研修管理業務における脱Excel~第2回「研修管理システムに求められる機能」
前回「Excelによる研修管理の課題」では、Excelによる研修管理の課題を、人事担当者、マネージャ、一般社員それぞれの立場から解説しました。
第2回の今回は、これらの課題を解決するために必要となる研修管理システムの機能について解説します。
最初に、Excelによる研修管理での4つの課題とその解決に必要となる機能を解説します。
ファイル管理
Excelによる研修管理では、データが研修コース単位や部門単位に分割されますので、データのやり取りも、ファイルをメールに添付してデータをやり取りしたり、ファイルサーバー上で管理するといった煩雑なものになります。
したがって、研修管理システムでは、すべてのデータを1つのデータベースに格納し、組織や役割に応じたアクセス権限を設定する必要があります。
そうすることで、すべての人事担当者、マネージャ、社員がそれぞれの権限に応じた範囲の最新のデータを参照できるようになります。
進捗管理
Excelによる研修管理では、研修受講のプロセスが進んでいる間、進捗状況を把握する仕組みがないため、メールやファイルのやり取りといった1対1のコミュニケーションに頼るしかありません。
したがって、研修管理システムでは、受講申請、受講報告などのデータ入力や更新をデータベースに対して直接行うことで、入力や更新の発生を自動的に検知し、つねに最新の状況が把握できるようにしておく必要があります。
そうすることで、人事担当者がマネージャに、マネージャが社員にメールで受講実績を確認するいった作業は必要がなくなります。
履歴管理
Excelによる研修管理では、研修コース単位で受講履歴を管理するのが一般的であるため、特定の社員に関する受講データは複数のファイルに分散されてしまいます。
したがって、研修管理システムでは、受講情報をデータベースで一元管理し、時系列にデータを並べ替えたうえで、情報を参照できるようにする必要があります。
そうすることで、例えば、特定の社員の評価が過去どのような研修を受講してきたかを調べたりすることができるようになります。
集計
Excelによる研修管理では、データが複数のExcelファイルにまたがって存在するため、集計作業が煩雑でミスが起こりやすくなります。
したがって、研修管理システムでは、受講情報をデータベースで一元管理し、手作業によらず自動的に受講データの集計が行えるようにする必要があります。
そうすることで、単純な集計ミスを防ぐことができようになるだけではなく、部門別や月別といった異なる集計単位が必要になっても、すぐに対応できるようになります。
最新の研修管理システムとは
以上のことから、研修管理システムに求められる機能の最大のポイントはデータベースによる情報の一元管理であることがわかります。
このような研修受講情報の一元管理を実現するシステムの中で最新のものがタレントマネジメントシステムです。
タレントマネジメントシステムにおいては、一元管理される情報に受講データ以外の経歴、スキル、資格、評価などのデータを追加することで、人材検索、スキル分析、職種・等級ごとの人材分布の把握が可能になっています。
次回は、このタレントマネジメントシステムを使用した研修管理フローと、スキル評価との連動による研修効果測定について解説します。
連載記事
第1回「Excelによる研修管理の課題」