コラム

人事関連でお役に立つ情報を掲載しています。ぜひご活用ください。

  1. トップ
  2. コラム
  3. ビジネス用語
  4. ゆとり世代と円滑に仕事を行うためには?ゆとり世代の特徴から扱い方のポイントまで

ゆとり世代と円滑に仕事を行うためには?ゆとり世代の特徴から扱い方のポイントまで

ゆとり世代とは?

30代前半の1980年代後半から1990年代に生まれた世代は、「ゆとり世代」と総称されます。彼らは、一体どのような特徴を持ち、どのような働き方を望んでいるのでしょうか。この記事では、「ゆとり世代」の特徴とともに、実際に働くときに押さえておきたいポイントについて説明します。ぜひ、この記事を読んで、「ゆとり世代」への理解を深めてください。

ゆとり世代とは

「ゆとり世代」とは、一般的に、1980年代後半から1990年代に生まれた世代を指しています。この用語は、彼らが「ゆとりを持って育った」とされることに由来しています。

「ゆとり世代」は、その特徴として、教育制度の改革によって学校の授業内容や教育スタイルが変化し、比較的自由な学びの環境で育ったことが挙げられます。また、一般的には個人主義や自己表現の重視、ワークライフバランスの追求などが特徴とされています。

ゆとり教育による学力低下

ゆとり教育は、2002年から始まった教育改革の一環として、学習内容や学習スタイルの柔軟化、生徒の主体性や自己表現の育成を重視する方針です。この教育改革により、学習の内容や評価方法が緩和され、競争や厳格さが欠如した結果、学力の低下が問題視されています。

一方で、従来の教育システムは、過度に受験や試験に焦点を当て、生徒の個別の能力や才能の発揮に十分な機会を与えなかったという指摘もあります。ゆとり教育は、生徒の多様な能力や興味に応じた教育を提供することを目指したものであり、その点で価値があるとする意見もあります。

ゆとり世代が育った環境、時代

ゆとり世代は、1980年代後半から1990年代に生まれた世代を指します。「ゆとり」とは、日本語で「余裕」や「ゆとりのある時間・空間」を意味し、この世代が経済的に安定し、物質的な豊かさや機会がより広がった時代に育ったことを指しています。

彼らは、経済的な厳しさや社会的な制約を比較的経験せず、教育や生活面での恵まれた環境で成長したとされています。しかし、バブル崩壊後に生まれていますので、好景気を経験していないといった点もあります。

ゆとり世代とさとり世代の違い

ゆとり世代のさらに一世代最新の世代が「さとり世代」です。

ゆとり世代は、物質的豊かさについても一定のクオリティを求めていますが、さとり世代は物質的豊かさとは別に、マインドフルネスや心の健康に積極的に取り組む傾向があります。彼らはストレス管理やメンタルヘルスの重要性を理解し、自己ケアや心の安定を意識することが多いとされています。

ゆとり世代の特徴とは

ゆとり世代は、戦争や大規模な社会的不安定が直接経験できなかった平和な時代で成長しました。

このため、彼らは一般的に、安定感や平穏を求め、競争意識が低い傾向があります。また、出世が命と思っている人は少なく、プライベートの時間を重要視する傾向にあるようです。詳細な特徴は下記の通りです。

消極的

ゆとり世代は、戦争や大規模な社会的不安定が直接経験できなかった平和な時代で成長しました。そのため、消極的かつ安定感や平穏を求める傾向があります。

また、ゆったりとした自分のペースで物事に取り組む傾向があることも、消極的であることの要因でしょう。彼らは時間に余裕を持ち、ゆっくりと進めることを好みます。

また、焦りやストレスを回避する傾向があるともいえるでしょう。彼らは自分自身や他人との比較によるプレッシャーを抱えることを避け、ゆったりとしたペースで物事を進めます。

競争意識が低い

ゆとり世代の教育では、生徒の主体性や自己表現を重視した柔軟な学びへの転換が試みられました。そのため、競争意識が低く他者を出し抜こうとする人材が少ないと思われます。

また、他人との比較よりも自己成長に重点を置きます。彼らは自己の能力やスキルの向上に取り組み、自己満足や個人的な目標達成を重視します。

一方で、自己主張よりも和解や調和を重視するゆとり世代も少なくありません。彼らは対立を避け、他人との良好な関係を築くことに努めます。

ステータスへの執着がない

ゆとり世代は、自己価値や自己評価を外部の要素や他人の評価に依存せず、内部基準に基づいて判断する人材が多く見られます。なぜなら、ステータスが人を作ると思っていないからです。

