります。人間は義務感を抱えながら生きているとストレスを感じてしまうもの。
義務感から永遠に解放されるのはむずかしいものの、サードプレイスのような憩いの空間でリラックスする時間も必要なのです。
サードプレイスのキーワード「スロー」
サードプレイスを学ぶ上で欠かせないのがスローとの関連性です。元来サードプレイスはアメリカ合衆国の社会学者レイ・オルデンバーグ氏によって提唱されました。
「The Great Good Place」ではサードプレイスについて書かれています(2013年に翻訳本が日本でも出版されました)。
オルデンバーグ氏は当時の米国の都市開発を進めていく上で、新たな疑問を抱いていました。「毎日家と職場の往復で本当にリラックスできるのか?」「仕事に追われてストレスを解消する手段が見失われているのではないか?」そのような問題点を取り上げたのです。
そこでオルデンバーグ氏が注目したのは西欧のコミュニティでした。ヨーロッパにはアメリカと同様にカフェやパブが存在したものの、ゆったりとした活気のある時間が流れていたとのこと。アメリカでは時間に追われて食事をとる習慣が当たり前だったため、オルデンバーグ氏は新鮮に感じたそう。
そこでアメリカでもスローの概念を持ち込み、余裕のある快適な空間づくりを進めました。後に日本でもスローの文化が浸透し始め、現在ではサードプレイスが注目されはじめたのです。
3つの場所が持つ役割
3つの場所が持つ役割について解説します。
ファーストプレイス
ファーストプレイスは自宅や家庭です。第一の場所と言い換えられ、最も有意義な時間を過ごせる場所と言えます。
人間には衣食住が必要ですが、その3つすべてが揃う場所は自宅や家庭なのです。食卓を囲めば食欲を満たせ、入浴すれば体が清潔になります。溜まった疲れやストレスをリセットできる唯一の場所と言えるでしょう。とはいえ自宅が快適と言えない場合もあります。
例えば「パートナーの食事をつくらなければいけない」「子供の遊び相手にならなければいけない」など、心身的負担が多いケースも。とくに結婚すれば様々な制約がうまれます。最愛のパートナーを手に入れられるメリットは大きいものの、自分の時間は無くなってしまうもの。実際に結婚して自分の時間はほぼ無いと答える方が大半であるのも事実。
となれば自然とストレスを感じてしまう方が出てくるのは当然かもしれません。日本の残業が減らないのは「家に帰りたくない」「家事を避けて遅くに帰りたい」といった心理状況もあるのです。このように自宅や家庭がかならずしも憩いの場ではないのは認識しておくべきかもしれません。
セカンドプレイス
セカンドプレイスは職場を指します。自宅のように生活環境が整っているわけではないものの、人として成長できる場です。人間はお金を稼がなければ生活が成り立たないため、毎日職場へ通勤する人がほとんどでしょう。
同僚や仲の良い部下がいれば、楽しく仕事もできるはずです。仕事だけでなくプライベートの悩みも相談できれば、ストレスや不安から解放されます。とくに一人暮らしの方は帰宅しても話し相手がいません。仕事場でうまく気分転換できれば、一日の中でなくてはならない環境だと分かるでしょう。
しかし、誰もが職場は居心地の良い空間だと感じるわけではありません。考えが合わない上司や自己中心的な部下がいれば悩みを抱えるはずです。となれば本来快適なはずのセカンドプレイスはネガティブな感情を生じさせる場へと変わるのも事実。
また、セカンドプレイスは学校も指します。友達と楽しく話して有意義な時間が過ごせれば良いものの、友達が少ない方や友人づくりが苦手な方は気疲れしてしまうでしょう。
サードプレイス
サードプレイスは前述した家や職場でファーストプレイスとセカンドプライスで生じた心身的疲れやストレスを浄化できる場です。
ファーストプレイスが「生活する環境」、セカンドプレイスが「お金を稼ぐ環境」であれば、サードプレイスは「リラックスする環境」と言えるでしょう。自宅や職場が生活に欠かせない環境であるのに対し、第三の環境は義務感なく、本人の意思で行ける場です。
