業界別離職率ランキングと離職率を下げるための具体的な施策
企業は人材を育て、更にサービスの質を上げるサイクルを行います。しかし離職率が高いと、せっかく育てた人材を育てなおすことになります。
採用・人財育成・サービスの質向上には強い結びつきがあるということです。
そんな離職率ですが、実は離職率が高い企業には傾向があります。
今回は離職率を業界別にランキングでまとめました。離職率ランキングをご紹介した後、離職率の高い業界の特徴を分析し、人材を定着させるためのポイントをご紹介していきます。
業界別離職率ランキング
まずは令和元年の業界別離職率(厚生労働省による)を見てみましょう。
⇒離職率について詳しく知りたい方はこちら
目立つのは入職率、離職率ともに30%を超える「宿泊業・飲食サービス」です。
一方離職率が最も低いのは「複合サービス業」です。複合サービス業というのは郵便局や協働組合の事を指しています。
離職率の高い業界TOP10
先ほどのグラフを離職率が高い順にランキングしたものがこちらです。
令和元年の全職種平均離職率が14.5%なので「不動産業、物品賃貸業」までは離職率が高いと言えるかと思います。
離職率の低い業界TOP10
では一方で離職率の低い業界とは、どんな業界なのでしょうか?ランキングを見ていきましょう。
離職率の低い業種ランキングはこのようになりました。
複合サービス業というのは郵便局や協働組合です。資格が必要だったりスキルアップが望める業界が多いようです。
⇒離職率が低い業界についてはこちら
離職率の高い業界の特徴
それでは離職率が高い業界とはどのような特徴があるのでしょうか。
1.BtoCの業界
まず1つ目は「BtoCの業界」であることです。
企業はビジネスを行う組織ですが、企業に対してビジネスを行うBtoB(Business to Business)と一般の消費者に対してビジネスを行うBtoC(Business to Customer)に分けられます。
あくまで傾向ですが、BtoC業界は離職率が高い傾向にあります。
2.残業が多い
2つ目は「残業が多い」ことです。
BtoC業界では平日の勤務時間以外にも働かないと業務が終わらず、残業が多くなることがあります。
酷いところでは「サービス残業が当たり前」なんてこともあるようです。
3.給与が低い
3つ目は「給与が低い」ことです。
特にBtoC業界は平均年収が低い傾向があります。
以下左側の資料は令和元年の主な産業の平均年収ランキング(厚生労働省より)です。以下右側の離職率の高い業界TOP10(先ほどのランキングと同じ)と比べても、確かにBtoCの平均年収は低いようです。
ただあくまでも傾向ですので、企業や個人によっても異なります。
BtoCでも平均年収の高い企業があれば、BtoBでも平均年収が低い企業もあります。
4.休日が少ない
4つ目は「休日が少ない」ことです。
これもBtoC業界にありがちですが、個人の消費者は土日や祝日に集中することが多いので休める日が少なくなりがちです。また夜間勤務など、労働環境が不安定なこともあるでしょう。
5.ノルマがある
5つ目は「ノルマがある」ことです。
特に小売業界ではアルバイトやパートの従業員、正社員にかかる負担が大きいのが特徴です。特に正社員であれば店舗、従業員ごとの売り上げノルマ等の管理もしなければならず、過度なプレッシャーにもなってしまうようです。
離職率を下げ、人材を定着させる施策
離職率の高い業界の特徴は5つありました。この特徴を持つ企業は人材が定着しない→人材が育たない→成果が出ない→残業が増える&給与が上がらないといった悪循環が生まれてしまっています。
離職率を下げるためのポイントは4つです。
①採用時のすり合わせ
採用を行う際、業界の特徴や残業、給与、休日、ノルマなどを明確に説明することで、「こんなにつらいなんて知らなかった」となってしまうのを防止できます。
②労働時間の管理
働きすぎたり、仕事量に偏りがないか、しっかりと社員の労務管理を行うことが重要です。辞めてしまうのは大変な思いをして頑張ってくれているのに評価されない人です。
③福利厚生の充実
社員の価値観や結婚・就職・出産・大病など、人生に影響する大きな出来事に対応した手当を整えることです。わかりやすい例で言うと育休などがないと、出産を機に「働きづらい」と退職してしまうかもしれません。
④社内環境
厚生労働省による令和元年の雇用動向調査結果の概況を見ると、転職入職者が前職を辞めたマイナスな理由をみると、男性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が11.2%となっており、女性は「職場の人間関係が好ましくなかった」14.8%、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.5%となっています。
(データ上で最も多かったのは「その他の理由(出向等を含む)」27.4%と「定年・契約期間の満了」16.6%)
社内の環境は離職率に強く関係する要素です。自社の環境を見直し、改善することで、人材の定着につながるでしょう。
タレントマネジメントで人材定着を目指しましょう
データに基づいた分析をしてきましたが、あくまでも特徴や傾向に過ぎません。また、業界が違えば分析が当てはまらない場合もあるでしょう。
しかし正しいタレントマネジメントを行い、人材が定着すれば労働環境が整い、更に人材が定着するという好循環が望めます。
是非より良い労働環境を目指しましょう。