働き方改革にまつわる罰則とは?36協定や対策まで解説!
2019年4月より働き方改革法案の施行が開始されました。働き方改革法とは、労働者がワークライフバランスを保ちながら柔軟に働けるよう促進するために政府が打ち出した法律です。これに違反すると罰則があるため企業にとっては注意する必要があります。ここでは働き方改革の罰則とその内容について説明します。
働き方改革による罰則とは
働き方改革の規則を遵守しないと罰則が科されます。ポイントをおさえるようにしましょう。
時間外労働の上限規制
以前は残業時間に上限はなく、従業員も長時間労働をするのが当たり前な時がありました。これを防ぐために、現在は年間360時間で月45時間以内に収めるという上限が科されました。臨時的な特別の事情がある場合も年720時間以内、月平均80時間以内、月100時間未満を守らなければなりません。
もし違反すると、6か月以下の懲役または30万以下の罰金が科される恐れがあります。
所定労働時間を超えるときの、割増賃金50%以上
月の労働時間が60時間を超える場合は給料の割増率を50%以上にしなければなりません。現在適用は大企業のみですが、2023年より中小企業も適用になるので、気を付けておく必要があります。違反した場合、同じく罰則が科されます。
フレックスタイム制の清算期間の延長
フレックスタイム制とは、従業員が始業終業時間を自分で決める柔軟な働き方ができる制度です。以前は清算期間が1か月だったのですが、今回、上限が3か月に延長されました。また、清算期間が1か月を超える場合、労使協定の届け出が必要になります。
これに違反した場合、罰則として30万円の罰金が課される恐れがあります。
医師の面接指導
高度プロフェッショナル制度適用者や研究開発業務従事者、月80時間超の労働者に対しては医師の面接指導を受け、産業医による健康被害がでないよう管理する必要があります。これに違反した場合、50万円以下の罰金が課されます。
年次有給休暇の取得
雇用契約に関係なく、年次有給休暇を取得できる日数が10日以上ある場合、会社は最低5日取得させる義務があります。取得方法は。労働者本人が自由に取得できる個別指定方式と会社が設計する計画年休制度の2種類があります。また、これに違反すると、30万以下の罰金が発生します。
⇒働き方改革関連法について詳しく知りたい方はこちら
36協定とは
従業員に残業をさせる場合、36協定が必要になります。個々の事業所単位で締結しなければいけない為注意が必要です。以前は月45時間、年間360時間という上限を破っても罰則はありませんでしたが、現在は制限が加わり、指示に従わないと罰則があるため厳しくなりました。
過労死の防止
残業時間の増加により過労死が増え問題として掲げられていました。過労死を防ぐために残業時間を厳しく制御する動きが高まり、36協定が改正されるに至りました。現在は厳しい規制がかかり、従業員の残業時間の削減につながっています。
働き方改革での新しい規制
現在の36協定では、月の休日労働を含める残業時間の合計が100時間を超えると懲罰が課せられます。また、連続する2、3、5、6か月で残業時間を80時間以内に抑える必要があります。現在は臨時的事情があっても上限が存在するため、会社で勤務時間の管理を徹底する事が重要です。
罰則がない法律
罰則がある法律の順守はもちろんのこと、高度プロフェッショナル制度やアルバイト・パート等の労働者に対する賃金など罰則がない法律に対してもしっかりと対策を行う必要があります。条件を守らないとペナルティがつき制度の利用ができなくなる恐れがあります。
罰則を受けないための対策
では、法令遵守を行うために企業がやるべきポイントを解説します。
業務効率化
業務効率化のツールや従業員の能力向上など生産性を向上させることを目指しましょう。効率的に業務が進むことによって短時間で仕事ができ残業時間削減へとつながります。企業によって課題が異なるため、会社に合った方法を取り入れましょう。
労務管理の徹底
残業時間の超過を防ぐには、従業員の勤務時間をしっかりと管理する必要があります。労務管理システムを導入するなどして正確に把握管理を行いましょう。現在どの従業員がどれくらい残業しているのかがわかれば声掛けや仕事の管理が可能になります。
コミュニケーションの活発化
授業員のコミュニケーションを活発化し、報連相を徹底させることで業務がスムーズに進み、業務効率化や勤務時間の削減につながります。また、上司による圧力を無くす事で従業員が帰りやすい雰囲気を作ることも必要です。
まとめ
現在の働き方改革関連法により、以前よりも法令順守が求められるようになりました。内容を正しく理解・把握していないとうっかり違反することになり罰則を受けてしまう恐れがあります。そうならないように、企業においてしっかり事前対策を行っておくことが必要です。