そのため人によってはサードプレイスが不要なケースもあります。例えば家事代行サービスを契約して家事負担を減らしたり、仕事をしなくても不労所得で毎月決まった収入が得られていたり。そのような方達は心身的負担も少ないため、第三の場は不要でしょう。
とはいえほとんどの方は自宅や職場で少なからず思い悩む瞬間があるため、第三の環境は気分転換のためにも必要な場と言えます。
サードプレイスの提唱者
サードプレイスの提唱者は前述の通り、アメリカ合衆国の社会学者レイ・オルデンバーグ氏です。原著「The Great Good Place」をもとに翻訳された、日本の「とびきり心地よい場所」は社会学では知らない人がいないくらいの名著。
日本に代表される都市空間の他にリラックスできる場が必要と説いているのです。同著では8つの定義が記されており、日本人であれば一度は確認しておきたい項目。詳しい内容は後述するため、目を通しておきましょう。
サードプレイスが注目されるようになった背景
サードプレイスが注目されるようになった背景にはアメリカの社会変化と関係しています。アメリカは誰もが認める車社会です。日本とは違いほとんどの方が車通勤であるのも事実。車での移動が日常的になれば行き先が限られます。
例えば電車通勤であれば駅中のショッピングモールで買い物をしたり、ふらっとカフェに立ち寄ったり、行動範囲が広がり楽しみ方も広がるでしょう。
とはいえ車であれば停車する場所も限られ、結局は家と職場の往復になってしまうのです。アメリカでは次第に人々が集まる場所も減少し、人々がストレスを抱えはじめました。そこで立ち上がったのがオルデンバーグ氏です。家や職場以外でストレスを発散できる場所の発展へと乗り出しました。
コロナ禍で注目される「サードプレイスオフィス」
サードプレイスオフィスとは自宅でも職場でもない、第三の場所で仕事をする形態です。
コロナ禍によって外出自粛の呼びかけがなされました。毎日職場へ出勤して家へ帰る流れが普通ではなくなったのです。在宅勤務が推奨され、自宅に居ながら仕事へ取り組むビジネスパーソンが増えたのも事実。とはいえ自宅ではなかなか本来のパフォーマンスが発揮できない方もいます。
そこで誕生したのがサードプレイスオフィスです。カフェで仕事をしたり、サテライトオフィスを設置したり、自宅や職場とは違った場所で業務を行う形態が広がりました。
自宅よりも作業効率が上がり、新たな人材を確保できるとあって、第三の仕事場を導入する企業が増加中。今では事業発展のためにサードプレイスオフィスの存在が欠かせません。
サードプレイスの特徴
サードプレイスの特徴を解説します。
中立な場所
中立な場所とは偏った意見や考えを持たず、誰もが自由に出入りできる場所です。派閥やテリトリーといった考え方もなく、一人一人が公正公平な立場で参加できます。誰かの紹介で無理に参加することも、一度参加したら抜け出せなくなるケースもありません。
もちろん、自分が誰かを紹介しなければいけないルールもないのです。義務や縛りがないため、居心地の良さやくつろぎを感じられるでしょう。誰もが自由に自分を表現でき、それぞれが認め合える場と言えます。
平等な場所
サードプレイスは人それぞれに平等な権利が与えられる場所です。「あの人は偉い」「この方は私より立場が下」といった扱いを受けるケースはありません。職場では上司や部下などの関係からストレスを感じる場面は多いものの、サードプレイスであればそのような関係性から解放されます。
また、平等であるのは年齢や性別なども含まれます。たとえ年齢が離れていても対等にコミュニケーションできるのも大きなポイントでしょう。目の前の方と一人の人間として関係を築けるのです。
会話が楽しめる
サードプレイスは会話が楽しめるのも特徴です。その場にいる人同士で会話を交わし、有意義な時間を過ごしていきます。会話のゴールを定めず、目の前のコミュニケーションを満喫するのが目的です。一般的に女性は会話に共感を求め、男性は結論を求めると言われています。