彼らは自分自身の価値を自己受容や内面的な要素によって捉え、外部のステータスや社会的な地位に執着しない傾向があります。

ただし、自己満足や協力的な姿勢を持ちながらも目標達成への意欲を持っています。彼らは自身の目標や成果に向けて努力し、個人的な満足感を得ることを重視します。

プライベートを優先する

ゆとり世代は、仕事以外の関係性を大切にします。彼らは家族や友人との時間を大切にし、人間関係の充実を追求します。

また、自分自身の成長や幸福を追求するために、社会的なつながりやコミュニティへの参加にも関心を持ちます。幸せの基準が仕事上での出世ではないと思われます。

また、個人の自己表現や自己実現を重視する傾向があります。彼らは自己の意見やアイデンティティを大切にし、自由な発想や個性を尊重する社会的な価値観を持っています。

叱られることに耐性がない

ゆとり教育で育ったために、他人からの批評や指摘に対して敏感であり、過剰に反応する傾向があります。彼らは自己評価が低く、他人の意見や批判を受け入れることが難しい場合があります。

これは、自己ケアの重要性を認識していることの裏返しと言ってもいいでしょう。彼らは自分自身の健康やリラックスのために時間を取り、ストレスを軽減するための活動や趣味に積極的に取り組むことがあります。

合理的、効率的な思考をする

周囲の情報や状況をより深く理解し、洞察する能力が高い人材が多いこともゆとり世代の特徴です。彼らは状況を冷静に判断し、物事の本質や背後にある意味を捉える傾向があります。

また、情報やデータを客観的に評価し、合理的な結論を導き出すために論理的な思考プロセスを使用することに満足感を覚えるようです。昨今では、タイムパフォーマンスという言葉が流行っていますが、こういった効率と効果性を追求します。

彼らは効果的な方法や手段を見つけ、時間やリソースを最大限に活用します。合理性を重視することで、目標達成や仕事の効率化に向けた取り組みを行います。

ITスキルが高い

ゆとり世代は、デジタル技術の急速な進歩を目の当たりにした世代です。

彼らは幼少期からインターネットや携帯電話の普及に触れ、デジタルツールやソーシャルメディアを日常的に利用することが一般化していました。また、インターネットの普及により、ゆとり世代はITスキルがないと学校などで苦労することが多かった世代です。基本的なITスキルは担保していると言ってもいいでしょう。

終身雇用の意識が低い

一つの企業に一生働くことを前提とせず、フレキシブルなキャリア観を持っています。

そもそも、終身雇用制といっても山一証券の倒産などを見ている彼らにとって、終身雇用制は昭和の古い価値観なのです。彼らは異なる職種や業界への挑戦や、自己成長や多様な経験を追求することを重視する傾向があります。一つの企業で人生を終えることがもったいなく感じ、自分には何か他に出来ることがあるのではないかと思っています。

また、自己マネジメントの能力が高い傾向も一つの特徴でしょう。彼らは自分自身のキャリアや雇用状況を主体的に管理し、自己成長や自己実現を追求することを重要視します。

仕事において強みとなるゆとり世代の特徴

では、仕事におけるゆとり世代の強みとはいったいどのようなものが考えられるでしょうか。想像力豊かであり、繊細である彼らだからこそ強みとなる側面もあるのです。それぞれの強みについて詳細に記載しました。

素直さ、真面目さ

ゆとり世代は仕事に対して、責任感と義務感を持って行動します。彼らは与えられた仕事や義務を真剣に受け止め、約束や期待に応えるために努力します。

また、上司の指示にも素直に答えるでしょう。彼らはフィードバックや指導を素直に受け入れ、自己改善や成長に積極的に取り組みます。

一方で、ゆとり世代は、変化のスピードが速い社会で成長したため、柔軟性や適応力が高いです。彼らは新しい状況やテクノロジーに対して迅速に適応し、変化に対応する能力があります。

納得感を持つと的確に仕事を進められる

「なぜなのか」といったことを考える教育をされているゆとり世代ですので、その行動の理由がわかると仕事をすすめるモチベーションになるでしょう。

また、多様性を受け入れる意識が高く、他人のバックグラウンドや異なる意見を尊重します。これにより、異なる視点やアプローチを取り入れることができ、チームのパフォーマンス向上につながります。合理的な事実やデータに基づいて意思決定を行うことを好みます。彼らは感情や個人的な好みを排除し、客観的な情報を優先して判断します。合理的な意思決定によって、結果的に正確性や信頼性を高めることができます。

創造力豊か

ゆとり世代は、個人の意見や自己表現を重視する傾向があります。そのため、創造性が高く、新しいアイデアや柔軟な発想を持ち、問題解決やイノベーションに貢献することができます。

また、そういった想像力の豊かさは、ビジョンや未来への展望につながります。彼らは物事のポテンシャルや可能性を見出し、先を見据えたイメージを描くことができます。

また、冒険心があり、新しい体験への関心が高いため、新たな刺激や知識を求めて積極的に探求し、それを想像力の源として活かします。

ゆとり世代と円滑に仕事を進めるポイント

ゆとり世代の特徴や強みなどについて述べてきましたが、実際の仕事現場ではどういったようにコミュニケーションをとればいいのでしょうか。下記七点について詳しく説明いたします。

明確な目標を設定する

ゆとり世代と、仕事を円滑に進めるためには、明確な目標や優先順位を設定することが重要です。タスクやプロジェクトの重要度や緊急度を把握し、適切な計画やスケジュールを立てましょう。「なんとなく」と言われていても、なぜこんなことをしなければならないのか、といったフラストレーションを溜められないようにしましょう。