どちらかと言えば、サードプレイスでは女性よりの会話が多く交わされているのも事実です。そのため、会話に結論ありきの男性は最初こそ違和感を覚えるかもしれません。慣れていくうちにユーモアを交えて話したり、冗談を言い合ったりすると、会話に意外な面白さを発見していくでしょう。
足を運びやすく、親しみのある場所
足を運びやすく、親しみのある場所であるのもサードプレイスの特徴です。
そもそもサードプレイスがストレスフリーな場所である背景からも、フットワークを軽くして参加できなければ意味がありません。「参加してもつまらなそうだな」「今日もあの人と話さなければいけないのかな」などのような気持ちになれば、かえって心身的にも負荷が掛かってしまうでしょう。
また、サードプレイスでは金銭的負担の軽さも基準の一つです。参加して身の丈に合わない費用を払えば、さらにストレスが掛かってしまいます。安価もしくは無料で飲み物や食べ物が提供されるのもサードプレイスならではです。
規則的な場所
規則的な場所とは常連を意味します。一定期間決まった日時に通える場所を意味する背景からも、規則的な場所と特徴づけているのです。人々が周期的に参加するためには安心した雰囲気づくりが重要と言えます。
頭も心も仕事から離れてポジティブな空間をつくりあげ、誰もが「また来たい」と思えるコミュニティ形成が必要でしょう。「常連が常連を呼ぶ」の格言通り、一人の常連がつくれれば、さらに常連は増えていきます。
とはいえ常連が増えれば、常連同士でルールやしきたりがつくられるのではと心配する方も多いでしょう。前述の通り、常連たちは中立な場所を形成しているため、決まりごとはありません。新しい人でも自由を尊重できます。
目立たない場所にある
サードプレイスは決して目立つ場所にあるわけではありません。言い換えると、地味で誰もが知らなそうな場所に構えているのが特徴です。
これにはサードプレイスならではの特徴が関係しています。控えめな場所であれば人が多く集まるケースは少ないです。ひっそりとした場所であると気持ちに余裕ができ、落ち着いて会話も楽しめるでしょう。
「誰もが知っている場所」よりも「自分しか知らない場所」は愛着がわき、何回も通いたくなります。そのためにも、サードプレイスは目立たない場所にあるのです。実際にサードプレイスを提供する側は静か・飾り気がない・夜は暗い雰囲気などの特徴を持たせて、コミュニティ展開する傾向にあります。
ポジティブでリラックスできる雰囲気がある
ポジティブでリラックスできる雰囲気があるのもサードプレイスの特徴です。疲れた心や体を癒すには明るい空気づくりが重要と言えます。仕事の愚痴を言い合ったり、友人の悪口ばかり言ったりしても疲労感は抜けません。緊張や嫌悪感なく、いかに気分転換できるかがポイントです。
そのためにもサードプレイス提供側はあらかじめ盛り上がりそうな施策を用意しても面白いかもしれません。例えばハロウィンやバレンタインの時期には装飾を施したり、スタッフが仮装してみたりすると、いつもとは違った雰囲気を演出できます。その場に集まった人は一風変わった雰囲気に胸を躍らせるでしょう。
家から近い
サードプレイスは家から近いのも大きな特徴と言えます。
近所にあれば移動に掛かるストレスもなく、行きたい瞬間にふらっと立ち寄れるでしょう。結果的に「近いからまた行きたいな」「交通費を気にしなくていいから安心して通えるな」などと常連になれるのです。
反対に家から遠ければ心理的距離感がうまれ、愛着はわきにくいでしょう。移動におけるストレスが掛かってしまい、最終的にはコミュニティから足が遠のいてしまいます。そのため、サードプレイスは駅に近かったり、バスの路線沿いにあったりするケースが多いです。
サードプレイスがもたらす効果
サードプレイスがもたらす効果を解説します。
新しい価値観を得られる
サードプレイスには年齢・性別・業種・経済状況などが違う様々な方達が集まります。交流を深めていけば、いつもとは異なる新しい価値観を得られるでしょう。
新しい価値観を取り入れると、自分の考え方も変わるかもしれません。それが良い方向にいけば成長につながります。成長を実感できれば第三の場がさらに心地良く感じ「もっと成長したい」「どんどんいろんな人とコミュニケーションを取っていきたい」と前向きな気持ちになれるはず。
家や職場だけで送る生活にはない効果です。また、サードプレイスには新しい人も日々参加します。新しい価値観を得るにはこれ以上ない環境と言えるでしょう。
自分を高めることができる
サードプレイスに参加すれば自分を高める効果も期待できます。自分とは違った考え方や価値観を持った方達が集まる場のため、自然と刺激を受けるのです。
例えば、資格試験に向けて奮闘する方と出会えれば「自分ももっと頑張らなくては」と自分に発破をかけられます。外国人の方が参加していれば「英語を学ぶともっとコミュニケーションが楽しくなるな」と英語学習に取り組むキッカケになるかもしれません。
また、サードプレイスは職場や学校のように誰かから指導されるわけではないため、自発的に行動していきます。結果的にサードプレイスでの成長度合いは自宅や職場よりも大きいのです。
新しいコミュニティを構築できる
サードプレイスは新しいコミュニティを構築できる効果もあります。自宅で関わるのはパートナーや子供などのため、最小単位のコミュニティです。
職場でも毎日顔を合わせる上司や部下はほぼ同じでしょう。家族よりも大きいコミュニティと言えますが、新しいコミュニティとは言い難いです。サードプレイスではいつもと違った方達と交流の輪を広げられるため、日常の満足度が高まります。
職場であれば肩書や序列を気にして新しい枠に参加しづらいものの、サードプレイスであれば人の目を気にせず参加できるのも大きなメリットでしょう。
日本におけるサードプレイスとは
日本におけるサードプレイスを解説します。
コーヒーショップ
コーヒーショップはサードプレイスの代表例です。カフェで気軽に仕事ができ、友人と楽しく会話する場としても相応しいです。
実際に業界トップクラスのカフェチェーン店スターバックスは日本上陸以来「サードプレイス戦略」を掲げているのも事実。客とスタッフの関係でありつつも、家族のような笑いの絶えない場を提供しています。
接客を見ても「いらっしゃいませ」とは言わず「こんにちは」「こんばんは」と呼びかけているのも特徴的です。全国各地のコーヒーショップを見渡しても、このような一言を掛けているのはスターバックスだけでしょう。温かいスタッフの対応に感動し、常連になる方は数知れず。
多くのコーヒーショップがスターバックスを模範としている背景からも、サードプレイスの良い例と言えます。
地域のコミュニティ
地域のコミュニティは家族や個人などの共同体よりも大きく、自治体や政府よりも小さい中間的な集合体です。町内会や子供会でコミュニティ活動を行い、地域発展とくつろげる空間の提供を目的とした活動になります。
現在は都市部への人材流出が急速化しており、地域が過疎化しているのも事実。町全体を盛り上げるには地域活性化が不可欠なのです。
そこで地域のコミュニティでは人の関わりを増やすため、食事会やサークル活動が行われているケースもあります。故郷が近い共通点もあり、会話が盛り上がりやすいのも特徴。足を運びやすく、参加しやすいメリットもあります。
コワーキングスペース
コワーキングスペースとは同じ空間で違った性別・年齢・職種などの方達がそれぞれ業務を行うスペースです。本来の勤務場所から離れた所での勤務が普及傾向にあり、近年では利用者数が増加しています。
最大の活用メリットは快適に仕事へ取り組める点。一人で有意義に業務を進められるため、効率性が増します。
家に居て仕事をしていると、家事や育児で集中できない瞬間もあるでしょう。それでも周りを気にせず仕事ができます。
また、場合によってはコミュニティ型も存在するのが事実。違った業界や業種の方と会話をし、新たな価値観に触れるチャンスでもあります。
日本におけるサードプレイスの現状や課題
サードプレイスの現状や課題を解説します。