また、こういった目標を立てることによって、ゆとり世代を含めたメンバーが何を達成すべきかを明確に理解し、一貫した方向性を持つことができます。

明確かつ具体的な説明、指示を行う

ゆとり世代は想像力豊かですので、曖昧な指示をした場合、思ってもない返答が返ってくることがあります。できるだけ、作業の手順や方法を明確化できる具体的な指示を心がけましょう。具体的な指示は効率的な仕事につながりますので、タイムパフォーマンスの良さからゆとり世代は作業に快感を覚えます。

また、具体的な指示は、各メンバーの役割と責任を明確にすることができ、可視化された状態を好むゆとり世代に好ましい結果となります。それぞれが担当する範囲や責務を理解し、適切に分担することで、チーム全体の協力的な働きを促すことができます。

理性的に接する

感情的になっては、ゆとり世代は「何か怒っているな」と聞き流すことも多いようです。実際に、理性的に接することで、冷静な判断ができますし、ゆとり世代も真摯にあなたのアドバイスを聞くでしょう。

感情的な反応や衝動的な行動ではなく、客観的な情報やデータを基に意思決定を行わないとゆとり世代は納得しません。

また、冷静さを失わないことで、より合理的な選択ができ、結果的に、チームとしても効率的な仕事の進行が可能となるでしょう。

適度な距離感を保つ

適度な距離感を持つことで、プライバシーと仕事を分けることができます。適切な距離を保つことで、仕事のストレスや圧力が個人のプライベートに波及することを防ぐことができます。

特にゆとり世代はビジネスとプライベートに壁を作っていますので、重要なポイントです。

また、適度な距離感を保つことにより、仕事上のプロフェッショナリズムを維持することができます。個人的な関係や感情的な結びつきが過度になることなく、仕事に集中することができます。

貢献した点を褒める

叱られることが苦手と、先に述べましたが、逆に褒めることによって、パフォーマンスが飛躍的に向上するのもゆとり世代の特徴です。褒められることで自信を持ち、良い成果を出すことに対する自己期待が高まります。

また、褒められることで他人の期待に応えようとする意欲が湧き、より優れた仕事をすることができます。このようなポジティブな態度を持ち、協調性を発揮することも円滑な仕事の進行に役立ちます。周囲との協力や円滑な関係構築に努め、チーム全体の雰囲気を明るく保ちましょう。

相手の考えを受け入れる

ゆとり世代との性格の違いで悩んだことはないでしょうか。ゆとり世代は、多様性や包括性を重視する傾向があります。彼らは異なるバックグラウンドや文化を尊重し、共感や共存を大切にする社会的な価値観を持つことがあります。

他人に対して寛容だからこそ、上司や周りの人にも考えを受け入れてほしいと思っています。適切で効果的なコミュニケーションは、円滑な仕事の進行に欠かせません。明確な意思疎通や情報共有を行い、相手の意見やフィードバックを受け入れる姿勢を持ちましょう。

理念とビジョンへの共感を得る

理念とビジョンの共有により、チームの方向性が明確化されます。理念は組織の基本的な価値観や信念を表し、ビジョンは将来の目標や望ましい姿を描くものです。共有することで、全員が同じ方向を向き、統一した目標に向かって進むことができます。

また、理念とビジョンの共有は、意思決定の基準となります。共有された理念やビジョンに照らして判断することで、メンバーは迅速かつ一貫性のある意思決定を行うことができます。迷いや葛藤を減らし、効率的な意思決定が可能となります。

目先の報酬で動かさない

物質的な所有や贅沢な生活に対する重視度が低いため、目先の報酬では動かないことがゆとり世代の特徴です。彼らは絶対的に、物質的なものに対して欲望や執着を持っていませんので、物質的な成功や豪華さを追求するよりも、内面的な充実や人間関係の質を重視します。

また、ステータスの執着がないため、自分自身の興味や関心、価値観に忠実であり、社会的な期待や他人の評価に左右されることが少ない傾向があります。

彼らは自分自身が望むことや大切にすることに集中し、自己成長や自己実現を追求することが多いです。

ワークライフバランスを実現できる環境を作る

ゆとり世代は、ワークライフバランスを重視する傾向があります。彼らは働き方の柔軟性や自己の幸福を重要視し、働き方改革や福利厚生に対する意識が高いため、モチベーションやエネルギーを維持しやすいです。

先にも述べたように、終身雇用制について懐疑的な人が多い世代ですので、フレキシブルな働き方に意欲を持っています。彼らは柔軟な勤務時間や場所、ワークスケジュールの調整など、働き方の選択肢を求めることがあります。

ゆとり世代の特徴を理解しましょう

いかがでしたでしたか。
ゆとり世代の特徴や弱みと強み、また実際の対処の仕方について知識が深まったのではないでしょうか。一見個人主義に見えるゆとり世代ですが、ポイントさえ押さえれば、まじめで実直、また創造性が豊かな一面を見ることが出来るでしょう。