日本における課題とサードプレイスに対するニーズ
オルデンバーグ氏が提唱したサードプレイスの定義では主に「交流」「立地」が軸でした。
第三の場で会話を楽しみ、新たな価値観を得るのが目的です。家から近く目立たない場所に行けば、落ち着いて交流を深められると提唱していました。
とはいえ日本ではこのような条件に該当する場は少ないため、違った条件が求められています。例えば快適に仕事ができたり、安心して趣味に取り組めたり、アメリカとは大きく違うと分かるでしょう。
開放的というよりは閉鎖的な空間を求めているのかもしれません。
日本人がサードプレイスを持ちにくい理由
日本人がサードプレイスを持ちにくいのには理由があります。
まず一つ目は人間性です。そもそも日本人はアメリカ人ほどコミュニケーションが積極的ではありません。知らない人へ声を掛けるのが得意な方は少ないでしょう。客同士が友達になるのは海外で聞かれても、日本では珍しいです。そのような背景から日本のサードプレイスに対する馴染みが薄いと言えます。
二点目は立地です。日本はアメリカほど広大な土地ではないため、目立たない場所は圧倒的に少ないのも事実。加えて日本は鉄道文化であり、目立たない+「足を運びやすい」場所は限られてしまうのです。日本人がサードプレイスを持ちにくいのには人間性と立地が関係しているのは念頭に置いておきましょう。
日本人にとって居心地の良い場所とは
日本人にとって居心地の良い場所を解説します。
マイプレイス型(プライベート型)
日本人にとって最も馴染み深いのはマイプレイス型です。マイプレイス型は「自分の場所」を意味しており、サードプレイスで自分の時間を楽しむ場所と言えます。後述する交流型とは相反するタイプです。交流が苦手な日本人にとって、マイプレイス型は主流と言えるでしょう。
具体的にはカフェで勉強したり、喫茶店で仕事に取り組んだりするケースが多いです。最近では勉強や仕事に集中できるよう、個室や仕切りを設ける店舗も増えてきています。「脱オフィス」が進む中で、これからもプライベート空間を提供する店舗は増えていくかもしれません。
交流型
交流型はマイプレイス型とは異なり、コミュニケーションや触れ合いを目的とした場です。一人で黙々と自分の作業へ取り組むのではなく、年齢・性別・人種・業種の異なる人と距離を縮める場と言えます。
地域コミュニティのサークル活動や非営利団体と協働したコミュニティカフェなどが該当。多くの方と交流を図り、新たな価値観の発見や自己成長につなげていくのです。
最近では企業が交流型のサードプレイスを提供するケースも増えてきました。例えばカフェ空間を設置したり、夜になると社員食堂がバーに変身したり、今までにない取り組みを行っています。
現在の日本では馴染みが薄いものの、このようなコミュニケーション形式が増えれば人との関わり方も変化していくでしょう。
ビジネスにおけるサードプレイス
今までは競合企業と関わりを持たない風習があったものの、現在は進んで交流を図る企業も増えてきています。いわゆる相乗効果に期待して経営の多角化を狙っています。
このような取り組みがうまれている背景には競争の激化があります。参入企業の増加に伴い、一社だけの力では激しい競争を勝ち抜くのは困難となりました。
そこで他社と協力し、共に戦う企業が増えてきたのです。今後も企業間競争は激化すると見られているため、今までとは違うビジネスの在り方が見られるかもしれません。
自分に合ったサードプレイスを見つけていきましょう
サードプレイスは自宅や職場とは違った第三の場所を意味します。米国や西欧では店前の空間やパブなどで交流を図り、新しい価値観の創造や自己成長を図っているのです。
反対に日本では海外ほど開放的な空間は少なく、サードプレイスは閉鎖的な環境が好まれます。実際にカフェで仕事をしたり、喫茶店で勉強したりする方は多いです。
このような日本と海外のサードプレイスにおける考え方の違いを把握した上で、ぜひこの機会に自分に合ったサードプレイスを見つけていきましょう。